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Policy(提言・報告書) 都市住宅、地域活性化、観光 次期「社会資本整備重点計画」・「交通政策基本計画」に対する意見

2020年11月17日
一般社団法人 日本経済団体連合会

Ⅰ.はじめに

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が経済社会のありとあらゆる場面において進行している。経団連でも、DXと多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する未来社会「Society 5.0」を実現し、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも貢献すべく、政府とも連携しながら様々な取り組みを展開してきた。

しかし、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大下においては、わが国経済社会におけるデジタル化が世界に比して大きく立ち遅れていることが明らかになった。これを機に、わが国経済社会のあらゆる分野においてDXを徹底的に推進し、巻き返しを図ることが急務となっている。

こうしたなか、わが国の国土を保全するとともに、市民の日常生活や企業の事業活動を支える基盤として不可欠なインフラストラクチャー(インフラ)#1をめぐっては、自然災害の頻発・激甚化、インフラの老朽化、人口減少・高齢化の進行といった従来からの課題に加え、新型コロナウイルスの感染拡大によって新たな課題も数多く浮上している。これらの課題を解決するとともに、新たな価値の創造により人々のQoL向上を図るうえでは、デジタル技術を大胆に取り入れながら、従来の発想にとらわれることなく、社会資本整備・交通政策を大きく変革していくことが欠かせない。

現在、政府では、2021年度以降の5年間を対象とする次期「社会資本整備重点計画」および「交通政策基本計画」(以下「次期計画」)の策定に向けた検討が進められている。激甚化する自然災害、インフラの老朽化などは、現行計画策定時よりも差し迫った課題となりつつあり、より実効的な施策が求められる。一方で、DXを前提とした新たな社会資本整備・交通政策のあり方についても検討が必要となる。

そこで、今般、Society 5.0時代の実現に向けた社会資本整備・交通政策のあるべき方向性と、具体的に必要となる施策を提言する#2

Ⅱ.インフラを取り巻く環境

次期計画の策定にあたっては、従来からの長期的な自然環境や社会構造の変化に加えて、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大等による環境変化も十分に踏まえる必要がある。

1.従来からの課題

(1)自然災害の頻発・激甚化

わが国の国土は、地震、津波、暴風、豪雨、火山噴火、豪雪など極めて多種の自然災害が発生しやすい自然条件下にあり、今後も様々な広域災害の発生が予想される。

平成の時代には、阪神・淡路大震災、東日本大震災を筆頭に多くの地震災害に見舞われたが、今後も首都直下地震、南海トラフ地震といった大規模地震災害、火山の噴火などが発生する恐れがある。

さらに近年、豪雨災害が激甚化し、毎年のように日本各地で深刻な水災害が発生している。本年7月にも、九州豪雨による球磨川の氾濫が大きな被害をもたらしたことは記憶に新しい。全国の1時間降水量80mm以上の年間発生回数で見てみると、1976~1985年(統計期間の最初の10年間)の平均年間発生回数は約14回であったのに対し、2010~2019年には約24回となっており、約1.7倍に増加している#3

防災・減災、国土強靱化は、人命や生活の保護といった人道的な意義はもちろんのこと、企業にとっては顧客、従業員等を守る側面もある。今後も様々な異常気象現象が発生する可能性を想定し、現状の災害対策を抜本的に見直すことが求められる。

(2)インフラの老朽化

わが国では高度経済成長期に集中的にインフラが整備されたことから、今後、高齢化インフラの割合が加速度的に増加していく。2033年には道路橋の約63%、河川管理施設(水門等)の約62%、港湾岸壁の約58%が建設後50年以上となる見通しである#4。施設の老朽化の状況は立地環境や維持管理の状況等によって異なるが、建設後概ね50年以上経過すると、適切な維持管理がなされていないものは物理的に劣化していくと言われている#5

2014~2018年度の間に、全国ほぼすべての道路橋梁・トンネルが同一基準で点検された。その結果、橋梁の1割程度、トンネルの4割程度がⅢ(早期措置段階)・Ⅳ(緊急措置段階)判定とされており、これらは速やかに修繕する必要がある#6

橋梁等のインフラの中には、適切に維持管理が行われ、100年以上使われているものもある。今後急増していく老朽化インフラをいかに計画的に、コストを抑えて維持管理、更新し、長寿命化を図っていくかが重要である。

(3)人口減少・高齢化の進行

わが国全体の人口動態に関しては、2050年には、総人口が2015年と比べて約2割減少し、高齢化率が37.7%に達する見込みである#7

特に地方における過疎化が深刻な課題であり、2050年には、全国の居住地域の約半数で人口が50%以上減少すると予想されている#8。このような地域では生活サービス機能が著しく低下し、現在の生活水準を維持することが困難となる可能性が高い。

2.新型コロナウイルス感染症による影響

新型コロナウイルス感染症の拡大により、目下では、働き方やライフスタイルの変容、諸外国との往来制限、経済活動の停滞・縮小等の影響により、内外でヒト・モノの輸送需要が大きく変化してきた。

中長期のインフラ政策においては、「postコロナ」の経済社会を見据えた施策が求められる。しかし、先行きについては不透明な部分も多く、その時点での「常態」を踏まえて政策を展開していく必要がある。その際、特に以下の4つの変化を考慮すべきである。

(1)働き方・ライフスタイルの変容

人々の働き方やライフスタイルは、コロナ禍を機に一層その変化が加速し、多様化が進んでいる。postコロナの世界をwithコロナの延長線上で考えるのではなく、withコロナからpostコロナへ移行するにあたって、価値観がコロナ禍の収束に伴って元に戻るもの、元には戻らないものを明確に分けて議論したうえで、インフラ政策に的確に取り込んでいかなければいけない。

例えば、コロナ禍をきっかけにテレワークが一気に浸透した。中長期的な交通政策を検討するにあたっては、今後のテレワークの定着動向を見極めながら交通需要を考える必要がある。

(2)大規模感染症リスクの顕在化

今回のコロナ禍の経験を踏まえると、遠くない将来に再び世界規模の感染症パンデミックが起こる可能性がある。さらに、感染症と自然災害など、複数の脅威が同時に発生するリスクも現実的なものとなっている。インフラにおいても、そうした脅威が発生した際にも柔軟に対応できるよう、都市内におけるオープンスペースの整備など必要な対策を的確に進めていくことが求められる。

(3)経済の停滞と財政の悪化

新型コロナウイルスは、わが国経済にも大きな影響を与えている。経済成長率は、2020年度にマイナスとなった後、2021年度以降プラスに転じる見通しとなっているものの、GDPは、2022年度においても2019年度の水準まで戻らないと見込まれている#9

インフラを支える国・自治体においても、このような経済の停滞により税収が落ち込む一方、検査・医療体制の強化などで支出が膨らんでいる#10ことから、財政状況が一層悪化している。

