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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2022年4月4
一般社団法人 日本経済団体連合会

【Society 5.0の扉を開く-デジタル臨時行政調査会に対する提言-】

本日の会長・副会長会議で、デジタル臨時行政調査会、いわゆるデジタル臨調への提言、「Society 5.0の扉を開く」をとりまとめた。

昨年11月、経団連の要望も受ける形で、岸田総理のもとにデジタル臨調が発足した。以来、臨調では、規制の横断的な見直し作業を進めている。今後3年間の集中改革期間は、日本がSociety 5.0へと転換する、最大にして最後のチャンスとなる。経団連では、こうした問題意識・危機感のもと、会員企業の実務に即した意見を、臨調がこの春とりまとめる「規制一括見直しプラン」や今後の改革に反映させるべく、政策提言を策定することとした。

デジタル臨調による規制の横断的な見直しは、全ての産業のDXを後押しするものである。DXを通じて、企業の生産性向上や現場の人手不足の解消、ひいては従業員の所得向上など、日本経済全体に好循環をもたらす。経団連は、デジタル臨調の取り組みを全面的に後押ししていく。

本提言では、Society 5.0の扉を開く具体的なステップを示している。第一のステップは、「既存規制の総点検とデジタル一括改正」である。改革の手始めに、あらゆる手続において途中で紙が1枚も入らない、真のデジタル完結を実現しなければならない。

第二のステップは、「新たな制度・インフラの整備」である。日々の技術革新に法・規制が追いつくことはあり得ない。建設・農業・介護など、様々な場面で実際にAIやロボットといった最先端の技術を導入、実装するためには、アジャイル、すなわち柔軟な制度整備が必要である。さらには、マイナンバーを起点とするデータ連携も重要な課題である。

最後のステップは「デジタル前提の体制構築」である。改革が決して後戻りすることのないよう、行政が先端技術に自律的に対応できる仕掛けをビルトインすることが不可欠である。

経団連は政府に対し、5月にとりまとめられる「規制一括見直しプラン」を足掛かりに、強い覚悟とスピード感を持って対応するよう求めていく。

〔デジタルトランスフォーメーションが進んでこなかった理由を問われ、〕利便性を国民が広く享受できていないからではないか。データ基盤の連携を進め、マイナンバーを活用することで解決を図るべきである。社会保障や税制に公平、公正の概念を入れるためにも、デジタルトランスフォーメーションは欠かせず、マイナンバーの活用を促進することが必要である。

【日本経済】

ロシアのウクライナ侵攻に端を発する資源高や供給制約等により、マインド面、実体経済ともに弱い動きを見せている。直近の日銀短観(3月調査)における大企業の業況判断DIも小幅に悪化した。今後、これまでのパンデミックを前提とした新型コロナウイルス感染症への対策がエンデミック対応に移行していく。これに伴う社会経済活動の正常化など各種政策効果等により、景気が持ち直すことを期待している。

【為替動向】

為替は、安定的に推移することが最も大事である。現段階でスタグフレーションのリスクを懸念する必要はなく、引き続き物価動向などを注視していく。良い円安、悪い円安といったようなことが云われるが、業績にプラスになる企業もあればマイナスになる企業もあり、短絡的に判断すべきものではない。

【東京証券取引所の新市場区分】

市場の位置づけが複雑で重複していた。投資家にとってわかりやすく再編されたことは意義深い。超高齢社会における膨大な個人金融資産の活用、スタートアップの創出など、あらゆる面において、東京証券取引所が担う役割は大きく、内外の投資家にとって魅力ある市場であり続けることが不可欠である。今回の市場区分の見直しを契機に、上場企業の持続的な成長、企業価値向上への各社の取り組み、投資家との対話が一層進展し、日本の株式市場がさらに発展していくことを期待している。

【新型コロナウイルス水際対策の緩和】

経団連は入国者数の制限撤廃や渡航先に関する感染症危険レベルの見直しを粘り強く訴えてきた。政府が、1日当たりの入国者数を7500人から1万人に拡大したこと(4月10日実施)、渡航先に関する感染症危険レベルを緩和したことを評価、歓迎する。今後、空港での検疫等の合理化、効率化を図り、入国者数の制限撤廃に向かっていってほしい。

【サハリンプロジェクト】

サハリンプロジェクトから撤退しないという政府方針は理にかなっている。

サハリン2からのLNG輸入量は日本の総LNG輸入量の約8%を占めており、直ちに代替を確保するのは容易ではない。米英はロシアからの輸入停止をいち早く表明したが、両国とも産油国であるということに留意が必要だ。他方、産油国でない欧州諸国は、ロシアとの取り引きを続けている。

長期的に、日本はロシアへのエネルギー依存度を下げていく必要があるが、現時点でロシアからのエネルギーの輸入を止めることは現実的な判断ではない。

【岸田内閣発足後半年の評価】

岸田内閣は高い支持率を維持しており、総理も手ごたえを感じておられるのではないか。評価すべき半年間である。内政面では国民の声を聴き、着実に政策を実行に移されている。外交面でもG7と共同歩調をとりつつリーダーシップを発揮されている。

【2030年冬季五輪・パラリンピック】

オリンピック・パラリンピックは、多くの感動をもたらし、人々の結束を高める稀有な機会である。2030年冬季五輪・パラリンピックについても、これは言える。札幌は良い候補地なのではないか。札幌で開催ということが決まれば、協力していきたい。

以上

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