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Policy(提言・報告書)  総合政策 政治との連携強化に関する見解

2025年10月6
一般社団法人 日本経済団体連合会
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1.政策に対する評価

わが国を取り巻く国際情勢は厳しさを増しており、国内においても重要課題が山積している。

こうした中、自由民主党を中心とする与党は、少数与党での難しい政権運営が求められるなか、「熟議の国会」を通じ、野党との丁寧な政策協議と合意形成を重ね、2025年度予算や各種法案を成立させたほか、外交面でも、米国との関税交渉の合意を実現するなど、高く評価できる。

政治には、民意を適切に反映しつつ、強力なリーダーシップを発揮し、重要政策を迅速かつ着実に推進することが求められる。そのために、自由民主党・公明党の両党を中心に、安定した政治の態勢が確立されることを強く期待する。

2.政治への信頼回復に向けて

また、政治資金のあり方については、国会において議論が継続している。

議論の前提として、民主主義を適切に維持していくためには、相応のコストを要するという現実がある#i

経団連はかねてより、「政党とは、同じ思想・信条を持つ党員から成り立つものであり、政党にとって党員の維持・拡大のための自助努力が不可欠である。この点に照らし、最も重視すべきは党員からの会費・事業収入であり、これに準ずるのが民間からの自発的な寄付である。公的助成はあくまでもこれらを補完するものと位置づけるべきである」(2003年1月『奥田ビジョン 活力と魅力溢れる日本をめざして』)との見解を示してきた。

一方、民間からの寄付については、社会的実在である企業も、その担い手として期待される#ii。特に、経団連の呼びかけを踏まえた企業・団体による政治寄附は、政党の政治資金団体を窓口として行われる。これは、特定の利益誘導を図るようなものではない。

政治資金のあり方をめぐっては、透明性の向上が何より重要である。これまで政治資金規正法の改正が重ねられており、政治資金収支報告書のインターネット公表・データベース化などをはじめ、透明性向上に資する取り組みが進められている。引き続き、政治資金の更なる透明性向上や政党のガバナンス強化など、政治への信頼回復に向けて真摯に取り組むことが求められる。

3.政治との連携強化に向けた経団連の取り組み

経団連はこれまでも、民主導の経済社会の実現に向けた改革を加速するため、政治との連携を図ってきた。引き続き、経済活力と国民生活の向上に資する政策提言、政党・政治家とのコミュニケーション、官民一体となった経済外交の推進、企業人の政治参加意識の高揚などの活動を積極的に行い、政治との連携をより一層強化していく。

企業・団体による政治寄附については、企業の社会的役割の一環として重要性を有するとの認識の下、政策本位の政治の実現、議会制民主主義の健全な発展などに向けて、クリーンな民間寄附の拡大を図っていく必要がある#iii

そこで、経団連は、会員企業・団体に対し、自主的な判断に基づき、自由主義経済のもとで企業の健全な発展を促進し、日本経済を次なる成長のステージに引き上げ、国民生活の向上に資する政策を進める政党への政治寄附を実施するよう呼びかけるとともに、政党の政策評価も実施していく。

企業・経済界は、課題解決のフロントランナーとして、「成長と分配の好循環」を実現し、公正・公平で持続可能な経済社会の構築に取り組んでいく。

以上

  1. 政治資金規正法において、支出項目として、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費、組織活動費、選挙関係費、機関紙誌の発行その他の事業費、調査研究費などが挙げられている。
  2. 八幡製鉄の政治献金に対する最高裁判決(最大判昭45.6.24):
    『政党は議会制民主主義を支える不可欠な要素なのである。(中略)その健全な発展に協力することは、会社に対しても、社会的実在としての当然の行為として期待されるところであり、協力の一態様として政治資金の寄附についても例外ではないのである』
  3. 八幡製鉄の政治献金に対する最高裁判決(最大判昭45.6.24):
    『会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げないのである』

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