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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2019年3月11日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【審議員会副議長人事】

本日の会長・副会長会議において、5月7日の理事会で選任する審議員会副議長の候補者を内定した。今度の定時総会で審議員会の高橋副議長、鈴木副議長、江頭副議長、岡藤副議長が任期満了で退任する。また、渡邉副議長、中村副議長、篠原副議長は副会長への就任により退任する。新たな候補者として、5月の定時総会で副会長を退任する三菱重工業の宮永俊一社長、住友化学の十倉雅和社長の二人に加えて、三井住友海上火災保険の柄澤康喜会長、丸紅の國分文也社長、日本生命保険の筒井義信会長、大和証券グループ本社の日比野隆司会長を内定した。人格・識見、経営手腕、各業界でのリーダーシップなど、総合的にみて人選した。この6名の新任の方々は、2017年に選任され今回再任される副議長とともに、候補者として5月7日の理事会で諮られる。再任ならびに新任の副議長の就任日は5月30日となる。これだけ変化の激しい時代、Society 5.0の実現と社会保障制度改革・財政再建の二つが大きな課題である。新しい体制の下、継続的に取り組んでいく。

【震災復興】

基本的な社会インフラは復旧したが、福島県をはじめ東北の経済・産業の復興は道半ばである。国土強靭化を通じた産業基盤の整備など様々な施策を講じていく必要がある。国を挙げて復興に取り組むことが必要であり、民間の役割は大きい。即効策はなく、地域にあった産業振興・地域づくりを地道に進めていくことが重要である。今後はこれまでのような欠けたところを補う対症療法的な対策ではなく、強みを伸ばしていく施策が必要となってくる。

【春季労使交渉】

賃金引上げの統一要求・一斉回答に注目が集まるが、それぞれの会社がそれぞれの事情に応じて、働き方改革や格差是正などの課題にどう取り組んでいくのかがより重要な課題である。要求側が他社と連携して統一的に要望することで、一円でも高い水準を勝ち取るという狙いは理解する。一方、経営側が自社の従業員の処遇や労働条件の改善に向けて努力するのは当然である。

今年度の春季労使交渉を通じて、経団連は、賃金引上げと総合的な処遇改善を呼びかけており、ベアは選択肢の一つと位置づけている。電機大手各社の対応に関する報道がなされているが、経団連のスタンスをベースに交渉が行われていると考える。

【エネルギー問題】

原子力を巡っては、好き・嫌いの感情的な議論ではなく、国や地球、人類の将来を含めもっと大きな捉え方をする必要がある。100年先、200年先を見据えれば、原子力は必要である。すべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄えて、国際競争力も維持できれば良いが、ハードルはかなり高い。再生可能エネルギーの技術開発に失敗したらどうなるか。今後の電力をどうするかというグランドデザインを巡る議論を行い、多様なエネルギー源を確保できるよう、様々な手段を講じていくことが求められている。民間を含めて国として投資や研究開発を促進していく何らかのインセンティブを考える必要があろう。さもなければ、日本は立ち行かない。

【労働力不足問題】

労働力不足は、長期的には働き方改革、社会保障制度改革、人口減少問題、その中での国内産業の振興、教育問題等につながる横断的な課題である。これらの個々の課題に個別に対策を講じつつも、総合的に考える必要がある。今のような省庁縦割りの対策では限界がある。勿論、企業が果たすべき役割もある。国、地方自治体、産業界、学界などの連携による総合的な取り組みが重要である。

【国際リニアコライダー(ILC)】

ILCの誘致について、今回、継続議論となったことは良かったと思うが、予算を確保できていないということでもあり、難しい課題である。わが国には研究開発に係る国際機関の本部がない。ターゲットとなる技術は日本が得意とする分野でもあることから、資金面の課題が解決できれば、誘致は検討に値するものと考える。

【Brexit】

Brexitを巡り、英国では内閣と議会の関係だけでなく、閣内、与党内、野党内でも意見が割れるなど、大変難しい状況であり、先が読めない。英国は成熟した国であり、最後は一定の着地をするだろうという期待を抱いているが、ノーディールの可能性が高まってきたと聞くと身構えざるを得ない。自動車が典型で他にもそういう業種があるが、英国に生産拠点を置いて大陸に輸出するという形態をとる企業にとって、部品や材料の輸入と完成品の輸出の両面で関税がかかることになり、商売としてとても成り立たない。また、物流が滞るような事態となれば、影響は甚大である。こうした切実感から、ノーディールを何としても回避してもらいたいと繰り返し発言している。

【日韓関係】

日韓関係については、こじれさせてはいけないと思うが、現実はギクシャクしている。ただ、こういう時だからこそ、民間ベースの交流は継続しなければならない。国民感情はないがしろにはできないが、他方で日本と韓国の経済的な結びつきは強い。日韓の経済人は良好な日韓関係を志向しており、同じ思いを共有している。

以上

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