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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見(3/9)における筒井会長発言要旨

2026年3月9
一般社団法人 日本経済団体連合会

【審議員会議長・副議長、常務役員人事】

本日の会長・副会長会議にて、6月3日の定時総会において、新たに審議員会議長・副議長ならびに事務局役員にご就任いただく候補者を内定した。

定時総会をもって、任期満了により、冨田審議員会議長、小坂副議長、満岡 副議長、西澤副議長、安川副議長が退任し、あわせて、副会長就任に伴い、漆間副議長、岩田副議長、秋池副議長が退任する。

新たな議長の候補者として、片野坂真哉・ANAホールディングス会長を内定した。片野坂会長は、2017年に審議員会副議長、2018年から2022年まで副会長として、わが国の経済社会が直面する重要課題の解決に取り組まれた。また、政治特別委員長として、政策本位の政治の実現や企業人の政治参加促進、外交委員長として、G7・G20サミットへの対応や経済安全保障に関する諸課題の検討にご尽力いただいた。豊富なご経験を踏まえ、経団連会長の諮問機関である審議員会のトップにふさわしい方であると判断し、ご就任をお願いした。

次に、副議長の候補者については、金花芳則・川崎重工業会長、大矢光雄・東レ社長、大島卓・日本ガイシ会長、山下良則・リコー会長、手代木功・塩野義製薬会長兼社長、森田隆之・日本電気社長、鳥取三津子・日本航空社長、石川耕治・損害保険ジャパン社長を内定した。

いずれの候補者の方も人格・識見、経営手腕、各業界における実績、さらに幅広く業種・業界のバランスなどを総合的に判断し、人選した。

次に事務局役員について、久保田事務総長、井上専務理事の2名が退任する。久保田氏は、副会長の任期であるあと1年、常勤の副会長を務める。

また、藤原専務理事が事務総長に、原常務理事、長谷川常務理事が専務理事に昇格するとともに、新たに、長谷川広報本部長、小川産業技術本部長を常務理事にすることを内定した。

〔今後の目指すべき経団連の姿など、新体制に込めた思いについて問われ、〕「投資牽引型経済」への転換、そして「成長と分配の好循環」の実現に向け、「科学技術立国」の実現や、税・財政・社会保障の一体改革をはじめとする重要課題が山積している。そうした中で、内定した候補者の個性は非常に横溢している。大所高所からのご意見をいただき、侃々諤々の議論がなされることを期待しつつ、最後は一枚岩になって日本経済のプレゼンス確立に努めていけるような体制が整ったと考えている。

事務局も含めた人事について、今回、新陳代謝を図ることを旨とした。組織の活力を維持するため、組織のパフォーマンスが非常に高く維持されているときにこそ、将来を見据えて、新陳代謝を図るべきだと考えている。

次の世代へのトランジション、有能な人物の昇格を常に念頭に置きながら、その中で、重要な政策課題の遂行とともに、あるべき経団連像を確立していきたい。働く人のモチベーション向上や多様性の確保に今後も腐心していく所存である。

〔日本航空が近年、複数の不祥事を起こしている中で、鳥取社長の審議員会副議長就任を内定した理由を問われ、〕社会からの信頼が企業の土台であり、それがあってはじめて社会に存立し、ビジネスを展開できる。経営者は自ら先頭に立って実効あるガバナンスを構築するとともに、高い倫理観を持って社会的責任を全うすることが重要である。そうした中で、同社において複数の事案が発生していることは極めて残念である。

他方、組織全体として事案を厳粛に受け止め、再発防止と信頼回復に全力で取り組んでいるものと理解している。

鳥取社長は、経団連でも消費者政策委員長として経団連活動に尽力してこられた。鳥取社長は現場や顧客の声を非常に大切にする姿勢に優れているとお見受けしている。経団連活動においても、会員企業をはじめとした社会全般のさまざまな声に耳を傾け、経団連の行く末を定める上で極めて重要な示唆を与えてくれる経営者であると考えている。そうした総合的な判断でもって選出した。

【中東情勢】

〔中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰が日本経済に与える影響や、日本政府への要望について問われ、〕現状、原油価格の高騰、そして金融市場の大きな変動が生じている。事態が長期化しないことを強く望んでいるが、マーケットが危機の長期化を懸念し、警告を発しているとも捉えられる。万一長期化した場合、景気の減速とインフレの高進が同時に進むスタグフレーションが起こり、経済、暮らしに大きな影響が及ぶリスクがあると考えている。