(4)デジタル技術活用の重要性の高まり

接触機会を削減しなければならない状況下でも、経済・社会が滞りなく機能し、持続的な成長を可能とする観点から、デジタル技術を活用した経済・社会の強靱化の必要性・重要性が一層高まっている。

例えば、業務の非接触化、省人化、遠隔化は急務である。建設業、運輸業等のインフラ関連産業においても、リモート施工管理の拡大、港湾物流手続のデジタル化、ロボットの活用等を推進していくことが求められる。

また、街中や公共交通機関における人の密集の抑制、衛生用品や生活必需品等の流通の円滑化等の観点から、人流・物流をリアルタイムで把握し、迅速に対策を講じることが有効である。併せて、混雑を解消する手段として、ダイナミックプライシング等による人の流れの誘導にも期待がかかる。

Ⅲ.インフラ政策の基本方針

「Ⅱ.インフラを取り巻く環境」で述べた環境変化を踏まえると、今後の社会資本整備・交通政策においては、特に以下の三つの方向性が重要となる。

1.集中と分散の両立

20世紀後半にわが国の人口が大きく増加するなか、地方から都市部への流入と都市のスプロール化が進行し、居住地域が拡大していった。それが原因となり、人口減少局面を迎えた現在、特に多くの地方において、中心市街地の衰退、過疎地域におけるライフラインの採算性悪化、インフラ老朽化といった問題が年々深刻化している。

限られた財源の中で効率的にインフラを整備していくためには、「選択と集中」の視点が欠かせない。大都市の国際競争力強化に資するインフラ#11をはじめ、ストック効果が強く期待できるインフラへ重点的に投資するとともに、災害リスクが低い地域への居住エリアの集約を促しながらインフラの集約・再編等に取り組んでいく必要がある。その際、新型コロナウイルス感染症の影響も含めて、経済・社会環境の長期的な構造変化を十分に踏まえることが極めて重要である。

他方で、人口密度の高い東京圏#12においては、コロナ禍を機に、人々の地方移住への関心が高まるとともに、企業においてもBCPの観点から本社機能の分散等を検討する動きがみられる。そのため、地方において、コンパクト・プラス・ネットワークの観点から拠点となるエリアを絞り込み、そのエリアの機能強化・魅力向上を図ることで、過疎地域から拠点となるエリアへの「集中」と、東京圏から地方への「分散」を両立することが求められる#13

2.革新的な技術・サービスの普及・活用促進

インフラ分野においては、近年、スマートシティ#14、MaaS#15など、課題解決・価値創造に向けて新たな技術・サービスを活用したアプローチやコンセプトが登場している。また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、業務の非接触化、省人化、遠隔化など、デジタルによる強靱化の取り組みが求められている。さらに今後、超高速・超低遅延・多数同時接続を特徴とする「第5世代移動通信システム(5G)」の全国展開が進むことで、こうした動きが加速すると期待される。

しかし、新たな技術・サービスの実証実験・社会実装に際しては、既存の規制や行政の縦割り、個人情報の取り扱いが障害になる、事業継続のための資金確保が難しい、必要な人材が不足している、などといった課題がある。

そのため、まずは新技術・データ活用に向けた規制改革・ルール整備が必要である。併せて、スマートシティなど重点的に取り組むべき分野については、担当大臣、けん引役の省庁を明確化し、関係部門の連携を図るとともに、主導的な意思決定を行えるようにすべきである。

また、新たなサービスの社会実装に向けては、収益化手法が確立するまでの間、経済的に支援することが重要である。先進的な取り組みを加速する観点から、事業ごとの予算の制約により範囲や期間が不足することがないようにすべきである。

加えて、産学官が連携して、必要な人材育成を行うことも求められる。とりわけ、IoT、AI、ビッグデータ分析等のデジタル技術と、都市計画、交通・物流等のインフラ関連技術との双方を上手くコーディネートして、新たなビジネス・サービスをマネジメントできる人材が求められる。

3.魅力的な投資機会の創出

コロナ禍からの景気回復やさらなる経済成長の実現に向けて、インフラ分野においても未来社会への投資が求められる。一方、コロナ禍への対応もあり、国・自治体の財政は一層ひっ迫している。

そこで、インフラ分野においては、単に公共投資を行うだけでなく、PPP#16/PFI#17、都市再開発等を通じて民間投資の拡大を呼び込めるよう、事業の魅力を高めていく視点が重要である。そのために、国において、障害となる規制の見直しや支援措置の拡充を進めるとともに、自治体においても、発注事業の広域化・複合化等によって収益性の高い事業機会を創出していくことが求められる。

併せて、公共投資・民間投資の双方において、長期的なコスト削減・省人化はもちろんのこと、事業そのものや製品・サービス、ビジネスモデルの変革につなげるべく、デジタル技術を積極的に取り入れていくことが欠かせない。

Ⅳ.重点的に取り組むべき施策

1.インフラ全体を支える施策

(1)国土交通データプラットフォームの整備

インフラメンテナンスの効率化・高度化、スマートシティ・MaaSの社会実装をはじめ、インフラに関係する新たな技術・サービスの創出においては、地図・地形、気象、構造物・建築物、交通・物流など多種多様なデータの活用が不可欠であり、それを支えるデータ連携基盤はSociety 5.0実現の根幹をなす。

国土交通省は2020年4月、同省が保有する国土、都市、交通、気象等に関するデータと民間等のデータの連携基盤「国土交通データプラットフォーム」を公開した。今後、他省庁や自治体、民間のデータも合わせて、いかにデータを充実させていくかが重要となる。

まずは国が、保有するデータのオープン化を徹底的に推進するとともに、自治体におけるデータの整備・公開を後押しすべきである。その際、各データについては、機械可読性を確保したうえで、国際標準に基づくデータフォーマットを採用するなど、利用者にとって使いやすい形で公開することが求められる。

併せて、利便性のみならず安全性・信頼性も確保するため、国土交通データプラットフォームにおける情報保護のあり方、データの正確性や最新性に対する責任の所在などについてルールの整備が欠かせない。

なお、災害時の国民の生命等の安全に極めて重要な役割を果たすデータの整備#18については、その安定性を確保するため、国が資金面で支援することが望ましい。

データの種類ごとに取り組むべき施策は以下の通りである。

  1. ① 地理・気象データの整備・オープン化
    地図・地形データに関しては、国において書式、様式、コード等を統一して三次元データを整備し、オープンAPIで公開することが求められる。さらに、利用者がそれぞれのデータの利用目的や利用形態等に応じて、柔軟にデータの形式や取得内容を選択、変更できるようにすることが望ましい。
    地形、気象等に関する衛星データの活用も重要である。政府の「宇宙基本計画」(2020年6月)に基づき、衛星データプラットフォーム「Tellus」を活用しながら、政府衛星データのオープン&フリーの取り組みを一層推進するとともに、民間衛星データの充実を促していくことが望ましい#19

