Ⅰ.はじめに
経団連は、FUTURE DESIGN 2040で示した国家像として、国民一人ひとりが主体的、自立的に個性や能力を発揮し、十分な経済的、時間的豊かさを享受する国民生活・社会の実現を掲げている。また、そのような豊かさと雇用を支える経済・産業の姿として、「成長と分配の好循環」を継続させ、活力ある経済と分厚い中間層を形成することを目指している。日本経済は長らく低迷してきたが、名目GDPについてはここ数年高い成長を示しており、「成長と分配の好循環」の定着の兆しがみられている。
しかしながら、2024年の日本の一人当たり労働生産性(就業者一人当たり付加価値)は98,344ドル(935万円/購買力平価換算#1)と、OECD加盟38か国中29位にとどまり、主要先進7か国で最下位の状況が続いている#2。今後、生産年齢人口の減少は一層加速し、労働投入量の大幅な増加は期待できない。国際情勢の不透明化が加速するなか、天然資源に乏しいわが国が国際競争力を維持・強化し「成長と分配の好循環」を定着させていくうえで、労働生産性を高めることは喫緊の課題である。社会全体のマクロの観点から成長産業や分野等への労働移動を促進すると同時に、ミクロの観点から働き手一人ひとりのアウトプットの質を最大化するためには、多様化する労働者のニーズに応じ、柔軟で自律的に働ける環境整備が不可欠である。また、生成AIの急速な発展・普及は、今後、働き方や労働の質を大きく変化させることが想定されることから、働き手が最新のデジタル技術を効果的に活用しながら、創造的に働ける環境整備の重要性は一層高まるといえる。
こうした状況を踏まえると、働き方の基盤となる労働時間法制は、今まさに見直すべきタイミングに来ている。そこで、労働者の働きやすさの向上と企業の成長・発展に向けて必要な労働時間法制の見直し、特に裁量労働制の拡充の必要性と考え方について、以下の通り提言する。
Ⅱ.今後求められる働き方-裁量労働制の拡充の必要性-
労働基準法が制定されてから約80年が経過した。この間、わが国の経営環境は大きく変化し、労働者の働き方や就労のニーズも多様化している。
労働基準法は、これまでの長い歴史の中で、フレックスタイム制の制定など、一定の見直しはされてきたものの、依然として法制定当時の工場労働者を想定した「労働時間に比例した処遇」を前提としている。そのため、労働時間とアウトプット(成果)が必ずしも比例しない創造的かつ非定型の業務には基本的に馴染まないという問題を抱えている。柔軟で自律的に働ける環境を整備し、働き甲斐を高めるために、「労働時間をベースとしない処遇」を広げることが求められる。
そのなかでも、裁量労働制の拡充は不可欠である。裁量労働制は、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要がある業務に労働者を就かせた場合、あらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度であり、「労働時間をベースとしない処遇」を可能とする。1987年の労働基準法改正で専門業務型が創設されて以降、数次の見直しを経て、現在は「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」を対象とした企画業務型と、新商品や新技術の研究開発、情報処理システムの分析・設計など20業務を対象とした専門業務型がある。
各種データからは、裁量労働制のメリットを確認することができる。厚生労働省の調査では、裁量労働制適用労働者の約8割が適用に満足していると回答#3している。また、専門家による同調査結果の分析#4によれば、「適用労働者の方が非適用労働者と比べて健康状態がよいと答える傾向がある」とされており、年収に関しても、裁量労働制適用労働者の方が約13%(同一企業の中では7.8%)高い#5との結果が示されている。
