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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2016年1月12日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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【経済情勢】

年明け以来、株式市場の下落が続いているが、この背景には、中国経済の減速懸念、不安定な中東情勢、北朝鮮の核実験の3つの外的要因があると考えている。経済のグローバル化が進み、投資資金が国境を超えて大きく移動する時代において、海外の情勢が日本の株式市場に影響するのは仕方ない。しかし、全体としては今の株式市場の状況は過剰反応だと見ている。中長期的には、日本経済のファンダメンタルズは強く、日本企業の業績も好調である。

中国経済については、大きなリスク要因とはならない。中国経済は決して弱くない。製造業PMI(購買担当者景気指数)が50を下回ったとはいえ、GDPの過半を非製造業が占めており、そのPMIは50を上回っている。景気に波はあろうとも、不安視する状況ではない。中東情勢についても、予断を許さない状況ではあるが、米国とロシアが仲裁に乗り出す姿勢を見せており、落ち着くところに落ち着くと思う。

また、原油安についても、業種業態によりプラスとマイナスの双方の影響があるが、日本全体としては原材料価格の低下により企業の競争力は増し、個人消費も喚起されるので、プラスの影響が大きい。

年明け早々、3つの外的要因がたまたま重なり、それが株式市場に影響しているが、これは完全に過剰反応であり、日本経済のファンダメンタルズは毀損していない。市場が冷静さを取り戻せば、落ち着くべき水準に落ち着くはずである。日本の株価もきちんと評価され、2万円台を回復し、さらに上値も期待できる。それが日本経済の本当の力だと思う。

【春季労使交渉】

賃金はベアだけでなく、定昇や諸手当て、ボーナス、労働条件などの総和である。経団連としては、今年の経労委報告を通じて、収益を拡大した企業には年収ベースでの昨年を上回る賃金引上げに前向きかつ踏み込んで検討してほしいと呼びかけていく。また、一律的な引上げではなく、若年者や子育て世帯への配分を手厚くすることも選択肢であり、人口減少社会へ対応するためにも、若年者や子育て世帯に対して、処遇改善を通じたモチベーションを与えることは重要であると指摘している。このほか、家族手当や住宅手当の見直しの検討、非正規雇用者の正規化と賃金引上げ、長時間労働の是正をはじめとするワークライフバランスの改善などを呼びかけていく。

年明けから株式市場が続落しているが、春季労使交渉は労使が真摯かつ冷静に議論する場である。不測の事態が起きない限り、現在の市場の動向が交渉に直接的な影響をもたらすことはないと思う。

【子育て支援の財源】

本来、子育て支援は国の財源で対応すべきものであるが、1億総活躍社会の実現は重要な政策課題である。そこで、一定の条件の下で協力することとし、子育て支援への事業主拠出金制度を拡充する方向で進めている。具体的には、事業所内保育所など企業が係る子育て支援の活動を許容できる範囲で支援する。当面3年の期限付きとし、その後は政府と経済界が協議をして決めることになる。

【日中関係】

経団連会長に就任して以来、日中経協訪中団に二度参加し、中国の政治指導者に対し、両国の安定的かつ良好な政治外交関係が経済関係拡大にとって不可欠であることを強く訴えてきた。そのこともあって、すでに日中間では首脳会談が開催されるなど、政治外交関係はかなり改善してきている。政治には引き続き関係改善に向けた取り組みを期待しているし、経済界としても自らの立場から日中関係が良好なものとなるよう後押ししていきたい。具体的には、今年も昨年同様、秋に日中経協、日商との合同訪中ミッションを派遣するとともに、昨年11月に東京で開催した「日中企業家及び元政府高官対話」を北京で開催する予定である。経済交流の拡大を通じて、日中双方の政府に政治外交関係の一層の強化を働きかけるなど、引き続き重要課題として取り組んでいく。

中国側からは環境分野での協力を要請されている。経団連としても2011年以来、中断している「日中グリーンエキスポ」を来年にも北京で再開し、日本企業が持つ先端的な環境技術を紹介したい。また、昨年11月には日中経協が「日中省エネルギー環境フォーラム」を開催し、高く評価され、今年も開催する予定と聞いている。中国側もこれまでにない関心を寄せており、環境問題への対応は日中関係の大きな基盤になる。

【日韓通貨協定】

日韓通貨スワップを巡っては、昨年2月、当時の情勢を踏まえ、日韓双方が延長しないことを判断した。しかし、ここにきて米国の利上げによる韓国経済への影響が懸念される中、韓国側は日韓通貨スワップの再開など通貨のセーフティネット強化に向けたメカニズムの必要性を感じているのだと思う。今後は日韓財務大臣間の対話の枠組みの中で適切に検討されるものと思う。

以上

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