[ 日本経団連 > 日本経団連の概要 > 業務・財務等に関する資料 > 2003年度事業報告 ]

2003年度事業報告
I.事業活動の概要

2003年度事業計画の概要と主な活動


1.政策全般

基本方針等の策定

日本経団連の活動指針となる総会決議を取りまとめ(5月)。

2.経済・法制関係

(1)適切なマクロ経済政策運営の実現

  1. 産業力強化に向けた企業自らの戦略のあり方について、優れた業績を上げている企業ならびに有識者からのヒアリングを行う等検討。
  2. 内閣府、日本銀行等とマクロ経済全般にわたって意見交換。
  3. 経済運営と経済情勢に関するアンケート調査を実施(8月、2004年2月)。
  4. 官庁統計における報告者負担の軽減を図るとともに、統計行政および経済統計の改善に向け、関係方面と意見交換。

(2)社会保障制度、税制、財政構造の一体的改革の実現

  1. 公的年金制度の今後のあり方について検討を重ね、「今次年金制度改革についての意見」(9月)を取りまとめ、政府・与党等に働きかけた。その後、「年金保険料引上げ反対協議会」を設置し、緊急集会を開催(12月)。「抜本改革なき厚生年金保険料率の引上げに反対する」決議を採択し、政府・与党に働きかけた。
  2. 企業年金制度について、厚生労働省はじめ関係方面に働きかけた結果、経済界の意見を反映した形で法改正が実現。
  3. 医療保険制度の体系のあり方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬の体系の見直しについて、社会保障審議会、中央社会保険医療協議会の審議に、経済界の意見を反映させた。
  4. 介護保険制度の見直しに向けた検証を行い、社会保障審議会の審議に意見を反映。
  5. 政府税制調査会における「中期答申」取りまとめを念頭に、中長期的な税制改革に関する経済界の考え方を示した「近い将来の税制改革についての意見」(5月)、さらに「平成16年度税制改正に関する提言」(9月)を取りまとめ、政府・与党に強力に働きかけた。その結果、平成16年度税制改正において、税・財政・社会保障の一体改革に向けた一定の方針が示される一方、住宅ローン減税、欠損金の繰越控除期間の延長、連結付加税の撤廃等が実現。
  6. 日米政府が11月に署名した日米新租税条約の早期発効に向けて、政府・与党に対し早期批准を強く働きかけた結果、2004年3月までに日米両議会で改正条約が承認され、新条約の発効が2004年7月に繰り上がることとなった。
  7. 中期的に財政運営の安定化を確保する観点から、国債管理政策のあり方について、「魅力的で信頼される国債市場の発展に向けて」(5月)を取りまとめ、プライマリー・ディーラー制の導入等国債引受制度の見直しを提言。
  8. 当面の財政運営について、政府の財政制度等審議会において、経済界の意見を表明。

(3)複線的金融システムの構築

  1. 金融審議会での証券取引法、信託業法等の改正の検討に対応するため、「ニーズに応じた信託業法等について(メモ)」(5月)、「インサイダー取引規制の明確化に関する提言」(12月)を取りまとめ。また、金融庁等との意見交換を通じて、不公正取引に対する課徴金導入に伴う刑事罰との調整、目論見書制度・公開買付制度の合理化等の要望実現を働きかけた。
  2. 証券市場改革、郵政民営化等について、金融庁、東京証券取引所、証券保管振替機構等と意見交換。東京証券取引所が取り組む上場規則等の見直しに対して、検討会への参加等を通じて、経済界の要望を働きかけた。
  3. 外国為替管理法に基づく事後報告制度の見直しについて、会員企業にアンケート調査を実施し、財務省に対し、報告を要する取引類型の明確化等を求めた。
  4. 金融機関等のビジネスモデルの再構築および資本市場の制度整備の観点から、33項目の規制改革要望を取りまとめた。

