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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2023年12月4
一般社団法人 日本経済団体連合会

【税制】

〔与党税制調査会で、投資減税の財源確保のために法人税率を引き上げるべきとの意見が多数出ていることについて問われ、〕企業としては、国内設備投資を拡大していくとともに、来年の春季労使交渉に今年以上の熱量をもって取り組み、「構造的な賃金引上げ」を実現することが重要である。法人税の改革は、こうした企業の取り組みを後押しするものであるべきである。わが国の法人実効税率が主要国の中で依然として高いこと、防衛力強化に伴う法人増税が予定されていることにも留意が必要である。

〔賃上げ促進税制の見直しについて問われ、〕経団連は、企業の社会的責務として賃金引上げを呼びかけている。したがって、税制上の優遇のあるなしに関わらず賃金引上げは進めていく。政府が賃金引上げのモメンタムを後押しする環境を整備することは、ありがたい。

〔交際費から除外される飲食費の上限額の見直しを与党が検討中、との一部報道について問われ、〕必要な交際費は企業や社員の階層によって異なるため、一概に申し上げられない。わが国の物価上昇が持続する可能性も考慮する必要があろう。

【COP28】

〔岸田首相が排出削減対策の講じられていない国内石炭火力発電所の新設の終了を表明したことの受け止めを問われ、〕評価する。カーボンニュートラルは一国では成しえず、地球全体で取り組むべき課題であり、その達成には、各国固有の経済的、地理的な状況を踏まえた多様な道筋がある。わが国は、水素・アンモニアを活用した石炭(ガス)火力の脱炭素化に関わる技術をグローバル・サウスに移転することで、世界のカーボンニュートラルに貢献することができる。

〔世界の環境NGOが参加する「気候行動ネットワーク」が、気候変動対策に消極的と判断した国に贈る「化石賞」の授与対象に日本を選んだことの受け止めを問われ、〕わが国の排出削減実績は1.5℃目標と整合する形で進展しており、脱炭素に向けた取り組みを大いに誇ってよいと思う。さらに政府は、イノベーションへの投資促進に資する「グリーントランスフォーメーション経済移行債」の発行や、排出量取引を試験的に行う「カーボン・クレジット市場」の開設といった取り組みを進めており、評価に値する。日本の取り組みについて理解増進を図っていくことも重要だが、企業としては、政府と連携しながら、カーボンニュートラルの実現に向け、着実に取り組んでまいりたい。

【為替】

〔直近1年ほどの為替水準について問われ、〕本日の会長・副会長会議の議論では、さまざまな発言があった。為替相場には経済のファンダメンタルズが反映されると言われており、政府債務残高の増加、研究開発力の低下、少子高齢化の進展といったわが国の課題の表れという面もある。いずれマイナス金利政策が解除されれば、為替は一定程度円高方向に動くだろうが、それだけでは不十分であり、諸課題の解決によってわが国のファンダメンタルズがより堅調となり、自国通貨の価値が高まることが望ましい。こうした見方、意見が多かったように感じた。

〔日銀に対して金融政策の変更を働きかけるのかと問われ、〕経団連は、賃金と物価の好循環を実現すべく、今年以上の熱量をもって賃金引上げを呼びかけていく。そうした状況を踏まえ、政府・日銀が今後の政策について判断されることであろう。

【賃金引上げ】

〔来年の春季労使交渉に向けた賃金引上げの機運醸成の手応えについて問われ、〕持続的な賃金引上げには、中小企業や有期雇用等労働者にまで波及させることが重要であり、「パートナーシップ構築宣言」への参画企業の拡大と実効性の確保に向けて政労使で取り組みを深化させている。ベースアップの継続は容易ではないが、企業の社会的責任として賃金引上げを呼びかけた昨年から今に至るまで、その機運やモメンタムはしっかり維持されているという手応えを感じている。

〔連合が「2024年春季生活闘争方針」(12月1日公表)で来年の賃金引上げ目標を「5%以上」に正式決定したことの受け止めを問われ、〕昨今の物価上昇を踏まえれば、連合が「5%以上」という今年以上の高い目標を掲げたことは、労働運動として理解できる。

【大阪・関西万博】

〔会場建設費以外の様々な経費に関する報道について問われ、〕政府が、万博の準備等に直接資する経費を含めた全体像を示し、透明性をもって説明されると思っている。博覧会協会は引き続き、高いコスト意識をもって会場建設費や運営費を管理していく。

〔機運醸成について問われ、〕東京・大阪等で開催した開幕500日前イベント(11月30日)は大いに盛り上がったのではないか。前売り入場券も発売された。売れ行き順調と聞く。私自身、さてどういう組み合わせで、何枚買おうかなど、わくわくと嬉しい悩みの渦中にある。より多くの方々に購入していただけるよう、機運醸成に努めていく。

【政治資金パーティー問題】

〔自民党派閥のパーティーの収支の一部が政治資金収支報告書に記載されず裏金化した疑いありとされる件について問われ、〕政治資金規正法の規定では、パーティー券についても、政治資金収支報告書に収支を記載することになっている。その一部が不記載で議員の裏金となっているとの報道が事実であるとすれば、あってはならないことであり、直ちに是正されるべきである。報道を見る限り、各政治団体の説明は不十分であり、しっかりと説明責任を果たすべきである。

〔政治寄附の目的について問われ、〕日本は民主主義国家である。その大前提のもと、民主政治を適切に維持していくためには相応のコストがかかる。クリーンな政治寄附は企業の社会貢献の一環として重要性を有する。

以上

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