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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 関西会員懇談会後の記者会見における榊原会長発言要旨

2018年1月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【大阪・関西への万国博覧会誘致】

昨年2月に誘致委員長に就任し、オールジャパン体制の下、経済界の代表として誘致活動に取り組んできた。大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」の策定にあたっても、オールジャパンの観点から、自分の考え・コンセプトを盛り込むことができた。昨年4月にBIE事務局で立候補の届出を行い、6月にはBIE総会に出席し、プレゼンテーションを行った。11月には誘致委員長代行の松本関経連会長と同副委員長の早川経団連副会長がBIEで誘致演説を行った。BIEを訪問した際は、必ず各国の駐仏大使等に向けた働きかけを行っており、私自身、これまで約40カ国の大使等と面会してきた。万博誘致は大阪・関西だけのプロジェクトではなく、オールジャパンのプロジェクトとして取り組んでいる。開催地が決定する11月のBIE総会まであと10カ月あまり誘致獲得に全力で取り組んでいく。

日本の強みは3つあると考えている。第一にオールジャパンの体制が構築できていることである。政府、政界、地元の大阪府・市、関西にとどまらない経済界全体など、すべての関係者が一体となった体制が構築されている。これは他の立候補国では見られない。国を挙げた誘致活動を展開できているのは大きな強みである。第二に、テーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」として明確に定められ、Society 5.0を通じてSDGsを達成するという未来社会のコンセプトがきちんと打ち出されていることである。万博はわが国が世界に先駆けてSDGsに取り組んでいることをアピールする絶好の機会になる。このテーマ、コンセプトについては諸外国からも共感を得ており、日本の支持につながっている手ごたえを感じている。第三に、開催地である大阪、関西の魅力である。その他の立候補地も魅力溢れた都市であるが、大阪はその中でも特に高い魅力を備えている。関西は、文化、芸術、伝統などの歴史的な資産に溢れているとともに、ものづくり、医療、ライフサイエンス等に係る最先端の研究開発が行われるなど、イノベーションハブとしても機能している。こうした3つの強みを活かして誘致活動を推進し、何としても誘致を勝ち取りたい。

東京においても一年前に比べれば、大阪・関西万博の知名度は相当高くなってきた。経済界の関心は非常に高く、万博誘致は大阪・関西のみならず、日本全体の経済成長のために重要であるとの認識が共有されている。今後、誘致ロゴの普及などを通じて、国民の間でも徐々に関心・機運が高まってくると期待している。賛同や署名を合わせた万博の支持者は40万人を超えており、これをさらに増やすべく、経団連でも会員企業への呼びかけを強化していく。

今は誘致を勝ち取ることに全力で取り組むことが重要であり、これに集中している。ただ、約1300億円とされる建設費についても、立候補前の段階で政府と協議し、国、自治体、民間で3分の1ずつ負担するということで合意ができている。具体的な資金調達のあり方については、色々な方策が考えられるので、誘致を勝ち取った後に政府と協議をしながら決めることになる。

【春季労使交渉】

今年の経営労働政策特別委員会報告には、デフレ脱却・経済再生を果たし、経済の好循環を回すため、経済界が4年間続けてきたベアを含めた賃金引上げのモメンタムを継続するとともに、さらに踏み込んで賃金引上げに取り組んでほしいという思いを込めた。具体的には3%という社会的な期待・要請を意識して、賃上げに取り組んでもらいたいというかなり踏み込んだ指針を示している。

3%は数値目標ではなく、あくまで経済の好循環を回していくための象徴的な数字である。この4年間の賃金引上げが今年も継続し、さらにこれまでよりも高い水準での賃金引上げが行われれば、消費も大きく活性化すると考え、一つの目安として3%という数字を示した。これまでの2%台の賃上げが3%に近い数字になれば、消費者の受け止め方、感覚も変わり、消費喚起に大きな効果が期待できる。安倍総理からも3%という数字が示されたが、安倍総理の発言を受けたのではなく、こうした議論を行う中で出てきたものである。

連合がベースアップ分として2%程度を基準とする賃上げ要求を行っていることは承知している。賃金はあくまで各社の労使協議を通じて決めるものであり、今後の労使交渉の結果、経労委報告で示したような結果がでることを期待したい。各社が定昇、ベア、賞与、各種手当てなどを通じて総合的に処遇改善を図るとともに、とりわけ消費性向の高い若年世代への傾斜配分を検討してもらいたい。

また、今年の経労委報告では、働き方改革や同一労働同一賃金、労働時間制度改革などの重要課題について時間をかけて検討し、経営側のスタンスを示している。例えば、通常国会で働き方改革関連法案が審議されるが、この成立を見通して、残業時間は減少する方向であり、そうなれば人件費も減少する。人件費が減少するのであれば、労働生産性の向上を反映した賃金への還元など、人件費減少分の活用の方法についても、各社における検討を促している。こうした重要課題について、今後、労働側とも意見交換を深めていく。

以上

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