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Policy(提言・報告書) 経済連携、貿易投資 TPPの経済効果と期待 -経団連シンポジウム 「TPPを活かす」 パネルディスカッション第1部

クリストファー・ラフルア 在日米国商工会議所(ACCJ)会頭

日米にとってのTPPの戦略的意義

TPPは、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配に基づく日米の戦略的関係を強化する上で、大変重要である。両国は法に基づく透明性ある手段で経済的成長を目指しており、TPPはそのための長期的投資である。

企業、労働者に多くの経済的利益があるだけでなく、TPPを通じ、アジア太平洋地域で日米のリーダーシップが強化される。また、日本にとっては成長戦略や構造改革を推進するためのインセンティブともなる。

米国に多大な経済的恩恵

2013年のUSTRのレポートによると、米国とTPP参加国との貿易額は物品・サービスの分野で1.8兆ドル(総額の37%)となり、TPP参加国の米国への直接投資額は6203億ドル(総額の23%)である。また米国におけるTPP参加国の企業により140万人、米国からTPP諸国への輸出により約400万人が雇用されている。米国製品に対する約1万8000品目の関税撤廃、政府調達市場の開放など、TPPによってその恩恵の拡大が期待できる。行政の透明性、労働者の権利保護、過剰に保護された農業市場の開放、国営企業の規律強化、データの自由な移転、知的財産権の保護の拡大等により、多くの産業、中小企業にもプラスになる。

地域におけるTPPの影響力向上を

アジア太平洋地域全域の経済連携が実現すれば、TPPよりも多くの恩恵が得られる。この地域でTPPの水準を実現することが重要であるが、TPPは域内で進んでいる唯一の通商交渉ではない。日米が協力し、TPPの早期批准・発効により、その影響力を高めることが重要である。

ACCJは協定の早期承認を強く支持

米国は今回の合意で、バイオ医薬品開発データ保護期間など、望んだ成果が全て得られた訳ではなかった。農業団体一般はTPP支持であるが、酪農家やコメ農家はTPPの市場開放の程度に納得していない。しかしACCJは、米国の指導者がTPP協定を評価する際に、個別の業界が望む結果を得られたかどうかではなく、TPPで米国の通商上、戦略上の目標が前進するかに基づいて判断することを望む。TPPが新規ビジネス機会を生むと確信しており、全ての参加国が早期に協定を承認することを強く支持する。

米国議会での審議の行方

今は大統領選の最中でもあり、TPP協定の米国議会での審議の見通しは不透明である。協定の議会審議においては、大統領候補者よりも議会多数派の共和党指導部の考え方が重要である。マコーネル上院院内総務は本年の議会での審議に反対し、ハッチ上院財政委員長は協定に修正が必要としているが、ライアン下院議長、ブレイディ歳入委員長はTPPの支持者である。オバマ大統領は、議会への提出準備を進め、共和党指導部と協議していると考える。仮に現政権での議会承認が難しくとも、過去、前大統領の通商協定を議会で通した例もある。

以上

経団連シンポジウム 「TPPを活かす」 開催概要

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