(4)経済法制のさらなる整備

  1. 会社法の改正に関して、定款授権による自己株式取得に関する改正等について、その実現を政府・与党に働きかけた。会社法制の現代化の議論に対し、「会社法改正への提言」(10月)を公表、さらに法制審議会会社法(現代化関係)部会が12月に公表した「要綱試案」に対する経済界の意見を取りまとめ、野沢法務大臣をはじめ関係者に働きかけた。
  2. 司法制度改革推進本部等を通じて、裁判の迅速化等、経済界の要望の実現を働きかけた。破産法、倒産実体法、民事訴訟法、民事執行法に関する法案等について、法制審議会での審議やパブリック・コメントへ対応し、経済界の考え方を反映させた。
  3. 国際会計基準に関して、「会計基準に関する国際的協調を求める」(10月)を取りまとめ、日米欧の政府関係者および経済界に働きかけた。また、EUと英国に対し、日本基準による開示書類を受理するよう要望を取りまとめ、働きかけた。企業会計審議会での企業結合会計の基準策定や金融審議会でのディスクロージャー制度の充実等の課題に対して、意見を取りまとめ、その実現を働きかけた。
  4. 国民生活審議会での公益通報者保護法案、消費者保護基本法案の検討に対して、経済界の考え方を取り入れるよう、働きかけた。
  5. 措置体系ならびに独占・寡占規制見直しに関する独占禁止法改正について、「独占禁止法の措置体系見直しについて」(9月)を取りまとめ、政府・与党をはじめ関係各方面に対して、拙速な独占禁止法改正に反対するため、働きかけた。また、欧州の競争政策の現状について、欧州委員会担当者との懇談会(11月)、EU弁護士によるセミナー(12月)等を開催。

3.行革・産業・国土関係

(1)行政改革・規制改革のさらなる推進

  1. 規制改革を全国規模に集中的かつ分野横断的に進めるとともに、2004年度以降の規制改革の推進体制の確立を求め、「『民主導・自律型システム』の確立に向けた新たな規制改革の推進方策について−日本経団連新ビジョンに基づく規制改革プログラム−」(5月)を公表、政府・与党へ建議、働きかけた。その結果、民間人主体の規制改革・民間開放推進会議が引き続き設置されるとともに、政府内に規制改革・民営化推進本部が新設されることとなった。
  2. 会員からの要望を集めた「2003年度規制改革要望」(10月)を取りまとめ、総合規制改革会議等に対して、その実現を働きかけた。その結果、政府で取りまとめた「規制改革の推進に関する第2次答申」(12月)、「規制改革・民間開放推進3か年計画」(2004年3月)等に日本経団連の要望が数多く盛り込まれた。

(2)構造改革の着実な進展、新たな成長分野の振興

  1. 今後のわが国経済の一翼を担うことが期待されるエンターテインメント産業を振興するため、国家的取組みを求める「エンターテインメント・コンテンツ産業の振興に向けて」(11月)を取りまとめ、その実現を政府・与党に働きかけた。
  2. 外国人の受け入れに関し、経済面のみならず、社会・文化面にわたり幅広く検討するとともに、企業関係者、関係省庁、有識者、地方自治体関係者等からヒアリングを行い、「外国人受け入れ問題に関する中間とりまとめ」(11月)を公表し、広く問題提起した。寄せられた意見を参考にしつつ、「外国人受け入れ問題に関する提言」を取りまとめるべく、さらに検討を深めた。
  3. 次代のコアとなる企業内の新事業推進に向けて、各企業の取組みや現状を把握し、課題や改善策の検討を加えた上で、報告書を取りまとめるべく検討。
  4. 会員企業とベンチャー企業との情報・意見交換、人的交流を通じて、起業家精神の涵養と企業間連携の推進を図るべく、「起業フォーラム」を開催(5月、7月、9月、12月)。また、起業家と日本経団連首脳が、新規事業の創出や経済活性化のための方策等を意見交換する場として「起業家懇談会」を開催(12月)。
  5. 農業の構造改革、食料自給率の向上等をめぐり、農業団体と首脳レベルの懇談会を開催(12月)。また、貿易自由化の潮流に耐え得るわが国農業の構造改革の加速化に向け、亀井農林水産大臣をはじめ農林水産省幹部、学識経験者、農業従事者等と意見交換を行うとともに、経済界の意見を取りまとめるべく、検討。

