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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見(6/8)における筒井会長発言要旨

2026年6月8
一般社団法人 日本経済団体連合会

【原子力発電所のリプレース】

〔政府が「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の改定案において、原子力発電所のリプレースの具体的な見通しを示したことについて評価を問われ、〕政府として初めて、時系列を示した上で必要となる原子力発電所の設備容量や基数の見通しを示されたことを、経済界として大いに歓迎したい。これまでの経団連の主張とも合致している。

原子力発電所の建設・運転は、巨額の投資を要し、また長期にわたって投資回収するビジネスモデルである。政府として見通しを示すことは、原子力事業推進において特に重視される、事業者における予見可能性の向上や人材の確保・育成、技術継承、サプライチェーンの集積につながるものであり、非常に大きな意義を持つ。

仮にリプレース等が行われないと、2040年代以降、原子力発電所の設備容量が崖のように減少していくこととなる。設置の決定から運転開始までに20年にも及ぶリードタイムを要することから、原子力発電所のリプレースは待ったなしの状況にある。

安全の確保と地元の理解を大前提に、政府においては、さらなる予見可能性の向上や資金調達環境の改善といった事業環境の整備を進めてほしい。加えて、本見通し案は現時点の想定に基づくものであるため、今後の状況変化も踏まえ、継続的に見直しを図っていくことが重要である。

【金融政策】

次回の日銀金融政策決定会合において政策金利を引き上げることがふさわしい状況にあるかを問われ、〕非常に不安定な国際情勢、国内の物価動向、さらに春季労使交渉における賃金引上げの動向等を踏まえ、日銀は丁寧に市場と対話されるだろう。利上げをするとの見方も強まっているが、政策金利については、日銀が適時・適切に判断すると承知している。中東情勢が徐々に長期化の段階に入ってきている中で、先行きに対する懸念が強まり、物価上昇リスクについての判断が非常に難しい局面にあると考えている。

〔具体的に何が日銀の判断を難しくしているかと問われ、〕エネルギー価格の上昇が、どの範囲に、どの程度波及していくかということが一番のポイントではないか。既に、川上のメーカーが相応の値上げをしている中で、例えば、食料品のパッケージも含め、国民の暮らしや企業の調達・販売への波及の程度を読むのは非常に難しい。大きな影響が生じることをリスクとして想定せざるを得ない一方で、価格転嫁に負けることなく消費や投資がそう落ち込まずに維持され、堅調に推移していくことも考えられる。今はその分岐点にあり、金融政策の舵取りが難しい局面にあると考えている。

〔既に市場は利上げを織り込み済みであり、利上げしないとなると逆にそれがサプライズになるのではないかと問われ、〕市場は既に利上げを織り込んでいると言われており、植田日銀総裁の発信も従来とはやや異なるものであったとは思う。利上げの有無の判断は、物価上昇をどう見るかということによるだろう。逆にサプライズがあった際に、市場が別の反応をするということも含め、さまざまなシナリオを想定した上で、日銀が適切に判断されることを期待する。

【消費税減税】

〔本日の会長・副会長会議で社会保障国民会議についてどのような議論がなされたかを問われ、〕食料品の消費税を1%に減税する案に関する報道も含めた消費税減税の議論や、給付付き税額控除の実現に向けた議論の状況について、非常に概括的な情報連携を行った。

〔消費税を1%に減税する案に対する考えを問われ、〕消費税が社会保障を支える重要な安定財源として長らく位置付けられてきたことを踏まえ、社会保障の持続可能性の確保と市場の信認の維持という観点から、代替財源の明確化が大前提であるというスタンスである。0%ではなく1%への減税だとしても、このスタンスは変わらない。1%への減税とすることで、実務への影響が本当にどの程度軽減されるのか、関係各所の声を十分に踏まえて検討いただく必要があり、考慮すべきその他の要素も含め、引き続き国民会議で議論、検討を尽くすことが重要である。

〔食料品の消費税減税は2年間限定とされていることについて考えを問われ、〕消費税減税は、給付付き税額控除の制度化までのつなぎという、ある種の時限措置として検討されているものと認識している。社会保障の持続可能性の確保、また市場の信認の維持といった観点から、仮に減税するにしても2年間に限定してほしい。政治の判断で、2年間限定と言明されているものであり、その点は担保してほしい。

〔食料品の消費税減税の実施に合わせ、政府が外食業界や農業等への支援を検討していると報道について問われ、〕報道は承知しているが、詳細は固まっていない状況であり、社会保障国民会議で引き続き議論されていくものでもあることから、コメントは差し控えたい。

〔消費税減税の望ましい代替財源について考えを問われ、〕社会保障の持続可能性の確保と市場の信認の維持を図る上で、代替財源の組み方も重要である。仮に減税する場合、社会全体で公正・公平に負担するという観点、また、高市政権の掲げる「強い経済」、経団連の掲げる「投資牽引型経済」を実現する観点も必要である。その上で、具体的な財源の組み方について、予断を持ってコメントすることは差し控えたい。

