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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2024年7月8
一般社団法人 日本経済団体連合会

【東京都知事選挙等】

〔東京都知事選挙、東京都議会議員補欠選挙(ともに7日投開票)の受け止めや小池都知事への期待を問われ、〕現職の小池氏が強かった、という印象である。8年間の都政運営の実績を評価されたことが大きかった。東京は、国際金融都市としての地位の確立といった国際競争力の強化や、少子化対策、災害からの首都防衛など、課題が山積している。小池都知事には引き続き強力なリーダーシップの発揮を期待する。

都議補選について、自民党は都議会での第一党を確保した。ただ、接戦のうえ競り負けた選挙区が複数あり、政治資金の問題などにより厳しい面が残っていると感じた。

【日経平均株価】

〔先週、日経平均株価が最高値を更新したことの受け止めを問われ、〕手放しというわけにはいかないが、最高値更新は素直に喜んでいい。他方、あまり一喜一憂するものではない。デフレからの完全脱却を目指す官民の前向きな取り組みが進み、経済の潮目が大きく変化していることがよい影響を及ぼしているとも思う。強い経済が評価され、それが為替にも反映していくという姿が望ましい。

【実質賃金】

〔厚生労働省の5月の毎月勤労統計調査において、実質賃金が26カ月連続でマイナスとなったことの受け止めを問われ、〕毎月勤労統計調査で実質賃金の算出に用いられている消費者物価指数は「持家の帰属家賃を除く総合」であり、日銀や政府の会議等で使われている指数(「総合」、「生鮮食品を除く総合」)より高くなる傾向があることに留意が必要である。今年は歴史的な引上げを記録した昨年をさらに上回る高水準の賃金引上げがなされているが、中小企業を中心に、改定後の賃金の支給はこれから(6月以降)である場合が多く、賃金引上げの効果が統計に完全には反映されていない面もあるのではないか。(日本経済研究センターの調査によると、)8割近いエコノミスト等が、年内に実質賃金がプラスに転じると予想しており、これが実現することを期待している。

【グリーントランスフォーメーション(GX)】

〔二律背反の可能性も指摘されるグリーントランスフォーメーション(GX)とデジタルトランスフォーメーション(DX)の関係について問われ、〕GXとDXは両方進める必要がある。例えば、電力の効率的な利用や電源の分散化を実現するには、DXの力が必要である。AIの普及をはじめとするデータ処理の増加による電力の需要増に対しては、技術開発を進められることと思う。

〔国際熱核融合実験炉(ITER)のスケジュールの遅れに関連し、今後の核融合発電の実現への道筋や、他の電源の活用について問われ、〕地球温暖化は待ったなしの課題であり、核融合の実現は地球全体の公益に資するものである。ITERは各国・地域が共同で核融合発電の実現を目指す国際プロジェクトであり、是非ものにしてほしいが、同時に、これまでに得た知見を基に各国が独自に実用化に向けて切磋琢磨すればよい。

加えて、10~20年以内には核融合発電が実用化しないと予想されるなか、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、既存の軽水炉型原発が抱える高レベル放射性廃棄物の課題の克服にもつなげる観点から、次世代革新炉の開発が進むことを大いに期待している。

【企業不祥事】

〔トヨタ自動車子会社の下請法違反や川崎重工業の架空取引など、企業のコンプライアンス違反が相次いでいることについて問われ、〕非常に遺憾である。常々申し上げているように、企業は社会性の視座に立った活動が求められている。社会に貢献する活動を展開するとともに、自らを律した行動をするべきであり、コンプライアンスに違反する行動は厳に慎まなければならない。下請企業との取引適正化は極めて重要であり、経団連は企業行動憲章を改定(5月)し、「パートナーシップ構築宣言に基づき、サプライチェーン全体の共存共栄を図る」と明記した。

コンプライアンス体制が強化され、こうした事案がより認知されやすくなっているとすれば、それ自体は結構なことである。経団連も企業行動憲章の遵守を一層呼びかけていく。

以上

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