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Policy(提言・報告書)  産業政策、行革、運輸流通、農業 2026年度規制改革要望

2026年9月15
一般社団法人 日本経済団体連合会

Ⅰ.基本的考え方

日本経済は、大きな転換期を迎えている。

災害の激甚化や人手不足の深刻化、AI等の急速な進展に伴う産業構造の変化等、わが国を取り巻く環境は大きく変化している。これらの変化は、企業活動や国民生活に多大な影響を及ぼす一方、リスクへの備えや社会課題の解決を通じて、新たな需要や市場の創出、技術革新、国内投資の拡大につながる可能性も秘めている。危機を成長の制約として捉えるのではなく、新たなイノベーションを生み出す機会と捉え、付加価値の創出へと戦略的につなげていくことが不可欠である。

こうした中、昨年10月に発足した高市政権は、「危機管理投資」と「成長投資」を車の両輪として、「強い経済」の実現に向けた成長戦略を推進している。日本成長戦略会議では、17の戦略分野における主要な製品・技術等を特定するとともに、先行する製品・技術等について官民投資ロードマップの策定を進め、国内リスクの低減、海外市場の獲得、技術革新を一体的に追求する方針を打ち出している。経団連としても、「投資牽引型経済」の実現を通じて、日本経済の基盤と自律性を強化し、成長と分配の好循環を実現することを基本方針に掲げている。

日本成長戦略を実効性あるものとするためには、予算・税制等による支援に加え、民間企業が投資や研究開発、新規事業に取り組む際に直面する制度上の障壁を取り除くことが不可欠である。とりわけ、技術革新が加速度的に進展し、ビジネスモデルが大きく変化する中、既存の規制が現場の実態に適合せず、民間の創意工夫や迅速な投資判断を阻害している例も少なくない。

こうした認識の下、経団連は、会員企業・団体から寄せられた提案を踏まえ、17の戦略分野に加え、高市政権が重要政策として掲げる地域経済活性化について、規制改革要望を取りまとめた。

政府には、本提言に掲げた規制改革の着実な実行を強く求める。とりわけ、急速に進展する技術に的確に対応するため、期限を明確化した上で、スピード感を持って規制改革を断行するとともに、EBPMに基づき、PDCAサイクルにより不断に検証を行うことが欠かせない。政治の強いリーダーシップの下、わが国の「強い経済」の実現に向けた真の改革が断行されることを期待する。

Ⅱ.2026年度規制改革要望

1.17の戦略分野

(1) デジタル・サイバーセキュリティ
No.1. 障害年金・障害者手帳等に係る診断書様式の電子化・標準化・共通利用の推進
<要望内容・要望理由>

現在、一部の年金関係手続の電子申請、障害者手帳情報のマイナンバー連携、事業者・自治体間の障害福祉関係手続に関するシステム共通化等は既に進められている。一方、障害年金(日本年金機構)、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳(自治体)、自立支援医療・各種福祉給付(特別障害者手当、障害児福祉手当、生活保護、医療費助成・各種手当、就労支援等)(自治体)等において、同じ障害の種類であっても、制度ごと・自治体ごとに異なる診断書様式が規定されており、かつ書面(紙)での作成・提出を前提とした運用もなお多く残っている。

令和7年版障害者白書では、身体障害者423万人、知的障害者126.8万人、精神障害者603万人とされ、複数の障害を併せ持つ者もいるため単純な合計にはならないものの、国民のおよそ9.3%が何らかの障害を有しているとされている。こうした広範な対象者に関わる手続において、診断書様式が制度ごと・自治体ごとに分かれ、紙を前提とした運用が続いている現状は、デジタル技術活用の妨げとなっており、診断書を作成する医師、発行を受ける申請者、提出を受ける行政機関において負担を生じさせている。

そこで、前述の各種制度にかかる「診断書」について、様式の標準化、電子化、共通利用を求める。具体的には、共通して利用可能な標準診断書フォーマットを、障害の種類ごとに国が定めることを求める。

各制度の診断書(現在は、国や各自治体が個々の制度ごとにばらばらに定めているもの)は、共通項目と制度固有項目に分けて再編する。共通項目(基本情報・診断)は「標準診断書フォーマット」に統一する。そのうえで、「標準診断書フォーマット」のみではカバーできない項目(年金・手帳・福祉サービスごとの差分)を残さざるを得ない各制度個別の事由がある場合に限り、個別項目様式を設け、「標準診断書フォーマット」と併用することを可能とする。

また、「標準診断書フォーマット(電子版)」も策定し、紙の診断書を介さずに電子データでの提出を可能とすることを求める。さらに、一つの「標準診断書」で複数制度の申請が可能となる仕組みの導入(診断書提出のワンストップ化)を図ることを求める。

これにより、医療現場においては、診断書作成業務の効率化、重複作成負担の軽減等が期待される。国民にとっては、診断書費用の削減(複数→1通)、申請手続の簡素化につながる。行政機関においては、データ標準化による情報連携、電子申請・自動審査の実現が期待される。また、支援制度の利用促進の観点からは、手続の簡素化により未申請者の減少、社会保障制度の適正利用につながる。

<根拠法令等>
  • 国民年金法施行規則第31条
  • 厚生年金保険法施行規則第44条
  • 身体障害者福祉法第15条
  • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第45条
  • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則第23条
No.2. 特装車の新規検査・登録手続における電子化・デジタル完結化
<要望内容・要望理由>

特装車の新規検査・登録に係る届出書類(車両諸元、保安基準適合性確認書類、改造申請書類等)は、架装メーカーにおいてPDF等の電子データで作成され、販売会社との間でも電子的に授受・管理されている。また、技術基準に影響する改造を行った車両については、事前書面審査においてオンライン届出システムを活用した電子的な手続が可能となっている。

一方で、独立行政法人自動車技術総合機構「審査事務規定」別添2「新規検査等書面審査要領」4.2. (4)では、「当日書面審査の自動車については、検査コースにおける審査の開始までに①の方法(直接提出)により提出するものとする」とされている。その結果、電子データとして作成・管理されている情報であっても、最終的には紙媒体へ出力して提出する必要があり、事前書面審査から新規検査・登録までの一連の手続がデジタル完結していない。これにより、印刷・保管等に係る事務負担やコストが発生しているほか、書類の取り違えや汚損、紛失等のリスクも生じている。また、紙媒体を前提とした運用は、テレワークやBCP対応の制約要因ともなっている。

そこで、「審査事務規定」別添2「新規検査等書面審査要領」等の見直しを行い、当日書面審査の対象となる特装車についても、オンライン届出システム等を活用した電子提出及び電子的な書類確認を可能とすべきである。また、事前書面審査から新規検査・登録までの一連の手続について、デジタル完結を実現できるよう、必要な制度及びシステムの整備を進めるべきである。

これにより、架装メーカーや販売会社において既に電子化されている情報を一貫して活用できるようになり、ある事業者の試算によれば、同社関連車両分だけでも年間約55万枚の紙使用削減が期待される。また、印刷・保管等に係る事業者負担の軽減、書類の取り違えや紛失リスクの低減、テレワークやBCP対応の強化につながる。

さらに、自動車技術総合機構や運輸支局における書類保管スペースの削減や、資料検索の効率化が期待されるほか、行政手続のデジタル完結化を通じた行政DXの推進にも資する。加えて、紙資源の使用削減や物流負荷の軽減を通じて、カーボンニュートラルの実現にも貢献する。このような取組は、単なる事業者負担軽減にとどまらず、既に電子化されている情報を行政手続全体で有効活用することで、行政・民間双方の生産性向上や利便性向上につながるものである。

<根拠法令等>
  • 独立行政法人自動車技術総合機構 審査事務規定 別添2 新規検査等書面審査要領 4.2. (4)
No.3. 自動車整備・サービスデータの統計分析に係るデータ連結解析要件の明確化
<要望内容・要望理由>

国においては、データ利活用を通じた新産業創出や競争力強化の観点から、民間におけるデータ利活用の推進が掲げられている。自動車整備分野においても、整備記録、ロードサービスデータ、車検データ等を横断的に分析することで、故障・不具合の予兆把握、予防保全の高度化、品質改善、アフターサービスの向上等が期待される。特に、複数の事業者が保有するデータを車両単位で連結・分析することができれば、個々の事業者では把握できない故障傾向や不具合要因の分析が可能となり、自動車の安全性向上やサービス高度化に大きく寄与する。

しかしながら、このような統計分析を行うために、整備記録、ロードサービスデータ、車検データ等を登録番号又は車台番号をキーとして突合・連結しようとする場合、第三者提供との関係(同法第27条)や、匿名加工情報として提供する際の登録番号又は車台番号の取扱い(同法第43条、施行規則第34条)が必ずしも明確ではない。

特に、日本自動車整備振興会連合会の「個人情報保護法Q&A」においては、登録番号そのものは個人情報に該当しないとの考え方が示されている一方で、匿名加工情報における「特異な記述等」への該当性については明確な整理が示されていない。このため、整備事業者等は登録番号又は車台番号を含むデータの外部提供の可否を判断しにくく、結果として故障予兆分析や品質改善等につながる横断的なデータ利活用が進んでいない。

そこで、統計作成を目的として、適切なセキュリティ対策およびガバナンス措置が講じられる場合には、登録番号又は車台番号を含む整備記録等の取扱いについて、特に匿名加工情報における登録番号又は車台番号の「特異な記述等」への該当性(個人情報保護法第43条、同法施行規則第34条)を中心として、同法第27条との関係性を含めた適用関係を明確化し、

  • 登録番号又は車台番号の「特異な記述等」への該当性

  • 登録番号又は車台番号を用いたデータ連結解析に関する適法性判断の考え方

  • 統計分析を目的とした第三者提供に関する考え方

について、個人情報保護委員会が「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」において明確化すべきである。

これにより、整備記録、ロードサービスデータ、車検データ等を活用した横断的な統計分析が可能となり、故障・不具合の予兆把握、リコール対応の高度化、予防保全の高度化、品質改善等、データに基づく新たな価値創造が促進される。

また、民間主導で蓄積・高度化された知見は、自動車の安全性向上や社会課題の解決にも資するとともに、行政におけるEvidence-Based Policy Making(EBPM)や保安行政の高度化にも貢献することが期待される。

<根拠法令等>
  • 個人情報の保護に関する法律第27条、第43条
  • 個人情報の保護に関する法律施行規則第34条
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)」
No.4. オンライン診療における在宅検体採取・搬送検査の運用明確化
<要望内容・要望理由>