ただし、不断の歳出改革は重要であり、その努力を怠ってはならない。今後、財政の使途が広がっていく中、極力負荷を軽減することも重要であり、歳出改革は常に重要である。

さらに、税収の上振れ分を活用するという案も報道されている。2年間の時限措置の中で、それが適切かどうかは、市場の信認の維持という観点から十分な検証が必要だと考えている。

〔代替財源の確保に向け、分厚い中間層の形成という観点からも、所得税の最高税率の引上げや法人税の租税特別措置の見直しといった方策が考えられるのではないかという指摘に対し、〕分厚い中間層の形成に向けては、税と社会保障の一体改革を通じ、応能負担が徹底され、中福祉・中負担の全世代型社会保障制度を構築することが重要である。それが社会保障国民会議における本丸のテーマであり、引き続き議論されるべきである。

所得税の税率のあり方についても、社会保障国民会議の本丸のテーマに含まれよう。なお、今回の消費税減税の代替財源として適切かどうかはよく検証されなければならない。

法人税については、令和8年度税制改正で、ガソリン暫定税率の見直しにおいて、租税特別措置の見直し等により財源を捻出した経緯もある。同時に、今、危機管理投資・成長投資による「強い経済」、「投資牽引型経済」に向かっていく流れの中で、わが国の法人税の実効税率は諸外国比で非常に高いと認識している。法人にさらに財源を求めることは、「投資牽引型経済」の確立や企業の国際競争力強化の観点から、賛成できない。

【景気の先行き】

〔日本の景気の先行きについて問われ、〕現時点、企業収益は非常に堅調であり、多くの企業の決算発表でもそのことが改めて確認できている。2025年度までは、中東情勢の緊迫化の影響がまだ出ていないと認識している。賃金引上げの動きも今後は少し不透明感が高まっていくであろうが、現段階では実質賃金も4カ月連続プラスとなっている。

懸念すべきは、企業の原材料の調達や、国民生活に欠かせない日用品・食料品などにインフレがどの程度及んでいくかということである。価格上昇による需要の低迷、企業の雇用面での防衛的な対応など、スタグフレーションのリスクは見据えておかなければならない。現在は景気拡大局面が続いているが、リスクが顕在化するとすれば、秋以降ではないか。その意味でも、7~8月の動きが、秋以降のトレンドを予測する上で重要となるだろう。

【会長・副会長会議】

〔新体制で初めての会長・副会長会議の場で、会長から今後の活動の方向性などに関する話はしたのかと問われ、〕大きな政策の方針は、定時総会(3日)で申し上げており、本日は話してはいない。ただし、議論のテーマが「今年度の重要課題」であったので、当然、今年度の事業方針や総会での私の発言を踏まえて議論がなされた。総じて非常に建設的な意見が多く、6人の新任副会長は、それぞれに改めての決意を述べられ、良い内容であった。本日の会議から自由な討議時間を増やすことにも意識的に取り組んでおり、闊達な意見交換が行われた。

〔議論の中で、フィジカルAIに関する話は出たかと問われ、〕AI全般について、多くの副会長がその重要性を述べられていた中で、フィジカルAIについては私から申し上げた。「投資牽引型経済」を推進する上で、壁になるものは労働供給制約であるという認識を伝え、その壁を克服するための方策の一つとして、フィジカルAIの開発・社会実装を追求すべきだと申し上げた。

【ソフトバンクG】

〔ソフトバンクGの時価総額がトヨタ自動車を上回ったことが、日本の産業構造の転換を象徴しているのではないかとの見方について問われ、〕米国をはじめとする世界共通のトレンドとして、AI・半導体分野への投資が活性化し、株式相場全体を牽引している。こうした流れが日本の株式市場にも波及していると理解している。

これまで、日本の産業構造がいわゆる重厚長大中心から今日に至るまで変遷してきた中で、株式市場においても、特定の産業が勃興し、あるいは低迷するという歴史を繰り返してきたことは事実である。ただし、今の時点で当該2社の時価総額の関係だけを見て、産業構造が転換したと判断することは早計ではないか。トヨタ自動車は依然としてモビリティ分野の世界的リーダーである。AI・半導体分野への投資活性化を象徴した相場の動きであると理解している。

【憲法改正】

〔高市自民党総裁が来年春までの憲法改正の発議に強い意欲を示していることを踏まえ、憲法改正に関する提言公表等の方針について問われ、〕憲法そのものが、国のあるべき姿を規定する、非常に根本的な存在であると思う。一方、憲法制定以来、国内外の情勢は激動を繰り返している。憲法改正は歴代政権で長年にわたって重要テーマであり続けており、経団連としては、与野党を超えた徹底した議論、国民各層の理解に向けた議論の投げかけを行うことに重要な意義があると考えている。

高市自民党総裁が強い意思を示されているが、経団連として、現時点で憲法改正について提言等をすることは予定していない。国会で検討や議論が進んでいく可能性があり、その中で、世論の状況も注視しながら、適切に対応していきたい。

〔先日の高市総理との昼食会において、憲法改正に関する話が出たかどうかを問われ、〕出なかった。

以上

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