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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2024年1月9
一般社団法人 日本経済団体連合会

【令和6年能登半島地震】

元日に発生した能登半島地震でお亡くなりになった方に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げる。また、非常に厳しい環境下で、救助活動に奮闘される関係者の皆様に敬意と謝意を表したい。

〔経団連としての支援について問われ、〕経団連は現地で支援活動に取り組むボランティア組織と連携しつつ、1%クラブニュースを通じて、会員企業に対して義援金や支援金、支援物資の提供などを呼びかけている。既に多くの企業が支援を行っている。インフラの損壊がネックで支援物資の運搬が滞るといった厳しい状況ではあるが、引き続き様々なネットワークを通じて、できることから迅速に取り組んでいきたい。

〔震災に対する政府の対応について問われ、〕震災対応に完璧というのはないが、災害対策本部の立ち上げや、被災自治体の長からの聞き取りなど、客観的に見て、政府は迅速に対応しており、評価したい。引き続き政府には、岸田首相のリーダーシップの下で全力を尽くしてほしい。経済界もしっかりサポートしていく。

〔石川県志賀町に立地する志賀原子力発電所の再稼働について問われ、〕志賀原子力発電所をはじめ、能登半島地震に関連する日本海側の原子力発電所はすべて安全性が確保されていると認識しており、安心している。ただ、余震が継続しているため、事業者には引き続き緊張感を持って安全性の確保に全力を尽くしてほしい。加えて、原子力発電所の周辺住民や国民の中に不安を感じている方もおられると思うので、各原子力発電所の現状や安全性について、原子力規制庁や事業者を中心に、適時適切に情報提供を続けていただきたい。

【2024年版経営労働政策特別委員会報告】

本日の会長・副会長会議において、2024年版の経営労働政策特別委員会報告の最終確認を行った。これまで何回も申し上げているように、今年の春季労使交渉における賃金引上げに向けた熱意・決意は、昨年以上である。「官民連携によるデフレからの完全脱却」をキーワードに、今年を「賃金と物価の好循環」、ひいては「成長と分配の好循環」実現の契機の年にしたい。

【日本経済の動向】

〔消費者物価や個人消費、企業の設備投資の傾向について問われ、〕いずれも短期ではなく中長期のレンジで傾向を見て評価する必要がある。物価については、コストプッシュ型のインフレ傾向が完全に解消されたわけではないが、弱まっていることは事実であろう。物価は政府によるエネルギー価格の負担軽減策の動向にも影響を受けよう。

消費については、持ち直し傾向にある。この傾向を維持するうえでまず重要なことは、賃金引上げ、さらには可処分所得の増加である。長期的には、全世代型社会保障制度の構築により、貯蓄性向の高い若者世代の将来不安を払拭し、消費拡大につなげる必要がある。

投資については、わが国企業の投資意欲は引き続き堅調である。この先、悪化傾向にある欧州や中国の経済の影響もあろうが、官民連携でグリーントランスフォーメーションなどの社会課題の解決に資する国内投資を促進することで、投資の増加傾向を維持していきたい。

【韓経協との首脳懇談会】

〔韓国経済人協会との首脳懇談会(1月11日)について問われ、〕尹錫悦大統領の就任以降、日韓関係は急速に改善している。2022年7月に当時の全経連との首脳懇談会をソウルで開催した際、尹大統領を表敬し、日韓関係正常化に向けた決意をお聞きした。当時を思い起こせば、感慨深いものがある。経済界も歩調を合わせ、歩みを続けていく。その主な取り組みの一つとして、経団連と韓経協(旧全経連)は日韓・韓日未来パートナーシップ基金を設立し、具体的な活動を開始しようとしている。

両国は、ともに貿易立国、科学技術立国であり、また、少子高齢化、エネルギーや食糧安全保障といった課題を共有し、同様の地政学的リスクにも直面していることから、協力を深める意義は大きい。来たる懇談会で、日韓経済関係のさらなる発展に向けて、両国経済界の協調・連携を一層増進していきたい。

【政治資金パーティー問題】

〔現職衆議院議員の逮捕を受けた首相や自民党の対応、岸田首相が近く立ち上げる、自民党の「政治刷新本部(仮称)」への期待について問われ、〕現職国会議員の逮捕という事態に至ったことは、非常に遺憾だ。

政治刷新本部の迅速な立ち上げは評価に値する。政治の責任において、実効ある対応を検討していただきたい。政治資金規正法で定められたルールの遵守は大前提であり、徹底してもらいたい。政治資金の基盤である透明性の確保に向けた議論を期待している。

【大阪・関西万博】

〔お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志氏の大阪・関西万博のアンバサダーとしての今後の活動について問われ、〕芸能活動を当面休止するとのことであり、それを踏まえ、対応を検討していくことになろう。

〔令和6年能登半島地震の影響で大阪・関西万博の開催が延期となる可能性について問われ、〕能登半島地震からの復旧・復興に向けてあらゆる資源を最優先でつぎ込み、被害に遭われた方々の日常生活を一日も早く取り戻さなければならない。経済界も全力で支援に取り組んでいく。

震災の復旧・復興と大阪・関西万博の準備は二項対立で考えることではない。両方ともに成し遂げなければならず、経済界は尽力を続ける所存である。

以上

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