医療法及び施行規則上、医療機関が一定の要件を満たす衛生検査所等に検体検査業務を委託すること自体は可能と解されるものの、診断確定に必要な検体検査については、実務上は医療機関内での対面実施が中心となっている。

一方、オンライン診療に関する制度整備は進展しているものの、オンライン診療に付随する検体採取・搬送・検査機関連携については、標準的な手順がなお明確でない。具体的には、問診や画像確認等はオンラインで完結できる場合であっても、診断に必要な血液、唾液、尿等の検体検査について、患者居宅等での自己採取、医師の遠隔指示、検体搬送、衛生検査所等との連携に関する標準的な手順が明確でないため、患者が検査のみを目的として来院を求められるケースが多い。このような運用上の不明確さが、オンライン診療の利便性を損ない、普及のボトルネックとなっている。

そこで、オンライン診療の適切な実施に関する指針または関連通知・事務連絡等において、医師の遠隔指示の下で行う検体採取、検体の保管・搬送、検査機関への提出について、患者居宅等における実施を明確に許容していただきたい。その際、医療機関、検査機関および患者の間で必要となる手続、役割分担、安全管理の考え方を含めて、標準的な運用手順を示していただきたい。

これにより、在宅採取や郵送検査等の標準化された運用モデルが確立されることで、診療から検査まで一貫したオンライン医療の提供が可能となり、患者の移動負担や受診機会損失の軽減につながる。特に通院先の選択肢が限られる地域の患者や多忙な就労世代の医療アクセスが大幅に改善されるほか、感染症流行時の非接触医療体制の強化にも寄与する。また、検査機関との効率的な連携により医療資源の最適配分が進み、医療機関の業務負担軽減や生産性向上も期待される。

<根拠法令等>
  • オンライン診療の適切な実施に関する指針
  • 医師法第20条
  • 医療法第1条の2、第15条の3
  • 医療法施行規則第9条の7、第9条の8
  • 臨床検査技師等に関する法律第2条、第20条の2、第20条の3
  • 検体測定室に関するガイドライン
  • 衛生検査所指導要領
No.5. 民間事業者による受診支援サービスにおける制度上の境界・判断基準の明確化
<要望内容・要望理由>

緊急時に医療機関へつなぐ公的電話相談(#7119)等の公的相談窓口を補完するサービスとして、民間事業者による遠隔健康医療相談・受診支援サービスの活用が期待される。

具体的には、相談者が医療機関を受診する前に、アプリやAIチャット、コールセンター、医師以外の専門職等を活用し、一般的な医学情報の提供、受診目安の提示、医師相談への接続、#7119等の公的相談窓口への誘導、医療機関受診の案内等を行うことで、緊急での受診の要否等を含めた適切な次の行動を促すことが可能となる。

現行制度上、一般的な医学的情報の提供や一般的な受診勧奨については、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において遠隔健康医療相談として一定の整理がなされている。

一方で、民間事業者がサービスを設計・運用する場面では、利用者の症状や相談内容を踏まえて、#7119等の公的相談窓口、医師相談、オンライン診療への接続、救急受診可能な医療機関等への案内・接続を行う場合に、どの範囲までが一般的な受診勧奨として実施可能であり、どの範囲からオンライン受診勧奨、医師法第17条上の医行為又は医療機器プログラムとの関係が問題となり得るのかが必ずしも明確でない。特に、AIチャットやコールセンター等を通じて緊急度に応じた案内や受診先案内を行う場合には、実務上の線引きが分かりにくい。

そのため、民間事業者による受診支援サービスにおける案内・接続・緊急性に応じた対応支援等の設計にあたり、制度上の予見可能性が十分でなく、サービス展開の障壁となっている。

そこで、民間事業者が、利用者の症状等に応じた受診支援サービスを適切に設計・運用するにあたり、受診すべき診療科や受診時期、緊急度に応じた案内、#7119等の救急相談窓口への相談案内、医師相談への接続、翌診療日の外来受診、受診不要又は緊急性が低い可能性を示す案内等の選択肢を適切に提示できるようにしていただきたい。具体的には、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」、「オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A」、「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」及び「プログラムの医療機器該当性判断事例」等において、一般的な受診勧奨、オンライン受診勧奨及び医師法第17条上の医行為との境界並びに医療機器プログラム該当性について、それぞれどの範囲まで実施可能かを具体例を含めて明確化していただきたい。

また、AIや医師以外のスタッフによる症状の聞き取り、緊急度分類、相談先の振り分け等を適法かつ安全に設計できるよう、AI、医師以外のスタッフ及び医師の役割分担、一般的な情報提供・定型的な問診・相談窓口や医療機関等への案内として実施可能な範囲、並びに個別症状に基づく医学的判断、診断・治療方針の提示、緊急性が高い場合等に医師への接続が必要となる範囲及び責任分界の考え方を示していただきたい。

