(一社)日本経済団体連合会
ダイバーシティ推進委員会企画部会
【該当箇所】
第10分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備[PDF形式:471KB]
1 男女共同参画の視点に立った各種制度等の見直し
(2)具体的な取組 イ 家族に関する法制の整備等 ②
【意見】
上記該当箇所について以下のように書き換える。[変更部分傍線]
② 婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声など国民の間に様々な意見がある。そのような状況も踏まえた上で、家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、国会において議論が行われている。今後の国会での議論も注視しつつ、選択的夫婦別姓制度に関する正しい理解が促進され、円滑な導入が図られるよう、更なる検討を進める。【法務省、関係府省】
【理由】
いわゆる「選択的夫婦別姓」に関しては、先の通常国会で既に法案が提出され、28年ぶりに審議が再開したことは極めて意義深い第一歩であり、臨時国会への継続審議となっているにもかかわらず、今般内閣府男女共同参画局よりパブリックコメントに付された「第6次男女共同参画基本計画策定にあたっての基本的な考え方(素案)」では、前回第5次基本計画(注1)と同じ「夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める」としており、遺憾である。
経団連としては、昨年6月に公表した提言「選択肢のある社会の実現を目指して ~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える~」(注2)でも指摘の通り、女性活躍をはじめとするDEIはイノベーションの源泉であり、経済社会のサステナブルな成長に欠かせない要素であると捉えており、ジェンダー・ギャップ指数をみても、未だ世界に大きく立ち遅れている日本の状況に、強い危機感を抱いている。こうした現状を踏まえ、企業の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害しうる社会制度の見直しを含めたあらゆる取り組みを進めていく必要があり、「選択的夫婦別姓の実現」はそのシンボリックな課題といえる。
生まれ持った姓は、個人の人格や社会的信用、キャリア、文化的背景と深く結びついており、自分の姓を選ぶ自由は、個人の尊厳に関わる基本的な人権であり、選択肢があることで、「自分らしく生きる」ことが可能になる。時代とともに変化し多様化していく価値観や考え方、社会実態に合わせて、社会制度として一人ひとりの選択肢を増やしていく観点から、本人が希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗ることのできる選択的夫婦別姓制度について、30年来の課題解決に向け、国会での議論が行われることを前提として、本基本計画では、国会での議論の結果を受けて実施することを明記していただきたい。
- (注1)第5次男女共同参画基本計画(令和5年12月26日一部変更)
「第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備]より抜粋
イ 家族に関する法制の整備等
① 現在、身分証明書として使われるパスポート、マイナンバーカード、免許証、住民票、印鑑登録証明書なども旧姓併記が認められており、旧姓の通称使用の運用は 拡充されつつあるが、国・地方一体となった行政のデジタル化・各府省間のシステムの統一的な運用などにより、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組む。【関係府省】
② 婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を 引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声など国民の間に様々な意見がある。そのような状況も踏まえた上で、家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。【法務省、関係府省】
(③ 略) - (注2)「選択肢のある社会の実現を目指して ~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える~」(2024年6月18日公表)経団連:選択肢のある社会の実現を目指して (2024-06-18)