経団連がホワイトカラーの労働者約1,000人に回答を得て裁量労働制のニーズ調査#6を実施したところ、多くの裁量労働制適用労働者が「メリハリをつけて自分のペースで働ける」(67.4%、複数回答)、「業務を通じて、自分の知識や経験・スキルを伸ばせる」(32.5%、複数回答)といったメリットを感じていると回答した。裁量労働制を適用している企業では、労働者から生産性が向上したという声が聞かれる。こうした結果から、裁量労働制は、働き手の能力の最大発揮を促すとともに成長意欲を一層喚起し、生産性を高めることが大いに期待できる。また、裁量労働制が適用されてない労働者の約33%が裁量労働制の適用を希望していることも明らかとなった。
■裁量労働制の適用を希望されますか
出典:経団連「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」(2025年11月)
注:民間調査会社が調査実施。全国の23~60歳の労働者(正社員、いわゆるホワイトカラー職)の回答を抽出
その理由を見ると、「メリハリをつけて自分のペースで働きたい」(79.3%)が圧倒的に多い。次いで「就労時間が短くても一定額の裁量労働手当等がもらえる、成果に応じた処遇が受けられる」(34.2%)、「業務を通して、自分の知識や経験・スキルを伸ばしたい」(28.3%)という回答も一定程度ある。
裁量労働制は長時間働きたい人のための制度であるとの認識も一部にみられるが、こうした調査結果からは、働き手のニーズは、柔軟で自律的な働き方、成果に応じた処遇の実現であることがわかる。働き手は、メリハリをつけて働けること、短時間の労働でも一定の報酬が得られることを評価しており、こうした働き方へのニーズに応えるためにも制度の拡充が必要といえる。
■裁量労働制の適用を希望すると回答した理由
出典:経団連「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」(2025年11月)
注:民間調査会社が調査実施。全国23~60歳の労働者(正社員、いわゆるホワイトカラー職)の回答を抽出
コラム:裁量労働制について、よくある疑問への回答
1.長時間労働につながったり、処遇が下がったりするのではないか
厚生労働省による裁量労働制の実態調査#7(対象者に対する全数調査)とその分析結果#8を踏まえれば、全体として適正に運用されていると理解できる。同調査によれば、約8割が制度の適用に満足しているほか、裁量労働制適用者の約9割が業務の時間配分と遂行方法について「裁量がある」#9と回答。また、同分析からは、制度の適用によって労働時間が著しく長くなるとは言えず、裁量労働制の適用をもって健康状態が悪化するとはいいがたいと分析されている#10。また、健康状態の好転を感じる労働者も中にはいるとの指摘#11もある。
制度導入企業各社は、成果に応じた処遇の徹底を意識して運用している。前述の調査に基づき、裁量労働制適用者の年収は、非適用者より約13%高いとの分析#12がなされている(個人属性:性別、年齢、学歴、配偶者、子供の有無、勤続年数、役職、職種による影響が排除されており、同種の業務が比較されている)。
一方、不適切な運用への懸念については、実態に照らして、濫用防止策について検討していく必要があり、適切な運用を行っている企業の取組を参考に議論を行うことが適当である。
例えば、過半数労働組合がある導入企業では、労働時間が一定時間を超えると裁量労働制の適用から外す例や、一定時間を超える労働が続く社員については面談を設け、該当する職場では業務負荷の平準化を行う例などがある。
昨今、人材の獲得競争が激化し、転職へのハードルは大きく下がっている。仮に業務量が過大と感じたり、裁量手当など処遇面で不満をもつなどして当該企業の裁量労働制が労働者に選ばれなくなると、企業のレピュテーションを損なうこととなる。裁量労働制を導入している多くの企業は、こうした点を十分意識し、必要な人材を維持、活躍してもらうため、さまざま取り組んでいる。
2.フレックスタイム制で十分ではないか
フレックスタイム制でも柔軟な働き方の実現は一定程度可能であり、多くの企業で活用されている。しかしながら、フレックスタイム制は仕事の進め方について労働者に裁量を与えることまで法律で求められていない。
他方、裁量労働制は、働く時間と仕事の進め方の両方について、裁量を与えることが法定されている点がフレックスタイム制との決定的な違いである。
