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2010年度事業報告

I.事業活動の概要

政策全般

(1)民間活力による経済の再生
〔総合政策委員会等〕
  1. 経団連の活動指針となる総会決議を取りまとめた(5月)。
  2. 高度な技術力と人材力を軸に日本経済を復活させることを目指し、22の具体的プロジェクトを含む「サンライズ・レポート」を取りまとめた(12月)。
(2)震災復興に向けた取組み
〔震災復興特別委員会等〕
  1. 東日本大震災発生後、米倉会長を本部長とする「東日本大震災対策本部」を立ち上げ、「未曾有の震災からの早期復旧に向けた緊急アピール」(2011年3月)を公表し、実現を働きかけた。また、会員に義援金、救援物資の提供の呼び掛けを行うとともに、寄せられた救援物資を海と空から運ぶ「救援物資ホットライン便」を立ち上げた。
  2. 「震災復興に向けた緊急提言」(2011年3月)を取りまとめ、民間としても、「電力対策自主行動計画」を策定し、当面の電力需給対策に自ら取組むことを決定した。

経済・法制関係

(1)「新成長戦略」の具体化
〔経済政策委員会〕

政府の「新成長戦略」の決定を受け、「『新成長戦略』の早期実行を求める」(7月)をとりまとめ、実現を働きかけた結果、「新成長戦略2011」に多くの主張が盛り込まれた。

(2)経済活性化に資する税制
〔税制委員会〕

「平成23年度税制改正に関する提言」(9月)を取りまとめ、実現を働きかけた結果、税制改正大綱では法人実効税率の5%引下げが盛り込まれた。

(3)社会保障と税・財政の一体改革
〔税制委員会・財政制度委員会・社会保障委員会〕

「経団連成長戦略2010」(4月)において社会保障と税・財政の一体改革に向けた取組みが不可欠であることを訴え、政府においても、「社会保障改革の推進について」で2011年半ばまでに、社会保障・税・財政の一体改革についての成案を得ることとされた。さらに、これを受け、「国民生活の安心基盤の確立に向けた提言」(2011年3月)を取りまとめ、実現を働きかけた。

(4)資本市場の活性化と競争力強化
〔金融制度委員会〕

東京証券取引所や金融庁との意見交換を通じて経済界意見の反映に努めた。

(5)競争力の基盤となる経済法制、会計・監査制度の実現
〔経済法規委員会〕
  1. 「企業の競争力強化に資する会社法制の実現を求める」(7月)を取りまとめ、経済界意見の反映に努めた。また、民法(債権関係)の改正の検討や集団的な消費者被害救済制度の設計に対する経済界意見の反映に努めた。
  2. 公正取引委員会の審判制度を廃止する独占禁止法改正案が、2010年通常国会に提出後、2011年通常国会に引継がれており、法案の早期成立・施行を各方面に働きかけた。また、「企業結合に関する独占禁止法上の審査手続・審査基準の適正化を求める」(10月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
  3. 欧州や米国の団体と連携を図り、企業会計基準委員会や国際会計基準審議会への経済界意見の反映に努めた。「財務報告に関するわが開示制度の見直しについて」(7月)を取りまとめ、実現を働きかけた結果、四半期開示の大幅な簡素化及び財務報告に係る内部統制報告制度の見直しが実現した。

行革・産業・国土関係

(1)規制改革の推進
〔行政改革推進委員会〕

会員からの要望をもとに「2010年度日本経団連規制改革要望」(10月)をとりまとめ、実現を働きかけた。

(2)道州制の導入
〔道州制推進委員会〕

道州制の導入に向け、政府や各地の関係者と意見交換を行い、経済三団体が協働して「地域主権と道州制を推進する国民会議」を開催した。

(3)産業の競争力強化、新事業の創出
〔産業問題委員会、起業創造委員会〕
  1. 経済産業省の「産業構造ビジョン」への経済界意見の反映に努めた。「『日本国内投資促進プログラム』の早期実行を求める」(10月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
  2. エンターテインメント・コンテンツ産業の振興に向け、「知的財産推進計画」への経済界意見の反映に努めた。外国人材の受入れや起業創出の促進に取り組んだ。
(4)効率的な物流の実現
〔運輸・流通委員会〕

