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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2019年2月12日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【副会長人事】

本日の会長・副会長会議で、5月30日に開催する定時総会で選任する理事・副会長を内定した。定時総会をもって、岡本圀衞副会長、永易克典副会長、宮永俊一副会長、十倉雅和副会長、飯島彰己副会長、工藤泰三副会長が任期満了で退任する。新たな候補者として、中村邦晴・住友商事会長、平野信行・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長、越智仁・三菱ケミカルホールディングス社長、渡邉光一郎・第一生命ホールディングス会長、篠原弘道・日本電信電話会長、大橋徹二・小松製作所社長の6名の副会長就任を内定した。5月7日の理事会を経て、定時総会に諮り、5月30日に就任となる。

人格・識見、経営手腕、各業界でのリーダーシップなどを総合的に判断し、人選を行った。経団連の副会長は、企業で言えば執行役のような位置づけでもあるので、それぞれの業界のトップを走っている方達を選んだ。また、デジタル・トランスフォーメーションは、技術だけではなく、社会全体の仕組みの変革も伴う。今回、新たに内定した6人はいずれもこの点への造詣が深い方達である。

時代が激しく変化するなか、女性経営者に加え、IT企業やスタートアップ企業のトップにも副会長に就任してほしいと思っている。しかし、経団連は会員組織であり、時間、手順、周囲の納得が必要である。DFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)という観点から、データの取扱いに関する政策に意見を反映させたいという声が企業の間で高まっており、IT企業やスタートアップから、経団連活動に参画したいという話も増えている。そうした企業のトップを登用するまでさほど時間はかからないだろう。一方、女性については、まずは会員企業それぞれにおいて、女性の登用を進める必要がある。個社の問題であると同時に、社会全体の仕組みの問題でもある。これからの会社経営には、女性のみならず多様な方々の視点が必要不可欠である。目標・スケジュールを決めて、意識的な女性の重用や活躍推進に思い切って取り組んでいくことが重要である。

【会社法】

会社経営においては、独立した社外取締役の活用が有用であると信じている。会社を正しい方向にリードしていくためには、多様性のある、見識の高い方達の意見が必要である。もっとも、会社や事業の性格によっては、社外取締役が必要ない会社もある。反対はしないが、一律に法律で決める必要があるのか疑問である。役員報酬についても、そうした方達の意見を踏まえて決めるべきである。単に株主総会に諮ればよいということではない。今回の会社法改正の方向は妥当である。重要なことは、監督を行うものと執行を行うものが社内できちんと分離されていることである。

【B20】

来る3月14、15日のB20東京サミットでは、世界各国のビジネスリーダーが集まって、世界経済の方向性について議論する。「Society 5.0 for SDGs」がメインテーマである。現在、共同提言の取りまとめを精力的に行っているところである。デジタル・トランスフォーメーションを活用して、いかに社会課題を解決し、SDGsにつなげていくのか、力強いメッセージを国際社会、G20に向けて発信する、大変貴重な機会になる。B7とは異なり、B20では、参加各国の置かれた状況によって意見に差異が生じるテーマもある。例えば、データの取扱いに関しては、中国やインドには独自の法律があり、安倍総理が提唱するDFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)には合わない面がある。また、米国のトランプ政権はマルチの枠組みよりも二国間交渉を優先している一方、経済界にはWTO、自由貿易は重要との考えが強く、政府間のような対立はない。

【米中摩擦】

米中間では、関税もさることながら、知的財産の問題や国有企業との公平な競争条件など幅広い課題が争点となっている。協議の期限である3月1日に向けて何らかの進展があるとしても、対立構造は残ると見ている。どこかの時点で双方が歩み寄る必要がある。中国企業には、オープンで、透明性の高い経営が求められる。すべての課題が一度に解決することはないだろう。本質的な課題について折衝することが重要であり、そこには日本が果たし得る役割もある。

【統計不正問題】

統計調査は地味ではあるが、大切な仕事だ。統計に携わる人員の手薄さが今回の問題の一つの背景にあったとも聞く。信頼回復は一朝一夕にできるものではなく、実績を重ねていくしかない。統計制度そのものの見直しについては、従来のデータ採取の方法で実体経済をきちんと把握できるのか、機械化・自動化する方法はないのかなど、これまでに経団連でも議論をしている。

【不適切動画問題】

(小売業や飲食チェーン業において、従業員が就業中に不適切な動画をSNSに投稿したことが問題になっている。企業が従業員に損害賠償請求を行う姿勢も示し始め、その適否が議論される事態にもなっているが、所見は、との問いに対し)企業経営は、さまざまな従業員がいることを前提に行うものだ。問題を起こした従業員に厳しい処置を行うにしても、経営者としてまず考えるべきは、従業員の教育・訓練などの仕組みづくりである。品質管理の問題も同様で、個人の善意に依存したオペレーションはどこかで綻ぶということを肝に銘じなければならない。

以上

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