  2. ② 都市・インフラデータの充実
    3次元の都市モデルデータはあらゆる都市データの基盤として不可欠なものであり、とりわけ街づくりの見える化や都市活動のシミュレーションにおいて極めて重要な役割を果たす。政府において、その構築・オープン化の取り組みを着実に推進するとともに、誰もがデータを組み合わせて新たなサービスを生み出せるよう、すべての構造物・建築物にIDを付与し、永続的に管理すべきである。また、将来的には、立地適正化計画等についてもGISデータの形で整備することが期待される。
    併せて、土木・建築においてBIM/CIM#20の導入を促進することで、計画、調査、設計段階から施工、維持管理までの一連のプロセスの効率化・高度化を図るとともに、作成される三次元データを防災・減災、交通等様々な分野に活用していくことが重要である。そのために、BIMデータによる建築確認申請の容認、BIM/CIMデータの権利や使用・保管に関するルール・ガイドラインの整備#21など、必要な制度改革を推進すべきである。
    特に、都市部の地下空間には、電線、水道管、ガス管等のライフラインが輻輳して収容されており、地下空間の効率的な活用、地下工事における事故防止、および災害時のライフライン復旧の迅速化のためには、これらの地下埋設物に関するデータの整備と一元管理が急務となっている。民間主体による事業が過度に制約を受けることがないよう十分に配慮しながら、データ作成・管理主体、セキュリティ等に関して、国としてルールや指針を策定すべきである。

  3. ③ 交通・移動データの活用に向けた環境整備
    交通データに関しては、MaaS等の新たな交通サービスの創出に不可欠であるのみならず、混雑状況のリアルタイム発信等により、人々の過密回避を促す観点からも重要性が高い。
    行政が保有する交通データは、動的データも含め、原則としてすべてオープン化することが望ましい。民間事業者が有するデータについても、その公共性・公益性を踏まえ活用が期待されているが、セキュリティ、プライバシー保護や、必要なコストを誰がどのように負担するか等、提供のあり方について十分な議論が必要である。併せて、データの正確性やセキュリティの確保も重要である。また、データ提供者が、自身のデータを誰が使っているかを一定程度把握できる仕組みが必要となる。
    自動車に関しては、車両からの動的データの取得に関するルール整備を進めるとともに、信号機などのインフラにセンサーを設置していくことが重要である。また、当面は非接触化の観点から、全国の高速道路料金所におけるETC専用化の早期実現に取り組むとともに、長期的にはETC2.0の義務化も検討すべきである。
    人の移動に関するデータの収集においても、デジタル技術を積極的に活用していくことが期待される。各都市圏における「パーソントリップ調査#22」は10年に一度しか実施されないため、コロナ禍を含め変化が激しい時代においては調査結果の有用性が低い。例えば、利用者の承諾を得たうえでスマートフォンから継続的にデータを取得して公的な統計データとするなど、新たなデータの取得方法を検討すべきである。

(2)行政における多様な連携の推進
  1. ① 府省・部局間の連携強化
    国土交通省管轄のインフラは、総務省管轄の通信、経済産業省管轄のエネルギーをはじめ、様々な政策分野と密接に関連していることから、行政における府省・部局間の連携が欠かせない。
    特にデータに関しては、府省・部局ごとに別々に作成、公開するだけでは、組み合わせて活用することが難しい。政府全体でのデータ標準化、「国土交通データプラットフォーム」と他分野のデータベース・データ基盤との連携などに取り組むべきである。

  2. ② 国と自治体の連携および自治体間連携の促進
    インフラの大部分は自治体が管理していることから、次期計画の実効性確保には自治体が重要な役割を果たす。一方、経済活動の広域化が進むなか、個々の自治体だけでは解決できない課題も多い。こうした観点から、国と自治体の連携および自治体間での広域連携が求められる#23。広域での全体最適化に向けて、市区町村(都道府県)間の連携が必要となる場合には、都道府県(国)がリーダーシップを発揮することも有効である。

2.安全・安心を支えるインフラ政策

今後の中長期的な防災・減災、国土強靱化の施策においても、以下の通り、デジタル技術を積極的に活用する視点が不可欠である。

なお、政府では、これまで「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(2018年12月)に基づき、特に緊急で実施すべきハード・ソフト対策について3年間で集中的に取り組んできた。今後も、緊急度・重要性の高い対策から優先的・重点的に着手していくことが期待される。

(1)大規模自然災害対策の推進
  1. ① 災害シミュレーションの積極的活用
    地域防災計画、インフラ復旧計画、ハザードマップ等を策定するにあたっては、国土交通データプラットフォーム等のデータを活用して災害時の被害状況のシミュレーションを実施し、その結果を十分に活用することが重要である。
    その際、単一の災害ごとに対応基準を定めるだけではなく、同時に複数の災害(マルチトリガー)が発生するシナリオも考慮に入れてシミュレーションを行い、対応計画・体制の見直しを進めていくことも重要となる。特に、新型コロナウイルスの脅威が依然大きく残る環境下では、行政や関係事業者において、これまでの災害発生時の対応とは異なる判断が求められる。
    なお、シミュレーションの前提として、過去の災害における被災情報のデータ整備とオープン化も重要である。

  2. ② 街づくりにおける防災・減災の推進

    (ア)土地利用・建築における水災害対策の推進
    短時間集中豪雨による被害が年々深刻化するなか、従来の水災害対策では安全度の早期向上に限界があることから、社会資本整備審議会では、河川の流域全体のあらゆる関係者が共同して流域全体で行う持続可能な治水対策「流域治水」への転換を打ち出している#24。街づくりにおいても、土地利用や建築の面から水災害リスクの低減を図る必要がある。
    現状を見ると、居住誘導区域に災害リスクのある区域を含んでいるケースが相当数存在している#25。そこで、土地利用規制によって水災害リスクを極力回避、軽減するとともに、一定程度はリスクが残ることを踏まえたうえで、リスクに応じた街づくりを進めていくことが重要である。
    その前提として、各自治体には水災害リスクに関する情報の充実・発信が求められる。具体的には、ハザードマップ未整備地域における整備の徹底#26、排水能力まで考慮した災害リスクエリアの精緻化、よりきめ細かくわかりやすいリスク情報の提供などが重要である。
    その上で、人命に危険を及ぼす可能性が高いエリアについては、住宅等の開発を禁止するとともに、居住者に対して移転を促すべきである。他方、一定程度のリスクを受容したうえで都市機能の立地が必要となるエリアについては、緊急度の高い箇所から着実に河川・下水道の容量強化等の治水インフラ整備を推進していくことが求められる#27。また、民間による災害リスク軽減の取り組みを促すため、機械室等を地上階に設置する際の容積率緩和措置、既存施設の水密化などの対策についての助成措置などの支援策を充実させることが望ましい。