(3)ITの利活用の促進

  1. 政府の「e-Japan戦略II」、「e-Japan重点計画−2003」ならびに「電子政府構築計画」に経済界の意見が反映されるよう、意見を取りまとめ(6月7月7月)、政府に働きかけた。
  2. 7月に、電気通信事業法における一種・二種事業区分の撤廃等を内容とする改正法案が成立し、これに伴う関連政省令案の公表に対して、企業ユーザーの意見を取りまとめた(2004年1月)。また、総務省研究会から、通信分野の競争評価手法に関する報告書案や電波利用料制度のあり方に関する論点整理が公表された際に、経済界の意見を取りまとめた(6月2004年1月)。
  3. 著作権処理を迅速・簡易に行えるような環境の整備に向け検討を重ね、著作権に係る利用者・権利者団体双方の共通認識を取りまとめた(6月)。
  4. 政府の「e-Japan戦略II加速化パッケージ」に「e-文書法」の制定等の施策が盛り込まれたのを機に、税務書類の電子保存範囲の拡大を実現するため、「税務書類の電子保存範囲の拡大を改めて要望する」(2004年3月)を取りまとめた。
  5. 情報通信分野の規制改革要望を25項目取りまとめ、総合規制改革会議等に対し、実現を働きかけた。

(4)都市再生と地方振興、良好な居住環境の実現

  1. 都市再生・地域活性化へ向けて、政府・自民党関係者との意見交換を開催。
  2. 政府が2004年中にPFI法の見直しを行うことを踏まえ、「PFI事業の推進に関する第三次提言」(2004年1月)を取りまとめ、政府・与党にその実現を働きかけるとともに、「官民交流PFIシンポジウム」(2004年1月)を開催。
  3. 観光振興、訪日外国人観光客の増大に向けた取り組みとして、「ツーリズム・サミット2003」を開催(12月)。
  4. 住宅および住環境の質の向上に向けて、「住みやすさで世界に誇れる国づくり」(6月)を取りまとめ、関係各方面に建議。また、ドイツ、イタリア、フランスを訪問(9月)、各国の住宅政策および都市・住宅事情を調査し、報告書をまとめた。
  5. 住宅・土地税制改正に向け、政府・与党に働きかけた結果、住宅ローン減税の現行規模での1年延長、特定の居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の繰越控除制度の拡充・延長等が実現した。
  6. 地域経済の振興に向けて、住宅政策、地域産業振興のための資金調達、ツーリズム産業活性化について検討。

(5)物流効率化、流通分野における改革の推進

  1. 輸出入・港湾諸手続きの業務改革を進めるべく、関係府省と意見交換、改革促進を強く働きかけた。また、米国の積荷情報24時間前申告ルールやC−TPATなどのセキュリティ関連施策に関して、セキュリティ確保と物流効率化をともに促進する観点から、経済界の要望をとりまとめ(7月、8月)、日米両政府関係者に働きかけた。
  2. 大型車両の安全運用に関して、「安全運送に関する荷主としての行動指針」(10月)を策定、周知に努めた。
  3. 国際拠点空港ならびに道路関係四公団の民営化問題について、政府関係者からヒアリングを行った。
  4. 21項目の運輸分野の規制改革をとりまとめ、関係方面に働きかけた結果、内航タンカーの20海里航行規制の緩和や保税船舶用重油の積込承認申請に関する規制緩和に向けた検討開始等が実現。
  5. 流通分野における高コスト構造の是正や物流の効率化に求められる環境整備等について、関係業界からヒアリングを行うとともに、「商流・物流システムの効率化に関する提言」を取りまとめ(10月)、政府へ建議。
  6. 流通分野における規制改革要望を取りまとめ、その実現を関係方面に働きかけた。

4.技術・環境・エネルギー関係

(1)競争力を有する科学・技術基盤の整備と先端技術の事業化・産業化

  1. 戦略的かつ総合的な科学技術政策の推進に向け、総合科学技術会議の活動を支援するとともに、細田科学技術政策担当大臣との懇談会(5月)を開催する等、内閣府、経済産業省、文部科学省等の政府関係者と意見交換。
  2. 内閣府・日本学術会議との共催で「第2回産学官連携推進会議(6月)」「第3回産学官連携サミット(11月)」を開催し、産学官トップの一層の相互理解を深めた。
  3. 科学技術政策投資の戦略的重点化を進める観点から、特に、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、シミュレーション分野の研究開発推進を働きかけた。
  4. 政府の知的財産戦略本部による知的財産推進計画の策定・改訂に対応し、「知的財産推進計画への意見」(4月)、「知的財産推進計画の改訂に向けて」(2004年3月)を取りまとめ、関係方面に働きかけた。
  5. 産業競争力の強化の観点から、国際標準化戦略のあり方や政府、大学・公的研究機関、国際標準化機関に関する検討を行い、「戦略的な国際標準化の推進に関する提言」(2004年1月)を取りまとめた。
  6. 大陸棚調査について、政府関係者と意見交換するとともに、民間としての対応のあり方を検討するため、海洋関連団体からなる「大陸棚確定調査連絡会」を設置(11月)。