これにより、民間事業者が、法的安全性や公的相談体制との補完関係を自治体、健康保険組合、企業、医師会、消防等に説明しやすくなり、サービス導入時の合意形成や事業展開を円滑に進めることが可能となる。人口減少が進む地方自治体において、電話相談に係る人員確保が課題となるなかでも、民間事業者による公的相談体制の補完が進みやすくなる。また、相談内容の緊急度に応じた案内や医療機関への迅速な接続を通じて、利用者を適切な次の行動につなげることが可能となる。結果として、各地域における救急医療機関への過度な受診集中の緩和や、軽症者・重症者に応じた適切な受診行動の促進につながり、医療資源の効率的活用が期待される。

<根拠法令等>
  • 医師法第17条
  • オンライン診療の適切な実施に関する指針
  • オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第4項
  • プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン
  • プログラムの医療機器該当性判断事例
No.6. 無線局の免許状等の完全デジタル化
<要望内容・要望理由>

令和7年9月1日以降、無線局の免許状等がデジタル化されたが、現状は総務省の運用上、総務省電波利用電子申請ウェブサイトに直接アクセスして印刷した紙もしくは直接ダウンロードした電磁的記録による免許状等のみが有効とされている。すなわち、免許人又は代理人が当該ウェブサイトから取得した電磁的記録であっても、メール等により各無線局へ送付した場合には、有効な免許状等として認められていないとされている。

特に、外航船舶では、免許状等の掲示が必要となる時点で船舶が国外にあることも多い。陸上の免許人又は代理人が取得した電磁的記録を各無線局に当たる船舶へ電子的に送付することが有効な備付け・掲示方法として認められていない現状では、従来どおり紙媒体を国際郵送する必要が生じている。

そこで、免許人又は代理人が無線局免許状等の電磁的記録を当該ウェブサイトからダウンロードし、免許人に属する各無線局にメール等で送付した電子的記録についても、有効な免許状等として認めていただきたい。

免許人又は代理人が当該ウェブサイトから取得した電磁的記録については、その取得後にメール等で送付されたことのみをもって、有効性が失われる合理的理由は乏しい。なお、国土交通省や日本海事協会が船舶に交付する電子証書(国際船舶保安証書や貨物船安全無線証書等)については、メール等で船舶に送付された証書も有効なものとして取り扱われている。

これにより、日本国内の港に当面寄港しない外航船舶等において、紙媒体の免許状等を高額な国際クーリエ等で送付する必要がなくなる。国際輸送ではリードタイムが1か月程度かかることもあり、その間、電波法で規定されている免許状等の掲示ができない状態となるおそれがあるが、ウェブサイトへのアクセス権を持つ船主、すなわち免許人又はその代理人が、電磁的記録をメール等で船舶に送付できるようになれば、輸送コストを削減できるとともに、法令上の不適合期間を解消することも可能となる。

また、免許状等の交付・備付けに係る手続きの完全なデジタル化により、迅速化、利便性向上、コスト削減等を実現できることは、行政手続きのデジタル化を推進する政府方針とも合致する。

<根拠法令等>
  • 電波法第60条
  • 電波法施行規則第38条
No.7. サイバーインシデント報告の窓口・様式の統一
<要望内容・要望理由>

政府においては、2025年10月1日から、特に件数の多いDDoS攻撃事案およびランサムウェア事案について、関係政府機関に対する報告様式の統一が開始されており、企業の初動対応負担の軽減に資するものとして評価できる。

一方で、対象となるインシデント類型はなお限定的である。また、共通様式を用いた場合であっても、具体的な提出先、提出方法、追加的な報告事項の有無については、各法令、ガイドラインや各省庁が公表する方法に従うこととされており、複数制度にまたがる報告義務を単一の提出で完結させる仕組みまでは実現していない。

不正アクセス、情報漏えい、マルウェア感染、サプライチェーン攻撃等、DDoS攻撃およびランサムウェア事案以外のインシデント類型では、警察、個人情報保護委員会、事業所管省庁、国家サイバー統括室等への連絡・報告の要否確認や、各制度に応じた記載事項の整理・作成が引き続き必要となり得る。

そこで、既に整備されているDDoS攻撃事案およびランサムウェア事案の共通様式を起点として、対象となるインシデント類型を順次拡大するとともに、関係法令上の報告・届出義務の履行として取り扱われる形で、統一フォーマットおよび単一ポータルでのワンスオンリー提出を可能とする運用・ガイドラインを整備すべきである。あわせて、一度提出された情報を、提出者の負担を増やすことなく関係省庁間で共有・活用できる仕組みも整備すべきである。

これにより企業の初動対応負荷が軽減され、迅速な封じ込め・復旧が可能となる。行政側においても情報集約と分析が効率化され、官民連携による被害拡大防止が進む。日本成長戦略本部では、「危機管理投資」「成長投資」の戦略分野として「デジタル・サイバーセキュリティ」が位置づけられている。本要望は、企業のサイバーインシデント対応力を高めるとともに、官民の情報共有を迅速化するものであり、危機管理投資・成長投資を通じた強靱な産業基盤の構築に資する。これらを通じて、企業の初動対応力と行政の情報集約・分析機能がともに高まり、社会全体のサイバー耐性向上、重要インフラ・産業活動の安定確保に資する。

<根拠法令等>
  • 重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律第1条、第5条(改正後)
  • 個人情報の保護に関する法律第26条
  • 個人情報の保護に関する法律施行規則第7条、第8条
No.8. 契約書面電子交付における事前承諾手続の簡素化によるサービス提供迅速化と負担軽減
<要望内容・要望理由>

訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供において、契約書面等に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合、一定の場合を除き、電磁的方法による提供について承諾を得たことを証する書面を紙媒体で交付する必要があり、その書面(紙媒体)が到達した後でなければ電磁的方法による提供を行うことができない。また、契約類型ごとに対象となる契約書面、申込書面、等について、それぞれ承諾手続きを行う必要があるため、事業者および消費者双方にとって時間的・事務的負担が生じている。

消費者本人の明確な意思に基づく承諾であることは、承諾取得時の説明、適合性等の確認、氏名入力等の承諾意思の明確化、説明事項の保存・再確認を可能とする仕組み等により、担保することが可能である。また、希望する消費者には引き続き紙媒体での交付を選択できるようにすることにより、消費者保護を確保しつつ、手続きの合理化を図ることも可能である。

現行の手続きは、消費者保護上の必要性を踏まえたものではあるが、紙媒体による確認を前提とする運用が残ることにより、事業者と消費者双方の負担が増大し、サービス授受双方の機会損失につながり、デジタルを活用した産業の発展を阻害している。

そこで、契約書面等に記載すべき事項を顧客の承諾を得て電磁的方法により提供する際、紙での交付と同等以上の消費者保護措置を講じることを条件に、「承諾を得たことを証する書面」についても電磁的方法により提供可能としていただきたい。

また、各書面の内容、電磁的方法により提供を受けることの効果、クーリング・オフ等に関する重要事項、紙媒体での交付を選択できることを明確に説明し、消費者が承諾前に十分に確認できる仕組みを設ける場合は、各書面について個別に求められている承諾手続きについて、対象書面を明示したうえで一括して取得することを可能としていただきたい。

なお、「紙での交付と同等以上の消費者保護措置」とは、説明事項および契約書面等のダウンロード・保存・印刷を可能とすること、確認メールを送信すること、本人認証を行うこと、希望者には紙媒体での交付を選択可能とすること等を想定している。

これにより、郵送コスト(1通85円~110円程度)、印刷・封入・発送および発着管理等のオペレーションコストが削減されるため、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供の事業を行う事業者における受注管理コストの削減が期待される。また、郵送に伴う日数を要しないため、電磁的方法による迅速な情報提供およびサービス提供が可能となり、消費者にとっても利便性向上のメリットが大きい。

以上により、消費者保護を確保しつつ、デジタル時代に即した産業活性化に資する。

<根拠法令等>
  • 特定商取引に関する法律施行規則第10条第7項、第50条第7項、第99条第7項、同条第8項
No.9. 電子契約における本人確認要件の合理化による契約迅速化とデジタル化推進
<要望内容・要望理由>

電子契約において電子署名法第3条の推定効を得る方法について、「電子署名法第3条に関するQ&A」等では、立会人型電子契約サービスに関し、「十分な水準の固有性」を満たすと認められ得る例として、二要素認証が示されている。

同Q&Aは、二要素認証を唯一の要件としているものではなく、システムやサービス全体のセキュリティを評価して判断されるものと整理している。しかし、実務上は、現行のQ&Aにおいて二要素認証のみが具体例として示されていることから、企業法務部門や取引先において、同法第3条の推定効を確保するためには二要素認証等の厳格な本人確認措置が必要であるとの保守的な解釈が生じやすい。

その結果、契約類型、取引リスク、契約金額、相手方との継続的取引関係等にかかわらず、追加的な本人確認措置が求められる場合があり、迅速な契約締結や電子契約の円滑な普及の妨げとなっている。

立会人型電子契約サービスにおいては、IDやPWの管理、登録メールアドレスによる認証、アクセス制御、操作ログの保存、タイムスタンプ等、複数の措置を組み合わせることにより、契約締結の真正性を確保できる。また、実務上は、取引先の利便性や契約締結の迅速性を踏まえ、二要素認証ではなくメール認証等(一要素の認証)を用いた立会人型電子契約も広く利用されている。

そこで、電子署名法第3条における「十分な水準の固有性」の解釈について、二要素認証を例示しつつも、それに限られるものではなく、メール認証等を用いる場合であっても、サービス全体のセキュリティ、操作ログ、アクセス管理、改ざん防止措置、その他リスクに応じた補完的措置等を総合的に評価することにより、同条の推定効が認められることを、「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A (電子署名法第3条関係)」の改訂により明確化していただきたい。

なお、メールアカウントの乗っ取り等によるなりすましリスクを指摘する意見もあるが、同条の推定効や民事訴訟法第228条第4項の推定効は、絶対的な本人確認を前提とするものではなく、反証によって覆り得る証拠法上の推定である。紙の契約書における印鑑についても盗用等のリスクが存在する中で推定効が認められていること等を踏まえれば、通常本人または組織において管理されるメールアドレスを用いた認証についても、他の補完的措置と組み合わせることにより、推定効を基礎づける固有性は認め得ると考えられる。

これにより、立会人型電子契約の導入ハードルが下がり、企業における電子契約のさらなる普及が期待される。また、日本全体で年間数億時間の契約関連業務の削減と、数千億円規模の郵送費・保管コストの削減も見込まれることから、政府が掲げる「デジタル社会の実現」や民間部門におけるペーパーレス化の推進にも直結する。さらに、場所にとらわれない契約業務の定着により、柔軟な働き方の促進や業務効率化、ひいては我が国全体の労働生産性の向上にも貢献する。