    (イ)密集市街地・老朽化建築物への対策
    地震、火災等に強い街づくりのためには、密集市街地や老朽化建築物への対策も重要である。
    政府では2015年度末に4,450ha存在していた「地震時等に著しく危険な密集市街地」について、2020年度までにおおむね解消することとしているが、2019年度末時点で2,982haが残存している#28。引き続き国と自治体とが連携し、建築物の所有者に対して積極的に理解を求めていく必要がある。
    老朽化建築物の建替え・取壊しの促進に向けては、区分所有建物における建替円滑化、建物賃貸借契約の解除に関する紛争処理の迅速化・適正化#29など、各種規制の改革を進めるとともに、空き家の除却等に対する支援を一層充実させることが望ましい。併せて、インフラにおける予防保全と同様に、一般建物の予防保全についてもガイドラインを示して、自助による防災・減災の取り組みを促すことも考えられる。

  3. ③ 災害時における交通手段の確保

    (ア)道路・鉄道ネットワークの多重化
    道路・鉄道ネットワークの多重化は、災害発生時の代替輸送手段の確保だけでなく、生活者・観光客の利便性向上、わが国産業の競争力強化にも寄与する。新型コロナウイルス感染症や人口減少・過疎化の影響も加味した費用対効果に配慮しつつ、大都市圏環状道路の整備も含め、幹線道路、新幹線等のミッシングリンクの解消を推進すべきである。

    (イ)港湾・空港の被害最小化
    交通の拠点である港湾・空港においても、被災時の機能停止・機能低下を最小化できるよう、直近の災害を踏まえて防災計画を適宜見直しながら取り組みを推進することが重要である。
    例えば、2018年9月には台風21号による高潮で関西国際空港の滑走路等が浸水し、機能不全に陥った。他の海沿いの空港も含め、護岸・防潮壁の嵩上げなど浸水対策に直ちに取り組むべきである。
    併せて、ある港湾・空港が被災して一定期間使用が困難となった場合に、他の港湾・空港での代替が速やかに行えるよう、災害時の役割分担について広域で事前に検討することも欠かせない。
    また、物流施設が災害時に機能不全に陥って物流の停滞を招くことも未然に防止する必要がある#30。国際港湾・空港周辺の物流施設を中心に、民間事業者による老朽化施設の建替えや施設の耐震化を支援することが重要である。

  4. ④ 災害時における新技術の活用
    山岳部において土砂崩れや地割れが発生し、車両が道路を通行できないケースなどにおける被害状況の確認、緊急支援物資の輸送等には、ロボット・ドローンをはじめとする新技術の活用が有効である。特に、新型コロナウイルスの脅威が依然大きく残る環境下では、感染拡大防止の観点からもロボット・ドローン等を利用した非接触化・省人化・遠隔化が急務となっている。
    特にドローンに関しては、災害現場において複数のドローンが安全に運行できるよう、運航管理システムを構築するとともに、無人航空機を効率よく安全に運用できるよう、国として規制改革#31・ガイドライン策定#32を推進すべきである。その際、広域災害では周辺自治体との連携が必要であることや、TEC-FORCE#33をはじめとする他地域からの支援部隊が同一の運用方法でドローンによる情報収集・共有を行えるようにするため、自治体等地域ごとではなく、国として統一的なシステム・ガイドラインを整備すべきである。

(2)インフラメンテナンスの効率化・高度化
  1. ① 自治体におけるメンテナンス体制の確立
    2014~2018年度の間に実施された全国の道路の法定点検において、Ⅳ(緊急措置段階)判定とされた682橋梁・63トンネルのうち647橋梁・48トンネルが市区町村管理のものであった#34ことから、特に市区町村における体制整備が喫緊の課題となっている。
    自治体の中には、技術不足や人手不足等の理由により、特に市町村を中心に、長寿命化計画の策定や定期点検、修繕等を十分に実施することができないところも多い#35。そのような自治体に対しては、国による人的・資金的支援の充実を図るべきである。
    その上で、自治体に対して、計画策定とその着実な実行を求めていく必要がある#36。併せて、人口動態等の変化を踏まえた既存インフラの集約・再編等を促すべきである。自治体の首長においても、変革意欲を持ち、強力なリーダーシップを発揮して維持管理に取り組んでいくことが期待される。
    なお、メンテナンスは時間軸が極めて長い取り組みであり、国・自治体においては、数十年に渡る財源確保の可能性を考慮しながらインフラ投資の判断を行うことが求められる。こうした観点から、国・自治体において、将来の修繕・更新のための費用を毎年積み立てるよう義務付けることも検討に値する#37

  2. ② 予防保全に対する国民理解の促進
    国土交通省所管のインフラについて、30年間の維持管理・更新費の合計は、予防保全の場合は176.5兆~194.6兆円であるのに対し、事後保全となってしまう場合は254.4兆~284.6兆円と推計される#38ことから、予防保全の推進が重要である。機能や性能に不具合が発生する前のインフラに対する支出や工事について、国民から十分に理解を得られるよう、官民一体となって啓発活動・情報発信に取り組む必要がある。

  3. ③ 多様な主体による連携の促進
    自治体における人材・資金不足への対策として、広域連携による維持管理の効率化が不可欠である。
    併せて、広域での包括契約や複数年契約による事業規模拡大、特別目的会社(SPC)株式に譲渡制限を付さないPFIの拡大など、民間企業にとって魅力のあるPPP/PFI案件の創出に向けた取り組みも重要である。

  4. ④ データ・新技術の活用拡大
    インフラメンテナンスにおいてデータ・新技術を積極的に導入していくためには、発注者がデータ・新技術活用の提案を柔軟に採用できるよう、発注仕様の性能規定化を推進する必要がある#39。併せて、ドローン等、目視に頼らない技術を活用した点検、リモート施工管理などの活用範囲拡大に向けた規制や慣習などの見直し#40も不可欠である#41
    なお、業務効率化の観点から、行政内の報告、点検等業務受託会社から行政への報告などの手続をデジタル化することも重要である。

3.生活を快適にするインフラ政策

(1)都市機能の強化

都市は、交通、医療・福祉、教育、商業など多種多様な機能が集積する場であり、多くの人々にとっての日常生活や事業活動の拠点として重要な役割を果たす。その機能の充実により、規模の経済や外部経済効果を活かしながら、農山漁村を含む都市圏全体に様々な都市機能を提供するとともに、国・地域の経済を牽引することが期待される。