ただし、現時点で、実体経済や国民生活への影響の多寡について予断を持って判断することは困難である。事態の推移を、緊張感を持って注視したい。

また、政府の経済対策についても、現時点で予断を持って経済界として要望することは難しい状況にある。むしろ政府には、関係国と緊密に連携し、早期の沈静化に向けた外交交渉に努めていただくとともに、エネルギーの安定供給に万全を期していただきたい。

〔G7が財務大臣会合を開催(9日)し、石油備蓄の協調放出について議論するとの報道について評価を問われ、〕緊急事態下において、G7各国が協調してリスクに対応し、原油価格高騰に対する措置を検討するという動きについて、極めて高く評価したい。

〔事態の長期化も懸念される中で、石油備蓄の放出という対応の妥当性について問われ、〕協調放出という対応が、原油価格高騰に対して効果があるかどうかは、今後見極めていかなければならない。ただし、各国が連携して緊急事態を乗り越えようとする外交努力が展開されているということ自体は、原油市場のみならず、金融市場全般に対して好影響があるのではないかと期待している。

日本の国内備蓄の放出について、現下で直ちにその必要はないと考えているが、効果的な放出のタイミングを見極めることは非常に難しい。価格の影響のみならずさまざまな問題を想定しながら準備しておくことが重要である。

【日米首脳会談】

緊迫化する中東情勢を踏まえ、3月19日に予定される日米首脳会談への期待を問われ、〕早期沈静化に向けてどのような方策があり得るのかについて、率直な意見交換が行われることを期待している。

米国の関税措置については、昨年の日米合意の内容より日本が不利にならないようにすべく交渉に臨んでいただきたい。現在の10%の関税に加えて、さらなる追加措置も検討中であると理解している。米国の関税を巡る不透明な状況が解消され、企業が対米投資を進める上での予見可能性を高めることができるよう働きかけることを期待したい。

日中関係については、トランプ大統領の訪中前に、日米首脳が直接面会し、意識合わせをすることは極めて意義深い。日中関係の緊張の長期化が米国にとってもマイナスであるということを説明する必要がある。中国によるレアアース等の対日輸出規制によって日本企業が影響を受け、日本企業の米国における生産活動にも影響が生じる可能性があるといった、具体的な事象について訴えていただきたい。

あわせて、昨年10月の日米首脳会談でも確認した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」への米国のコミットメントを改めて確認することも重要である。

【賃金引上げ】

〔中東情勢の緊迫化などにより国際情勢が不透明感を増す中、今後の春季労使交渉での賃金引上げや、実質賃金への影響について問われ、〕中東情勢の緊迫化が長期化するかどうか、また企業活動にどの程度の影響が及ぶかは、全く不透明である。業種や企業ごとでも影響は異なるため、賃金引上げへの影響について現時点で包括的にコメントすることは難しい。

今後は、主に大企業の集中回答日の後、中小企業を中心に交渉が続いていく。現在、中東情勢の緊迫化や米国の追加関税の動向により、国際情勢は不確実性が高まっており、予見可能性が非常に低下している。万一、事態が長期化した場合にどのような影響が生じていくか注視していく必要がある。

実質賃金については、毎月勤労統計の1月分速報でプラスとなった。名目賃金が49ヵ月連続でプラスになったことに加え、消費者物価指数が大きく低下したことが背景にある。これによって、実質賃金がプラスになったことは、前向きに受け止めている。

今後は、エネルギー価格をはじめとした物価が上昇した場合、実質賃金の推移に影響を及ぼすリスクを非常に懸念している。

予見可能性が低下した状況ではあるが、経団連は引き続き、賃金引上げを含めた「人への投資」を重視していく。「人への投資」がリードする形で「投資牽引型経済」への転換を果たし、ひいては「成長と分配の好循環」を実現すべく取り組んでいきたい。

〔中東情勢の緊迫化などにより企業の予見可能性が低下する中にあっても賃金引上げを進めていくことの意義について問われ、〕長年、経団連加盟企業をはじめとする多くの企業は、配当や自社株買いという形での株主への配分に傾斜してきた。一方で、従業員に対しては雇用維持を最優先し、賃金引上げ、とりわけベースアップによる配分に慎重であったと認識している。

