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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2015年12月21日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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【来年度予算と財政健全化】

現在策定中の来年度予算案においては、財政再建と経済成長を両立させるという基本的な考えが盛り込まれる方針であり、これにしっかり取り組んでほしいと思っている。2020年度のプライマリーバランス黒字化という大きな目標に向けて、2018年度には赤字幅をGDPの1%以下にするという中間目標も設定されており、財政健全化に向けて政府もしっかり取り組んでいる。かねてより申し上げている通り、財政健全化を達成するためには、(1)経済成長、(2)歳出改革、(3)歳入改革の三本柱で取り組むことが必要であり、経済成長は大前提として、歳出改革が特に重要だと認識している。

経済財政諮問会議でも、具体的な社会保障制度改革に相当思い切って取り組んでいる。44項目の個別の改革課題に対して、かなり意欲的な計画が盛り込まれており、政府の強い意思と意気込みが感じられる。今後も社会保障改革は進んでいくと期待している。来年度の予算案においても、予算項目の見える化を通じて要求内容がかなり精査されている。効率化が上手く進んだ項目とそうでない項目の対比もしながら、課題に一つひとつ対応している。例えば、医療費の地域ごとの格差について細かく中身を精査している。

この一年間、政府は財政再建へ本腰を入れて取り組んでおり、来年度予算案もその方向で策定が進められている。社会保障費については、今後、3年間で増加分を1兆5000億円以下に抑えるという基本方針の下、来年度予算では診療報酬のマイナス改定などにより、5000億円増の方向で調整が進んでいる。この点は大きく評価できると思う。

他方、低所得の年金給付者を対象にした「臨時給付金」については、政府のこれまでの政策との整合性を図るという観点から、もう少しじっくりと検討してほしかった。高齢者から子育て世帯へ支援の重点を移していくという大きな流れにも沿うものではない。

【日銀による緩和補完措置】

今般の日銀の緩和補完措置については、日銀として設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援することだと理解している。企業に対して、設備や人材への投資を増やしてほしいとのメッセージだと受け止めている。ただし、3000億円という規模やETF買入枠設定という形態を踏まえれば、直接的な効果は限定的だと思う。

今、わが国が最優先で取り組むべき課題は、デフレ脱却と経済再生であり、政・官・民があらゆる政策を総動員して経済の好循環を回していかなければならない。政府からも経済界に対して、設備投資の拡大と賃金の引上げが要請されているが、経済界も同じ考えであり、自主的に取り組んでいく。今回の補完措置は、政・官・民の力を合わせてデフレ脱却に取り組んでいくという日銀としてのメッセージだと思う。

【国内投資拡大】

企業の投資には国内外での設備投資、国内外でのM&A投資、研究開発投資など様々な形態がある。ここ数年、企業による投資は特に海外での投資、M&A投資が拡大している。他方、国内投資については、伸びは穏やかである。先日の官民対話では、政策的な支援と事業環境の整備を進め、イコールフッティングを実現できれば、国内投資を3年間で10兆円程度拡大することも可能であると申し上げたが、その前提として、国内の事業環境整備など9項目を挙げ、今般、その第一歩として法人実効税率の引き下げが決まった。引き続き、規制緩和やエネルギー問題などの課題にきちんと対応していけば、日本企業の国内投資だけでなく、外国企業の対日直接投資も増えていくだろう。

【事業構造改革】

東芝では不適切会計問題への対応を契機に事業構造改革が進められている。思い切って構造改革に取り組むことは東芝の将来にとって前向きな動きだと思う。

日本企業の事業構造改革を巡っては、各社が取り組んでいるものの、道半ばかもしれない。企業合併や業界再編など様々な議論があるが、やはり日本の場合はプレーヤーの数が多く、一般論として業界再編は必要であり、全体としてはそうした方向に進んでいくと見ている。ただし、日本には日本の風土があり、各社ごとに特色も異なることから、統合再編が唯一の解ではない。

【軽減税率】

軽減税率の対象の線引きについては、現場の混乱を最小限にし、分かり易いものとなるよう、与党できちんと詰めてほしい。現在、加工食品と新聞を対象とする案が軸になっているが、比較的分かり易い線引きであり、新聞を対象とすることは賢明な判断だと思う。また、中小零細事業者の事務負担の軽減も重要課題であり、しっかり対応してほしい。さらに、軽減税率の大前提は財源の確保である。財政健全化の観点からも、再来年4月の導入までによく知恵を絞って、きちんと恒久財源を確保することが重要である。

【アセアン経済共同体(AEC)】

年内に発足するアセアン経済共同体(AEC)には大きな期待を寄せている。10カ国、6億人の巨大市場が生まれることで、成長センターの一つとして世界経済を牽引することが期待される。日本企業はすでにアセアン内に生産、物流、販売などの拠点を設けており、AEC発足とともに物品・サービス、貿易投資、労働力の移動等の自由化が進めば、アセアンでのグローバルサプライチェーンの一層の強化が期待される。AECの発足は、日本企業のグローバル戦略にとって大きなプラスであり、経団連としても、来年以降、アセアン加盟国への経済ミッションを派遣して、日本企業の事業の円滑化と経済関係の強化につなげていきたいと考えている。

【防衛予算】

防衛関連予算については、昨今の国際情勢の中での日本の立ち位置を踏まえたものだと理解している。防衛予算が増えれば、ビジネスチャンスが拡大するということではない。日本の平和と安全、国民の生命・財産を守るという趣旨に照らして、必要不可欠なものに予算が措置されるのだと理解している。

【産経新聞前ソウル支局長への無罪判決】

今回、産経新聞前ソウル支局長に無罪判決が言い渡されたことを評価したい。韓国の憲法では、言論の自由が保障されており、そうした観点からの無罪判決だと理解している。

首脳会談の開催や慰安婦問題を巡る協議など、今は日韓関係が大きく前に進もうとしている時期である。今回の判決によって障害が取り除かれ、今後、色々な面で日韓関係はさらに改善していくと思う。

以上

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