  1. ① スマートシティの社会実装
    近年、IoT、AIをはじめとする革新的なデジタル技術の発達を背景に、世界各地において、革新的なデジタル技術と多種多様なデータを活用することにより、都市活動の様々な領域において分野横断的に課題解決や価値創造を図る「スマートシティ」の実現に向けた取り組みが加速している。
    わが国においても、2019年8月に設立された「スマートシティ官民連携プラットフォーム」の枠組み等を活かしながら、住民、企業、行政、大学・研究機関等が連携して取り組まなければならない。
    政府はすでに、国土交通省「スマートシティモデル事業」をはじめ官民連携によるモデルプロジェクトを始動している。また、本年5月には国家戦略特区法の改正により「スーパーシティ」の実現に向けた制度が整備され、来春にも区域が選定される見通しである。今後、選定された地域・事業を中心に、対象を絞って集中的に支援し、Society 5.0のモデルとなるような都市を実現することが求められる。併せて、モデル事業から得られた経験・成果を他の地域に共有、展開していくことで、取り組みを広げていくことが期待される。
    こうした観点から、重点的に取り組むべき施策は以下の通りである。

    (ア)都市OSの整備促進
    都市において分野・組織を超えたデータ活用とサービス提供を可能とするためには、リアルタイムのIoTデータを含め、各主体が個別に収集、保有している様々な都市関連データを一元的に管理する必要がある。そのため、各都市において共通のデータプラットフォーム(いわゆる「都市OS」)を産官学の連携で整備すべきである。その際、他都市・他分野のデータプラットフォームとの相互連携や成功事例の横展開が容易となるよう、国内外で標準化されているアーキテクチャを採用することが望ましい。
    併せて、生活者がワンストップ・ワンスオンリーで多岐にわたるサービスを利用できるよう、IDや決済機能などを管理していくことも求められる。

    (イ)持続可能な資金循環の実現
    スマートシティ事業においては、都市OSの整備や各種サービスの提供に一定の初期投資と運営コストが必要となることから、いかにして必要な資金を調達するかが問題となる。
    まず、国がモデルとして指定した地域については、事業が軌道に乗るまでの間、十分な予算で重点的に支援することが不可欠である。
    併せて、中長期的に持続可能な資金循環が実現するよう、事業による受益と負担のあり方について検討すべきである。その際、個々のサービスから収益を上げるだけでなく、エリアマネジメント・街づくり全体として必要な資金を確保できる仕組みが求められる。PFI、日本版BID#42などの活用可能性について検討するのはもちろんのこと、既存の仕組みに囚われない議論も必要である。

    (ウ)大胆な規制の特例措置
    国がモデルとして指定した地域を中心に、特区制度等により、新モビリティの実証実験に必要な道路交通法等の規制の緩和など、規制の特例措置を積極的に認めるべきである。併せて、特例措置の積極的な他地域への拡大も重要となる。

    (エ)行政における推進体制の整備
    スマートシティにおいて、分野横断的に新たな技術・サービスの実証実験・社会実装を行うにあたっては、様々な制度・規制に関する調整が必要になる。それらについて、ワンストップで相談できる窓口を設けることが望ましい。
    特に自治体においては、各原課が個別に事業を推進しており、調整がスムーズに進まない場合も少なくない。自治体に対して、全体を束ねて牽引する司令塔のような部局の設置を促すべきである。

  2. ② コンパクト・プラス・ネットワークの実現
    急速な人口減少・過疎化が進む地方において必要なサービスを効率的に維持していくためには、福祉、子育て支援、買い物等の生活支援機能を交通結節点に集約する「コンパクト化」とともに、拠点病院、大規模商業施設、文化ホール等の高次の都市機能を拠点間で補完できるよう、交通ネットワークやデジタル技術で相互につなぐ「ネットワーク化」が重要である#43
    なお、従来の「コンパクト・プラス・ネットワーク」政策については、主に鉄道駅を中心とした集約が進められてきた。しかし、付近に鉄道駅がない郊外のニュータウンなどを拠点としてバス等で結ぶことが有効な場合もあるため、施策の柔軟な運用が求められる。
    都市のコンパクト化に向けては、まず、LRT#44、BRT#45、自動走行車など新たな交通手段を取り入れながら、交通ネットワーク全体をそれぞれの地域に適した形で再設計することで、集約型の都市構造へと誘導していくことが重要である。具体的には、集約エリアは高密度となるため、主にLRT等の公共交通と歩行者空間の整備を推進すべきである。一方、非集約エリアは低密度となるため、自動走行車等を補完的に普及させていくことが望ましい。
    併せて、4.(1)「都市空間の魅力向上」で掲げる施策によって、集約エリアの魅力向上に取り組むことも重要である。
    なお、中山間地域においても、必要な生活サービスが維持できなくなってきている地域があることから、商店、診療所など最低限の施設を集めて「小さな拠点」を形成する取り組みが必要である。

(2)交通機能の多様化

新型コロナウイルスの影響もあり、人々のライフスタイルや働き方が多様化していくなかで、頻度、時間帯、目的、距離、同行者を含め、移動のニーズも多様化していくと考えられる。そこで、交通政策においては、多様な移動ニーズを満たせるよう、移動の選択肢・自由度を増やしていくことが求められる。同時に、人々の行動の変容を促すことで、地域活性化、医療・福祉、エネルギー・環境をはじめとする他の政策領域における目標達成につなげていくことが望ましい。

  1. ① 新モビリティの社会実装
    近年、自動走行車、パーソナルモビリティなど新たなモビリティの実用化に向けた研究開発や実証実験が進展している。これらの社会実装によって、人々が多様なモビリティを利用できるようにすることが求められる。

    (ア)実証実験の推進と制度・規制の見直し
    公道等における新モビリティの実証実験は、技術開発だけでなく、機運醸成・理解促進の観点からも重要である。また、実証実験から社会実装へと確実に結びつけるためには、必要な制度・規制の見直しも求められる。
    自動走行については、交通量の少ない過疎地域を中心に、年単位の長期で実証実験を行うべきである。また、現行の基準では、公道走行時には乗務員または遠隔監視・操作者が必須で、省人化にほとんど寄与していない。技術開発を重点的に支援するとともに、技術動向に応じた制度・ガイドラインの見直しが必要である。
    パーソナルモビリティについては、民間事業者による公道(歩行者道)走行の実証実験において、実施場所の環境や実験車両の機能・操作性などを踏まえ、一定の安全性が担保された条件下では実証実験の許可水準を引き下げるべきである#46。さらに、将来的には、道路使用許可申請等を経なくてもパーソナルモビリティが歩行者道等を自由に走行できるよう、道路交通法や道路運送車両法等において新たな車両区分を設けるなど、必要な制度を整備すべきである#47

    (イ)インフラ整備における対応促進
    新モビリティの実用化を見据えて、旅客輸送・貨物輸送双方の視点による都市空間のリ・デザインを含め、インフラ面での対応にも取り組むべきである。具体的には、路車間通信設備の整備、自動走行車向け専用道・乗降スペースの整備、建築物の設計における新モビリティ対応の促進などが必要となる。
    併せて、自動走行車の円滑な走行を実現する観点から、路上駐車規制のあり方についても検討を要する。