現下のように労働供給制約が高まる中、多様な人材を採用して長く活躍してもらう観点から、賃金をコストではなく「人への投資」と捉え、企業価値の向上につなげていくことが非常に重要となっている。

まさに今、企業は、「投資牽引型経済」への転換を目指す一環として「人への投資」を位置づけ、それが「成長と分配の好循環」の実現につながっていくという認識に立ち、株主への配分だけでなく、人材育成や人的投資による、労働生産性や企業価値の向上への貢献を強く意識し始めたことが、近年の賃金引上げの力強いモメンタムの定着に寄与しているのだろう。

潜在成長力という観点から見ても、労働供給制約は非常に大きなマイナスの影響がある。経団連としては、「人への投資」、つまり賃金引上げには、労働供給制約の壁を乗り越え、そして、「成長と分配の好循環」につなげていくという極めて大きな意味合いがあると考えている。

【社会保障国民会議】

〔消費税減税に対する考え方と、国民会議での議論に期待することを問われ、〕国民会議は国民的な課題を議論する会議であるため、参加する政党が広がり、より多くの政党で議論を深めていくべきだと考えている。

消費税減税については、社会保障制度を支える重要な安定財源と位置付けられてきたことを十分踏まえ、国民会議で徹底的に議論していただきたい。とりわけ代替財源の明確化については、こだわって議論していただきたい。

国民会議では、消費税減税と給付付き税額控除に加え、社会保障制度全体に関する議論もしていくと言われている。経団連としては、税・財政・社会保障の一体改革といった、全体最適の観点で議論すべき課題が、むしろ国民会議における本丸の議論であろうと考えている。持続可能で公正・公平な税と社会保障の全体像について、国民を巻き込んだ議論をぜひ展開していただきたい。

【選択的夫婦別姓】

〔経団連が選択的夫婦別姓を求める理由と、政府の掲げる、旧姓単記も含めた旧姓の通称使用の法制化に対する考えを問われ、〕女性の活躍による国際競争力の強化、女性が活躍していく上でのアイデンティティーの確立、そして日常生活あるいは業務遂行上の不利益撤廃といったさまざまな観点から、選択的夫婦別姓の実現は、今後の日本社会における女性活躍の推進に向けた取り組みの中核であるべきだと考えている。

政府の掲げる旧姓単記を含めた旧姓の通称使用の法制化については、女性活躍の推進を目指して取り組んでいるという意味においては軌を一にする。日常生活や業務遂行上のあらゆる場面で生ずる改姓による不利益の解消を図るべく、検討されているものと理解している。

ただし、自民党内や政党間でもさまざまな意見があるものと承知している。大事なことは、実際に困っておられる方々の声に真摯に耳を傾け、不利益の解消に向けてよく議論いただくことと、アイデンティティーを確立し、国内外で活躍される女性が増えていくことであろう。

経団連は、選択的夫婦別姓の実現を求めるというスタンスであり、今後の議論の動向を注視していきたい。

【働き方改革総点検】

〔厚生労働省が発表した「働き方改革関連法施行後5年の総点検」の調査結果において、労働時間を「増やしたい」「やや増やしたい」と回答した労働者の割合が約1割、「このままでよい」と回答した割合が約6割であったことの受け止めを問われ、〕労働時間を減らしたいという労働者の中には、特定の時期には増やしたいと考える方が含まれる。また、労働時間を増やしたいという労働者の中には、収入の観点ではなく、仕事の完成度を高めたいという理由を挙げる方もいる。この調査結果は、働き手の就労ニーズがいかに多様であるかを表していると理解している。

今後は日本成長戦略会議等で、労働時間制度の見直しがテーマに掲げられ、検討が進んでいくと承知している。労働者の健康確保を大前提としつつ、働き手の非常に多様な就労ニーズに応えられるよう、裁量労働制も含め、柔軟で自律的な働き方の実現に資する全般的な制度見直しが進むことを期待している。

【高市総理のカタログギフト配布】

〔高市総理は自身の政党支部への献金を使い、先の衆院選での当選議員全員にカタログギフトを贈ったとみられており、献金の使い道としての妥当性について問われ、〕企業がコンプライアンスを考える際、法律に抵触しなければ何をしてもよいということではない。良識、常識に照らして適切かということも、幅広くコンプライアンスの範疇であると考えている。

今回のカタログギフトの件は、法律に抵触しないと理解しているが、その上で適切であったかどうかは総理自身が説明されており、コメントは差し控えたい。

以上

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