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Policy(提言・報告書) CSR、消費者、防災、教育、DE&I 司令塔機能を強化し、新たな感染症に備える

2022年11月15
一般社団法人 日本経済団体連合会

新型コロナウイルス感染症の発生から3年。感染の波を繰り返しつつも収束が近づくなか、我々に求められているのは、今般のコロナ禍で得られた教訓や経験を活かした危機管理体制の強化を行い、将来の感染症をパンデミックにつなげない社会の構築である。

1.統括庁を軸にした政府司令塔機能の強化

(1) 司令塔機能の実装(調整機能、人材育成、権限の規定、国際連携)
(2) 感染症対策に係る環境整備

今般顕在化した司令塔の機能不全や縦割りの弊害の打破が必要である。統括庁(内閣感染症危機管理統括庁[仮称])は、①各界専門家の意見を集約し、社会経済活動の影響を最小限に抑えた感染対策を講じるための調整機能を果たす。②長期的な視点で、公衆衛生の専門家をはじめ感染症対策のエキスパートを育成する。③実効的な司令塔機能を果たすための必要な権限(例:勧告権)を持ち、関係行政機関との間では役割と責任を明確化する。④各国の感染症対策の司令塔と情報や知見の共有・連携を行う。

統括庁の下、必要物資の確保に向け、⑤平時からの戦略的な備蓄と、医療物資の増産に係る柔軟な規制対応を行う。⑥事業者への増産要請等は無理のないかたちで実施する。⑦情報システムを活用し必要物資の確保状況を把握する。次の感染症に備え、⑧医療機関と患者の受け入れのミスマッチの解消、⑨水際対策の意思決定の迅速化、⑩ワクチン接種の拡大、⑪国民への情報提供の充実――を行う。

2.日本版CDCを軸にした研究開発の促進

(1) 政府から独立した立場からの公衆衛生・感染症対策のサポート
(2) 治療薬やワクチンの研究開発の促進

日本版CDCは、感染症対策に係る組織・人材のネットワークを構築し、政府から独立した立場から①必要なデータを一元的に収集・分析、リスク評価をし、政府の感染症対策に対しエビデンスベースによるサポートをする。②感染症対策や公衆衛生、医学等の専門家の派遣や育成を通じたサポートも行う。研究開発の促進に向け、日本版CDCは、③次の感染症対策に必要となる治療薬やワクチンの研究開発の方向性を示し、④政府と企業の適切な役割分担による研究開発・生産基盤を確保する。政府は、⑤省庁横断的かつ長期にわたる戦略的研究開発予算を確保し、ハイリスク・ハイインパクトなテーマを含む研究開発への資金配分や実用化支援等を行う。⑥Gaviの共同購入も視野にワクチン開発を行う。

3.次なる感染症に備えた体制整備

(1) 感染拡大への対応の見直し(私権制限のあり方の見直し、法制度の整備)
(2) 組織運営の体制整備(ICS、EOCの導入)
(3) 医療DXの推進

次なる感染症に備え、①私権制限のあり方等をエビデンスベースで見直す。②感染症対策の法制度を整備する。統括庁、日本版CDC等の関係組織は、危機管理の円滑化のため、③ICS (Incident Command System) やEOC (Emergency Operation Center) を導入し、組織運営の体制整備を行う。医療分野においては、④医療DXによる国民の健康増進と医療の効率化をはかる。⑤情報システムの構築により感染者の情報収集・集計・連携を効率化する。⑥オンライン診療の普及をはかる。

また、危機感をもって一刻も早い関連法案の成立、体制整備が必要である。

以上

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