  2. ② デジタル技術による交通サービスの革新
    デジタル技術は、交通サービスにも革新をもたらしうる。特に近年、世界各地において、多種多様な交通手段を統合したプラットフォームを構築し、通信端末を介して利用者に最適な移動サービスを提供するMaaSの取り組みが拡大しており、わが国でも普及が期待されている。
    ただし、MaaSの取り組みが先行する欧米とわが国では交通事情が異なる。そのため、技術ありきで考えるのではなく、小規模な取り組みを短いサイクルで回して、利用者が真に必要なサービスを探り、そこから必要な技術を検討することが重要である。
    なお、新たな交通サービスの提供には初期投資が必要となるため、国による財政的な支援を充実させることが望ましい。その際、中心市街地の活性化や観光振興による消費拡大、高齢者の外出促進による健康増進など、新たな交通サービスによる地域社会全体への影響を総合的に評価することが重要である。

    (ア)MaaS事業主体の整備
    MaaSの実現にあたっては、複数の交通モードを連携させるMaaSオペレーターの役割が重要となる。特に地方においては、ビジネス規模の観点から民間交通事業者のみで主導しにくいため、SIB#48など、自治体がリーダーシップを持ちながら民間リソースを活用する運用体制の構築に向けた議論が必要である。

    (イ)オンデマンド交通・シェアリングの拡大
    わが国では、特に地方において、人口減少・高齢化が急速に進行し、既存の公共交通機関の採算性が悪化している。そのため、地域の実情に応じて、公共交通機関のダウンサイジングやオンデマンド化などに取り組み、交通体系の最適化を図ることが欠かせない。
    そのためには、交通サービスの多様化・柔軟化の妨げとなっている制度・規制の見直しを進めることが重要である。具体的には、一般乗用旅客自動車運送事業におけるオンデマンド型相乗りタクシーの容認#49、自家用車による有償旅客運送業務の拡大、プラットフォーム型カーシェアリング促進に向けた道路運送法の見直し#50などを検討すべきである。
    また、路線不定期運行または区域運行の一般乗合旅客自動車運送事業(乗合タクシー事業等)を行うにあたっては、既存の交通事業者、地方自治体等が参加する地域公共交通会議の協議を経ることが必要とされている。既存事業の維持が前提とならないよう、利用者のニーズを踏まえた参入のあり方を検討すべきである。

    (ウ)運賃・料金設定の柔軟化
    公共交通機関に関しては、サブスクリプションやダイナミックプライシングの導入・拡大も含め、運賃・料金設定の柔軟化に向けた制度の見直しを検討すべきである。大都市圏の通勤交通に関しても、感染症対策の観点から混雑緩和の必要性が一層高まっており、時間帯別運賃の導入も検討に値する。

    (エ)交通と他産業の融合
    特に人口減少・過疎化の著しい地域では、事業者が交通サービスのみで採算をとることが難しい場合がある。そのため、観光をはじめ付随するサービスでの収益確保が重要となる。
    例えば、一台の自動車を通勤、小売、飲食、物流など複数の用途に利用することは、車両の稼働率向上やドライバー不足の軽減に寄与する。しかし、現行制度では、用途ごとに業法の適用を受けることとなり、実現が困難となっている。各種制度・規制に関する相談窓口のワンストップ化、および制度の柔軟化を検討すべきである。

4.産業競争力を高めるインフラ政策

(1)都市空間の魅力向上

コロナ禍の影響もあり、テレワーク等を含めた新しい働き方やオンラインショッピングの浸透など、人々の価値観はより急速に変化し、多様化している。こうしたなか、多様な人々による「偶然の出会い」や「リアルな繋がり」がイノベーションの源泉にもなる#51ことから、人と人とが交流する場としての都市空間の魅力向上は依然として重要である。

その際、中長期的な視点から、都市デザイン・景観への配慮も欠かせない。各都市において、歴史、文化、自然など固有の資源を活用しながら、エリア一体的な街づくりを推進することが望ましい。

国籍、性別、宗教、年齢、障がい等に関わらず、あらゆる人々が活躍できる「ユニバーサル社会」の実現に向けた都市空間の整備も欠かせない。官民で連携して、段差解消の推進などのハード対策はもちろんのこと、データ収集・分析による歩行者等への移動支援などのソフト対策も進めることが重要である#52

  1. ① 都市再開発の加速
    民間投資の拡大を図る観点からも、都市再開発の促進が引き続き必要である。都市再生緊急整備地域制度などを通じた支援の拡充とともに、市街地再開発事業の目的の拡大、時間的・面的な広がりのある新たな再開発の仕組みの構築、市街地再開発事業における従前建物の早期除却の促進など、各種規制の改革#53も求められる。

  2. ② エリアリノベーションの推進
    整備後の都市空間においても、住民等の参画も得ながら、エリアごとの特色を踏まえた多面的・複合的な空間利用により、新たな価値を創出していくエリアリノベーションの取り組みが求められる。政府ではすでに、まちなかウォーカブル推進プログラム、グリーンインフラの推進等に取り組んでおり、こうした施策の拡充が期待される。
    とりわけ、道路、公園等のオープンスペースの活用については、街の魅力向上だけでなく防災・減災や感染症対策の観点からも重要性が高まっている。テイクアウト販売での利用など、地域の多様なニーズに応じて柔軟かつ多様な活用ができるようなオープンスペースの整備を一層推進するとともに、道路等の占用に関する要件#54の緩和など、必要な規制改革も推進すべきである。なお、飲食店の客席設置等でオープンスペースを活用しようとする場合には、占用許可申請以外の手続を要する場合も少なくないため、必要な手続をオンライン・ワンストップで行えるようにすることが望ましい。

(2)物流の自動化・省人化

物流業においては、トラック輸送、内航海運を中心に担い手の高齢化・人手不足が深刻化しており、また、特に昨今は感染症対策として業務における接触機会の削減が不可欠となっていることから、物流における自動化・省人化の推進は急務である。

  1. ① 高速道路におけるトラック隊列走行の商業化
    政府では、早ければ2022年にも高速道路におけるトラック隊列走行の商業化を目標に掲げており、その実現に向けて技術開発・実証実験、制度・インフラ整備を着実に推進すべきである。

  2. ② 物流ロボットの実用化
    市街地や建物内の物流においては自動走行ロボット、中山間地域や離島への物流においてはドローンの活用が期待される。その実用化に向けて、技術開発・実証実験を支援するとともに、自動走行ロボットの社会実装に向けた道路関係法令の整備、無人航空機飛行にかかる申請手続の柔軟化、無人航空機飛行に関する関係手続のオンライン・ワンストップ化をはじめとする制度・規制改革#55を推進すべきである。

  3. ③ 船舶の自動化・IoT化の推進
    海運業の生産性向上や事故防止の観点から、船舶の自動化・IoT化も重要である。その実現に向けて、船舶や関連機器の研究開発を推進すべきである。