また、フレックスタイム制の場合には労働時間に比例した処遇の下で働くことには変わりなく、一定時間以上働いた場合に割増賃金の支払いが法定されているため、成果に応じた処遇を徹底することには限界がある。短く働いて成果を出したとしても長く働く労働者より処遇が低くなることも考えられ、労働者にとっては不公平感が残ることは否めない。裁量労働制は、成果に応じて納得感のある形で報酬を得られる有用な選択肢である。
3.裁量労働制のもとで実際には裁量性が確保されていないのではないか
適正な運用の確保に向けては、実態に基づく議論が不可欠である。前述の厚生労働省の実態調査では、適用労働者の約9割が業務の遂行方法と時間配分についての「裁量がある」と回答。同実態調査によれば、業務量・内容の裁量性についても、専門業務型裁量労働制適用者の約64%、企画業務型裁量労働制適用者の約60%が「自分が決めている」と回答している。このことを踏まえれば、次から次へと上司が業務を与えるといった実態が大半であるとは考えにくい。
「働かせ放題」との批判もあるが、厚生労働省の通達や解説では、「当該事業場における所定労働時間をみなし労働時間として決議するような場合において、所定労働時間相当働いたとしても明らかに処理できない分量の業務を与えながら相応の処遇を確保しないといったことは、企画型裁量労働制の趣旨を没却するものであり、不適当であることに留意することが必要」#13とされている。
業務量や業務の与え方の適正性の確保は、各企業の業務や実務が多様であることに鑑みれば、運用上の課題であり、一律の規制にはなじまない。実効ある対策を講じるためには、職場の実態を最もよく知る労使委員会や人事担当者と労働組合とのコミュニケーションにより働き方の実態の確認をしっかり行うこと、また、管理監督者に対するマネジメント研修など、個々の企業において、実務に照らし、総合的に対応することが肝要といえる。
そのうえで、上司の指示がなくても自ら考えて行動できる労働者に適用されるよう、一定程度の職業経験があることを適用の要件とすることは一案として考えられる。さらに、一定の時間を超えるような働き方を恒常的にしている場合、裁量の範囲が狭い状態である可能性があることから、適用を除外するなども有効と考えられる。
企業の取組み例としては、裁量労働制を適用する前の一定期間、通常の労働時間制のもとで業務の遂行状況などの様子を見てから適用を開始する例のほか、定期的な1on1面談等を通じた上司との業務遂行状況の確認や目標の調整・変更の実施、労使委員会における調査・審議を通じたチェック、これらを組み合わせた対応がなされている。
4.同調圧力が働き、裁量制適用にあたっての本人同意時に断れないケースがあるのではないか
同調圧力などによって本人同意が形骸化しているのではないかという懸念は留意すべきであるが、経団連の調査では、裁量労働制の適用に同意しなかったものが1人でもいる企業が約4割あり、本人同意要件が一定の機能を果たしていることの表れと考えられる。
Ⅲ.裁量労働制の拡充に向けて
1.裁量労働制の問題点
適用されている労働者の満足度が非常に高い裁量労働制であるが、現状においてその恩恵を受ける労働者は決して多くはない。厚生労働省調査#14によると、裁量労働制の適用労働者の割合は、専門業務型が1.1%、企画業務型に至ってはわずか0.3%にとどまっている。
裁量労働制の活用が広まらない背景としては、非対象業務が少しでも入ると対象とならないといった、対象業務の範囲の狭さが大きな要因となっている。このため、健康確保を大前提に、企業の好事例を踏まえながら、対象業務の範囲を拡大する必要がある。
2.裁量労働制に追加すべき業務
経団連は「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」(2024年1月)において、健康確保は大前提に、過半数労働組合との協議を要件として、裁量労働制の対象業務を一定程度拡大できるようにすべきと主張した#15。
さらに、会員企業へのアンケートやヒアリングにより、裁量労働制の対象業務に追加すべき具体的な業務を把握した。以上を踏まえ、政府には、以下の業務の追加を求める。
(1)裁量労働制の対象とならない業務が一部混在する業務