(2)地球温暖化問題への対応と廃棄物問題への取り組み

  1. 小池環境大臣と環境問題全般に関し、意見交換(11月)。環境立国の実現に向け、「環境立国のための3つの取組み」(2004年1月)を取りまとめ、経済界としての環境立国に向けた取組み姿勢を示すとともに、会員企業や団体に対し、環境報告書をはじめとする積極的な情報発信を求めた。
  2. 2004年の地球温暖化対策推進大綱の見直しに向けて、「環境税の導入に反対する」(11月)を取りまとめ、政府・与党に働きかけた。
  3. 「環境自主行動計画(第6回)フォローアップ結果(廃棄物対策編)」(2004年3月)を取りまとめる等、廃棄物・リサイクル対策に関する産業界の自主的取組みを推進。また、廃棄物処理法改正にあたり、経済界の考え方が盛り込まれるよう政府等関係方面に働きかけ、その結果、広域的なリサイクル推進のための環境大臣認定特例制度等が取り入れられた。
  4. 水生生物保全のための環境基準設定の動きに対応し、「水質環境基準の拙速な設定に反対する」(6月)を取りまとめた。
  5. 廃棄物・環境保全分野、危険物・防災・保安分野に関する規制改革要望を取りまとめ、その実現を働きかけた。

(3)エネルギー政策の着実な推進

  1. 政府におけるエネルギー基本計画の策定に向けて、資源エネルギー庁、学識経験者等と意見交換を重ね、原子力を基幹としたエネルギー総合戦略の確立を要望した。その結果、基本計画は、概ね経済界の意見を反映した内容となった。
  2. エネルギー分野の規制改革要望を取りまとめ、実現を働きかけた。

(4)防衛生産・技術基盤の維持・強化

  1. 政府が2004年中に、防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画の見直しを予定していることから、有識者からのヒアリングを行い、安全保障関係や防衛産業の状況についての認識を深めた。
  2. 日米防衛装備・技術協力の推進に向けた諸課題の解決を図るため、日米防衛当局と日米の防衛産業代表者が一堂に会する日米官民合同会合を開催(10月)。

(5)宇宙開発利用・宇宙産業の競争力強化

  1. 今後の宇宙開発利用の拡大に向けた課題や官民の役割分担などについて検討を深め、「今後の宇宙開発利用に関する要望」(5月)をとりまとめ、宇宙利用・産業化の促進に向けた経済界の考え方を示し、関係方面に対して働きかけた。
  2. 今後の宇宙開発利用の拡大に向けて、将来のユーザー企業と宇宙機器産業が一堂に介して検討を進める場を設置し、宇宙開発事業団、経済産業省と意見交換。
  3. 準天頂衛星システムの開発利用の推進、事業化に向けた検討を進めるとともに、政府など関係者に働きかけた。
  4. 10月に発足した「宇宙航空研究開発機構」の長期計画に、経済界の意見が反映されるよう、文部科学省宇宙開発委員会をはじめとする関係者と意見交換。

(6)自然保護プロジェクトの推進

  1. 公益信託経団連自然保護基金を通じ、内外のNGOがアジア太平洋地域および日本国内において実施する各種自然保護プロジェクトを支援。
  2. カンボジア・ブルネイ自然保護視察ミッションを派遣(9月)。

5.社会関係

(1)広報・出版活動の積極的展開

  1. 日本経団連が取り組むべき重要課題の広報戦略等について検討するとともに、活動内容に関する国内外に向けた広報を積極的に実施。
  2. 経済Trend経営タイムス等の出版物の改善・拡販に努力。会長・副会長等の記者会見録ならびにコメント(日英)の掲載迅速化等、情報提供に尽力。
  3. 連合首脳と直面する重要課題に関し意見交換を行う等、各界との対話を促進。