(3)国際交通拠点の機能強化
  1. ① 港湾の国際競争力強化
    わが国港湾の全体最適化を実現するためには、まず国として、国際コンテナ戦略港湾・国際バルク戦略港湾も含めて、各港の位置づけを明確化し、役割分担を徹底することが欠かせない。その観点からも、広域における複数港湾の経営一元化を推進すべきである。なお、わが国産業の国際競争力強化の観点から特に重要な港湾については、国が直接管理することも検討に値する。
    物流の効率化に向けて、「AIターミナル」の実現に向けた施策、港湾関連データ連携基盤の整備等も着実に推進すべきである。
    国際競争力強化の観点からは、地球環境問題への対応も重要である。従来の重油燃料から環境負荷の小さいLNG燃料などへの転換の動きが具体化しており、新燃料の供給体制を確立すべく、港湾におけるLNGバンカリング#56拠点の整備等を推進すべきである。

  2. ② 空港の機能強化
    新型コロナウイルス感染症の発生により、国際航空を取り巻く環境は一変した。緊急対応期間(withコロナ)とその後の期間(postコロナ)に分けた議論など、収束の状況も踏まえた柔軟な検討が必要である。
    withコロナにおいては、緊急対応として、安全・安心の確保や航空需要の回復に向けた施策に重点的に取り組むべきである。
    postコロナにおいては、航空需要の動向を注視しつつ、必要に応じて、成田空港における夜間飛行制限の緩和など、主要空港における飛行機発着枠の拡大に取り組むべきである。併せて、主要空港から市街地へのアクセス性向上に向けた交通ネットワークの整備も重要である。

(4)インフラシステムの海外展開

世界規模で「Society 5.0 for SDGs」を実現するとともに、わが国の持続的な経済成長を実現するためには、日本の高い技術力やノウハウを活かした質の高いインフラシステムの海外展開も重要である。特に、わが国における新たなデジタル技術の導入やデータの活用促進等によって課題解決を図る取り組みは、同様の課題を抱える海外各国においても役立つ事例となりうる。

また、わが国企業が海外におけるインフラ整備に積極的に参画することで、海外における成功事例の日本への展開・還流が円滑に行えるようになるとともに、人材育成・技術継承、国内産業基盤の維持にも資すると期待される。

このような観点からインフラシステムの海外展開を拡大するためには、国際標準規格の活用や、日本規格の国際化等のルール整備の推進等が重要であり、これまで以上に官民一体となった積極的な取り組みが求められる#57

Ⅴ.終わりに

インフラ整備は、時間軸の長い取り組みである。建設に長い工期を要するとともに、竣工後も数十年に渡り使われ続けるものが少なくない。そのため、将来の経済・社会の見通しを十分に織り込んで計画し、整備するとともに、供用してからも、維持管理を徹底するのみならず、経済・社会環境の変化に合わせて活用方法を柔軟に見直していく必要がある。

DXが経済・社会に大きな変革をもたらすなか、政府には、Society 5.0の実現に向けて、インフラの整備・管理において、デジタル技術を最大限取り入れるとともに、交通・物流などの分野においても、先進技術を積極的に活用していく仕組みづくりが求められる。次期計画において、本提言で取り上げたようなDX推進に向けた施策が多く盛り込まれることを強く期待する。

経済界としても、国・自治体、住民等と連携しながら、国土交通データプラットフォームによるデータ連携の促進、官民連携プラットフォーム等を通じたスマートシティモデル事業への協力など、インフラ分野におけるSociety 5.0の社会実装に向けた取り組みを推進していく。

