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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2023年5月9
一般社団法人 日本経済団体連合会

【日韓首脳会談】

〔日韓首脳会談の成果、とりわけ半導体サプライチェーンにおける日韓の協力について問われ、〕今般の岸田首相の訪韓は、3月の尹錫悦大統領の訪日から間を置かず実施され、非常にタイムリーで意義深い。日韓シャトル外交の本格化と両国関係の緊密化に一層弾みをつけるものである。

半導体に関し、両首脳が協力の強化で一致したことを歓迎する。わが国は、製造装置・材料分野で強みを持つ。韓国は、設計・量産技術に強みを有する。そうした両国が、この分野で連携して強固なサプライチェーンを構築することは経済合理性があり、経済安全保障の面でも非常に意義があると評価している。

【新型コロナウイルス感染症「5類」移行】

医療・介護や接客の現場で尽力された方々はじめ、コロナ禍と向き合ってこられたすべての皆様に敬意と謝意を表する。今秋発足予定の内閣感染症危機管理統括庁には、この3年間の経験や反省を糧に、司令塔として、次なる感染症に対する備えや体制整備に万全を尽くしてほしい。

〔「5類」移行に伴う企業の対応や経済活動正常化の見通しを問われ、〕移行後の企業や個人の対応が、時間軸、業種・業態等によって異なってくるのは自然である。画一的である必要はない。対応に違いがあっても、全体としては徐々にコロナ前の状況に回帰するのではないか。経済活動について、ゴールデンウィーク中も各地で活気があったことは喜ばしい。これから、水際対策の正常化に伴うインバウンド需要の回復等による観光業はじめサービス業の復活が、日本経済を一層牽引していくだろう。

【少子化対策】

〔少子化対策の財源に関する考え、消費税への見解を問われ、〕「異次元」の少子化対策は、短期ではなく中長期のレンジで取り組む課題である。当然、財源も中長期的に確保すべきである。それを踏まえれば、歳出改革だけでまかなうことは難しく、財源についてのしっかりとした議論、コンセンサスは不可欠だ。また、「静かなる有事」とも言われる少子化が日本社会全体の問題である以上、その対策に要する費用は広く薄く社会全体で負担すべき性質のものである。現役世代に負担が偏重し構造的な賃金引上げのモメンタムに水を差すことは好ましくない。社会保険で、税で、と限定せず、さまざまな財源を組み合わせる方向で議論すべきである。そうした議論の過程で、消費税だけを例外にする必要もないのではないか。

〔政府の財源を必要としない少子化対策、とりわけ有期雇用等労働者を取り巻く状況の改善について問われ、〕少子化対策に関しても、「マクロ経済政策」「社会保障・税制」「労働政策」の3つの分野での対応を一体的に進めるべきである。このうち、「労働政策」では、働き方改革の一環として、企業は同一労働同一賃金の実現や、有期雇用等労働者本人の希望を前提とした正社員化等を積極的に進めていく必要がある。産業の新陳代謝に伴う円滑な労働移動に資するリスキリングやリカレント教育等に官民連携して取り組むことも重要である。

以上

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