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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定時総会後の記者会見(6/3)における筒井会長発言要旨

2026年6月3
一般社団法人 日本経済団体連合会

【抱負】

本日、ご列席の6名の方々を新たに副会長に迎え、新体制がスタートした。私が会長に就任して2年目となる今年は、「投資牽引型経済」の確立に向けた実行フェーズの1年と位置付けている。総勢20名の副会長とともに経団連一丸となって邁進していく。設備投資、研究開発投資、賃金引上げを含む人的投資を「三位一体の国内成長投資」と位置づけ、「投資牽引型経済」を確立し、潜在成長率を1%台へと高め、中長期的な成長基盤を構築していく覚悟である。

2年目の活動に際しても、報道機関の皆様には会見等を通じて経団連の考えを積極的に発信するとともに、引き続き、密な対話を行ってまいりたい。

〔発足した新体制について問われ、〕6名の副会長とは、目指すべき大きなベクトルが共有できていると考えている。その上で、各副会長の持つ豊富な経験、知見といったある種の個性を存分に発揮していただき、全員で同じ目標に向かっていくことが、経団連のあるべき姿である。その思いを今、新たにした。

〔高市総理に対して、(相手方にとり)厳しいことであっても本音を訴えていく覚悟はあるかと問われ、〕高市政権は、非常に支持基盤が強く、安定した政権となっており、社会保障制度改革など、長年十分に着手してこられなかった改革の推進を大いに期待している。その意味で、痛みを伴う改革について求めていく覚悟はある。

ただし、(人的な信頼関係を基盤とした)ソフトな関係の構築ができていないと厳しい対話も難しいと考えている。先般の昼食会は、ざっくばらんな会話が大半を占めており、意義深いものであった。

【委員長人事】

〔佐藤副会長が新たにアメリカ委員長とアジア・大洋州地域委員長に就任したことの狙いを問われ、〕佐藤副会長は今年の4月、トヨタ自動車の副会長ならびにChief Industry Officer(CIO)に就任された。これまでに培われた経験、手腕、知見を、財界活動でより一層発揮していただきたいという期待のもと、アメリカ委員会とアジア・大洋州地域委員長にご就任いただいた。

佐藤副会長には、国外に加え、ものづくりに軸足を置いた政策提言や産業連携の推進に向けて、大いに力を発揮いただくことを期待している。

【消費税減税】

〔社会保障国民会議にて、来春にも消費税を1%に減ずる方向で検討がなされていることについて問われ、〕経団連の考え方は従前と全く変わっていない。社会保障の持続可能性の確保、財政健全化、さらに市場の信認という観点から、代替財源の確保が大前提であるという考え方は変わらない。消費税を1%にする形であれば、特に中小企業のシステムの対応や事務負担について、期間にして約半分程度に抑えられるということを踏まえて議論がなされていると承知しているが、社会保障の持続可能性の確保、財政健全化、市場の信認という視点は常に配慮いただきたい。

最近の総理の発信は、財政健全化や市場の信認を非常に強く意識されていると思う。ただし、市場は揺れ動くものであり、そうした発信をぜひ継続的に粘り強く行っていただきたい。

〔代替財源のあり方に関する議論の進捗について所感を問われ、〕総理が消費税減税を言われ、それに関する議論が社会保障国民会議で行われている最中という段階だと思う。こうした中、減税に要する財源をどのように手当てしていくのかという点についての議論は、現時点であまり見えていないが、今はその議論が待たれている状況と認識している。

【ダイバーシティ】

〔本日の定時総会の出席者に占める女性の割合が低いことが、日本の大企業の役員体制の状況を表しているのではないかという指摘に対し、〕ダイバーシティはイノベーションの源泉である。その点を常に意識しており、私自身が役員の配置を考える際も、多様な方々を広く積極的に登用していくべきという考えを念頭に置いている。ダイバーシティ、女性活躍の観点は、会員企業の役員構成や各種人事政策において重要な要素として、既に相当程度、プレゼンスが高まっている。ただし、実際には進捗は遅れており、経団連の役員をはじめ、会員企業の中で女性の活用が十分に進んでいない。

