Policy(提言・報告書) 税、会計、経済法制、金融制度  日本における集団訴訟制度に関する緊急提言

2013年3月25日

経団連、日本商工会議所、経済同友会、在日米国商工会議所、アメリカ商工会議所法改革機関、欧州ビジネス協会及びBUSINESSEUROPEは、日本の消費者に対して良質な製品及びサービスを提供することに尽力する企業・経営者等によって構成されている。我々は、消費者相談センターや消費者団体による適正な活動、ADR、そして正当な権利として提起される民事訴訟など、消費者被害を救済するための制度を支持している。

現在、消費者庁は、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案」(以下「本提案」という)を今通常国会で成立させるべく準備を進めている。しかしながら、本提案は、ひとたび導入されれば、安倍総理の主導により加速の気配を見せ始めた日本経済の再生プロセスに、少なからぬマイナスの影響を及ぼす恐れがある。また、「本提案」では、訴えを提起する団体の背後に少額被害を被った相当多数の対象消費者の授権がないまま訴訟が提起される可能性があるなど、問題点が残されている。さらに、仮に本提案が施行前に締結された契約から生じた損害をも対象とすることになれば、より一層その影響が大きくなり得るため、遡及適用をすべきではない。したがって、内容の精査及び経済的影響の分析のための十分な機会がないまま本提案に基づく立法を拙速に進めることは不合理であると考えている。

消費者に対する実効的な救済を実現するとともに、雇用創出、賃金上昇、イノベーション及び経済成長といった政府の経済再生プログラムと整合的な制度とするために、十分に慎重な検討が必要である。

政府においては、今通常国会において法案を提出する方針を再考し、拙速な立法による悪影響を回避するとともに、ビジネスと消費者がWIN-WINの関係を構築できるよう支援いただきたい。

  • 一般社団法人 日本経済団体連合会
  • 日本商工会議所
  • 公益社団法人 経済同友会
  • 在日米国商工会議所(The American Chamber of Commerce in Japan)
  • アメリカ商工会議所法改革機関(U.S. Chamber of Commerce Institute for Legal Reform)
  • 欧州ビジネス協会(European Business Council in Japan)
  • BUSINESSEUROPE
以上