一般社団法人 日本経済団体連合会
【中国経済】
〔中国地域の経済の現状認識と、期待する役割を問われ、〕中国地域の景気は、堅調な設備投資や、米国の関税に影響を受けた輸出が持ち直してきたことにより、緩やかな回復基調にあると認識している。背景には、自動車関連産業における能力増強投資や輸出の拡大、生成AI向けの半導体製造装置の堅調な受注がある。
政府は「地域未来戦略」のもと、産業クラスターの形成を進めていく方針であり、本日の経済懇談会においても、産業クラスターの形成やディープテック分野でのスタートアップエコシステムの形成をテーマに、中国経済連合会からさまざまなご意見を伺った。
中国地域は、日本の成長を支える「ものづくり」の拠点といえる。高市政権の掲げる政策も踏まえ、中国地域は非常に期待できる地域であると考えており、地域経済ひいては日本経済全体の活性化を牽引する役割を担っていくことを期待している。
【賃金引上げ】
〔地方の中小企業の賃金引上げの現状と、持続可能な賃金引上げに必要なことを問われ、〕ここ岡山をはじめとする地方経済を支える中小企業において、2年連続で4%台の月例賃金引上げを記録している。これは、賃金引上げの力強いモメンタムが着実に波及していることの証左である。2026年も、この力強いモメンタムの「さらなる定着」を図る観点から、「2026年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」において、ベースアップ実施の検討を「賃金交渉のスタンダード」と位置づけ、各企業に呼びかけている。
持続可能な賃金引上げの実施には、企業の原資の安定的な確保が最も重要である。そのためには、中小企業自身による生産性の向上や、大企業による主導の大きいサプライチェーン全体でのサポート、さらに政府・地方自治体等による適切な支援が必要である。
加えて重要なことは、「賃金は上がっていくもの」と「適正な価格転嫁と販売価格アップの受入れ」の2つの考え方の社会的規範化であると認識している。賃金引上げなど「人への投資」はコストではなく必要な投資であるという観点を、株主や投資家等のステークホルダーに浸透させていくことが重要である。
経団連は、こうしたメッセージを盛り込んだ「2026年版経労委報告」の周知活動等を、全国約50か所で取り組んでいるところである。
【衆議院選挙】
〔衆院選で高市総裁率いる自民党が勝利したことの受け止めや、今後の高市首相の政権運営への期待を問われ、〕自民党が、単独で衆議院の3分の2を超える議席を獲得する歴史的な大勝を果たした。国民の厚い信任のもとに第二次高市内閣がスタートしたことを歓迎する。
内外に山積する重要課題の解決には、政治の安定が大きな推進力となる。緊迫する国際情勢に対処する上でも、強い政権基盤は不可欠である。高市政権には、長期安定政権として強いリーダーシップを発揮し、中長期の観点から、イノベーションの創出による「科学技術立国」の実現、税・財政・社会保障の一体改革の推進、安価で安定的なクリーンエネルギー供給の確保とグリーントランスフォーメーション(GX)の推進といったような、かねて申し上げている重要政策の実行を期待している。
経団連としても、官民連携を一層強固なものとしつつ、引き続き高市政権の政策遂行に協力していく。
【2026年度予算】
〔2026年度予算を年度内に成立させるべきか、あるいは年度内にこだわらずに十分に議論すべきかを問われ、〕歴史的な大勝となり、政権基盤が安定したことは歓迎している。他方、政党間の熟議がなされるのかどうかは注視していく必要がある。是が非でも予算を年度内に成立させなければならないと申し上げるべきではない。経済や国民の暮らしへの影響を考慮して予算を年度内に成立させることは重要だが、暫定予算を組むことで影響を抑えることも考えられる。早期の予算成立を重視しつつも、審議が拙速となることは望ましくなく、国会で熟議を凝らしてほしい。
〔高市総理が通常国会冒頭で衆議院を解散した一方で、衆院選後に予算の年度内成立を目指していることについて問われ、〕高市総理は、国論を二分するような重要政策を前に進めるにあたり、政権の枠組みや、自身が総理大臣を務めることに対して国民の信を問いたいと発信されている。強い決意や覚悟の上での衆議院の解散表明であり、信を問うことを優先すべきと判断されたと受け止めている。
その上で、総理は、国会で熟議を凝らす必要があるという前提に立ちつつ、経済や国民の暮らしへの影響を考慮して、可能な限り予算の年度内成立に向けて努力すると発言されているものと認識している。今後の国会審議の推移を注視していく。
【金融市場】
〔衆議院選挙の投開票日(8日)から第二次高市内閣の発足(18日)に至るまで、株価や為替、長期金利において過度な変動は見られず、政権の発信が市場から一定評価されているのではないかと問われ、〕高市総理は、「責任ある積極財政」を進める上で市場の信認を維持することが大事である旨、繰り返し発信されている。このことが市場に対して安心感を与えたのではないか。
今後、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の策定までに、懸案となっている消費減税や、財政健全化の具体的なあり方についても議論されていく。相場には市場のさまざまな思惑が表れるものであり、そうした議論の途中段階においても、市場の信認を得るための継続的で分かりやすい発信を行うことが極めて重要である。
【裁量労働制】
〔高市総理が検討を進めていくと報道されいる裁量労働制の見直しについて、経済界の考えを問われ、〕裁量労働制に関する議論が加速しつつあることを歓迎している。
裁量労働制の拡充を検討するにあたって、過度な長時間労働の防止と働き手の健康確保は大前提である。その上で、働き手の能力の最大限の発揮、モチベーションの向上、ライフステージの中での労働の意義といった観点から、日本の労働における裁量労働制の位置づけを考え、また、柔軟で自律的な働き方を全体として進めていくにあたり、裁量労働制の拡充は一つの契機であり、象徴だと思う。経済界として裁量労働制の拡充を強く求めていきたい。
【対米投資】
〔日米関税交渉で合意していた対米投資の第一弾プロジェクトが決定したことの受け止めを問われ、〕日米政府の戦略的投資イニシアティブは、日米の相互利益の促進、経済安全保障の確保、また経済成長の促進といった意義を有するものである。今回の決定は日米政府の一致した結論であると認識しており、3つの案件が、日米双方の利益が担保される形で円滑に推進されることを期待している。
経団連としては、今後も連邦・州の行政府・議会関係者に対して、予見可能性の確保や企業が安心して投資できる環境整備を働きかけてまいる所存である。
現在、米国にミッションを派遣しており、米国連邦政府や州政府関係者との対話に臨んでいるところである。日米関係の重要性を確認し、さらなる強化を図るとともに、日本企業による直接投資を通じた米国の経済社会への貢献を訴え、日本全体の利益となる形での投資の推進を訴求していきたい。