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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2018年5月7日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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【経団連ビジョン】

私が会長に就任してから44回目となる最後の会長・副会長会議を行い、経団連ビジョン「『豊かで活力ある日本』の再生」の進捗状況や残された課題についても議論した。全体的には、このビジョンは経団連の活動指針としてしっかりとできており、極めて重要な役割を果たしていることから、今後もビジョンに沿って経団連活動を進めていこうという積極的な評価をいただいた。他方、4年間で環境も変わった。例えば、経団連はSociety 5.0を提唱し、これが政府の成長戦略の柱となった。また、官民戦略プロジェクト10には経団連の提言がかなり反映されている。これらは、ビジョン後に出てきたものである。また、国際社会を巡る状況も4年前に比べて大きく変わった。北朝鮮やシリアの問題など地政学リスクの高まりや反グローバル化、保護主義やポピュリズムの台頭などはビジョン策定時には想定されていなかった。このように国際社会が大きく変動する中で経済界の役割も変化しており、経済外交にさらに注力していくことが必要である。

【金融政策】

日本銀行の展望レポートから、「2019年度ごろ」としていた2%の物価安定目標の達成時期が削除された。その理由として黒田総裁は、市場との対話において誤解を生まないようにするためとしており、理解できる。また、黒田総裁はできるだけ早期に2%の物価安定目標を達成するとのコミットメントは変わらないとも発言しており、基本的な姿勢は不変であると理解している。

他方、展望レポートの中では、物価が上がらない要因の一つとして企業の賃金設定スタンスが慎重なものにとどまっていることが挙げられている。経団連が実施した2018年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況(第1回集計)では月例賃金の引上げ率が2.54%と相当高い水準となった。5年連続で2%台の賃金引上げを実現しており、これが物価の引上げや消費喚起に向けて、大きな効果をもたらすと期待している。

【相談役・顧問】

相談役・顧問制度の見直しは、国際的な潮流であると見ている。他方、一部に言われているように、相談役・顧問の制度そのものに問題があるということはなく、きちんとした役割を果たしている。例えば、相談役・顧問の社外活動は、企業の社会貢献活動の一環として存続することはあり得る。重要なことは、コーポレートガバナンス・コードが指摘するように、透明性の確保と投資家の理解である。

【日中韓首脳会談への期待】

2015年以来2年半ぶりの日中韓首脳会談の開催を歓迎したい。日中韓三カ国は、成長著しいアジアの大国として、世界の持続的な経済成長を牽引するとともに、様々な地球規模の課題解決に積極的に貢献していくことが期待されている。日中韓がこうした役割を相互に協力して果たしていくためには、三カ国間の安定的かつ未来志向の政治・外交関係の構築が極めて重要である。今回の日中韓首脳会談を通じて、これが実現していくことを強く願っている。あわせて、経済連携や北朝鮮問題など各国が共有する課題について、実りある議論が行われ、成果が出ることを期待している。

日中韓首脳会談に合わせて、経団連は中国国際貿易促進委員会、大韓商工会議所との共催により、東京で「第6回日中韓ビジネス・サミット」を開催する。サミットでは、包摂的な成長やイノベーションをテーマに三カ国間の具体的な協力の方策を議論し、経済界の決意と政府への要望を共同声明として取りまとめる。この共同声明は三カ国首脳に手交する予定であり、日中韓の友好・協力関係が一層深まることを期待している。

包摂的な成長については、経済連携の推進や第四国市場での協力、イノベーションについては、デジタル革命、オープンイノベーションなど様々な分野で議論を行う予定である。なお、これまで日中、日韓の経済・産業協力についてそれぞれの経済界の間で議論してきたが、北朝鮮が対象となったことは一度もない。日本政府は完全で検証可能かつ不可逆的な非核化が達成されるまでは北朝鮮への制裁を続ける方針であり、現在の状況で北朝鮮への経済協力を議論するのは時期尚早である。

【日中関係】

李克強国務院総理が総理として初めて訪日する。昨年の日中経済協会合同訪中団の際、李総理と会談し、日中韓首脳会談での来日を期待していると申し上げた。今回の李総理の訪日は日中の政治・外交関係のみならず、経済関係を強化していく上でも大きな意味を持つものである。今年は昨年の日中国交正常化45周年に続いて、日中平和友好条約締結40周年の節目の年でもあり、経済界を挙げて李総理の訪日を大いに歓迎したい

【日韓関係】

経団連はこれまで、韓国の大統領府と様々な形で交流してきている。例えば、朴槿恵前大統領とは三回会談し、日韓の経済関係の強化、安定的な政治・外交関係の構築の重要性を伝えてきた。日韓両国の間で未来志向的な関係が構築されることを期待している。

【北朝鮮を巡る問題】

米朝首脳会談は非常に重要な会談になる。これに先立ち、先の南北首脳会談で北朝鮮の非核化や朝鮮戦争の終戦など地域の安定化に向けた前向きな合意が得られたことを評価したい。今後、北朝鮮が非核化にどう取り組むのか具体的な道筋はまだ見えないが、米朝首脳会談の前段階として重要な役割を果たしたと思う。北朝鮮が完全かつ検証可能で不可逆的な形での非核化に向けた第一歩を踏み出すよう、来る米朝首脳会談についても期待を持って注視していく。

【国会情勢】

報道によれば、柳瀬元総理秘書官のこれまでの国会での答弁内容と矛盾する資料が出てきた。同秘書官には、国会で真実を述べてもらうことが重要である。他方、国会において国家の大計のための重要法案の審議が遅れることは許されない。国会での審議が止まっていることへの世論の批判も強い。野党が国会審議に参加し、早期に国会審議が正常化することを望みたい。

以上

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