1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 定例記者会見における中西会長発言要旨

会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2021年3月22
一般社団法人 日本経済団体連合会

【緊急事態宣言の全面解除】

苦渋に満ちた解除の決断だったと思う。医療提供体制が形になってきたことから一旦、宣言を解除する、という判断だと受け止めている。政府の決定を支持する。引き続き新型コロナの変異状況やワクチンの効果などを注視する必要がある。感染状況次第では、再度緊急事態宣言を発出することもあり得るだろう。

経済界は政府の総合判断を受け止めて協力し、同じ道を歩んでいく。すでに経団連は、本日、会員企業に対し、テレワークの活用、少人数の会食等の対策の継続を呼びかけたところである。

【東京オリンピック・パラリンピック】

東京オリンピック・パラリンピックに海外からの観客を受け入れないこととしたのは、観客の安全を第一に考えた苦渋の決断だと理解している。経済的な損失は大きいものの、こうした困難な時期にスポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックを開催すること自体に大きな意義がある。

【春季労使交渉】

新型コロナの影響を踏まえれば、業種や企業ごとに回答がばらつくのは当然である。今回の交渉では、各企業において労使が、賃金引き上げのモメンタムを維持しようという使命感を持って、いろいろな方策を想定しながら、意義深い議論をされたと認識している。

賃金引き上げのモメンタム維持の重要性について、経団連と連合の認識に大きな隔たりはない。組合員の労働条件の向上などについては、実態を踏まえてしっかりと議論していきたい。

【対米・対中関係】

米国は日本にとって唯一の同盟国であり、安全保障面での対米依存度も高いが、日米両国の対中政策は完全に同じポジションであるわけではない。安全保障上の課題はなきにしにもあらずだが、中国はわが国にとって、経済的な結びつきが強い重要な隣国である。こうすればうまくいくといった固定的な考え方では対処できない。米中対立の背景を十分認識した上で、知恵を出し、両国との対話のチャネルを官民挙げて多面的に広げ、折衝を進めていく必要がある。そうした新しい外交関係を構築すべき時代に直面している。

【柏崎刈羽原発】

〔柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護機能の一部喪失事案を問われ、〕大変遺憾な事態である。東京電力の今後の対応を注視したい。

【個人情報・データの管理】

インターネット上でのデータ流通に国境はないが、そこにあえて国境を設けようと試みている国がある。そうした国々は、データの国内保存義務やソースコードの開示義務等を企業に課すことで自国内にデータを囲い込もうとしている。こうしたデータ保護主義的な政策がとられ、実務的な課題も出てきている中で、デジタル化のメリットをいかに生み出していくかといった前向きの議論を一層深めていく必要がある。

世界経済フォーラム(WEF)は来月、グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット(GTGS)を開催し、越境データの取り扱いやデータの管理主体などについて議論する予定である。日本は、DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼ある自由なデータ流通)に積極的に取り組んでいる。今後、データに関するルール・メイキングのみならず、デジタル社会の仕組みづくりの面でも議論をリードしていきたい。

〔LINE利用者の個人情報に対し、中国にある関連企業の従業員がアクセス可能な状態になっていた問題について問われ、〕事実関係の調査が進められている段階であり、現時点でコメントは差し控えたい。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら