1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 記者会見における榊原会長発言要旨

会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2018年1月9日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【会長候補・審議員会議長候補内定】

本日の会長・副会長会議において、次期会長ならびに審議員会議長候補者を内定した。次期会長候補者は中西宏明 日立製作所会長であり、経団連では、2014年から現在まで副会長を務められ、幅広く経団連活動に活躍いただいている。中西会長は、日本を代表する企業の経営者であり、人格識見、卓越した経営手腕、豊富な海外経験に加えて、私とともに未来投資会議の議員を務めるなど政府においても経済界代表として活発な活動を展開されている。Society 5.0というこれからの日本社会を牽引するプロジェクトを提案してきた仲間であり、次期会長に最もふさわしいということで私から推薦し、本日の内定に至った。

また、定時総会をもって岩沙審議員会議長が任期満了により退任することを受けて、新たな候補者として古賀信行 野村ホールディングス会長を内定した。古賀会長は、内外の金融資本市場に精通していることは勿論、経団連の社会貢献推進委員会や地域経済活性化委員会の委員長として、市民や地域社会など幅広いステークホルダーの声に耳を傾けてこられた。経団連会長の諮問機関である審議員会のトップとしてふさわしい方である。お二人とも5月7日の理事会を経て、5月31日の定時総会をもって正式に就任する。

会長職の後継人事についてはこれまで製造業出身、副会長経験、人物識見、国際経験、政府との連携、Society 5.0の推進などいくつかの要件を挙げてきた。資源に乏しいわが国においては、製造業が輸出で稼いだ外貨により、多くの食糧、燃料を輸入している。産業構造は変わりつつあるものの、製造業立国という国のあり方は当面、不動であり、製造業がわが国経済を牽引していくことから、製造業の代表が日本経済をリードしていくべきだと考えている。これが製造業出身者を要件とした理由である。

日立製作所は規模が大きいだけでなく、IT、ビッグデータなどの先端技術を駆使してイノベーションを推進し、率先して新たなビジネスモデルを展開している。先頭に立ってわが国産業界の進むべき針路を示しており、まさに名実ともに日本を代表する企業である。

経団連会長に就任して以来、政治と経済は車の両輪として、連携し、協力し合っていくべきだと訴え続けてきた。これは一般論としてではなく、長年、デフレに苦しんできた危機的な状況においては、政治と経済は牽制し合うのではなく、手をつないでともに経済再生に取り組むことが必要であるという思いからである。安倍総理と経団連会長が「仲が良いから」という言われ方をするが、これは違う。政治と経済界は今、日本経済の再生という課題を共有している。それを果たすために経団連は必要な政策の断行を政府に働きかけており、他方、政治はこの観点から経済界の理解と協力を求めているのである。景気は回復しつつあるが、まだ経済再生に向けた取組みを加速しなければならない時期である。そうした中では、政治と経済は連携し、ともにそれぞれの役割を果たすことが重要である。

【トランプ政権発足から一年】

日本の経済界の立場からトランプ政権の一年を見れば、プラスとマイナスの両面があると思っている。まず、プラスの面ではトランプ大統領の産業促進的な政策は経済活性化に資するものであり、特に法人税をはじめとする大幅な減税は米国経済をさらに強くし、米国が世界経済を牽引していくことを後押しすることになると思う。規制改革についても、思い切った措置が講じられ、今後、具体化するであろうインフラ整備も含めて、こうした産業促進的な政策は支持している。

一方、必ずしも支持できないものとして、通商政策が挙げられる。昨年1月の政権発足早々にTPPから離脱したのは極めて残念であった。将来、何らかの形で米国が戻ってくることを期待したい。TPPについては、米国の経済界、政界にもTPPは国益につながると考えている人は多い。また、パリ協定から離脱する方針を打ち出したことも、国際的な地球温暖化対策が求められる中、残念であった。正式に離脱するまでには時間があるので、各国と協力して留まってもらう努力を続けることが重要である。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら