1. トップ
  2. Policy(提言・報告書)
  3. CSR、消費者、防災、教育、DEI
  4. 経団連「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(オフィス版・製造事業場版)」四訂について

Policy(提言・報告書)  CSR、消費者、防災、教育、DEI 経団連「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(オフィス版・製造事業場版)」四訂について

新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインの四訂について

2022年6月17
一般社団法人 日本経済団体連合会

PDF版はこちら

Ⅰ.改訂の趣旨

新型コロナウイルス感染症との共存は、3年目を迎えている。発生当初は「正体不明」だったこのウイルスの特徴について、現在の私たちは以前よりも多くのことを理解できている。効果的なワクチンが開発され、検査の手段も充実し、さらには治療薬も開発されてきた。この間、手指消毒、密閉されたり、混雑したりした場所でのマスク着用などの基本的な感染予防対策が国民の間で定着したこと、ワクチン接種が進み、多くの国民の体内に少なからぬ免疫が備わった。

経団連の感染予防対策ガイドラインは、オフィスや製造事業場の現場での感染対策の指針として、一定の役割を果たしてきたが、上記のような経緯とこれまで得られた知験を踏まえ、また現在の新型コロナウイルス感染症のオミクロン株の特性、リスクの度合いに鑑みれば、大幅に記述を簡素化することができると考えられる。

そこで、このたび、東北大学大学院歯学研究科副研究科長の小坂健先生、国際医療福祉大学医学部公衆衛生学・医学研究科教授の和田耕治先生の監修を得て、本ガイドラインを改訂することとした。もとよりガイドラインは、企業の自主的な取り組みを促すものであり、それぞれの現場で創意工夫によって、対策を強化したり、より合理的なものとしたりすることが望まれる。

本ガイドラインの簡素化はエンデミックに向けたひとつのステップであり、今後、感染状況が落ち着けば本ガイドラインを廃止し、各社がより自律的に対応することも視野に入ってくる。他方、変異株の発生等により再び感染が拡大するようなことがあれば、強化することもありうることを付言したい。

Ⅱ.主な変更箇所

1.マスクの着用やオフィス・製造事業場の換気を前提とし、対面での距離を2メートル目安から1~2メートル目安に変更した。

【該当箇所】
「勤務」
「休憩・休息・喫煙スペース、食堂」
  • 仕切りがなく対面する場合に保つべき距離の目安を1~2メートルに変更

2.感染経路として、飛沫感染やエアロゾル感染が主である。また、医療機関以外での公共の場所での環境を介した接触感染のリスクは限定的である#1ことから、設備や物品等の消毒に関する記述を省略しつつ、換気に関する記述を適正化した。

【該当箇所】
「勤務」
  • 共有する物品や触れる箇所を最低限にする旨の記述を省略
「休憩・休息・喫煙スペース、食堂」
  • 共有物品(テーブル、椅子など)の定期的な消毒についての記述を省略
「トイレ」
  • 便器やタオル、ハンドドライヤーに関する項目の削除
「設備・器具」
  • ドアノブ、スイッチ、手すり等共用設備の頻繁な洗浄・消毒等の削除
「従業員に対する感染防止策の啓発等」
  • 作業服の洗濯に関する記述を省略#2

3.オミクロン株の感染スピードが速いこと、軽症者が多いことといった特性を踏まえ、職場に感染者が出たとしても、必ずしも積極的疫学調査を行っていない自治体もあることから、保健所に関する記述を省略した。

【該当箇所】
「健康確保」
  • 症状に改善が見られなかった場合の相談者から保健所を省略
「従業員の感染が確認された場合の対応」
  • 保健所や医療機関の指示に従うという記述を省略
「その他」
  • 保健所に関する項目の削除

4.軽症者が多い変異株の特性を踏まえ、健康管理に関する記述を簡略化した。

【該当箇所】
「健康確保」
  • 行政調査を受けるように指示する対象者から接触者を省略
  • 自宅療養中の従業員は毎日健康状態を確認するという記述を省略
「感染者が確認された場合の対応」
  • オフィス内・事業者内で感染者が確認された場合の公表の有無・方法に関する記述を省略

5.基本的な感染予防対策が定着していることから、一般的な感染対策に関する記述を簡略化した。

【該当箇所】
「勤務」等
  • 定期的な手洗いやマスク着用、仕切りに関する記述を簡略化
  • 会議やイベント、採用活動等のオンライン実施や、対面イベント開催時の対策に関する記述を省略#3
  • 朝礼や点呼、従業員の行き来に関する記述を省略
「従業員に対する感染防止策の啓発等」
  • 公共交通機関や公共施設を利用する従業員への対策の呼びかけに関する記述を省略

6.感染拡大期に対応を柔軟に取ることができるようにした。

【該当箇所】
「通勤」
  • 感染拡大期において、様々な勤務形態の検討をすることを記載

7.その他、これまでの経過や政府の方針の変化等を踏まえ、記述を簡略化した。

【該当箇所】
「勤務」
  • 外勤や出張に関する記述を省略#4
「従業員に対する感染防止策の啓発等」
  • 諸外国から入国後の観察期間や自宅待機等に関する記述を省略
以上

  1. 米国疾病管理センター(CDC)ウェブサイトより。
    https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/science/science-briefs/sars-cov-2-transmission.html
    The infectious dose of SARS-CoV-2 needed to transmit infection has not been established. Current evidence strongly suggests transmission from contaminated surfaces does not contribute substantially to new infections.
    (参考)汚染された接触面を介した接触感染のリスクについて
  2. 製造事業場における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインのみ
  3. オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインのみ
  4. オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインのみ

「CSR、消費者、防災、教育、DEI」はこちら