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Policy(提言・報告書) 税、会計、経済法制、金融制度 「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案」に対する意見

2022年10月24
一般社団法人 日本経済団体連合会
経済法規委員会 企画部会

今般、法制審議会民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会が取りまとめた中間試案では、各種の民事手続を全面的にIT化する方針を打ち出している。本年5月成立の改正民事訴訟法に基づく民事訴訟手続のIT化と合わせて、一連の手続を一気通貫にデジタルで行えるようになれば、民事裁判制度の利便性が飛躍的に向上すると期待される。実際にIT化を進める段階においては、法定の手続であるか否かにかかわらず、すべての情報のやり取りをデジタルで完結させられるようにすることが重要である。

他方、一部の手続ではIT化によって一部の関係者の実務に重大な影響が及ぶおそれがあり、一定の配慮が求められる。

個別の論点に関しては、下記の通りに意見を提出する。

1. 民事執行手続における電磁的記録の送達(中間試案第1の7(1))

企業は、民事執行手続において預金債権、給与債権等の第三債務者になることがある。これらの債権の差押えに関して、裁判所から第三債務者に送達がなされる際に、当該第三債務者に実務上過大な負担を求めることとならないよう配慮されたい。

まず、送達を受けるべき者が閲覧等をしない場合における送達の効力発生までの期間について、少なくとも民事訴訟手続と同様に1週間は確保すべきである。1週間よりも短くした場合、第三債務者が対応できない可能性がある。加えて、例えば大型連休など、第三債務者が送達内容の閲覧等をできない間に送達の効力が発生することがないよう配慮されたい。

また、第三債務者があらかじめシステム送達を受ける旨の届出をしていた場合には、実務上の負担増大を避けるため、送達方法はシステム送達に統一し、書面送達は行わないことが望ましい。それが困難な場合であっても、運用上、システム送達と書面送達の混在によって第三債務者に過度な負担が生じることがないよう十分配慮すべきである。

2. 倒産手続における電子化された事件記録の閲覧等(中間試案第3の5)

債権届出をした債権者にも裁判所外端末を用いた事件記録の閲覧等を認めることは、債権者の権利保護に資する。ただし、他の債権者の個人情報が記載された事件記録について閲覧等に供すべきかは検討を要する。

3. 破産手続等における公告(中間試案第3の7)

プライバシー保護の観点から、個人の破産については、官報掲載を廃止するなど裁判所外において破産の事実を公示しないことを検討すべきとの考え方がある。これについて、破産の事実が裁判所外で一切公示されないこととなれば企業の与信管理業務等に影響が生じ得ることから、慎重に検討すべきである。

以上

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