一般社団法人 日本経済団体連合会
【消費減税・需要喚起策】
〔消費減税法案の国会審議において、財源や支援金制度を含め、どのような議論を期待するかを問われ、〕財政の持続可能性と市場の信認を踏まえた与野党の健全な審議を期待している。消費税は社会保障を支える重要な財源であるとの認識と、債務残高対GDP比の安定的な低下という目標の下、財源確保や財政規律について十分な議論が行われるべきである。市場の信認と国民の安心を重視した、充実した国会審議を求めたい。
〔消費減税に伴う外食産業への支援策として検討されているプレミアム商品券などの需要喚起策の必要性や効果について問われ、〕消費減税を巡っては、業種・業態によって現場で様々な不安や懸念が生じており、特に外食事業者への支援策を早急に具体化・周知していくことが重要である。プレミアム商品券は現時点で具体的な一つのアイデアであり、消費拡大との繋がりを可視化できる点にも意義がある。政府には多様な選択肢について十分に議論してもらいたい。
〔プレミアム商品券を活用した需要喚起策について、財源や対象範囲を含めた制度設計のあり方を問われ、〕消費税減税に伴う支援策は、外食産業や農業など影響を受ける分野への配慮として位置付けられており、そのための財源も一定程度準備されていると理解している。プレミアム商品券についても、多様な選択肢の一つとして検討されるべきものである。対象範囲については様々な考え方があり得るが、一般の人々の飲食など、生活の基礎となる「食」の分野、とりわけその根幹に関わる部分への支援が基本になるべきである。
〔消費減税後も食品価格が下がらず、外食から食品への需要シフトが見通せない場合における外食産業への支援の必要性について問われ、〕食品価格がどのように推移するかは現時点では見通せないものの、消費減税による影響を懸念する事業者が存在することは事実である。実際に影響が生じるかどうかにかかわらず、消費税減税のような大きな政策を審議する際に、そうした懸念や不安に政治としてしっかり向き合うことが重要である。
【金融市場】
〔AI関連投資への懸念等を背景とした株安・債券高の動きと今後の金融市場の見通しについて問われ、〕株式市場・債券市場は参加者の様々な思惑によって変動するものであり、こうした上下動はこれまでもみられてきた。足もとではAI関連投資を巡る需給のアンバランスがある一方で、投資回収への懸念もあり、当面はこうした市場変動が続くと考えている。AI関連投資は、データセンターに加え、電力インフラや不動産を含むAIインフラ全体へと広がっており、大きな金融循環を生み出している。また、こうした短期的な市場動向だけでなく中長期的な視点でも市場をみる必要がある。長期的には需給の均衡化が進み、やがては収斂していくと考えている。
AIは生産性向上や経済社会・産業構造の変革につながる技術革新であることから、経済界としては、その可能性とリスクの双方を踏まえながらAI社会の到来に備えていくべきと考える。経団連としても、今後の「AI経済社会特別委員会」での議論や「2050年に向けたビジョン」の検討の中で、こうした視点を盛り込んでいきたい。
〔フランスの政治・財政情勢が金融市場に与える影響と、日本が取るべき対応について問われ、〕フランスの市場動向は、政治情勢の不安定化への懸念や物価上昇による社会的混乱を反映したものと受け止めている。過去生じたような欧州危機への発展については予断を許さないが、基本的には政治情勢の安定が求められる。
日本は、政権が交代する局面にあっても政治全体としては安定を維持してきた。財政についても、高市政権は財政の持続可能性と市場の信認を重視する姿勢を強く打ち出している。足もとでは金利も安定化してきており、この路線を粘り強く進めていくことが重要である。
【法人増税】
〔防衛費財源としての法人増税について見解を問われ、〕法人増税には反対である。まさに今、経団連は、設備投資、研究開発投資、賃金引上げを含む人的投資を三本柱とする投資牽引型経済の実現を掲げて取り組んでおり、高市政権が目指す「強い経済」とも軌を一にしている。法人増税は、こうした投資拡大の流れに水を差しかねない。また、日本の法人実効税率はG7の中でも高い水準にあり、国際競争力の観点からも望ましくない。
一方で、防衛費に限らず、長期的な国家課題への対応には恒久財源の確保が不可欠である。そのためには、歳出改革や社会保障制度改革など、あらゆる手立てを徹底的に尽くした改革とセットで議論を行い、国民全体で負担を分かち合うことが重要である。そうした前提の中で、経済界として、将来の国家課題に必要な恒久財源の議論には真摯に向き合うべきと考えている。
【旧姓使用と選択的夫婦別姓】
〔旧姓の単独記載を可能とする議論について評価を問われ、〕選択的夫婦別姓の実現を求める経団連の基本的な立場に変わりはない。今国会での議論は、女性活躍を推進するという方向については、経団連の考えと軌を一にするものと受け止めている。重要なことは、不利益や不便を感じている人々のニーズに届く政策によって、アイデンティティーの確立につなげていくことである。一つひとつの不利益や不便を感じる状況そのものが、アイデンティティーの確立に課題が残っていることを示していると考えている。その解決に向けては、選択的夫婦別姓が最も有効な道筋である。今後の国会審議を注視したい。
【EU 産業加速法案】
〔日本製EVが優遇措置の対象から除外されるとの報道について受け止めを問われ、〕現時点ではなお議論中と認識している。国際社会における分断・対立が深まる中で、日本とEUはルール形成を進めるうえで重要なパートナーであり、日本企業が仮に排除されるようなことになれば、日EU間のパートナーシップにも関わる問題になる。そうした事態とならないよう、日本政府に対しては経済界の意見を踏まえた対応を求めるとともに、経団連としても、訪欧ミッションの派遣や通商政策提言の策定などを通じて働きかけを強化していきたい。