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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2018年3月26日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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【米国の通商政策】

先週、米国政府から二つの通商措置が発表された。まず、中国による知的財産等に関する不公正な取引慣行を理由とした通商法301条に基づく措置の決定である。これは、米中二国間の問題であり、まずは慎重に見守りたい。ただ、知的財産の侵害は米国に限らず、日本企業も含めて被害を訴えている問題である。WTOのルールに従って対応するのがあるべき姿であろうが、今回のように一方的な措置が含まれる場合、相手国による対抗措置を起こしかねない。現に中国はそのような考えを表明している。こうした動きがエスカレートすれば、巷間言われる「貿易戦争」のような状況に発展しかねない。そうなれば、世界経済に多大な影響を及ぼしかねず、懸念している。

もう一つは、鉄鋼とアルミに対する輸入制限措置の発動であり、わが国も対象となった。今回の措置は世界の鉄鋼・アルミの貿易に大きな影響を与えかねない。また、他国が対抗措置をとれば、鉄鋼とアルミに限らず、他の産業にも波及する可能性があり、世界経済全体に影響しかねない。注意深く見守っていきたい。日本政府には、適用除外となるよう米国政府に強く働きかけてほしい。韓国が対象から除外され、日本が対象となった理由の一つとして、日本が米国とFTAを締結していないことを指摘する向きもあるが、米国の意図はよく分からない。政府には、4月に予定されている日米首脳会談などを通じて、きちんと状況を把握してもらいたい。TPP11の発効が優先課題という考えに変わりはない。

今日、若干戻したものの、先週、株価は急落した。その背景として、米国が発動した保護主義的な措置が世界経済に影響を及ぼしかねないこと、米政権の財政拡張的政策にはリスクが伴うこと、米政権で主要メンバーの交代が相次いだことなどが市場の動向に反映されているとも指摘されている。引き続き市場の動きに注視していくが、経済のファンダメンタルズは大きく変化しておらず、底堅い。今の動きが一時的なものなのか、あるいは、大きく流れを変えるようなものなのか、しっかり見極めていきたい。

【森友学園を巡る問題】

安倍内閣の支持率が急落しているが、森友学園の問題が影響していることは否めない。ただ、安倍政権が内政、外交の両面で大きな成果を挙げていることも事実である。森友学園の問題について、丁寧に説明し、国民の理解・納得を得るよう努力してほしい。そうすれば安倍内閣の支持率も回復するだろうし、是非、そうなってほしい。

公文書の管理のあり方として、決裁文書の書き換えは言語道断であり、ましてや立法を担う国会に提出する文書が意図的に書き換えられたことは由々しき事態である。国民の行政に対する信頼も大きく揺らいでおり、明日(3月27日)の佐川前国税庁長官の証人喚問には注目が集まる。公文書の書き換えが誰の指示で、何のために行われたのか、どう書き換えられたのかといったことに国民の多くは疑問を抱いている。また、一つの焦点は政治家や関係者が、国有地の払い下げに関して過度な関与をしたのかということである。これらについて国民の納得が得られるよう、真実を包み隠さず証言してほしい。

国家公務員は政府、政治家を支えて、国民のための政策を遂行することが使命・本分である。多くの官僚はそうした使命感を持って公務にあたっていると思う。佐川前長官には、明日の証人喚問でこの原点に立ち返って証言を行い、国民の信頼感を取り戻してほしい。

【憲法】

憲法改正の論議を進めるためには、国民の幅広い理解と支持が前提となる。今般、自民党で改憲案が示された。国民的なコンセンサスを今後、形成していくにあたり、その議論のベースが必要である。そのための具体的な案が取りまとめられたと受け止めている。本案では、自衛隊、緊急事態、合区解消、教育充実の4項目が示された。いずれも国民生活、国の安全保障のために必要なものだと理解している。議論が進んだことは改憲に向けた第一歩であろう。ただ、憲法改正の時期については一考を要する。今、大事なことは森友学園を巡る問題について説明を尽くし、政府、政治に対する国民の信頼を取り戻すことである。経済再生、北朝鮮問題、米国の通商政策など国内外に課題が山積しており、まずは経済最優先で取り組んでほしいというのが、経済界としての基本的な姿勢である。

経団連でも昨年の夏季フォーラムで憲法を巡り討議したが、それ以来、議論は行っておらず、憲法に関する具体的な考えを経済界として取りまとめるには至っていない。

以上

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