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Policy(提言・報告書) 総合政策 国難を乗り越え「新たな日本」を創造する − 2011年度総会決議 −

2011年5月26日
(社)日本経済団体連合会

わが国は東日本大震災からの復興・再生という大きな課題に直面している。今こそ、国民が力を合わせて、この国難に立ち向かい、被災地支援ならびに復旧・復興にスピード感をもってあたるとともに、先見性や大胆な構想力により、安心・安全で強靭な「新たな日本」を創造していかなければならない。

他方、急速に進展する高齢化や少子化、グローバル競争の激化への対応は、一刻の猶予も許されない。最大の課題である震災復興への対応と並行して、成長戦略の着実な実施、持続可能な社会保障制度・財政の構築、環境と経済の両立、TPP交渉への早期参加ならびにEPA/FTAを通じた経済統合を推し進めるべきである。

これまでの幾多の危機を乗り越えてきた経験と国民の叡智を結集すれば、現下の難局は必ずや打開できると確信する。そのためには、政治の力強いリーダーシップが不可欠である。われわれ経済界は、不退転の覚悟で下記に掲げる5つの政策課題に重点的に取組み、早期復興に総力を結集するとともに、国内ならびに海外への情報発信を強化しつつ、企業家精神を最大限発揮し「新たな日本」の創造に邁進する。

1.震災からの早期復興

官民一体となって、被災地支援、被災者の生活再建・就職支援、原子力発電所事故の早期収束を図るとともに、それぞれの実情を十分に踏まえた形で地域社会・経済基盤の復旧・復興を急ぐべきである。

政府は、「震災復興総本部」および「震災復興庁」を設置し、早期復興に向けた強力な体制を整え、道州制の先行導入も視野に入れた広域連携の促進、国と地方公共団体の連携強化を図り、復興特区をはじめとする大胆な規制・制度改革の実施を通じて、産業・都市復興の円滑化を図るべきである。あわせて、官民連携により、農林水畜産業を含めた広域産業復興計画を立案・実施する必要がある。

さらに、マニフェストの見直しを含めた追加的な補正予算の策定、復興対策に必要な財政面での手当を適時適切に講じる一方、復興のためのコスト負担に係る国民的な合意の形成に政治のリーダーシップを求める。

2.新しい日本の創造に向けた成長戦略の着実な実施と雇用創出

経済のグローバル化が深化し、企業間の競争が一層激しさを増す中にあって、震災からの復興策を踏まえ、必要な見直しを行った上で、官民挙げて「新成長戦略」を着実に実施する。

新たな成長と雇用を創出していくために、政府に対し、競争力強化に資するインフラ整備、民間活力を最大限発揮し得る規制改革の断行、事業環境の国際的なイコール・フッティングの確保に取組むことを求める。震災復興地域も視野に入れた未来都市モデルプロジェクトの実行、人口減少社会に対応した社会システム作り、安心・安全な街づくり・住まいづくり(コンパクトシティ等)、観光の振興、農業の競争力強化および成長産業化に官民で取組む。

あわせて、官民協力して、科学技術イノベーション戦略の実施や総合的なICT戦略の策定・推進、グローバル化の進展を踏まえた人材の育成と高度外国人材の受け入れ拡大により、成長を支える。

3.社会保障と税・財政の一体改革

超党派による議論と合意により、国民の将来不安を払拭した活力ある長寿社会の実現、わが国の財政に対する信認確保の観点から、社会保障と税・財政の一体改革を着実かつ遅滞なく推進することを求める。また、政府は震災復旧・復興のための財源確保を含め、中長期的な財政健全化の道筋を明らかにしつつ、子育てから老後に至る社会保障の機能強化や効率化・合理化を推進するとともに、消費税を軸とした歳入改革の実現や番号制度の早期導入を図る必要がある。

4.エネルギー・環境政策の再構築

震災を踏まえ、エネルギー基本計画を再検討し、官民協力によるエネルギー安定供給体制の強化を図るとともに、国民的な議論を喚起しつつ、経済との調和のとれた低炭素社会の形成を目指す。

特に、原子力発電所事故に関する適時適切な情報提供と徹底した原因究明および再発防止策により、国民の信頼回復を図る。また、2020年の温室効果ガス排出量25%削減目標や、再生可能エネルギーの全量買取制度、地球温暖化対策税の導入の見直しを求める。

電力対策自主行動計画に基づき、電力供給力の向上、節電・需要平準化に総力を挙げて取組む。同時に、環境・エネルギー技術の開発・普及、低炭素社会実行計画の参加業種の拡大と信頼性・透明性の向上に努める。

5.EPA/FTAを通じた経済統合の推進

政府は、国を開き新たな日本を創造する観点から、平成の開国政策を堅持し、TPP交渉への早期参加、EU、日中韓をはじめ各国・各地域とのEPA/FTAの締結を加速するとともに、WTOドーハ・ラウンド交渉の年内妥結に向けたイニシアティブを発揮するべきである。

また、官民連携により、海外インフラ整備に資する機動的な国際協力の推進、地域経済統合と広域インフラ整備を柱とするアジア成長戦略の実行、日本をハブとする国際金融・資本市場の確立を図る必要がある。

以上

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