一般社団法人 日本経済団体連合会
【北海道経済】
〔北海道経済について、今後の展望と発展に向けて注力すべき施策を問われ、〕北海道では全国以上に人口減少が進み、人手不足が深刻な課題となっている。一方、食・農林水産業、観光といった既存産業に加え、AI、半導体、データセンター、洋上風力、GXなど、新たな成長産業となり得るポテンシャルも大きい。既存産業の高付加価値化と新たな成長産業の集積を車の両輪として投資を呼び込み、雇用や所得につなげる好循環を創出することが肝要である。加えて、担い手が不足する中、地域経済の活性化には広域連携のさらなる推進が重要である。経団連としても、北海道における広域連携の取り組みをしっかり後押ししていきたい。
【副首都構想】
〔北海道・札幌市の副首都指定に向けた動きについて、受け止めや期待を問われ、〕北海道・札幌市が共同の推進体制を構築し、指定要件を見極めながら準備を進めていると承知している。副首都構想は、国家・社会機能の継続性の確保と多極分散型経済圏の形成を理念としている。各地域が自らの強みや特性を認識して魅力や競争力を高めることで、国全体のレジリエンス強化や持続的成長につながることを期待している。災害が多発する中、官民双方で重要拠点の複線化・分散化や、様々な分野でのバックアップ体制の構築を進めることも重要である。
【AI・半導体】
〔北海道におけるAI・半導体の取り組みへの評価と、経団連としての関わり方を問われ、〕AI・半導体は、産業競争力と経済安全保障を支える戦略物資である。特に次世代半導体は、AIやロボット、データセンターなどの競争力を左右する基盤技術であり、国内で生産能力を確保することが重要である。この点、北海道バレー構想は、わが国全体の経済安全保障と産業競争力を支える重要な柱になり得る。今後、ラピダスを中心として、量産技術の確立と、それに伴う関連産業の集積や人材育成が進み、北海道が次世代半導体の戦略的拠点として発展するとともに、国内設備投資の拡大を牽引し、投資牽引型経済の重要な一角を担っていくことを期待している。経団連としても、こうした取り組みをしっかりと後押ししていきたい。
【IR】
〔北海道観光におけるIRの必要性について問われ、〕IRは、雇用創出や地域経済の活性化といった効果が見込まれる。MICEの誘致競争が国際的に激化する中、IRを含め、北海道が主体となってビジネスや国際交流の機会を創出し、競争力を高めていくことが重要である。こうした取り組みは、わが国の国際競争力にもつながる。IRを契機として、北海道の観光との相乗効果も期待される。
【サイバーセキュリティ】
〔企業へのサイバー攻撃が深刻化する中、現状への認識と経済界に求められる対応を問われ、〕幅広い業種で被害が相次いでいることを極めて深刻に受け止めている。攻撃が高度化する中、侵入を一定程度前提として、被害を最小限に抑え、早期に復旧するサイバーレジリエンスを高めることが重要であり、国・企業ともに力を入れる必要がある。サイバーセキュリティをコストではなく投資と捉え、取引先を含むサプライチェーン全体で対応する視点も重要である。今月、サイバー対処能力強化法が施行されたところであり、経団連としても、国家サイバー統括室や関係省庁との連携を一層深めるとともに、会員企業への呼びかけをこれまで以上に強化していきたい。
【経済安全保障とコスト負担】
〔経済安全保障の観点から調達先の多様化が求められる中、企業のコスト負担について考えを問われ、〕経済安全保障の根本的な理念はリスク分散であり、例えばエネルギーでは調達先の多様化が重要となる。一方、多様化にはコスト増が伴う。現状では価格転嫁が一定程度進み、企業収益も堅調に推移しているが、際限なく進めれば消費者の負担にもつながる。どの程度のバランスを取るかは企業や業種によって異なり、国の産業政策とも関係する。規制はふさわしくないが、将来的には業界レベルで一定のガイドラインを設けることも考えられる。
【営業のインセンティブと企業のガバナンス、コンプライアンス】
〔生命保険会社の金銭不祥事を踏まえ、営業上のインセンティブとガバナンスのあり方について問われ、〕個別企業についての詳細なコメントは差し控えるが、業界の信頼を揺るがす事案が相次いでいることを、業界出身者として極めて重く受け止めている。当該企業において報酬制度の見直しなどが進められているが、是正措置を最終形とせず、PDCAを回しながら不断に見直していくことが重要である。営業上のインセンティブとコンプライアンスのバランスを図る上では、顧客・消費者保護が中心にあるべきである。経団連としても、企業行動憲章に基づき、コーポレートガバナンスコンプライアンスの徹底について、会員企業への呼びかけを一層強化していきたい。
【ビール大手4社に対する強制調査】
〔ビール大手4社に対する価格カルテルの疑いでの立ち入り調査について、受け止めを問われ、〕事実関係を十分に把握していないため、具体的なコメントは差し控えたい。公正取引委員会の調査結果を注視するとともに、会員企業に対して法令遵守の徹底を求めていく。経団連の企業行動憲章では「公正な事業慣行」を掲げており、「企業行動憲章 実行の手引き」でも、独占禁止法をはじめとする競争法の遵守を呼びかけている。こうした呼びかけをさらに強化していく必要がある。健全な市場競争を通じて適正な価格形成を促し、それが消費者保護に繋がっていくことが望ましい。