会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  四国地域経済懇談会後の共同会見における中西会長発言要旨

2018年12月5日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【四国経済】

経済懇談会を通じて、四国が元気なことが伝わってきた。人口減少など深刻な課題はあるものの、地元の特色を活かしたアピールなど色々なことに挑戦している前向きな姿勢も感じられた。人口は減少しているが、観光客は増加している。大変有意義な経済懇談会であった。

現状、日本で新幹線が存在しないのは四国だけである。国の財政規律という観点から、四国に新幹線が本当に必要なのかという声があることは承知しているが、新幹線の効果は大きい。自分自身、新幹線の開発に携わり、その大きな効果を見てきた。いつまでにということは言えないが、できるだけ建設的にかつ中長期的に、色々な協力関係を築きながら、実現していくものだと思う。

【賃金】

〔金属労協が来年の春季労使交渉で賃金構造維持分を確保した上で3000円以上の賃上げを目指すという方針を決定したことに関する質問に対して〕直接に詳細を聞いているわけでもなく、今の段階で申しあげることはない。実額の要求は異例なことではなく、増えている。金属労協については、加盟労組の足並みが揃ったということではないか。要求水準が高い・低いということへの所感はない。

【外国人材の受け入れ】

外国人材の受け入れ環境の整備に向けては、政府に要請すること、企業が取り組むこと、社会全体で取り組むことなど課題は多岐にわたる。できるだけ早く出入国管理法改正案が成立し、受け入れ拡大に向けた具体的な議論を幅広く行っていく必要がある。

企業として、外国人材を3年、5年といった短期間ではなく、正規の従業員として受け入れるのであれば、日本語教育、家族の帯同やそれに伴う教育の問題、社会保障など、幅広い課題にしっかりと対応していく覚悟が求められる。

【インフラ整備と財政規律】

防災・減災のためのインフラ整備を議論するに当たっては、人命に係る緊急的課題という点もさることながら、観光客の増加につながり、経済成長を促すための長期的な視野に立った投資という考え方も重要である。「インフラが必要だ、いや財政が厳しい」という単純な議論ではない。勿論、2025年の国と地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化達成という大きな課題もある。経済成長につながるといったポジティブな点に着目しながら、短期、中期、長期の各々の視点から考えることが必要である。

【教育改革】

四経連の就活ルールおよび採用選考に関するアンケート調査結果について、本日の懇談会で説明いただいた。現行のルールが妥当という回答が半数を超えたことについて、理解し、受け止めたところである。同時に、四経連からは経団連の問題意識もよく分かるとの意見をいただいた。採用の問題は教育問題の一側面に過ぎず、大学だけでなく、日本の教育全体を様々な点で改善していくことが必要である。本日の経済懇談会でも、人材育成の現場を踏まえた様々な意見が示された。企業により、必要な人材のあり方は様々である。教育、人材育成の問題は幅広く議論していくことが必要だと改めて感じた。

以上