東京海上日動火災保険は、共働き世帯の増加や価値観の多様化が進む中、経営層が主導して、全社員が「仕事とライフの両立」をより高度に実現できる環境づくりに取り組んでいる。とりわけ育児・介護については、本人と職場の意識改革や人事制度の整備を進めることで、両立を支援している。
<主な取組み>
○仕事と育児等の両立支援制度
同社は、働きやすい制度を整備することで、仕事と育児等を両立できる環境作りを進めている。具体的には、時間単位の有給休暇制度や、午前5時から午後10時までの間で始業・終業時刻を15分単位で選択できる「スーパーマイセレクト制度」、日数制限のない在宅勤務制度を導入し、勤務時間と場所の柔軟性を高めている。
また同社は、上司や周囲の理解、支え合う風土醸成に向けた取組みを実施している。2025年度より、管理職を対象に、育児と介護の両立など、いつもとは異なる「もしも」の状況を想定した働き方を実践する「もしもチャレンジ」を開始した。管理職は約2週間、家庭の緊急時対応を想定した即時退社や勤務時間・出勤制限など、仕事と家庭を両立する社員の立場を疑似体験する。管理職本人だけでなく、組織全体で多様な価値観や働き方への理解を深め、支え合う風土に向けた契機とする狙いがある。また、管理職の働き方の見直しを含む柔軟な組織体制の構築やジェンダーギャップの解消につなげている。体験者からは「管理職だけでなく職場全体の意識が変わった」との感想があった。
〇男性社員の育児休業取得の推進
同社は、男性社員が育児休業を取得しやすい環境整備を進めている。
例えば、子の出生前に育児休業期間や業務計画等を職場に情報共有する「パパになるシート」の提出を必須とし、育児休業取得時の円滑な業務の引継ぎを後押ししている。
また、イントラネットにおいて、男性社員の育児休業の取得例や経験談を発信しているほか、全社員を対象に、男性育休取得推進セミナーを開催している。同セミナーでは、当社で育児休業を取得した男性社員とその職場メンバーによるパネルディスカッションを実施し、育児休業取得に向けた引継ぎ等の準備、取得者本人と組織メンバーの気づき、意識や働き方の変化等の経験談を発信している。
制度面では、より長期の育児休業取得を促すため、取得基準を「5営業日必須/2週間推奨」とし、育児休業の有給期間を5営業日から10営業日に拡大した。これらの取組みにより、男性社員の育休取得率は93%(2024年度)と高水準にあり、平均取得日数も伸長傾向にある。
<今後の展望>
「仕事とライフの両立」支援策を整備してきたことにより、社内のエンゲージメント調査では、「多様な働き方」に関する項目は上昇し、また採用競争力の強化や企業の魅力向上にも寄与している。一方、「制度は充実しているが、一部では利用しづらい雰囲気がある」との声もあり、風土醸成は道半ばと考えている。一人ひとりが「仕事とライフ」を高度に実現し、個人と組織の力を最大限発揮できるよう、引き続き組織全体で支え合う風土醸成に努めることとしている。