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Policy(提言・報告書)  地域別・国別 アジア・大洋州 経団連訪中ミッション米倉団長所見

2012年5月16日

  1. 1.5月14日から16日にかけて、唐家セン中日友好協会会長のお招きにより、9名の団員とともに恒例の訪中ミッションを組み、日中国交正常化40周年の記念事業(以下、日中国民交流友好年記念事業)の一つに位置づけて訪中した。また、これに先立つ5月13日に中国国際貿易促進委員会(万季飛会長)と韓国の全国経済人連合会(許昌秀会長)とともに第4回日中韓ビジネス・サミットを日中韓首脳会議に合わせて開催した。なお、滞在中の5月15日には中国国際貿易促進委員会の創立60周年の記念晩餐会に招かれ、これに出席した。

  2. 2.今次ミッションは、王岐山国務院副総理、唐家セン中日友好協会会長、蔡武文化部長ほか中国の官民リーダーと、日中両国の信頼関係の深化や経済関係の一層の強化の方策について意見交換を行うなど多くの成果を得ることができた。
    具体的には、昨年、中国からいち早くご支援を頂いた東日本大震災の被災地の復興状況を報告するととともに、国交正常化40周年を祝う日中国民交流友好年記念事業の進め方並びに第12次五ヵ年計画の下での唐山市曹妃甸協力を含む日中協力のあり方について話し合った。また、日中韓首脳会議で合意した日中韓自由貿易協定(FTA)の年内交渉開始を早期に実現するため、第1回交渉の早期開催を中国政府に直接働きかけた。

  3. 3.第4回日中韓ビジネス・サミットでは、日中韓FTAの早期締結ならびに省エネ・環境保護、物流、都市づくり、知的財産権保護、金融分野等での三国間協力について議論した。ビジネス・サミットの終わりに首脳会議を終えた野田日本国総理大臣、温家宝中国国務院総理、李明博韓国大統領が会議場に来られ、首脳会議において日中韓投資協定を調印し、日中韓FTAの年内交渉開始に合意したことを報告された。また、三首脳より、欧州をはじめ世界経済が不透明な状況にある中、アジアの中核である日中韓三国が経済統合を推進し、経済発展を図ることが世界経済の成長にとって大切であることが強調された。三国の官民の間で三国間協力の重要性の認識を共有したことは成果であった。経団連としては日中韓FTAの早期交渉入りを引き続き3国政府および関係方面に働きかけてまいりたい。

  4. 4.訪中ミッションと王岐山副総理との会談では、同副総理から、財政問題等で低迷する欧州各国や米国の経済情勢とその世界経済への影響について強い関心が示された。こうした中で、アジアの中核国であり世界第二位と第三位の経済大国である中国と日本が経済連携を推進し、協力を強化させることの重要性が指摘された。特に、巨大市場を擁する中国と、新エネルギー、省エネ、IT、ロボット、ハイブリット車など製造業分野等で最先端技術のある日本とは相互補完関係にあり、これを深化させ互いに経済発展していくべきであるとの指摘があった。
    また、欧州の財政問題がなかなか解決の糸口を見出せない理由として、各国の政治情勢が経済問題を過度に政治化しているためであるとの指摘があり、経済問題の政治化を避けるべきであるとの考えが示された。最後に、「経団連首脳とはいつでも直接話し合いたい。また、それによって種々の問題の解決を進めるとともに信頼関係を深めていきたい」との積極的なご発言があった。

  5. 5.その他の訪問先では、最初に私から東日本大震災に際して中国の政府と国民より頂いた温かい励ましと迅速かつ多大な支援を通して、日中間の信頼と人的関係がかけがえのないものであることを改めて認識したことを紹介するとともに、日中国民交流友好年記念事業では、この関係をさらに高めるためにも人的交流に注力したい旨を伝えたところ、中国側からは全面的な賛同を頂いた。これに関連して、崔天凱外交部副部長から、人的交流に加えて、経済・貿易交流が日中関係の基礎的な役割を果たす柱であるとのご発言があった。
    さらに、蔡武文化部長からは、4年前の四川大地震と昨年の東日本大震災での両国間支援を通じて両国の国民は心の絆を強めたとの考えが示され、日中国民交流友好年記念事業を通じた両国間の相互理解と親近感の醸成が健全な日中関係に寄与するとの力強いお言葉を頂いた。
    また、記念事業の一環として9月に上海で開催するグリーンエキスポの開会式に王岐山副総理、唐家セン中日友好協会会長、蔡武文化部長、李幹傑環境保護部副部長をはじめ中国側首脳のご出席を要望したところ前向きに検討するとの積極的なご回答を頂いた。
    また、環境分野については、中国側より、先の全国人民代表大会での「経済成長パターンを資源浪費型・環境汚染型から資源節約型・環境調和型に移す」決定を背景にして、第12次五カ年計画の下で、この分野における日本の最先端技術の活用について強い期待が寄せられた。
    特に、李幹傑環境保護副部長からは、「現在のエネルギー多消費型経済を続ければ中国は持続可能な発展を達成できないことから、資源節約社会への移行は、地球全体のみならず中国自身の問題である。今や環境保護は中国の重要な基本的国策である」と述べ、環境関連産業の生産規模が2015年には3兆人民元となるとの見通しを示しながら、この分野で是非とも日中協力を進めたいとの希望が述べられた。
    また、日本側より、日中間の環境協力のシンボルである唐山市曹妃甸エコ工業パーク事業で複数の日中協力の案件の検討が進んでいることを報告したところ、これについて中国側より評価されるとともに、日本企業の進出について全面的に支援したいとの表明があった。
    それぞれの訪問先では、「日中両国経済は相互補完関係にあり、両国のあらゆる経済分野で協力を促進させたい」との強い期待が重ねて寄せられたことから、日本側から、その一環として回復基調にある観光業をはじめ幅広い分野における協力を進めることを提案した。

  6. 6.滞在中、この国交正常化40周年の記念すべき年に中日友好協会より「中日友好使者」の称号を頂戴した。大変光栄であるとともに、身の引き締まる思いであり、これからの努力を行うための励ましであると理解して両国国民の友好の絆を一層深め、中国の発展と繁栄並びに日中関係の飛躍的な発展に努めてまいりたい。

以上

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