一般社団法人 日本経済団体連合会
【経済懇談会】
〔本日の経済懇談会の所感を問われ、〕非常に有意義な懇談会であった。基本テーマは「『投資牽引型経済』への転換を目指して」であり、「産業競争力の強化」と「活力ある地域づくり」の2つの軸で懇談を行った。とりわけ、産業競争力強化の核となるイノベーションの創出に向けた、広域でのスタートアップエコシステムの形成などについて伺い、中部・東海地域がわが国の産業競争力の強化に向けた核になると再認識した。また、豊かな観光資源や、各種国際イベントを活用した地域活性化にも取り組んでいるとのお話が印象的であった。
同地域は非常に裾野の広い産業、サプライチェーンをもっており、日本経済、産業の牽引役として大いに期待している。高市政権が「強い経済」の実現に向けて、「危機管理投資」や「成長投資」を掲げ、実行されようとしている中にあって、「ものづくり」の一大拠点である中部・東海地域への期待は一層大きくなっていくであろう。
【賃金引上げ】
〔今年の春季労使交渉における中部企業への期待や、中小企業の賃上げの実現に必要なことを問われ、〕中部・東海地域は、日本の「ものづくり」の中核を成す地域である。大企業だけでなく、裾野の広い中小企業群が形成されており、企業労使の動向への注目度や期待感が高いと認識している。
経団連は、2026年の春季労使交渉にあたり、賃金引上げの力強いモメンタムの「さらなる定着」を図ることを基本姿勢に据え、ベースアップ実施の検討を「賃金交渉のスタンダード」としていく姿勢を明確にしている。中部・東海地域の各企業においても、積極的な検討と実行を期待したい。
中小企業の賃金引上げはわが国全体の賃金引上げにおいて重要な役割を果たしている。持続的な賃金引上げの実現には、企業における原資の安定的な確保が重要である。そのためには、中小企業自身による生産性の向上や、大企業主導によるサプライチェーン全体でのサポート、さらには政府・地方自治体等による適切な支援が必要である。
加えて、根本的に重要なことは、「賃金は上がっていくもの」と「適正な価格転嫁と販売価格アップの受入れ」という2つの考え方の社会的規範化である。
経団連はこうしたメッセージを「2026年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」に盛り込み、全国約50か所でその周知活動等に取り組んでいる。中部・東海地域でも周知を徹底していきたい。
【裁量労働制】
〔高市総理が施政方針演説で裁量労働制の見直しに言及したことについて問われ、〕裁量労働制の拡充は、経団連が長年主張してきたものである。高市総理が、今回の施政方針演説で裁量労働制の見直しに意欲を示されたことを大いに歓迎する。
現在の制度では対象業務の範囲が狭く、企業による適用可否の判断が非常に難しいという問題がある。一方で、厚労省の調査によると、裁量労働制適用労働者の8割が適用に満足している。また、ホワイトカラー労働者の3割超が適用を希望しているという経団連の調査結果もある。
こうした状況を踏まえ、政府には裁量労働制の拡充をぜひ進めていただきたい。働き手の能力の最大発揮、成長意欲の一層の喚起に向けて、柔軟で自律的な働き方を推進していく必要がある。その路線において、裁量労働制の拡充を一つの突破口として明確に位置付け、全体の労働改革を進めていきたい。
ただし、裁量労働制の拡充の検討にあたっては、過度な長時間労働の防止と働き手の健康確保を大前提に考えていく必要がある。
【浜岡原子力発電所】
〔中部電力が、原子力規制委員会による浜岡原子力発電所の審査において不適切な方法で地震評価を行い、報告していた事案の受け止めと、同社に求めることを問われ、〕原子力のみならずエネルギー施設全般において、安全性の確保は最も重要な大前提である。その安全性に対する国民の信頼を揺るがしかねない事象であり、遺憾である。
原子力発電を巡っては、安全性を確保し、地元をはじめとする国民の理解を得ることが極めて重要である。事業者には高い倫理観と安全性の確保に向けた厳格な実行力が求められる。
中部電力においては、第三者委員会による調査等を通じた徹底的な原因究明や、再発防止策の確実な実施、十分な情報開示等による透明性の確保といった対応を丁寧に積み重ね、信頼回復の基盤を築いていくことを求めたい。