(2)政策本位の政党政治の実現

  1. 政党の政策評価の尺度となる、民主導・自律型の経済社会を実現するために緊急かつ重要な政策を列挙した「優先政策事項」(9月)を取りまとめるとともに、企業の政治寄付の意義に関する考え方を整理し、公表。これらに基づき、「企業の自発的政治寄付に関する申し合わせ」(12月)、ならびに「2004年度第一次政策評価結果」(2004年1月)を公表。
  2. 国会議員と日本経団連首脳との懇談会である政経懇談会(2回)、政治関連の有識者による講演会(6回)、各党幹部との懇談会(7回)、若手政治家との政策懇談会(3回)、地方での講演会(1回)等を開催。
  3. 企業人政治フォーラム会員専用のホームページにおいて、会合の模様やアンケート調査結果を掲載し、会員に対する情報提供に努めた。

(3)企業・経済界に対する社会の共感と信頼性の向上

  1. 企業不祥事の防止に向け、「企業倫理徹底のお願い」(10月)を公表し、全会員に送付、周知。
  2. 第2回企業倫理トップセミナーを開催し、会員企業の企業倫理担当役員等が参加(10月)。

(4)企業の社会貢献活動の推進、NPO等との連携・協働の支援

  1. 日本における企業の社会的責任(CSR)のあり方について、「CSR推進にあたっての基本的考え方」(2004年2月)を公表するとともに、CSRの課題に対応した社会貢献活動のあり方も検討した。
  2. 「2002年度社会貢献活動実績調査」(12月)を取りまとめ、公表。
  3. 1%クラブ会員の交流会、1%クラブカレッジ、チャリティ・フェスティバルを開催。また、1%クラブニュース等を発行。企業の社会貢献活動やNPOの活動に関するコンサルティングを実施。
  4. イラクでの緊急救援活動等を行っているジャパン・プラットフォームの運営に協力。

(5)教育改革等の推進

  1. 若者の職業観・就労意識の形成・向上策について、「若年者の職業観・就労意識の形成・向上のために−企業ができる具体的施策の提言−」 <PDF>(10月)を取りまとめた。
  2. 今後の教育政策のあり方について、教育行政や学校関係者からのヒアリングを行うとともに、経済界が求める人材像や大胆かつスピード感ある改革の推進策を、「21世紀を生き抜く次世代育成のための提言−「多様性」「競争」「評価」を基本にさらなる改革の推進を−」として取りまとめるべく検討した。
  3. 文部科学省、学識経験者と教育改革等について懇談会を随時開催。

(6)企業防災の検討

  1. 防災対策に関する政府の取組みをヒアリングしつつ、企業の取組み状況の調査を行い、「災害に強い社会の構築に向けて」(7月)をとりまとめた。
  2. 今後の防災のあり方、地震に強い社会の構築に向けて、「企業と防災に関するシンポジウム」を開催(7月)。

6.労働関係

(1)企業経営者が採るべき指針の策定

「経営と人」に関する基本的な考え方を総合的に検討し、労使交渉に際して、全国の企業経営者の指針となる報告書「経営労働政策委員会報告」(12月)を取りまとめた。今次労使交渉の課題としては、総額人件費管理の徹底、賃金水準の適正化と年功型賃金からの脱却、仕事や役割に応じた複線的な賃金管理への転換を主張。

(2)適切な雇用対策のあり方の検討

  1. 今後の高齢者雇用対策について、アンケート調査を実施。定年延長の義務化反対を主張し、法改正に反映させた。
  2. 労働者派遣法、職業安定法の見直しにあたって、経済界の意見を取りまとめ、関係政省令の見直しに反映させた。
  3. 新卒採用問題への対応として「2004年度新規学卒者の採用・選考に関する企業の倫理憲章」(10月)を公表。また、その遵守徹底を図る観点から「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」(12月)を公表。

(3)人事・賃金管理のあり方、ダイバーシティマネジメントの検討

  1. 多様化する雇用・就労形態における人材活性化と人事・賃金管理について、報告を取りまとめるべく検討。
  2. 健全な労使関係の維持・発展に資するため、労働組合の実態把握に努めるべく、労組幹部と意見交換。
  3. 政府の中央最低賃金審議会における、「2003年地域別最低賃金改定の目安審議の状況」について使用者側委員と連携して対応。
  4. 仕事と家庭の両立支援について、アンケート調査を実施し、政府の労働政策審議会の審議に意見を反映させた。
  5. 企業における男女共同参画について、意識啓発を促すパンフレット「企業における男女共同参画」(2004年2月)を公表。
  6. 多様な人材を生かすべく、ダイバーシティ・マネジメントの具体的な取り組みについて検討。
  7. 財形制度の見直しについて、アンケート調査を実施し、政府の労働政策審議会に意見を反映させた。
  8. 労働安全衛生、労災保険関係法令の改正について検討を行い、労働政策審議会の使用者側委員と連携して対応。また、大規模事業場における爆発・火災事故に対応して、「安全対策の徹底について」(9月)を公表。