物流に関する「広域ポートオーソリティに関する提案」(9月)を取りまとめ、実現を働きかけた。

(5)総合的な食料供給力の強化
〔農政問題委員会〕

「力強い農業の実現に向けた提言」(2011年2月)を取りまとめ、実現を働きかけた。「農林漁業等の活性化に向けた取組みに関するアンケート調査」の事例集を公表した(2011年3月)。

(6)未来都市モデルプロジェクトの実施
〔都市・地域政策委員会〕

民間主導で経済成長モデルを構築し、イノベーション立国を実現するため、12の具体的なプロジェクトからなる「未来都市モデルプロジェクト最終報告」(2011年3月)を取りまとめた。

(7)観光振興
〔観光委員会〕

「わが国観光のフロンティアを切り拓く」(4月)、「改定『観光立国推進基本計画』に望む」(2011年3月)を取りまとめ、実現を働きかけた。インターンシップ・モデル・プロジェクトの実施を決定し、シンポジウムを開催した。

(8)豊かな住生活の実現
〔住宅政策委員会〕

「豊かな住生活の実現と住宅市場の活性化に向けて」(9月)を取りまとめ、実現を働きかけた。

技術・環境・エネルギー関係

(1)イノベーションの創出
〔産業技術委員会〕

「イノベーション創出に向けた新たな科学技術基本計画の策定を求める」(10月)を取りまとめ、実現を働きかけた結果、政府の第4期科学技術基本計画に意見が反映された。また、産学官の連携を推進した。

(2)知的財産政策の推進
〔知的財産委員会〕
  1. COP10に向け「生物多様性条約における『遺伝資源へのアクセスと利益配分』に関する議定書原案に対する意見」を取りまとめ、実現を働きかけた結果、名古屋議定書に知財面の大きな懸念事項は盛り込まれなかった。
  2. 特許制度や不正競争防止法の改正に対する経済界意見の反映に努め、国際標準化の共通認識の醸成を図った。
(3)新IT戦略への対応
〔情報通信委員会〕

「新しい社会と成長を支えるICT戦略のあり方」(2010年3月)の実現を働きかけた結果、政府の新IT戦略や工程表に経済界意見が反映された。

(4)電子行政の推進
〔電子行政推進委員会〕

「豊かな国民生活の基盤としての番号制度の早期実現を求める」(10月)を取りまとめ、理解増進に努めた結果、「社会保障・税に関する番号制度についての基本方針」が決定され、本年秋以降できるだけ早期に法案を提出することとなった。

(5)海洋・防衛・宇宙産業の競争力強化
〔海洋開発推進委員会、防衛生産委員会、宇宙開発利用推進委員会〕

「海洋立国への成長基盤の構築に向けた提言」(4月)、「国家戦略としての宇宙開発利用の推進に向けた提言」(4月)、「新たな防衛計画の大綱に向けた提言」(7月)を取りまとめて実現を働きかけた結果、政府の「新成長戦略」や「新たな防衛計画の大綱」に意見が反映された。

(6)低炭素・循環型社会の形成
〔環境安全委員会〕
  1. ポスト京都議定書の国際枠組構築に向け、「地球温暖化防止に向け真に実効ある国際枠組を求める」(11月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
  2. 地球温暖化対策税・国内排出量取引制度・再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度に対し、「地球規模の低炭素社会の実現に向けて」(9月)を取りまとめて実現を働きかけた。「環境自主行動計画(温暖化対策編)」をフォローアップし、産業界の温暖化対策を着実に推進した。
  3. 「環境自主行動計画(循環型社会形成編)」のフォローアップを行い、「循環型社会のさらなる進展に向けた提言」(9月)を取りまとめて実現を働きかけた。
(7)資源問題やエネルギー政策への対応
〔資源・エネルギー対策委員会〕

「エネルギー基本計画見直しについての意見」(4月)を取りまとめ、経済界意見の理解増進に努めた結果、新たなエネルギー基本計画に意見が反映された。また、今後の資源・エネルギー政策に関する検討を進めた。

