日本経済団体連合会(経団連)とブラジル全国工業連盟(CNI)は、2025年9月9日、第26回日本ブラジル経済合同委員会をサンパウロで開催した。経団連の安永竜夫日本ブラジル経済委員会委員長、グスタボ・ピメンタ ブラジル日本経済委員会委員長はじめ、総勢400名の企業幹部が参加した。
日本とブラジルは、長きに亘り多くの分野において交流を深めてきた。そうした中、昨年5月の岸田総理、11月の石破総理の訪伯に続いて、本年3月のルラ大統領の国賓としての訪日という首脳の相互訪問を経て、外交関係樹立130周年を迎える本年、両国は「戦略的グローバル・パートナー」として、確かな一歩を踏み出さなければならない。特に経済面では、日本・メルコスール経済連携協定(EPA)の交渉開始を通じて両国関係を次のレベルに引き上げるべく、あらゆる努力をしなければならない。
そのような関係強化は、現下の国際情勢を踏まえれば焦眉の急である。即ち、日伯が共に依拠してきたルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序が大きく揺らいでいる中にあって、安定した事業環境を確保するとともに、持続的な成長を実現するためには、自由で開かれた代替市場の創出とサプライチェーンの多様化・強靭化が不可欠である。そのような観点から、メルコスールを含む南米と日本が位置するインド太平洋との地域を超えた経済関係の強化が求められる。当合同委員会として締結を求めてきた日メルコスールEPAは、そのための導管の一つとなり得るものである。
これに関連して、参加者は、①メルコスールと欧州連合(EU)、欧州自由貿易連合(EFTA)との自由貿易協定(FTA)交渉が締結に向けて進展を見たこと、また、②本年下半期のメルコスール議長国であるブラジルのルラ大統領が、日本に加えて中国、韓国、インド、ベトナム、インドネシアとの緊密な連携がメルコスールに利益をもたらす旨発言された#1こと、に留意した。
日伯双方は、ブラジルが議長を務める国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)の成功を祈念した。その上で、環境・気候変動対策および持続可能な開発のための協力を「日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(GPI)」等の下で更に推進していくことで一致した。具体的には、劣化農地の改良等による持続可能なアグリフードシステムの推進、農畜産業における気候変動の緩和策に関する官民連携の推進、パワーグリッドの整備、第三国への展開を含むバイオ燃料・合成燃料分野における連携、二国間クレジット制度(JCM)の構築、防災における協力などが挙げられた。
両国経済界は、上記諸課題への取組みを通じて、両国ならびに南米・インド太平洋地域の更なる発展に貢献すべく、多方面にわたって引き続き緊密に連携していく。
1. 本年7月3日開催のメルコスール首脳会合での発言
日本経済団体連合会 日本ブラジル経済委員会委員長 安永 竜夫
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ブラジル全国工業連盟 ブラジル日本経済委員会委員長 グスタボ・ピメンタ
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