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会長コメント/スピーチ 会長スピーチ 「Society 5.0 for SDGs」の実現に向けて ―経団連会長新年メッセージ―

一般社団法人 日本経済団体連合会
会長  中西 宏明

昨年を振り返ってみると、日本経済は緩やかではあるが安定的な景気拡大を続けているものの、国際環境は大きく変化し、デジタルテクノロジーは経済のみならず社会の基盤を大きく変える不確実な世界に入ったといえる。経団連はそのような世界で日本の未来を創るべく、昨年11月に提言「Society 5.0 ―ともに創造する未来―」を発表した。産学官が知恵を出し合い、連携を強化して人間中心の新たな社会を創造しようという提案であり、経団連の行動宣言である。

その中核となるコンセプト「Society 5.0」とは、人類社会において、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第5段階の新たな社会「創造社会」であり、デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって社会の課題を解決し、価値を創造する社会である。雇用の喪失やデータの囲い込みによる格差の拡大、プライバシーのない監視社会の到来など、デジタル化による暗い未来を予想し、これを懸念する声もある。しかし、IoTやAIの活用により、人が単純作業から解放される時代だからこそ、人が人ならではの創造性を発揮し、最先端技術を使って新しい未来社会を創造していくことが可能になると信じる。

経団連では、デジタル化を悲観的にとらえるのではなく、デジタル化を通じた明るい社会の創造という、未来に向けた前向きなコンセプトを日本から世界に発信していくことを意図して、Society 5.0の包括提言を策定した。

Society 5.0で生活や産業のあり方は大きく変わる。Society 5.0は、デジタル革新を通じて、経済成長だけでなく、社会課題の解決や自然との共生を目指すものである。また、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献することができる。提言では、目指すべき具体的な社会像を「Society 5.0 for SDGs」の社会と位置付けた。今後、経団連はこの提言をさらに磨き上げ、実現の旗振り役を担い、日本の経済社会の変革を主導していく。

今年は、「Society 5.0 for SDGs」を中心とする成長戦略の強化に加え、社会保障制度の持続可能性確保や財政健全化など構造改革の推進、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向けた経済外交の展開を活動の3本柱に据えて、この不確実な時代を乗り越え、新しい時代を果敢に切り拓いていく。

さらに今年のラグビーワールドカップ、来年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪・関西万博の成功に向けて全力で取り組んでいく。皆様のより一層のご支援、ご協力をお願い申しあげる。

以上

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