社会関係

(1)広報・出版活動の積極的展開
〔広報委員会〕

国内外への広報が積極的かつタイムリーに行われるよう努めた。

(2)企業倫理の徹底
〔企業行動委員会〕
  1. 企業行動憲章実行の手引きを改定し、10月の企業倫理月間に「企業倫理徹底のお願い」を呼びかけ、セミナーを開催した。
  2. 消費者政策のあり方について消費者庁、消費者委員会、消費者団体との意見交換を行い、消費者教育フェスタを開催した。
(3)企業の社会貢献活動の推進
〔社会貢献推進委員会〕
  1. 「市民公益税税制に関する平成23年度税制改正要望」を取りまとめ、実現を働きかけた結果、税制改正大綱に寄附税制の拡充が盛り込まれた。
  2. 2009年度の社会貢献活動の実績調査を実施した。
  3. 政府の「新しい公共」推進の動きに対応した。
(4)政治との意見交換
〔政治委員会〕
  1. 個人寄付の促進に向け、わが国の政治資金の課題について検討した。
  2. 政党幹部との間で会合を開催し、重要政策課題を巡り意見交換を行った。
(5)産業界の求める人材の明確化と教育支援の促進
〔教育問題委員会〕

産業界の求めるグローバル人材に関する検討を行った。会員企業が取組んでいるキャリア・職業教育、環境・理科教育プログラムのアンケートを実施した。

(6)災害に強い社会の構築
〔防災に関する委員会〕

集中豪雨等の大規模水害対策の検討を進め、企業に求められる地震対策に関するアンケート調査を実施した。

経営労働関係

(1)労使交渉・協議における経営者の指針の策定
〔経営労働政策委員会〕

春季労使交渉・協議における経営側の基本姿勢と雇用・労働に関する諸問題への対応を「2011年版経営労働政策委員会報告」(2011年1月)として取りまとめた。同報告では、今次労使交渉・協議では定期昇給の維持を巡る賃金交渉を行う企業が大半を占めると見通した。

(2)安定した雇用の実現
〔雇用委員会〕
  1. 「新卒者の採用選考活動の在り方について」(2011年1月)を取りまとめ、「倫理憲章」の大幅な改定を行った(2011年3月公表)。
  2. 求職者支援制度の創設や雇用保険制度の見直しに際し経済界意見の反映に努めた。
  3. 第99回ILO総会の議論に参画した。
(3)人事・労務マネジメントの支援
〔人事・労務委員会〕
  1. 国際競争の激化や少子・高齢化の進行、雇用形態の多様化等の経営環境の変化に伴う職場の諸課題と対応策を検討し、「経営環境の変化にともなう企業と従業員のあり方」(2010年5月)を取りまとめた。
  2. ミドルマネジャーをめぐる現状課題の把握等のためのアンケートや有識者・企業事例等のヒアリングを行った。
(4)労働法制の見直しへの対応
〔労働法規委員会〕
  1. 有期労働契約法制や民法(債権関係)の法改正、仕事と生活の調和に関する政労使合意の改定、改正育児・介護休業法の全面施行に向けた審議に対する経済界意見の反映に努めた。
  2. 企業の福利厚生の取組みの参考となるよう「課題解決型の福利厚生の実現に向けて」(10月)を取りまとめた。
(5)中小企業の支援
〔中小企業委員会〕
  1. 中小企業の人材確保等に資するため「中小企業における人材の育成・確保・定着に関する報告書」(7月)を取りまとめた。
  2. 中小企業が海外展開を行う上での課題を把握し、政府等による支援政策について検討を行った。
(6)少子化対策や新型インフルエンザ対策の推進
〔国民生活委員会・少子化対策委員会〕
  1. 「子ども・子育て新システム構築に向けた要望」を取りまとめ、特別会計の創設や企業の追加負担に関する問題を指摘した。
  2. 「家族の日」「家族の週間」にちなんだ協力を呼びかけ、各社の活動事例を集約した。
  3. 新型インフルエンザに対する政府・企業の取組み状況を把握した。

