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Policy(提言・報告書)  税、会計、経済法制、金融制度 「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に対する意見

2026年8月21
一般社団法人 日本経済団体連合会
経済法規委員会企画部会
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現在、法務省が「商業登記規則等の一部を改正する省令案」(以下、省令案という)について、意見募集(パブリックコメント)を実施している#1。省令案は、代表者等の住所の一部を登記事項証明書及び登記事項要約書に表示しない措置(以下「一部非表示措置」という)の対象を株式会社から全ての会社および会社以外の法人等に拡大するとともに、対象者を会社の代表者(清算人等を含む)および支配人に拡大するものである。経団連は、個人のプライバシー保護および安全の確保に資するものとして、今般の改正の方向性を評価する。

一方で、省令案には、なお解決していない課題が残されている。このため、下記のとおり意見を提出する。

商業登記規則第31条の3第1項前段等に基づく一部非表示措置について、次の三つの措置を講じるべきである。

1.過去の登記に表示された住所を一部非表示措置の対象とすること

現在の登記に表示されている住所に限らず、過去の登記に表示されている住所についても、必要な要件を満たした申出により、一部非表示措置の対象とすべきである。

代表者等または支配人の個人の住所が登記情報として広く公示されることにより、当該住所がSNSその他のインターネット上で拡散されるほか、自宅またはその周辺で執拗な訪問もしくは取材を受けること、大量の郵便物の送付や郵便物の窃取等の嫌がらせを受けることなどにより、本人および同居家族の生活の平穏または安全が害されるおそれがある。インターネットを通じた登記情報の利用が容易になっていることを踏まえ、こうしたリスクに対する実効的な保護の必要性は高い。

現在の代表者等または支配人の登記に表示された住所について一部非表示措置が講じられても、当該代表者等または支配人の過去の就任または重任の登記に住所が表示され続ける場合には、履歴事項証明書や閉鎖事項証明書等を通じて当該住所を把握することが可能となり、制度の実効性が損なわれる。

また、過去の代表者等および支配人には、就任時または在任中に一部非表示措置を選択する機会がなかった者も多い。これらの者の住所が、退任後も期間の経過にかかわらず広く公開され続けることは、制度の目的との均衡を欠く。

取引の安全の確保、訴訟手続その他の正当な目的のため、過去の代表者等または支配人の住所を確認する必要が生じる場合があることは否定できない。しかし、住所の確認の必要性については、正当な利益を有する者に対し、本人確認および利用目的の確認等を経て住所情報へのアクセスを認める手続により対応することが可能であり、住所情報を広く一般に表示し続けることが必要不可欠とはいえない。

したがって、登記記録自体は維持した上で、必要な本人確認等を経た申出により、現在の代表者等または支配人の過去の登記に表示された住所および退任者の住所についても、登記事項証明書等および登記情報提供サービスにおける一部非表示措置を可能とすべきである。

2.代表者等本人またはその委任を受けた者による当該代表者等の住所が記載された登記事項証明書等の取得を可能とすること

一部非表示措置により、株式会社の代表者等については、個人のプライバシー保護および安全の確保が一定程度図られることとなった。他方で、一部非表示措置を講じた株式会社では、従来から取引等に際して代表者等の住所を確認する手段として用いられてきた住所が記載された登記事項証明書等を利用することができなくなった。その結果、取引先等から代表者等の住所の確認を求められた場合には、運転免許証その他の代表者等の住所が記載された公的書類の写しを提供することによって対応せざるを得ず、一部非表示措置を講じた株式会社、代表者等、取引先等のいずれについても一定の負担が生じている。

住所が記載された登記事項証明書等は、取引等において広く活用されてきた実績がある。また、一部非表示措置を終了しない限り、代表者等本人であっても自らの住所が記載された登記事項証明書等を取得できないことは合理的ではない。したがって、代表者等本人またはその委任を受けた者が、当該代表者等の住所が記載された登記事項証明書等を取得することを可能とすべきである。

3.一部非表示措置の単独申出を可能とすること

住所に関する登記申請その他一定の登記申請と同時に行う場合に限らず、一部非表示措置のみの申出を可能とすべきである。

省令案では、一部非表示措置の申出は、代表者等に関する住所が登記される登記申請その他一定の登記申請と同時に行うことが前提とされている。しかし、非公開会社では取締役の任期を長期間に設定している場合があり、代表者に関する登記申請が長期間行われないことがある。また、支配人には会社法上の任期の定めがないため、選任時に申出をしなかった場合、住所変更等がない限り、その後申出の機会が生じない可能性がある。

プライバシーおよび安全上のリスクは、登記申請の時期にかかわらず生じるものであり、登記後に新たに生じる場合もある。一部非表示措置を希望しない旨の申出については単独で行うことが認められる一方、措置の開始についてのみ登記申請と同時の申出を要件とすることは、制度の目的に整合していない。

したがって、濫用防止のために必要な要件を設けることを前提として、登記申請の有無にかかわらず、一部非表示措置のみを単独で申し出ることを可能とすべきである。

以上

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