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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2023年4月17
一般社団法人 日本経済団体連合会

【B7東京サミット】

4月19日、20日の両日、G7各国の経済界代表が一堂に会するB7東京サミットを主催する。

世界が分断傾向にある今こそ、自由で開かれた国際経済秩序の再構築、持続可能な経済成長の実現が必要である。そのためには、G7の結束を強化するとともに、グローバルサウスとの協力を進めることが不可欠である。

その一環として、「自由で公正な貿易投資のためのクラブ」を立ち上げ、経済安全保障の確保と自由貿易のモメンタムの維持を図ることを提唱したい。また、カーボンニュートラルの実現には水素やアンモニアとの混焼技術等を含め、多様な道筋があり得ることも主張する。

こうした重要課題について認識を共有し、B7の総意として共同提言を取りまとめ、5月のG7広島サミットに反映させたい。

【岸田首相襲撃事件】

暴力による言論封殺、思想の強制は断じて許されない。事件後も暴力に屈することなく選挙活動を続けておられる岸田首相に敬意を表する。5月には各国から要人が集まるG7広島サミットを控えており、安心・安全な開催に向け、関係方面におかれては万全を期していただきたい。

【G7気候・エネルギー・環境相会合】

気候変動問題は、一部の国々だけでなくグローバルサウスを含めた国際社会全体で取り組まなければ解決できない。そのためには、地理的条件や技術革新の進捗状況等を踏まえた、国毎に異なる利用可能な最善の技術を各国が総動員する必要があり、カーボンニュートラル達成には多様な道筋が認められるべきである。今回のG7気候・エネルギー・環境相会合において、そうした認識が共有され、共同声明に明記されたことは非常に意義深い。また、脱炭素、循環経済、生物多様性に統合的に取り組むことが合意されたことを高く評価する。

ジョン・ケリー米国気候問題担当大統領特使と今朝、面会した。脱炭素に向けて世界を動かそうとする熱意と情熱に感銘を受けた。日本政府もまた、20兆円規模のGX経済移行債の発行を決めるなど、強い意志をもって真摯に取り組みを進めており、心強い。

【ChatGPT】

〔ChatGPTを始めとした対話型AIとの向き合い方や規制のあり方について問われ、〕自動車やインターネットの普及といった人類の進歩の歴史に鑑みれば、対話型AIのような革新的な技術を一切使わないようにするというのは難しい。倫理的な側面等への留意がなされることを前提に、いかに技術を活用していくかという方向で、各国で議論が重ねられていくのではないか。

【財政制度等審議会会長就任】

〔財政に関して、経団連会長と財政審会長の両立に矛盾、難しさはないかと問われ、〕矛盾や難しさはまったく感じていない。「経済あっての財政」が基本スタンスであり、また、一方で財政健全化なくして経済成長はない。ポリシーミックスとして財政支出が必要となった場合、単年度の収支だけにとらわれず、かつ、民間投資の呼び水として、経済活性化に資するものとし、中長期のスパンで財政均衡を図るダイナミックな経済財政運営を行うことが基本である。

【植田日銀新総裁就任会見】

〔2%の安定的な物価上昇に向けて金融政策だけでなく企業の設備投資を促す政府の施策も必要との植田総裁発言の受け止めを問われ、〕物価目標達成のためには金融政策だけでは不十分であり、ポリシーミックスの考え方が重要である。深刻なデフレ期に異次元の金融緩和を主体とする政策運営を実施したことは自然であり、機能した。デフレから脱却し、緩やかなインフレに移行していくのであれば、経済成長に資する財政政策を適宜講じていくことも当然、視野に入ってくる。

【採用活動日程ルール】

現行の就職・採用活動日程のルール(3月:広報活動開始、6月:採用選考活動開始、10月:正式内定)は、学生の学修時間の確保を最優先に考えながら、政府がとりまとめて経済団体等へ要請しているものである。日程ルールと採用活動の実態に乖離があるものの、一定の歯止め・ルールが必要という意見もある。一方、2025年度卒(2026年3月)以降の学生については、一定の条件を満たすインターンシップを通じて専門性を有すると判断された学生に限り、6月より前の採用選考活動が可能となる。まずは制度の運用状況を注視していきたい。

【労働市場改革】

〔新しい資本主義実現会議での労働市場改革に関する議論について問われ、〕グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴う産業の新陳代謝のためには、雇用の流動性を高めていくことが必要である。ただし、雇用のマッチング機能の強化とセーフティーネットの再整備が前提であり、柔軟性(フレキシビリティー)と安全性(セキュリティー)を兼ね備えた、日本版フレキシキュリティーとも言うべき労働移動推進型のセーフティーネットへの移行が不可欠である。加えて、成長産業への労働移動を促す効果的なリスキリングに対する政府の積極的な支援も大事である。

職務給の導入という論点については、各社の雇用システムは自社の競争力の源泉、経営の根幹であり、各企業の主体的な制度設計を阻害することのないよう検討を進めるべきである。

以上

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