<根拠法令等>
  • 電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)第3条
  • 総務省・法務省・経済産業省「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A (電子署名法第3条関係)」
  • 民事訴訟法第228条第4項
No.10. 2026年の改正・個人情報保護法におけるデータ利活用と規制の適正化
<要望内容・要望理由>

2026年の個人情報保護法改正では、16歳未満の者の個人情報、連絡可能個人関連情報、統計作成等特例、漏えい等発生時の本人通知等について、新たな規律や見直しが盛り込まれた。これらは個人の権利利益の保護に重要である一方、政令・規則・ガイドラインで過度に厳格な運用が定められれば、事業者の実務負担が増し、データ利活用を萎縮させるおそれがある。

具体的には、16歳未満の者の個人情報の新たな規制により、厳密な年齢確認や法定代理人同意が一律に求められると、サービスの性質やリスクの程度にかかわらず、対応するシステム改修や運用体制の見直し等の広範な負担が生じる等の懸念がある。

また、実態を踏まえない「連絡可能個人関連情報」の過度に広い解釈は、必要な計測・不正対策等の運用を萎縮させる。特に、影響の大きいCookie技術を含むオンライン識別子に対する規制は、通常のサービス運営や安全確保に必要な利用まで萎縮しないよう、利用実態や本人の権利利益侵害リスク等を踏まえ、慎重に整理すべきである。

さらに、統計作成等特例における公表事項、書面合意、提供先管理、基準適合体制・相当措置等が過度に厳格に運用されると、膨大な事務負担とコストを生み、特例の活用が進まないおそれがある。

漏えい等発生時の対応についても、本人の権利利益侵害リスクが低い事案まで一律に報告・通知対象と整理される場合、事業者・情報主体・行政のいずれにとっても負担が大きくなり、重大事案への対応に人的・金銭的リソースを集中しにくくなるおそれがある。

そこで、今後の改正個人情報保護法に関する下位法令(政令、個人情報保護委員会規則、ガイドライン等)の策定にあたっては、実務の予見可能性を確保し、リスクに応じた柔軟な運用を求める。具体的には、①16歳未満の者の個人情報について、サービスの性質、取得情報の内容、本人の権利利益侵害リスクに応じて、年齢確認・法定代理人関与の要否や方法を整理すること、②連絡可能個人関連情報について、Cookie等のオンライン識別子が規律対象となる場合とならない場合の具体例を示し、計測・不正対策・セキュリティ目的の利用が過度に萎縮しないようにすること、③統計作成等の特例における公表事項、書面合意、提供先管理、再識別防止措置、基準適合体制・相当措置等について、利用目的・データの性質・提供先管理・再識別防止措置等に応じた具体例を示し、過度に画一的な義務としないこと、④漏えい等発生時の対応について、対象を真にリスクの高い事案に限定し、「おそれ」の現実的な解釈や報告の要否、本人通知の要否及び代替手段を拡充することを求める。

これにより、一般法である個人情報保護法の運用の適正化を図り、データを利用した活動を行うすべての者に対して、権利利益の保護とデータ利活用の両立を促す効果が期待される。同時に、同法の一般法としての実効性を高め、持続可能な運用の定着を通じて権利利益の侵害防止をより確実にする。

<根拠法令等>
  • 個人情報の保護に関する法律第2条第8項、第26条、第30条の2、第40条の2(改正後)
No.11. 健康経営及びコラボヘルスの実効性向上に向けた健診データ活用・連携ルールの明確化
<要望内容・要望理由>

厚生労働省が推進するコラボヘルスにおいては、健康保険組合が実施・保有する特定健診等のデータや、事業主から提供を受けた健康診断記録等を活用し、受診勧奨や生活習慣改善支援等の介入サービスを実施している。こうしたデータの活用は、健康保険組合がデータヘルス計画に基づき、加入者の健康課題を把握し、健康状態に応じた受診勧奨や生活習慣改善支援等の保健事業を効果的に実施するうえでも重要な手段となり得る。

他方、令和6年度から第3期データヘルス計画が開始され、第4期特定健康診査・特定保健指導等とあわせて手引きが改訂される等、データに基づく保健事業の標準化・高度化が求められる中、各健康保険組合が保健事業を外部委託する際の健診データ等の取扱いに関する判断の差は、外部事業者を活用した効果的な保健事業を横展開するうえでの課題となっている。

具体的には、健康保険組合から外部委託先と健診データを連携する場合については「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」等に基づいて行われているものの、例えば「利用目的の範囲」、「本人同意の取得方法」、「第三者提供・委託の整理」等の解釈が、健康保険組合ごとの判断に委ねられ、対応に差が生じている。その結果、リスク回避の観点からデータ提供に慎重な姿勢が取られ、必要なデータ連携が進まず効果的な保健事業の実施が阻害されている。

そこで、健康保険組合から保健事業を外部委託する際の健診データ等事業者への健診データ提供について、利用目的の明確化(受診勧奨・重症化予防・生活習慣改善支援等を目的とする場合の利用目的の記載例等)、同意取得方法(本人同意を要する場合/要しない場合の考え方等)、第三者提供・委託の整理を含むデータ連携ルール(第三者提供と委託の区分、委託先・再委託先に求められる安全管理措置および監督方法等)を、「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」等で明確化すること等を通じて、健康保険組合側が事業者にデータを提供する仕組みを実務で参照できる形で明示していただきたい。