(4)労働法規のさらなる整備

  1. 解雇法制、有期労働契約等、労働基準法改正の課題について、経営側意見を法改正に反映させた。
  2. 司法制度改革への取組みとして、労働審判制度について検討し、政府の司法制度改革推進本部労働検討会に意見を表明。制度設計にあたって経営側意見を反映させた。
  3. 労働組合法改正について、政府の労働政策審議会に意見を表明し、法改正に経営側意見を反映させた。

(5)自立する中小企業の確立

自立する中小企業の確立に向けて、健全な中小企業金融市場の整備、人材確保や人材育成について検討。

(6)少子化対策の推進

  1. 「子育て環境整備に向けて」(7月)を取りまとめ、保育サービスの充実について、速やかな実現を坂口厚生労働大臣に要望。
  2. 若年労働力活用策と職場環境の整備について検討に着手。

(7)国際労働・社会分野に関する議論への参画

  1. ILO総会に立石委員長を代表とする日本使用者代表団を派遣(6月)。事前に各種議題に臨む使用者側の見解について審議するとともに、参加した使用者側代表団から報告を聴取。
  2. 各国の政治家、学者、使用者、労働組合、NGO代表から構成されるILOの「グローバル化の社会的側面に関する世界委員会」に参画するとともに、産業別、テーマ別に開催される各種の専門家会議やアジア地域の会議・セミナー等ILO会合に使用者側代表を派遣。
  3. 「アジア地域における労使関係」(7月)を取りまとめ、日系企業における紛争防止策について提言。
  4. 日本人の派遣社員・駐在員に焦点を当て、日系企業が直面している課題、研修・人事管理の取組みを検討。

7.国際関係

(1)自由貿易体制の推進・強化

  1. 「WTOカンクン閣僚会議に向けた緊急提言」(7月)を取りまとめ、その実現を働きかけ。同時に、欧米に調査団を派遣し、WTO幹部、欧州委員会、欧州産業連盟、米国通商代表部、米国商務省等と意見交換(7月)。
  2. WTO新ラウンドの交渉対象のうち、わが国経済界が重視しているサービス貿易交渉、貿易円滑化、貿易と投資について、政府関係者と意見交換し、交渉の推進を働きかけた。
  3. 通商分野の規制改革として、企業内転勤の条件緩和、安全保障輸出管理制度の規制緩和等の実現を政府に対し要望。
  4. 戦略的な経済連携協定(EPA)の推進に向け、物の貿易、投資ルール、人の移動、農業構造改革の推進ならびに推進体制の整備などについて、「経済連携の強化に向けた緊急提言」(2004年3月)を取りまとめ、その実現を政府・与党に働きかけた。

(2)ODA改革と途上国への経済協力の推進

  1. ODA大綱の見直しに向けて、「ODA大綱見直しに関する意見」(4月)を発表するとともに、政府原案の公表後も、「『政府開発援助』政府原案に対するコメント」(8月)を取りまとめ、経済界の考えを訴えた。
  2. 世界銀行と交流を重ね、パートナーシップの拡大に努力。
  3. 国際協力事業団の独立行政法人化に伴う諸制度の見直し状況を注視するとともに、専門家派遣などの人的貢献における今後の経済界との連携のあり方について対応策を検討。

(3)BIAC活動への積極的参加

産業技術、情報通信、経済政策、海運、バイオテクノロジー、税制等の分野を中心にOECDならびにBIAC会合に代表を派遣し、わが国経済界の立場から意見を陳述。

(4)北米

  1. 米国政府・経済界・有識者と意見交換するとともに、在日米国大使館等の関係機関との情報交換を強化。
  2. 海外事業活動関連協議会(CBCC)と協力して、日系アメリカ人コミュニティとの交流拡大に努力。
  3. カナダ経営者評議会(CCCE)との会合を開催(11月)。