経団連の副会長、副議長に占める女性の割合はまだ低いが、ダイバーシティの観点を意識した登用を今後も貫徹していきたい。また、各委員会の委員長のポジションについても、広く女性活躍を推進していくことを不変のベクトルとして検討していきたい。企業においても、女性活躍は(経営戦略上)重要な施策と位置付けられており、効果が出始めることを期待している。

〔年齢のダイバーシティという観点で、経団連や日本企業の現状をどう見ているかを問われ、〕日本は高齢化社会に入っており、企業の従業員の年齢構成も、ベテラン層に偏ったワイングラス型になっている。そうした中、定年延長等により、高齢者の活力を大いに活かしていく流れにある。日本全体が労働供給制約という大きな壁に直面している中、労働参加率の向上は非常に重要であり、企業においてもベテラン層の労働参加率を引き上げることの重要性は一層高まっていくであろう。企業はこれまで若年者の活躍促進を志向してきたが、労働参加の促進という観点において、ベテラン層の活躍を促していくステージに入ってきていると認識している。

〔意思決定レベルにより若年層の声が反映された方が、イノベーティブな発想につながるのではないかと問われ、〕意思決定レベルでイノベーティブな発想をもたらしていくという観点において、やはりダイバーシティは重要である。性別など属性の多様性のみならず、さまざまな価値観を持った人々が、それぞれに意見を出し合い、力を発揮していくことにより、イノベーションが湧き起こってくる。その中で、現在の企業の経営者は、若年層の斬新な発想を活かしていくことを重視して、既に取り組んでいると認識している。

【少子化対策】

〔厚生労働省の人口動態統計(3日公表)で示された2025年の出生数が前年をさらに下回ったことを踏まえ、少子化の進行に対する問題意識と、打開策について問われ、〕当然、強い危機感を持っている。原因は、現役世代の所得の低迷や、価値観の変化といった要因が非常に複合的に絡み合っていることであろう。要因が複合的なだけに、解決策は1つではなく、複合的な策が必要である。

経済界としては、「成長と分配の好循環」を回すことによって、現役世代を中心に分厚い中間層を形成していくことが最も求められていることだと考えている。多くの企業は、賃金引上げを含む処遇の改善や、育児・介護に取り組む社員への支援も含めた総合的な対策を意識して構築してきている。そうした対策が好循環を生んでいけば、少子化のトレンドが底打ちし、反転していくことも期待できるのではないか。ただし、反転に至るには少し時間を要するであろう。

【トランプ関税】

〔米国通商代表部(USTR)が、日本を含む60カ国・地域が強制労働対策を怠っているとして最大12.5%の追加関税を発動する案を公表したことの受け止めと、今後、トランプ政権とどう向き合っていくかを問われ、〕報道は承知しているが、詳細は明らかになっていない。今後の動向を注視したい。

今後の日米関係について、高市総理がトランプ大統領と強い信頼関係を構築されており、トップ同士の意思疎通については期待できるのではないか。経済安全保障や対米投資などについて、わが国唯一の同盟国である米国としっかりタッグを組むことが重要である。その中で、米国がいわゆる「自国第一主義」に傾いていかないように連携を強化する、したたかな日本外交が大事であろう。

【財政支出のあり方】

〔政府の財政支出を防衛力強化か分厚い中間層の形成のどちらに使うべきかを問われ、〕単純にどちらかを選択できる時代ではないと考えている。たとえば、日本の産業界には、軍事用途から転用されてきた民生用途の技術がさまざまある。財政については、支出の使途も含めて健全かどうかをマーケットは見ていることを認識し、配意しなければならない。

〔防衛力強化と分厚い中間層の形成のいずれも行うために増税が必要という考えかどうかを問われ、〕財政は、平和主義という理念や、ワイズスペンディングという考え方を前提に、支出先として健全かどうかも含めて検討され、構築されるべきである。その上で、総量としての財源のあり方などについても、債務残高対GDP比を重視しながら、複眼的に財政に関する指標を注視し、検討していく必要があろう。

以上

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