これにより、外部事業者と各健康保険組合間のデータ連携ルールが明確化されることで、受診勧奨や重症化予防等の介入を、より適時・適切に実施しやすくなる。結果として、生活習慣病の早期発見・改善が促進され、加入者の健康増進が期待される。また、健康保険組合ごとの判断・対応の差が縮小することで、サービスの標準化・スケール化が進み、健康保険組合における保健事業の実効性向上と事業主における健康経営の高度化、ひいては国が推進するデータに基づく予防医療にも貢献する。

<根拠法令等>
  • 健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
  • 個人情報の保護に関する法律第17条、第18条、第27条
  • 健康保険法第150条第2項
No.12. データの規模に応じた匿名加工情報の加工基準の明確化
<要望内容・要望理由>

高齢化の進展に伴い、今後ますます増加が見込まれる医療費への対応策を検討するためには、レセプトや健診結果等のデータを活用した分析が必要である。こうした分析を高度化するためには、大学や研究機関等との連携により、保険者・事業者等が保有するデータを適切に活用できる環境整備が欠かせない。

しかし、個人情報保護法上、個人情報をそのまま第三者へ提供する場合には、本人同意、学術研究目的等に係る例外の適用可否、委託・共同利用・第三者提供の区分等を確認する必要がある。また、大学・研究機関等にデータを提供するにあたり、匿名加工情報として加工する実務対応が求められる場合がある。

一方で、現行ガイドラインでは、特異な記述等への該当性や、データベース等の性質を踏まえた加工方法について、事案ごとの判断が求められている。特に、保険者・事業者等が保有する大規模なレセプトや健診結果等のデータを大学・研究機関等へ提供する場面では、データの規模、項目特性、再識別リスク等に応じた実務上の判断基準、事例、Q&Aが十分に整理されていないため、加工方法の検討や確認に時間を要し、円滑なデータ提供の支障となっている。

そこで、個人情報保護法上の匿名加工情報について、大規模なレセプト・健診データ等を念頭に、データの規模・項目特性・利用目的・提供先の管理体制等に応じた実務上の加工基準や判断事例、Q&Aを整理・明確化すべきである。

これにより、匿名加工の基準が明確化されることで、加工方法の検討や確認に要する時間が短縮され、データを分析機関へ提供するまでの時間短縮が期待される。時機に合ったデータを分析することで、医療費適正化、重症化予防、保健事業の高度化等に向けた施策の検討が容易になる。

また、加工基準が明確になることで、データの標準化・集約等が進み、分析精度の向上も期待できる。正確かつ迅速な分析が可能となることで、より適切な対応策の立案・実施につながり、医療費の適正化および持続可能な医療保険制度の構築に寄与する。

<根拠法令等>
  • 個人情報の保護に関する法律第43条第1項
  • 個人情報の保護に関する法律施行規則第34条第1項第4号、同項第5号
  • 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(匿名加工情報編)3-2-2
(2) AI・半導体
No.13. 教育データにおけるAI活用ルールの明確化
<要望内容・要望理由>

文部科学省「教育データの利活用に係る留意事項」、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」において、学習用ソフト導入時の個人情報取扱いに関する基本的な考え方は整理されているが、学習履歴をAIで分析して、教材提示、つまずき把握、学習効果検証等に用いる場合の整理はなお不十分である。

特に、事業者が保有又は取り扱う教育データをAI分析に活用する場面において、

  • 学習履歴をAI分析して教材レコメンドやつまずき分析を行う場合に追加同意が必要か

  • 学校から事業者へのデータ提供が委託として整理される範囲はどこまでか

  • 学習支援目的で取得したデータをAI分析に活用することが利用目的変更に当たるか

  • 利用目的としてサービス改善利用やサービス検討利用を明示している場合、AI分析のための追加同意が必要か

  • AIを活用したサービス提供に当たり、AI利用自体について追加同意が必要か

といった点について、「教育データの利活用に係る留意事項」等に具体的な考え方や典型事例が十分示されていない。このため、事業者は利用目的変更や追加同意の要否等について慎重な検討を要し、AIを活用した新たな教育サービスの企画・開発に当たり法務・コンプライアンス上の確認に時間を要している。

そこで、教育DXの推進及び個別最適な学びの実現に向けて、「教育データの利活用に係る留意事項」の改訂により、学習履歴のAIによる分析を教材提示、つまずき把握、学習効果検証に活用する場合における同意要否、委託と第三者提供の区分並びに利用目的変更の考え方に加え、サービス改善利用やサービス検討利用を目的としたAI分析の取扱い及びAIを活用したサービス提供時の同意の考え方について、典型事例を示しつつ明確化すべきである。

これにより、児童生徒一人ひとりの理解度や学習状況に応じた指導が進み、個別最適な学びの実現につながる。また、学習上のつまずきの早期把握や教育施策の効果検証が容易となり、教育の質の向上が期待される。加えて、自治体ごとの解釈の差異や個別協議に伴う負担が軽減され、学校ICT環境整備への投資効果を最大限発揮することが可能となる。

