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Policy(提言・報告書) 税、会計、経済法制、金融制度 「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(改定案)」に対する意見

2024年3月18
一般社団法人 日本経済団体連合会
経済法規委員会 競争法部会

今般、公正取引委員会が「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(以下、ガイドライン)の改定案について、パブリックコメントを実施している。昨年3月31日にガイドラインを策定してから、早期に改定に着手したことを評価する。

改定案では、企業が懸念を示していた共同の設備廃棄や共同調達などについて、生産数量等の競争上重要な事項に係る制限行為であっても、独占禁止法上問題とならない場合が明示されている。また、グリーン化の取組みへの該当性や脱炭素効果を主張する場合の方法や評価について算定方法等が明確化されたことも評価できる。

そのうえで、グリーントランスフォーメーション(GX)における企業間の連携の取り組みをさらに促進する観点から、改定案の文言の明確化等について、下記のとおり意見を提出する。

1. 総論

今後、企業のGXの取り組みが一層進展することが期待される。本ガイドラインの改定案の公表と同日の2月15日に「石油化学コンビナートの構成事業者によるカーボンニュートラルの実現に向けた共同行為に係る相談事例について」が公表されたが、このような相談事例も本ガイドラインの改定案の内容に迅速に反映されていると理解している。今後も、企業からの相談事例を踏まえつつ、定期的かつ継続的にガイドラインを見直すことを求める。

2. 共同の取組(6ページ~37ページ。ページは改定案のもの)

「想定例5 情報発信②【解説】」(9ページ)では、「製造過程の転換によって温室効果ガス排出量を大幅に削減できることが明らかである場合には、需要者にとって使用上の価値に直接の変化がない場合であっても、品質の向上と評価できることがある。」とある。

しかし、「製造過程の転換によって温室効果ガス排出量を大幅に削減できることが明らかである場合」には、ユーザーにとってカーボンフットプリント#1(CFP:Carbon Footprint of Products)が大幅に低下することが大きな価値となるため、「品質の向上と評価できる」と修正すべきである。

1. 商品やサービスのライフサイクルの各過程で排出された「温室効果ガスの量」を追跡した結果、得られた全体の量をCO2量に換算して表示すること。

3.公正取引委員会への相談について(74ページ~76ページ)

情報交換については、共同の取り組みや企業結合等の具体的内容を検討する前段階で実施する必要があることが多く、公正取引委員会の公式の事前相談制度を活用することが難しい場合が想定される。公正取引委員会は、一般相談により情報交換の可否を判断できることを74~75ページに明記したうえで、周知すべきである。

この観点から、「共同の取組」で挙げられている「想定例 14 競争者との情報交換①【解説】」(13ページ)の「ただし、実際には複数の要素を総合的に考慮する必要がある場合が多いため、脱炭素のための共同の取組として重要な競争手段である事項について制限する行為を計画するときには、特に、公正取引委員会への相談を活用することが望ましい。」という箇所においても、公正取引委員会は一般相談により情報交換の可否について判断できることを追記すべきである。

以上

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