現在、裁量労働制は、一部でも非対象業務を行う場合には適用が認められない。いわゆる企画職などは、実際には様々な幅広い業務を行うことが多いものの、現行法上、裁量労働制を活用できない例が多々ある。
例えば、企業からのニーズの多いものとして「プロジェクト型業務」が挙げられる。具体的には、裁量労働制の対象業務をメインで行っている労働者が、新システムの導入プロジェクトなどにも関わる場合で、システム保守などの裁量がない業務も行うことが想定される。
その他の例としては、安全衛生委員会や情報セキュリティ委員会など、職場の運営に関わる活動をする事例もある。
こうした労働者は、企画業務型裁量労働制の対象業務をメインの業務として働いているにも関わらず、一部に非対象業務が含まれることで、裁量労働制を適用されないという事態が生じている。こうした業務にも裁量労働制の適用を認めるべきである。
(2)課題解決型提案業務
特定の顧客向けの商品・サービスを企画、立案、調査および分析したうえで、それに基づき開発・提案まで行う業務に対するニーズも高い。なお、業務の大半が企画等に従事する場合に限り適用することを求めているものであり、例えば商品販売のみを行う営業所で働く場合は含まれない。
この業務は、一部に顧客への提案などの非対象業務が混在する点と、「事業の運営に関する事項についての業務」に当てはまらない点で、現行の企画業務型裁量労働制の対象とはならない。そこで、一部、対象ではない業務が入り、かつ「他社の事業」の運営に関する業務を担う場合についても、裁量労働制の適用を認めるべきである。
(3)シェアードサービス業務
グループ会社などのなかで重複する間接業務を別会社に集約化するケースがあるが、こうしたシェアードサービスを行う会社のなかには、定型的な業務を請け負うだけではなく、グループ会社の人事や経営に関する企画・立案・調査・分析を行うところもある。このように裁量を持って働くシェアードサービスの労働者も対象となるよう、先ほども述べたとおり、「他社の事業の運営」に関わる業務での裁量労働制の適用を認めるべきである。
3.裁量労働制の拡充のあり方
裁量労働制は、適正に運用されれば、労使双方にとってメリットのある制度である。同時に、制度趣旨に沿わない運用がなされれば、健康面や処遇面の観点で問題が生じうるとの指摘もある。
運用にあたり、長時間労働と処遇の改悪につながってはならないということは当然である。
裁量労働制の拡充にあたっては、現在、過半数労働組合がある導入企業の取組み#16を参考に、長時間労働の防止や処遇確保の濫用防止策を組み込んだ見直しを行うべきである。
経団連としても、労働者側と建設的に議論をしながら、適正な運用と制度普及に向け一層取り組んでいく所存である。
Ⅳ.おわりに
高市総理は、4月の日本成長戦略会議で、制度対象のあり方を含め裁量労働制の見直しの検討加速を指示した。今後、同会議やその下に設置された労働市場改革分科会、また労働政策審議会労働条件分科会で検討が進められていく。経団連は、こうした議論が今後も加速し、労働者と企業双方の成長と発展につながる見直しが進むことを強く期待する。
参考:裁量労働制の概要
業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要がある業務に労働者を就かせた場合、あらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度。安全衛生法において、労働者の健康確保のために実労働時間の把握は求められている。
制度導入に際しては、専門業務型では労使協定、企画業務型では労使委員会の決議により、法令で求められる事項を定め、所轄労働基準監督署(長)に届け出る必要がある。協定・決議事項には、対象業務のほか、健康・福祉確保措置、苦情処理のために実施する措置、制度の適用に当たり本人の同意を得ること、同意撤回の手続、不同意時に不利益取り扱いをしないこと等が含まれる。
企画業務型では、労働時間や同意・同意撤回の状況、健康・福祉確保措置の実施状況について、定期的に所轄労基署(長)への報告が求められる。
【専門業務型裁量労働制の対象業務】
①研究業務、②SE、③取材・編集、④デザイナー、⑤プロデューサー・ディレクター、⑥コピーライター、⑦システムコンサルタント
