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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2022年7月11
一般社団法人 日本経済団体連合会

【安倍元内閣総理大臣ご逝去】

安倍元総理の突然のご逝去に驚きを禁じえない。このような政治に対する暴力は、いかなる理由をもってしても、断じて許されない。

安倍元総理は、内政、外交の両面で大きな成果を上げられた。国際社会における日本のプレゼンスの向上のみならず、安全保障面でも厳しい国際情勢の対応に万全を期すなど、極めて大きな功績を残された。

総理の職を辞された後も、国民の将来に思いをいたされ、日本の針路について有益な問題提起をされるなど、常に精力的に活動しておられた。

悲しい知らせを受け、内外の実に多くの方々から心のこもったお悔やみの言葉が寄せられている。安倍元総理が、数多くの人々にとって、いかに忘れがたい存在であるかを物語っている。

偉大な指導者を失ったことは、日本にとってまさに国家的損失であり、誠に残念である。心よりご冥福をお祈り申し上げる。

【安倍政権の功績】

経済政策では、「アベノミクス」の推進によってデフレ脱却を図られた。約500万人の雇用創出、失業率の2%台への低下など雇用環境も大きく改善した。また、社会保障の将来不安を払拭すべく、二度の消費増税を断行された。外交面では、インド太平洋地域の平和と安定を目指して「自由で開かれたインド太平洋」構想を打ち出されるなど、精力的な取り組みを進め、日本の国際的なプレゼンスを高められた。

【参院選結果】

自民党が改選過半数を獲得し、公明党を含め、強力かつ安定した政治の態勢が維持されたことを大いに歓迎する。これまでの岸田政権の舵取りを国民が評価した結果と受け止めている。経団連は引き続き、岸田政権の政策遂行に全面的に協力し、社会課題の解決と成長のけん引役として、持続可能で豊かな未来社会の確立に向けた取り組みを推進していく。

〔岸田政権の経済政策への期待を問われ、〕人への投資を基本として、成長と分配の好循環を実現していただきたい。(2025年まで国政選挙がない)「黄金の3年間」と言われる期間にあって、足元の課題への対応のみならず、中長期的な視野に立ちエネルギー安全保障対策やGX・DXの推進等、しっかりとした政策の実行を期待したい。

【エネルギー政策における原発の位置づけ】

GXの推進にあたって、S+3E (Safety+Economic security、Economic efficiency、Environment) の観点からエネルギー政策を実施する必要がある。ロシアのウクライナ侵略によりエネルギー安全保障がクローズアップされている。諸外国からの電力融通が不可能であり、また、短期間での再生可能エネルギーの大幅増が困難という日本の地理的特性を踏まえると、わが国のエネルギー政策における原発の役割は大きく、国民の間で理解を醸成することが肝要である。地域住民の理解と安全・安心の確保を大前提として速やかに原発の再稼働を進めるとともに、リプレース、新増設も推進すべきである。

【水際措置の緩和】

〔新型コロナウイルス感染が拡大する中で水際措置を緩和することの是非について問われ、〕科学的、合理的な感染防止対策に絞り込むべきである。現在、諸外国が水際措置の緩和を進めている。これと整合性をとる必要もあるのではないか。ようやく日本でも国を開こうという機運が高まってきたので、このモメンタムを大事にすべきである。

【韓国訪問】

経団連の韓国ソウル訪問(7/4-6)は、日韓関係正常化に向けて露払い的な役割を果たせたのではないか。現地では、ユン・ソンニョル大統領はじめ政府要人と会談するとともに、全經連首脳との懇談会を開催した。日韓関係を正常化したいという強い熱意と意欲を感じた。

日本と韓国は、アジアで大きな位置を占め、自由、民主主義、法の支配、人権等を共有する同志国(like-minded country)である。また、貿易立国・科学技術立国という同じ成長エンジンを持ち、少子高齢化やエネルギー安全保障という共通の社会課題に直面している。両国の間には懸案もあるが、アジアで地政学リスクが増大する中にあって、日韓が協力することは不可欠であるという認識で一致した。

以上

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