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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見(5/11)における筒井会長発言要旨

2026年5月11
一般社団法人 日本経済団体連合会

【中東情勢】

〔中東情勢の緊迫化に伴う市場の動向について受け止めを問われ、〕中東情勢は先行きが全く見通せない状況が長期化しており、非常に憂慮している。両国間、あるいは周辺国間で、水面下も含めてさまざまな対話が進められていると認識しており、ホルムズ海峡の航行の安全確保を含む早期の事態の鎮静化に向けて前進が図られることを強く期待している。

相場関連については、事態の不透明感の増大に伴って原油価格が上昇傾向にある一方、トレンドとしては株価の上昇が続いている。市場のさまざまな思惑や動向の影響を受けているのであろうが、これまでの上昇の背景には、米国におけるAI・半導体分野での活発な投資への期待が基調にあり、それが日本の株式市場にも波及しているのではないか。

日本経済は、基調としては緩やかに持ち直しており、企業の業績も堅調に推移してきたが、今後、物価高や消費者のマインドの悪化には留意が必要である。さらに中東地域における混乱が長引いた場合、供給不安やさらなる物価の高騰が経済活動を阻害するリスクには引き続き注視が必要である。

〔エネルギーの節約の要請や、石油・石油関連製品の需要抑制の必要性について考えを問われ、〕現在、政府は供給元の多様化に向けて、懸命の努力を続けている。民間の努力も含め、一定の成果が出ていることを高く評価している。一方、今後、事態が長期化する中での供給不安あるいは価格上昇に対して、会員企業から懸念が示されていることも事実である。影響の及ぶ製品の範囲が広く、また、これからエネルギー需要の高まる夏に向かう中、米国とイランの交渉の推移は予測困難であり、エネルギーの需給両面にどのような影響が生じるのかについて、一概に申し上げることは難しい。少なくとも、官民のさまざまな努力により、直ちに供給量確保の面で支障が生じる状況にはないということは政府とも共有できているが、今後は予測困難であるだけに、臨機応変な対応が必要であり、需給両面での総合的な対策が必要になる局面もあり得る。

【為替介入】

〔大型連休中に政府・日銀による円買いドル売りの為替介入があったと見られていることについて問われ、〕円安についても、基本的には、市場のさまざまな思惑や、短期筋の投機的な動きによるものと受け止めている。同時に、日本のエネルギー事情といった構造的なテーマに対するシグナルであるという可能性もあり、注視していく必要がある。中長期的には、こうした短期的な動きに左右されない、強靱なファンダメンタルズをつくっていくこと重要であり、「投資牽引型経済」を定着させ、潜在成長率を引き上げていくことが必要である。

為替介入について、その有無を関知する立場にはない。介入については、政府・日銀が適時・適切に状況を見極めて判断していくものと考えている。

【ベッセント米財務長官の来日】

〔ベッセント米財務長官の来日について期待を問われ、〕同氏が来日されることは承知している。日本政府との間で、経済安全保障を含むエネルギー確保の問題についてコミュニケーションを取られる重要な機会である。

【裁量労働制】

〔裁量労働制の拡充について労働側からの反発が強い状況にある中、本日の会長・副会長会議でどのような議論があったのかを問われ、〕労働側は、賃金引上げなどさまざまなテーマで経営側と合意できている一方で、裁量労働制は唯一、意見の相違があるテーマだと考えている、といった紹介もあった。経団連としては、丁寧にコミュニケーションを取り、ご意見を聞くという活動に徹することが唯一無二の道であると考えている。

政府も、裁量労働制の拡充を掲げており、日本成長戦略会議の中でも重要なテーマに位置付けられているが、その前提であっても、労働側の懸念に対しては丁寧に対応していきたい。制度が悪用され、長時間労働や、それに伴う健康被害が生じることについては、十分な対策を取るということも提言に記載している。そうした総合的な対策でもって、裁量労働制の見直しをすべきであるというスタンスで考えたい。

〔裁量労働制の拡充を議論する中で、労働者の健康確保のための規制強化について考えを問われ、〕健康確保策の重要性については、企業自身が従前から、大きな健康経営の流れの中で認識してきている。規制によって健康確保を図ることも考えられるが、その上で、裁量労働制を採用するかどうかは、企業の自律的、自主的な対応の中で検討されるべきである。

〔厚生労働省の「働き方改革関連法施行後5年の総点検」(3月公表)では、労働時間を「増やしたい」「やや増やしたい」と回答した労働者の割合が約1割、「このままでよい」「やや減らしたい」「減らしたい」と回答した労働者の割合が約9割であった中、裁量労働制の拡充の必要性について問われ、〕そもそも、全ての労働者が裁量労働制の適用対象になることは決してない。また、労働時間を減らしたい人の中には、柔軟で自律的な働き方を志向する方がいる。育児・介護といった事情がある中で、裁量労働制が適用されれば、時間に縛られずに働き、能力を発揮して成果を出せると考える方もいる。裁量労働制はあくまで本人同意を前提に適用される制度であるため、裁量労働制の適用を求めるニーズが一定あるという事実には対応していかなければならない。

また、裁量労働制が一つのきっかけとなり、柔軟で自律的な働き方について議論の門戸がさらに開かれていくということも、極めて重要な意義がある。

〔経営者の構成員と比較して労働団体の構成員の数が少ない日本成長戦略会議の場で、裁量労働制の拡充について議論をすることの是非について考えを問われ、〕柔軟で自律的な働き方は、成長戦略の一部の要素として重要なものである。日本成長戦略会議では、裁量労働制について、経営者の中ではほぼ私が言及し、労働団体の構成員がそれに対して反対意見を述べるという形のやりとりに終始していた。議論として、労使双方の意見を取り入れた形で進行していると言えよう。

裁量労働制に対する労働側の懸念について、経営側は十分承知しているつもりであり、さまざまな対策も射程に入れた形で、裁量労働制の制度設計を行い、運営していくことが重要である。

労働政策審議会との関わりについても、日本成長戦略会議が単独で走っているということは決してなく、審議会とのバランスも含め、一定の牽制が効いた形で議論が進行しているものと認識している。

【日露関係】

〔経済産業省が、ロシアとの意思疎通を目的に、場合によっては日本企業も同席するかたちで5月末に政府職員の派遣を予定していることについて問われ、〕日本政府の職員がロシアへ出張するという経済産業省の発表は承知している。これは、政府間での意思疎通を図り、また、ロシアに進出している日本企業との連携を強化する趣旨だと聞いている。これまでも、日本政府はロシア当局との間で実務的なやりとりは行っていたと承知している。なお、日本政府と個社とのやりとりについては承知していない。

以上

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