以上

  1. インフラストラクチャー(インフラ)とは、経済・社会活動を支える施設の総称であり、防災施設、交通施設のほか、エネルギー施設(発電所、送配電線、ガス管路等)や通信施設(通信線等)なども含む概念である。本提言ではその中でも特に、国土交通省所管のインフラ(道路、鉄道、河川・ダム、海岸、下水道、港湾、空港、公園等)を中心に扱う。
  2. なお、経団連ではこれまで、インフラ分野におけるDXに関して「Society 5.0時代の物流―先端技術による変革とさらなる国際化への挑戦―」(2018年10月)、「Society 5.0時代の東京―デジタル革新を通じた国際競争力の強化―」(2019年9月)などの提言を取りまとめている。
  3. 気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」
    http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html、2020年10月アクセス)
  4. 国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」
    https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/02research/02_01.html、2020年10月アクセス)
  5. 高度成長期以降に主流の製法で作られたコンクリートの寿命は、比較的好条件のもとで100年程度、海岸部等の悪条件下では50年程度と言われている。(国土交通省『国土交通白書2014』「コラム コンクリートの寿命について」)
  6. 国土交通省「平成30年度道路メンテナンス年報(一巡目)」(2019年8月)
  7. 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の中位推計(出生中位、死亡中位)
  8. 国土交通省国土政策局推計
  9. 日本経済研究センター「コロナ前水準回復は3年以上先―ESPフォーキャスト調査における見通しの推移―」(2020年8月)
  10. 国においては、令和2年度第2次補正予算後の一般会計プライマリー・バランスは、当初予算時点のマイナス9.2兆円からマイナス66.1兆円へと赤字幅が大きく拡大し、公債依存度も当初時点の31.7%から56.3%にまで上昇している。
  11. 特に東京に関しては経団連提言「Society 5.0時代の東京―デジタル革新を通じた国際競争力の強化―」(2019年9月)参照。
  12. 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県。
  13. 東京圏から地方への分散に関しては、経団連提言「with/postコロナの地方活性化~東京圏から地方への人の流れの創出に向けて~」(2020年11月)で整理している。
  14. 国土交通省「スマートシティの実現に向けて【中間とりまとめ】」(2018年8月)では、スマートシティを「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義しており、本提言でもこの定義に基づいて説明する。
  15. MaaS(Mobility as a Service):スマートフォンやPC等で利用可能なアプリケーション等により、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて、検索・予約・決済等を一括で行うサービス。(出所:国土交通省「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」(2020年3月))
  16. PPP(Public Private Partnership):公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことで、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るもの。
  17. PFI(Private Finance Initiative):PFI法に基づき、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う方法。
  18. SIPⅡ期「国家レリジエンス(防災・減災)の強化」では、衛星データも含め様々な災害対応に必要な情報の整備が検討されている。
  19. 詳細は経団連提言「経済成長と安全・安心に向けた主体的・戦略的な宇宙開発利用の推進」(2019年12月)参照。
  20. BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling):建築と土木の両分野における三次元による建物や構造物の設計手法。
  21. 経団連提言「改訂 Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言」(2020年10月)No. 3参照。
  22. パーソントリップ調査:都市における人の移動に着目した調査。世帯や個人属性に関する情報と1日の移動をセットで尋ねることで、どのような人が、どのような目的で、どこからどこへ、どのような時間帯に、どのような交通手段で移動しているかを把握する。
  23. 自治体間での広域連携のあり方に関しては、経団連提言「with/postコロナの地方活性化~東京圏から地方への人の流れの創出に向けて~」(2020年11月)参照。
  24. 社会資本整備審議会「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な『流域治水』への転換~」(2020年7月)
  25. 国土交通省「『水災害対策とまちづくりの連携のあり方』検討会」(第2回、2020年4月)資料によると、居住誘導区域を含む立地適正化区域を公表している269都市のうち、居住誘導区域から浸水想定区域を全部または一部除外している都市は約3分の1にとどまっている(2019年12月末時点)。
  26. 内閣府『令和2年版防災白書』によると、洪水ハザードマップについては、2019年10月末現在、洪水浸水想定区域が指定された1,356市区町村のうち、1,332市区町村(98%)で水防法第15条3項に基づくハザードマップを公表済みであるものの、想定最大規模降雨に対応したハザードマップを公表済みの自治体は554市区町村(41%)のみとなっている。また、内水ハザードマップについては、2019年3月末現在、過去に甚大な浸水被害を受けたなど早期策定が必要な484市区町村のうち、公表済みは361市区町村(75%)にとどまる。
  27. 不動産協会「『水害等の災害に備えるための都市・住宅の強靭化』研究会報告書」(2020年5月)参照。
  28. 国土交通省『令和2年版国土交通白書』
  29. 詳細は経団連提言「Society 5.0時代の東京―デジタル革新を通じた国際競争力の強化―」(2019年9月)参照。
  30. 30 政府「第1回2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」(2020年7月)資料によると、東京都市圏に立地する物流施設のうち、築35年以上経過した施設の割合は約3割で、特に東京都心に集中している。また、冷蔵倉庫については、35%程度の施設が築30年以上経過している。
  31. 例えば、経団連提言「改訂 Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言」(2020年10月)No. 9では、被災状況を迅速に確認し、早期の復旧を図る観点から、災害時のインフラ設備点検に必要なドローンについては、住宅地上空に立ち入らないことを前提として、航空法の適用除外とすることを提言している。
  32. 例えば、産官学で構成される「日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)」が公表している「災害時における無人航空機活用ガイドライン(案)」(2020年1月)が参考となり得る。
  33. TEC-FORCE(Technical Emergency Control FORCE):緊急災害対策派遣隊
  34. 国土交通省「平成30年度道路メンテナンス年報(一巡目)」(2019年8月)
  35. 国土交通省『令和2年版国土交通白書』によると、市区町村における土木部門の職員数は、2005年度から2018年度にかけて約14%減少している。
  36. 国土交通省「令和元年度道路メンテナンス年報(二巡目)」(2020年9月)によると、2020年度までにすべての自治体で個別施設毎の長寿命化計画を策定することとされているにもかかわらず、2019年度末時点では、例えば道路トンネルについて計画策定済みの市区町村は7割弱にとどまっている。
    また、点検の結果、Ⅲ・Ⅳ判定とされた橋梁は5年以内に措置を講ずるべきとされていた。しかし、2014年度点検でⅢ・Ⅳ判定とされた自治体管理の道路橋梁に関しては、2019年度末において修繕等措置の着手率が52%にとどまっている。
  37. 公会計は現金主義・単年度主義であることなどから、現在の制度では、通常、修繕費・更新費は必要になった年度にその都度、予算化されて執行されている。
  38. 国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」(2018年11月)
  39. 土木学会「インフラメンテナンス分野の新技術適用推進に関する提言」(2020年4月)参照。
  40. ドローン等に関しては経団連提言「改訂 Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言」(2020年10月)No. 7参照。
  41. 新技術に関わる情報の共有・提供を目的として国土交通省が整備している「新技術情報提供システム(NETIS)」についても、その利便性向上や活用拡大が期待される。
  42. BID(Business Improvement District):エリアマネジメント手法の一つ。地理的に区画された地区で、不動産所有者や事業者から徴収される負担金により、その地区の維持管理、開発、プロモーションを行うもの。2018年、地域再生法の一部改正により、日本版BIDとして「地域再生エリアマネジメント負担金制度」が創設された。
  43. 政府の「第二次国土形成計画(全国計画)」(2015年8月)で示されているように、全体としては、人口規模に応じた都市圏が多層的に重なる形を目指すこととなる。同計画では、人口約10万人未満の地方都市は、「小さな拠点」を含む都市圏内の居住者に対して一定の都市機能を提供する一方で、より高次の都市機能については、近接する都市との連携により補う、もしくは、近傍の県庁所在市や人口数十万人以上の地方都市から提供を受ける形が想定されている。
  44. LRT(Light Rail Transit):低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する次世代の軌道系交通システム。
  45. BRT(Bus Rapid Transit):連節バス、公共車両優先システム(PTPS)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステム。
  46. 警察庁「搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験に係る道路使用許可の取扱いに関する基準」(2018年3月一部変更)では、操縦者が運転免許を受けていること、実施場所は自転車通行可の歩道等とすること、許可期間は最大6か月の範囲内とすること、などが定められており、パーソナルモビリティの利用拡大や必要なデータ収集の妨げとなっている。
    詳細は経団連提言「Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言-2019年度経団連規制改革要望-」(2020年3月)参照。
  47. 経団連提言「改訂 Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言」(2020年10月)No. 41参照。
  48. SIB(Social Impact Bond):社会的課題を解決するにあたり、行政機関と契約を交わした民間団体が実施するサービスに対して、行政が成果に応じた支払いをする、投資スキームの一形態。
  49. 経団連提言「改訂 Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言」(2020年10月)No. 43参照。
  50. 経団連提言「Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言-2019年度経団連規制改革要望-」(2020年3月)参照。
  51. 国土交通省「『居心地が良く歩きたくなるまちなか』からはじまる都市の再生~都市におけるイノベーションの創出と人間中心の豊かな生活の実現~」(2019年6月)参照。
  52. 経団連報告書「Society 5.0時代におけるユニバーサル社会の実現に向けて-官民の活動報告書-」(2019年5月)では、ユニバーサル社会の実現に向けた官民の主な活動事例を紹介している。
  53. 詳細は経団連提言「Society 5.0時代の東京―デジタル革新を通じた国際競争力の強化―」(2019年9月)参照。
  54. 例えば道路法では、道路管理者は「道路の敷地外に余地がないためにやむを得ない」等の条件を満たす場合に限り道路占有の許可を与えることができるとされている。
  55. 経団連提言「改訂 Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言」(2020年10月)No. 8, 18, 41参照。
    なお、有人航空機が原則近接しない送電線上空等、地理的特性等から追加的な対策を行わずとも安全が確保可能な空間における飛行や、往来が少ないなど第三者上空とならない蓋然性が高い場合の幹線道路・鉄道線路の横断飛行などにおいては、無人航空機の飛行許可手続の簡素化も検討に値する。
  56. LNGバンカリング:船舶へのLNG(液化天然ガス)燃料の供給。
  57. 詳細は経団連提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて-2019年度版-」(2020年3月)参照。

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