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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 北海道経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2022年10月6
一般社団法人 日本経済団体連合会

【北海道経済の現状と課題】

コロナ禍、ならびにロシアのウクライナ侵攻に伴う原材料価格高騰とりわけ肥料・飼料の価格上昇は、第1次産業と第3次産業の割合が高い北海道経済に影響を与えている。今月11日からの水際措置の緩和と全国旅行支援で、多くの観光客が北海道を訪れると期待される。また、月内にも取りまとめられる、物価高に焦点を当てた経済対策により、足もとの危機は乗り越えられるのではないか。

将来に目を向ければ、北海道経済には明るい材料が揃っている。ご当地はスポーツが盛んで、観光資源や食も豊かである。グリーントランスフォーメーション(GX)を進める上で重要となってくる資源や土地にも恵まれている。こうした財産を活用して経済成長を成し遂げてほしい。

【2030年冬季オリンピック・パラリンピックの札幌招致】

1972年の札幌五輪開催から50年。私は当時21歳。オリンピック・パラリンピック招致の話を伺っていると、日の丸飛行隊が表彰台を独占した場面がありありと瞼に浮かび、数々の感動がまざまざと蘇ってくる。当時のレガシーを活かし、コンパクトで効率的な大会を目指されるのはよいことだ。オリンピック・パラリンピックは、感動のストーリーを届けてくれる上に、国と国との間の親交、人々の間の友情といった普遍的な価値を呼び起こしてくれる。昨夏の東京大会もそうであった。

〔東京五輪をめぐる事件捜査の影響で五輪賛成の声が広がらない中での誘致活動について問われ、〕世を今騒がせている事件は東京五輪大会組織委員会関係者に関わる事案であり、五輪そのものの意義、価値は不変である。国際的な大型スポーツイベントは、開催が迫るにつれ関心が高まっていくものであるから、機運醸成のための活動が大事になってくる。経団連は引き続き、札幌招致の機運醸成活動に協力していく。首尾よく招致が実現した暁には、成功に向けオールジャパンで取り組む必要があり、経済界も無論、後押しする。

〔資材価格高騰、作業の遅れなどで懸念が広がる北海道新幹線の2030年度末札幌延伸について問われ、〕新幹線についても、経済性が問われるのは当然である。北海道新幹線の延伸について、確かに、現下の資材価格高騰の影響もあろうが、他方で、冬季オリンピック・パラリンピックの札幌開催が現実のものとなった時の集客力や経済効果は重要な視点である。さまざまな要素を考慮して、総合的に判断されるものと思う。

【賃上げ】

〔岸田総理が、2023年春季労使交渉に向けて「物価上昇をカバーする賃上げを目標に個々の企業の実情に応じて議論してほしい」と発言したことへの受け止めを問われ、〕経団連は、賃金決定の大原則に則り、各社の労使で賃金引き上げを検討すべきであると一貫して申し上げており、そのスタンスは変わらない。その中で、時々の状況により年ごとに重視すべき考慮要素は異なる。物価上昇が続く可能性が高い状況にあって、物価動向が重視すべき考慮要素となるのは当然のことである。持続的で穏やかな物価上昇が実現し、それが賃金引き上げのモメンタム維持につながっていってほしいと願っている。

そうしたスパイラルの実現には、従業者数の約7割を占める中小企業における賃金引き上げが重要である。そのために、官民が連携してパートナーシップ構築宣言などによる環境整備に引き続き注力することが肝要である。

以上

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