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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2021年12月20
一般社団法人 日本経済団体連合会

【2021年度補正予算】

今般成立した補正予算では、新型コロナウイルス関連の緊急対策ならびに経済成長のための対策の双方が含まれている。短期間でよく準備されたと思う。来年度予算と合わせて、将来につなげていっていただきたい。

【子育て世帯への臨時特別給付】

岸田政権は柔軟に、よく対応している。そもそも、現金とクーポンでの給付が検討されていたのは、給付金が貯蓄ではなく消費にまわるとの意図からであった。しかし、クーポンを受け取っても消費にまわす予定の現金を貯金すれば、効果は同じだ。消費を喚起するためには、社会保障制度改革などで将来不安を払拭することが本丸である。

【令和4年度税制改正】

〔与党税制改正大綱において、金融所得課税強化が見送られ、炭素税が先送りされたことについて問われ〕金融所得課税の見直しは岸田政権の成長と分配の好循環を実現する方策の一つとして象徴的なテーマとされ、注目してきた。実体経済および金融資本市場に与える影響を精査する必要があるとの理由で今回は見送られたのではないか。あくまで検討の順序であり、取り下げられたということではないと承知している。炭素税については、成長に資することが前提であるが、他の手法を含むカーボンプライシング全体の中で議論し、日本に適した手法を検討する必要がある。

【パートナーシップ構築宣言】

宣言に参加した経団連会員企業は増えてきた。日本全体の賃金、所得の向上には、中小企業を含め、サプライチェーン全体の生産性を高め、付加価値を上げることが不可欠である。引き続き様々な機会をとらえて参加を呼びかけたい。

【オミクロン株への対応】

科学的、論理的、客観的な議論に基づく対応が基本である。岸田総理のイニシアチブで水際対策がしっかりととられているが、今のうちに打てる手は打っておくべきである。ワクチンのブースター接種を早めることもその一つである。岸田総理は自ら陣頭に立ち、医療従事者や重症化リスクの高い高齢者施設入所者等の3回目接種までの接種間隔を6カ月、一般の高齢者の3回目接種を7カ月に短縮すると表明した。ブースター接種と治療薬により、戻りつつある社会経済活動の勢いを削がないようにすべきである。この観点から、12月20日にリリースされた、政府のワクチン接種証明書アプリは大いに活用すべきである。

【企業の人権への取り組み】

人権は尊重しなければならない普遍的価値であるというのが経済界の基本認識である。人権の概念は広範であり、業種、規模、事業を行う場所が多様であることから、柔軟かつ自主的に取り組むことが効果的である。経団連は、国連のビジネスと人権に関する指導原則を踏まえ、先般、企業行動憲章の実行の手引きを改定するとともに、実務者向けのハンドブックを策定した。

ただし、人権問題は、企業の取り組みだけで解決困難なものも多くあることから、企業が取り組みやすい環境の整備や国家間の交渉、国際機関との連携による支援など、政府の役割も大事である。

【米国のウイグル強制労働防止法案可決】

報道によると、非常に厳しい規制が盛り込まれているようだ。企業のビジネスにも少なからず影響を与えることが予想されることから、注視している。人権は世界的に大きなイシューである。経済安全保障には人権も含まれるとの意見もあり、企業はそうした意識を持って取り組む必要がある。

【北京オリンピックの外交的ボイコット】

〔外交的ボイコットについて、日本政府の対応を問われ〕各国政府の判断や対応について、コメントする立場にない。日本の国益を考え、落としどころを探ることも重要ではないか。

【日中CEO等サミット】

日中CEO等サミット(12月21日)では、福田康夫元総理、曽培炎元副総理はじめ日中双方の企業家、元政府高官など、約40名がオンラインで政策対話を行う。パンデミック、気候変動、少子高齢化など、国際社会が連携して克服すべき課題については、日中両国のゴールは同じである。内容の濃い積極的な議論になるよう期待している。

【韓国のCPTPP加盟申請】

CPTPPは自由化の水準が高く、ある意味で世界で最も進んだ協定である。その基準を満たしたメンバーが増えることは喜ばしい。英国、中国、台湾も手を挙げており、引き続き状況を見守っていく。また、米国が早期に戻ってくることを期待している。

【今年の漢字】

気候変動やパンデミック等、一国で解決が難しい地球共通の課題に立ち向かうためには国内での連帯、国際協調・連携が必要であることから、「連」としたい。

以上

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