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Policy(提言・報告書) 経済連携、貿易投資 企業としてのTPP活用戦略 -経団連シンポジウム 「TPPを活かす」 パネルディスカッション第1部

植村 憲嗣 三菱電機 執行役員・産業政策渉外室室長

アジアの成長を取り込む企業経営

メーカーとしての企業戦略上のTPP協定のメリットを紹介する。当社の2014年度の連結売上げの約4割強が海外による。日本市場を確固たる基盤としつつ、2020年度には連結売上の半分を海外とするのが目標である。高い伸びを示す当社の海外売上げはアジアの高成長を戦略的に取り込んだことによるものであり、TPP協定に多くのアジア諸国が参加していることは当社の戦略上も大きな意味を持つ。

広範な事業への恩恵

関税撤廃の恩恵は、累積原産地規則の適用により最大化され、アジア太平洋地域での最適なサプライチェーン構築の選択肢が拡大する。また、物流などサービス貿易の自由化や通関手続きの円滑化を含め、非関税分野でのルールの共通化など、事業活動への広範な恩恵が期待される。

今後のTPP協定参加国拡大を期待

当社はTPP協定域内で、ベトナム、マレーシア、豪州に海外生産拠点を有するが、域外の中国、タイ、フィリピン、インドネシアにも数多く工場がある。

累積原産地規則の適用を通じた関税撤廃のメリットを十分享受できるよう、早期発効とともに参加国を拡大すべきである。

例えば、当社のある製品の生産・販売スキームのグローバル展開では、日本の工場では完成品の製造・海外への販売に加え、各国の工場に向けた部品/半製品を製造してインドネシア、フィリピンに供給、そこで半完成品・部材を製造し、それらを用いてタイなどで最終完成品を製造している。TPP協定にこれら3カ国が加盟すれば、こうした東アジア域内における加工・製造の分業体制において関税撤廃のメリットが享受できるようになり、さらに、事業環境の変化に対応して柔軟に見直し、再構築することも可能となる。

TPPで国内マザー工場の維持・強化へ

TPP協定は国内にも良い影響をもたらす。産業の海外移転と国内産業の空洞化が懸念される中、関税撤廃と累積原産地規則の適用により、新技術・新製品の開発を担う国内マザー工場の維持・強化、ならびに先端技術の海外流出の防止、ひいては国内雇用の維持や経済の活性化につながる。

以上

経団連シンポジウム 「TPPを活かす」 開催概要

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