国際関係

(1)対外経済戦略の推進
〔貿易投資委員会〕
  1. 「アジア太平洋地域の持続的成長を目指して」(6月)、「経済連携協定の一層の推進を改めて求める」(10月)をとりまとめ、「TPP交渉への早期参加を求める」(11月)を採択した。
  2. WTOドーハ・ラウンドの妥結に向け、交渉関係者と懇談するとともに、諸外国の経済団体と共同声明(9月)をとりまとめた。
(2)経済連携の推進
〔経済連携推進委員会〕
  1. 「TPP交渉への早期参加を求める」(11月)をとりまとめ、経済団体共同で決起集会を開催した。
  2. 日中韓ビジネス・サミットで日中韓FTA交渉の前倒しを求め、「日中韓自由貿易協定の早期締結を求める」(11月)をとりまとめた。また、モンゴルとのEPAの実現に向けた活動を行った。
(3)戦略的な国際協力の推進
〔国際協力委員会〕

「国際貢献の視点から官民一体で海外インフラ整備の推進を求める」(10月)、「アジアにおけるインフラ・プロジェクト推進に向けて」(10月)を取りまとめ、実現を働きかけた。

(4)BIAC活動への参加
〔OECD諮問委員会〕

60回超のBIACおよびOECDの会合に参加するとともに、OECD多国籍企業行動指針の改訂に、わが国経済界の意見が反映されるよう努めた。

(5)G8ビジネス・サミットへの参加

カナダで開催されたG8ビジネス・サミット(4月)に参加し、共同宣言をとりまとめた。カナダおよび韓国で開催されたG20ビジネス・サミット(6月、11月)に参加し、各国政府・経済界首脳と意見交換を行った。

(6)APEC CEOサミットの開催

「世界の成長の原動力としてのアジア太平洋」をテーマに、各国の首脳を含む900名以上の参加者を得て、横浜でAPEC CEOサミットを開催した。

(7)北米
〔アメリカ委員会、カナダ委員会〕

日米経済連携関係強化を推進すべく、わが国政府を通じて要望を提出したほか、民間対話チャネルの強化に向け、ルース駐日米国大使をはじめ、米国、カナダの経済人、有識者と懇談した。

(8)欧州
〔ヨーロッパ地域委員会〕
  1. 日EU経済統合協定の実現に向け、欧州ビジネス協会との共同声明(4月)を公表するとともに、シンポジウム(2011年2月)を開催した。
  2. 中東欧ミッションをスロヴァキア、ルーマニア、ブルガリアに派遣した(7月)。
  3. スペインのサパテロ首相、ベルギーのレテルメ首相、ブルガリアのボリソフ首相等、各国の要人と懇談した。
(9)アジア・大洋州
〔アジア・大洋州地域委員会ほか〕
  1. 東アジア・サミットに合わせ、槍田副会長を団長とするASEAN政策対話ミッションを派遣し、ベトナムのズン首相等と会談を行った(10月)。米倉会長を団長とするASEANミッションを派遣し、インドネシアのユドヨノ大統領、タイのアピシット首相等と意見交換を行った(2011年2月)。
  2. 御手洗会長を団長とするミッションを中国に派遣し、温家宝総理等と意見交換を行った(5月)。米倉会長が日中経済協議会訪中団の最高顧問として訪中し、李克強副総理等と意見交換を行った(9月)。
  3. インドのシン首相、ASEANのスリン事務総長、ニュージーランドのキー首相等、各国の要人と懇談した。
  4. 台湾(12月)、香港(12月)との合同会議を開催した。
(10)中南米
〔中南米地域委員会ほか〕
  1. ブラジル(4月)、メキシコ(2011年2月)との合同会議を開催した。
  2. エクアドルのコレア大統領、グアテマラのコロン大統領、ボリビアのモラレス大統領等、各国要人と懇談した。
(11)中東・アフリカ
〔中東・北アフリカ地域委員会ほか〕
  1. 第2回日本・アラブ経済フォーラムを開催し(12月)、トルコと合同会議を開催した(11月)。
  2. パレスチナのファイヤード首相、ガーナのミルズ大統領、ボツワナのカーマ大統領、ガボンのオンディンバ大統領、ジブチのゲレ大統領等、各国の要人と懇談した。
(12)ロシア・NIS
〔日本ロシア経済委員会 日本NIS経済委員会〕
  1. ロシアと合同会議を開催した(6月)。
  2. ウクライナのヤヌーコヴィチ大統領等、各国の要人と懇談した。

経済団体、外部組織等との連携・協力

(1)外部組織への協力

日本経団連事業サービス経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行った。

(2)公益活動に対する資金面の支援

公益活動を行う機関等が経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に協力した。



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