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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 九州経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2023年3月3
一般社団法人 日本経済団体連合会

【春季労使交渉】

経団連は、「2023年版 経営労働政策特別委員会報告」において、足もとの物価高を機にできるだけベースアップを中心とする賃金引上げを行い、それを構造的・持続的な賃金引上げに結び付けていくことの重要性を強く訴えている。すでに多くの企業が積極的な姿勢を表明してくれており、非常に心強く感じている。

他方、企業数の9割超、従業員の7割近くを占める中小企業の賃金引上げがなされなければ、わが国全体の賃金引上げが実現したとは言えず、適正な価格転嫁が不可欠である。経団連は、パートナーシップ構築宣言への参画企業の拡大とその実効性の確保を会員に求め続けている。

こうした取り組みを今年だけでなく継続的に行うことによって、長らく日本人に染み付いたデフレマインドを払拭し、持続的な賃金引上げを実現していきたい。

【ウイズ/アフターコロナの産業政策】

コロナ禍の中で設けられてきた各種規制が徐々に解除されている。これに伴い、インバウンドは急速な回復傾向にあり、観光、飲食などサービス業を中心に需要が戻りつつある。2023年の日本経済の成長率が他の先進国よりも高いという見通しも出てきた。

他方で、労働人口の減少は日本経済の成長の足枷となる。この課題の克服に向け、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)に真剣に取り組み、生産性向上に努めるとともに、データドリブンで、様々な潜在需要を顕在化するための価値創造に取り組むべきである。生産性の向上に関して、経団連は、需要の繁閑差の是正に向けて、ワーケーションを通じた平日の需要の創出に資する施策を検討している。

〔九州経済について問われ、〕台湾積体電路製造(TSMC)のプロジェクトが始まり、地元経済界は非常に沸き立っている。九州経済はダイナミズムにあふれており、その活力を日本中に広めていただきたい。また、観光についても、デジタルの力を活用したきめ細やかな観光需要の発掘などに積極的に取り組んでいただきたい。

【新型コロナウイルス関連】

〔3月13日からマスクの着用を個人の判断に委ねるとする政府の方針について問われ、〕個々人が主体的に判断すればよいのではないか。罹患を気にしマスクをする方もおられるだろう。訪米中、マスクをしている方を目にすることはなかった。周りの影響を受けて状況は刻々と変化していく。子どもの情操教育の観点からも、適切な対応がなされるだろう。

〔5月8日に、新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行されることについて問われ、〕観光やイベント観戦等の需要が高まり、日本経済にも良い影響が出てくるだろう。他方、将来的に未知の感染症がいつ発生するか分からない。コロナ禍の経験を踏まえ、アジャイルかつフレキシブルな危機管理対応力を検討しておくべきである。

【旧朝鮮半島出身労働者問題】

今年の「三・一独立運動」記念式典において韓国の尹大統領は、「日本は、普遍的な価値を共有し、安全保障や経済、グローバルな課題で協力するパートナー」と強調された。経団連も尹大統領と全く同じ思いである。日韓両政府の間で、未来志向の関係について話し合いが続いている。両国の合意が明らかになった後に、それを受けてどのようなことを行っていくのか、考えることになろう。

以上

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