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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 関西会員懇談会後の記者会見における榊原会長発言要旨

2017年7月11日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【大阪・関西への万博誘致】

4月11日の閣議了解をもって、日本として大阪・関西が2025年の万国博覧会へ立候補することが決まった。その後、4月24日に大阪府の松井一郎知事とともに、パリの博覧会国際事務局(BIE)に立候補の届出を行った。パリでは、在仏各国大使へのPR等を行うなど、わが国への支持を呼びかけた。

6月14日には、同じくパリでのBIE総会において、大阪・関西の立候補に向けたプレゼンテーションを行った。安倍総理からのビデオメッセージに続き、私から万博の趣旨やコンセプトについて、松井知事から大阪の魅力や大阪開催の意義を訴えた。2025年の万国博覧会には、わが国(大阪・関西)のほかにフランス(パリ)、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)の4カ国が立候補しているが、日本のプレゼンテーションが最も内容が充実しており、素晴らしいスタートを切ることができた。

大阪・関西万博のテーマ・コンセプトは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。世界が直面する課題の解決に向けて、大阪・関西、日本が先陣を切って取り組んでいくというテーマ設定に対し、BIE加盟国の方々にも十分に理解いただけた。大阪・関西万博では、わが国が課題解決先進国として、農業、食料、環境、資源、健康医療といった人類が直面する社会的課題について、Society 5.0を通じて解決していく姿を示していきたい。これはまさに国連のSDGsの実現につながるものである。万博ではSociety 5.0によりSDGsを達成する社会を世界に発信していきたい。これと併せて、経済成長との両立を訴えていく。

また、日本の優れている点として、政府のコミットメントがしっかりしていることが挙げられる。プレゼンテーションでは、冒頭の安倍総理のビデオメッセージにおいて、日本政府として大阪・関西万博をサポートしていくことをきちんと発信できた。加えて、日本の場合、国と自治体、経済界の当事者が一つのチームとなり、オールジャパンで誘致体制を構築しており、この強みも発信できた。さらに、開催予定地の夢洲を視察したが、100haの土地がすでに準備されていることも大きな強みである。

このように誘致に向け良い状況にあるが、フランス、ロシア、アゼルバイジャンも強敵であり、今後、誘致活動を強化してくるだろう。各国大使への働きかけや国際会議や国際交流の場を通じた大阪・関西の魅力のPR、また国内における気運の醸成に努め、2018年11月の候補地決定に臨みたい。現在、ともすれば国民の関心はオリンピック・パラリンピックに行きがちだが、日本経済の発展に向けて、万博は重要な役割を果たすことができる。すでに誘致委員会には、約1500の企業・団体・自治体が会員として登録されており、この輪を広げることで、国全体としても大阪・関西万博の誘致に向けて盛り上げていくことが課題である。

資金調達については、建設費用として1250億円が想定されており、基本的にはこの3分の1を民間が負担することで合意がなされている。まずは誘致を勝ち取ることが最優先だが、勝ち取った後、どのような負担のあり方があるのか、寄付だけでなく色々な形で資金拠出ができるよう、検討していきたい。

【IR(Integrated Resort)】

IRについては、昨年、IR推進法が成立したことを受けて、今年、具体的な設置に向けた法案が議論されると思うので、まずはそれがどのような内容・制度になるのかを注視していく。万博とIRが必ずセットになるものではないだろうが、経済面だけをみれば、双方に補完効果や相乗効果はあるだろう。まずは国会の場で、カジノに関する依存症の問題などへの対応を含めてしっかり議論することが必要である。

【TPP11】

TPPについては、12カ国での早期発効を期待していたが、トランプ政権発足後、米国が脱退した。参加国は11カ国になってしまったが、現行の合意の枠内で、TPPの基本的な精神を大きく変えずに早期に実現することが重要である。箱根での首席交渉官会合が成功裏に進むことを大いに期待したい。

先日、政府はじめ関係者の努力により、経済界の10年来の宿願であった日EU EPAが大枠合意に至った。残された課題を解決し、これが早期に発効することを期待している。ナショナリズムや反グローバリズムが台頭する中で、世界のGDP、貿易量の約3割を占めるメガFTAが実現することは自由で開かれた貿易体制の発展に大いに貢献するものである。TPP11やRCEPの推進を後押しするポジティブな影響が期待される。こうした点でも日EU EPAの大枠合意には大きな意義がある。

以上

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