⑧インテリアコーディネーター、⑨ゲーム用ソフトウェア創作、
⑩証券アナリスト、⑪金融派生商品等開発
⑫大学における教授研究、⑬公認会計士
⑭弁護士、⑮建築士、⑯不動産鑑定士、⑰弁理士
⑱税理士、⑲中小企業診断士、⑳M&Aアドバイザー(2024年4月追加)
- 国間の価格水準の違いをなくすことで、異なる通貨の購買力を均等にすることを目的とした通貨換算率
- 日本生産性本部「労働生産性の国際比較2025」(2025年12月22日)
- 厚生労働省「裁量労働制実態調査」(2019年)によると、裁量労働制の適用に対する満足度別割合(適用労働者調査)は、「満足している」(41.8%)と「やや満足している」(38.6%)であり、合算すると80.4%を占める。
- 東京大学 川口大司教授「裁量労働制実態調査の二次分析」第7回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会(令和3年6月25日)。同分析は、個人属性(性別、年齢、学歴、配偶者、子供の有無、年齢、勤続年数、役職、職種)を制御し、同種の業務と比較した結果。
- 労働時間の増加の影響を差し引いた場合でも、裁量労働制対象者のほうが1.0%程度時給が高いとの簡易試算がなされている。
- 経団連「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」(2025年11月)。
- 厚生労働省「裁量労働制実態調査」(2019年)
- 東京大学 川口大司教授「裁量労働制実態調査の二次分析」第7回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会(2021年6月25日)
- 厚生労働省「裁量労働制実態調査」(2019年)によると、専門業務型裁量労働制の適用労働者の業務遂行方法、時間配分等における労働者の裁量の程度の状況別労働者割合は、「上司に相談せず、自分が決めている」(50.8%)、「上司に相談の上、自分が決めている」(37.9%)で合算すると約9割。企画業務型裁量労働制の適用労働者では、「上司に相談の上、自分が決めている」(48.6%)、「上司に相談せず、自分が決めている」(42.0%)で合算すると約9割。
- 厚生労働省「これからの労働時間制度に関する検討会報告書」(2022年7月15日)
- 厚生労働行政推進調査事業費(厚生労働科学特別研究事業)「裁量労働制実態調査のデータを用いた、裁量労働制の適用・運用実態等の分析研究」2020年度総括研究報告書(研究代表者:川口 大司 東京大学教授)
- 東京大学 川口大司教授「裁量労働制実態調査の二次分析」第7回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会(2021年6月25日)
- 厚生労働省 基発0802第7号(裁量労働制等の施行について)
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」
- 同提言では下記のように記載。
「過半数労働組合がある企業の多くは、複数の組合執行部メンバーが組合員とコミュニケーションをとりながら、使用者側と定期的に情報共有・協議・交渉している。このような環境がすでに整備されている場合には、各企業の実態にあった働き方が進むよう、十分な協議を経た労使の合意、十分な健康確保措置等を条件に労働時間規制のデロゲーションの範囲を拡大すべきである。例えば、現行の裁量労働制(専門業務型・企画業務型)は、対象業務を限定的・厳格に定めており、現行制度は、複数の業務を同時に遂行する労働者の実態にあった働き方を実現することが難しいことから、実際にその職種内容や働き方を熟知している個別企業労使が議論し、判断・選択する仕組みにする方が合理的と言える。その際、企画業務型の労使委員会を、過半数労働組合の役員と企業担当者との組織が代替できるようにすることも考えられよう。」 - 一定時間を超えると裁量労働制の適用から外す例や、一定時間を超える労働が続く社員については医師との面談を設け、該当する職場では業務負荷の平準化を行う例、制度導入時に、適用前の適用労働者の平均残業代をベースに予算化した裁量労働手当を毎月支給する例などがある。

