一般社団法人 日本経済団体連合会
【大阪・関西万博】
〔万博の準備の進捗度合いや今後の課題について問われ、〕開幕まであと73日と、目前に迫っている。昨日、会場を視察した。準備が非常に進んでおり、魅力的なコンテンツの多い万博だということを改めて実感した。約2820万人の来場者数をぜひ達成したい。
課題は、万博の魅力の発信である。ンテンツは固まりつつあり、SNS等で発信をしている。開幕直前、あるいは直後に入場券の販売が一気に進むことを期待している。
〔5月末に経団連会長を退任した後の万博協会の会長職について問われ、〕関係者の皆様に承認されれば、引き続き協会の会長を務めたい。開幕は目前に迫っており、閉幕まで職務を全うしたい。正式には理事会等の手続きを経て決定するものである。
〔引き続き万博協会の会長職を継続する理由を問われ、〕経団連会長に就任以降、長きに渡り、大阪・関西万博の成功に向けて努力してきた。様々な困難を乗り越えてここまできたという思い入れもある。関係者とも日々連携し、チームワークを築いてきた。開幕直後に交代すれば、後任の会長の負担も大きい。最後まで責任を持ってやり遂げたいという思いが強い。
〔万博協会からフジテレビへのCM出稿、ならびに会期中のフジテレビ主催イベントについて問われ、〕現時点で万博協会としてフジテレビへCMの出稿はしておらず、一連の事案を受けて出稿を差し止めたものはない。今後のCM出稿については、第三者委員会の調査結果も踏まえ、フジテレビが再発防止策の実施、企業風土の刷新、ガバナンスの改善をいかに進めるかを確認し、最終的に判断したい。
〔前売り入場券の販売状況の受け止めを問われ、〕パビリオンの内容や催事スケジュールといったコンテンツは固まりつつある。魅力あるコンテンツが盛り沢山であるため、来場者による発信が相乗効果を生み、特に後半は来場者が増えるであろう。大阪メトロ中央線の新駅「夢洲駅」(1月19日開業)も視察したが、十分なスペースが確保されており、多くの来場者を迎え入れる体制は整っている。ただし、来場者数の平準化の観点から、会期前半にも多くの方に来場してほしい。開幕から7月18日まで利用可能な前期券は価格を抑えて販売している。会期前半に数多く来場いただけるよう引き続き取り組んでいく。
〔前売り入場券の販売目標である1400万枚の達成見込みを問われ、〕経済界分は、前売り入場券の販売目標である700万枚を達成できる見通しである。一般販売の先行きは見通せないが、一度売れ行きが良くなると加速度的に販売が進むであろう。コンテンツの発信に全力で取り組んでいく。
〔経済界としての前売り券のさらなる販売促進について問われ、〕700万枚を超えて購入されることを期待しているが、経済界としての販売目標を積み増すことは現時点で考えていない。
〔運営費が赤字になった場合の対応について問われ、〕過去の万博の結果を見ても、会期後半に来場者が集中していることから、最終的に赤字になるかどうかをまだ判断する時期ではない。万が一赤字となった場合は、国、地元自治体、経済界で対応を協議するほかないが、今は、前売り券の販売促進など、万博の運営費が赤字とならないようにどうすべきかを考え、実行する時期である。
〔万博を契機とした関西経済の活性化について問われ、〕大阪・関西万博は地方創生の起点になる。万博を訪れた多くのインバウンドが、各地方、とりわけ関西の観光地等を訪れることの影響は非常に大きいのではないか。また、大阪・関西万博の閉幕後、2030年頃には大阪IRの開業も予定している。万博に先立って新設された夢洲駅も大阪IRの成功に寄与するであろう。
【厚生年金】
〔従業員に厚生年金加入義務が生じる企業規模要件の撤廃を2035年に先延ばしする案を厚生労働省が自民党年金委員会に提示した(29日)ことについて問われ、〕経団連としては、企業規模要件の撤廃の早期実現を訴えている。1月24日の自民党年金委員会では、2029年に企業規模要件を撤廃する案が示されたところ、29日の同委員会で2035年からの撤廃に先延ばしする案が提示されたと聞いている。企業規模要件の撤廃を実現するという方針自体は評価したい。実施時期については、新たに適用拡大の対象となる企業や加入者に過度な影響が及ばないよう配慮した結果だと受け止めている。
【FOMC】
〔FRB(米連邦準備理事会)がFOMC(連邦公開市場委員会、28日・29日開催)で政策金利の据え置きを決定したことの受け止めを問われ、〕雇用統計や物価動向を踏まえ、米国経済をソフトランディングさせるための適切な判断をされたのではないか。
理屈で考えれば、外国からの輸入品に関税を課し、雇用を守って失業者を減らし、減税も行えば、景気は過熱し、物価は上昇する。FRBは、トランプ大統領の政策を見極めて、今後の利下げタイミングについて判断されるのではないか。