(5)欧州

  1. 欧州経済の現状と見通し、EU拡大、日欧経済関係等について理解を深めるとともに、今後の対応策を探るべく、イタリア、英国、スペインにミッションを派遣(7月)。また、中東欧諸国のEU加盟準備の現状や、投資・ビジネス環境全般について実態を把握すべく、ハンガリー、スロヴァキア、クロアチア、およびバルト3国にミッションを派遣(9月および2004年3月)。
  2. 各ミッションの訪問先において、ベルルスコーニ イタリア首相、ブレア 英首相、メッジェシ ハンガリー首相、メシッチ クロアチア大統領、リューテル エストニア大統領、ブラザウスカス リトアニア首相はじめ欧州各国要人と懇談。

(6)アジア・大洋州

  1. WTO加盟後の対中ビジネスの現状と課題について検討し、「WTO加盟後の中国との通商・経済関係の拡大に向けて」(5月)を取りまとめた。さらに、中国の新指導部と今後の日中経済関係や東アジアの経済協力のあり方について幅広く意見交換を行うため、中国ミッションを派遣(11月)。このフォローアップとして、日中通商対話ミッション(2004年3月)を派遣。
  2. 日・ASEAN包括的経済連携構想の実現に向け、「日タイ経済連携協定の早期交渉開始を求める」(5月)を提言。さらに、日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会との連名で「日タイ、日フィリピン、日マレーシア経済連携協定の早期交渉開始を求める」(11月)を発表し、その実現を政府はじめ関係者に働きかけ。この他、「日本ASEAN交流年2003」の関連事業に協力。
  3. 日韓FTAの早期締結と日韓の経済連携強化に向け、韓国大統領の訪日に際し、日韓FTAセミナー(9月)を開催。また全国経済人連合会との懇談会(2004年3月)を韓国ソウルで開催。さらに、日中韓三国による経済連携に向け、第2回中日韓ビジネスフォーラム(11月)を中国北京で開催。
  4. 中国重慶で実施している環境植林協力プロジェクトを推進。日中関係のさらなる発展の観点から、北京−上海高速鉄道計画に経済界として協力した。
  5. インドネシア(7月)、香港(12月) との合同会議を開催。
  6. 温家宝 中国国務院総理、盧武鉉 韓国大統領、メガワティ インドネシア大統領、ファン・ヴァン・カイ ベトナム首相等、各国要人と懇談。

(7)中南米

  1. 日本とメキシコの間の経済連携協定の早期締結に向け、「日墨経済連携協定の政府間交渉に関する要望」(6月)、日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会との連名で「日墨経済連携協定の早期締結を求める」(8月)を取りまとめ、政府に働きかけ。第26回日本メキシコ経済協議会(10月)を開催。フォックス大統領の訪日に際し懇談会を開催
  2. 第10回日本ブラジル経済合同委員会のフォローアップとして、日伯EPAの締結による両国間の経済、貿易に与える影響等について、企業へのアンケート調査、有識者からの意見聴取を行い、報告書の取りまとめ作業を進めた。
  3. 中南米諸国の駐在大使、外務省中南米局等と意見交換。

(8)中東・アフリカ

  1. イラク復興への日本政府の取組みに関する懇談会を計3回開催。
  2. 第3回アフリカ開発会議(TICAD III)へ経済界として参加・協力(9月)。
  3. 外務省中東アフリカ局等と意見交換。
  4. ワッド セネガル大統領、ギュル トルコ副首相兼外相等、各国要人と懇談。

(9)ロシア・NIS

  1. 日ロ間の貿易投資拡大に向け、有識者、日本およびロシア政府関係者との懇談会を開催した。さらに、科学技術、エネルギー、情報通信、観光の各分野での日ロ協力促進に向け、「第3回日ロ先端科学技術交流フォーラム」(5月)、「石油天然ガスを中心としたロシア投資環境セミナー」(2004年3月)を開催する等関係者と意見交換。
  2. ロシア極東地域との経済交流を進める観点から、「日ロ官民合同極東経済会議」をロシアウラジオストークで開催(6月)。
  3. ウクライナにミッションを派遣し、ズレンコ外相、アザーロフ第一副首相兼財務相等政府および経済界要人との意見交換(5月)。

(10)経営者団体間の交流・協力

  1. 韓国経営者総協会(KEF)との第3回交流会を韓国で開催(4月)。
  2. 中国企業連合会と共同で、第8回日中産業シンポジウムを開催(11月)
  3. 国際労働機関(ILO)、国際使用者連盟(IOE)と共同で、第6回アジア太平洋経営者サミットをバングラデシュで開催(12月)。
以上

日本語のホームページへ