<根拠法令等>
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編/仮名加工情報・匿名加工情報編)」
  • 文部科学省「教育データの利活用に係る留意事項(第4版)」
No.14. 生成AIサービス利用時の個人データ提供に係る第三者提供規制の適用関係の明確化
<要望内容・要望理由>

今般の個人情報保護法の改正では、統計等の作成を行う第三者に個人情報を提供する場合等について、一定の要件の下で本人の同意を不要とする方向が示されており、個人の権利利益の保護を前提としつつ、データ利活用を促進する制度整備として評価できる。

他方、生成AIサービスの利用に伴い、入力データに個人データが含まれる場合については、改正法における統計等の作成を目的とする提供に係る当該本人同意不要類型との関係が実務上不明確である。このため、入力データおよび出力結果をAIの学習・サービス改善に使わず、ログも監査目的に限定するようなケースでも、保守的に本人同意取得が必要と判断され、実務負担が過大となるおそれがある。

とりわけ、利用企業の内部業務処理に限定して生成AIを活用し、AIサービス事業者側が入力データや出力結果をAIモデルの学習・サービス改善、外部向けサービス提供、その他独自の目的に利用しない場合には、個人の権利利益を不当に害するおそれは限定的である。また、統計等の作成を目的として、個人を識別しない形で処理される場合についても、改正法の趣旨を踏まえた実務上の取扱いを明確化する必要がある。

そこで、改正個人情報保護法に関する、個人情報保護委員会のガイドラインやQ&A等において、生成AIサービスの利用に伴う個人データの提供について、統計等の作成を目的とする第三者提供に係る本人同意不要類型との関係を含め、第三者提供規制の適用関係を明確化すべきである。

具体的には、以下の条件を満たす場合には、個人データの取扱いの委託として整理される場合を含め、本人同意を要しない取扱いが可能となることを明示すべきである。

  • 利用企業の内部業務処理に限定され、外部向けサービス提供やAIサービス事業者独自の目的に利用されない場合

  • 入力データおよび出力結果がAIモデルの学習・サービス改善に利用されない場合

  • 監査ログの保管がセキュリティ、障害対応、監査目的に限定され、目的外利用されない場合

  • 統計等の作成を目的として処理される場合には、個人を識別しない形で処理され、個人の権利利益を不当に害しないための加工、利用目的、提供先管理、安全管理措置等が講じられている場合

  • 契約上、再委託、外国第三者提供、保存期間、削除、アクセス制御、監査可能性等が明確化されている場合

これにより、生成AIを単なる処理ツールとして利用する場合や、統計等の作成を目的として個人を識別しない形で処理する場合を第三者提供規制との関係で明確化することで、企業の同意取得コスト(UI改修・法務対応等)の実務負担が削減可能と見込まれる。加えて、問い合わせ対応やデータ分析の自動化が進み、業務効率向上、労働生産性の底上げに寄与する。さらに、AI導入率の向上により、政府が掲げるデジタル社会の実現やDXによる生産性向上に直接貢献し、国内AI市場の拡大や国際競争力強化にも資する。

<根拠法令等>
  • 個人情報の保護に関する法律第27条(改正後)
No.15. AI利活用における個人データ取扱いルールの明確化
<要望内容・要望理由>

生成AI、RAG、社内ナレッジ検索、業務ログ分析、モデル評価・チューニング等では、社内データや顧客接点データに含まれる個人情報・個人関連情報を参照・処理する場面が多い。

個人情報保護法については、3年ごと見直しに伴う改正において、統計作成等を目的とする特例が新設され、統計作成等として整理できるAI開発等を含み得る旨が示されている。また、グループ会社間利用や生成AI利用についても、共同利用、個人情報保護委員会の注意喚起・Q&A、AI事業者ガイドライン等により、一定の整理がなされている。

一方で、これらの特例、共同利用、既存ガイダンスだけでは十分に整理しきれていない個人単位の情報を参照・処理・出力するAI利活用については、なお実務上の予見可能性が十分とはいえない。具体的には、RAG・社内ナレッジ検索・要約、モデル評価・レッドチーミング(AIの脆弱性や不適切な出力を検証する手法)・チューニング、業務ログ分析、学習済みモデルの提供・グループ展開、外部生成AI・クラウドAIへの個人データ入力、グループ内AI基盤・共同モデル開発等において、利用目的との関係、委託・共同利用・第三者提供・外国にある第三者への提供の整理、必要な安全管理措置の水準が必ずしも明確ではない。

このため、企業は個人データを含むAI利活用について保守的に判断せざるを得ず、顧客対応品質の向上、業務効率化、研究開発、リスク管理、グループ横断でのAI基盤整備等が進みにくい状況にある。

そこで、個人情報保護委員会規則、個人情報保護法ガイドライン、個人情報保護委員会Q&A等において、AI利活用における個人情報・個人関連情報・仮名加工情報等の取扱いを明確化することを求める。

具体的には、①統計作成等に該当するAI開発工程について、前処理、ベクトル化、学習、評価のどの工程までが該当するかを明らかにし、個人単位の出力が生じないことを担保する方法を含め、具体例と判断基準を示すべきである。

②学習済みモデルについては、モデルの個人情報該当性、記憶・出力抑止に係る安全管理措置、提供・展開時の取扱いを明確化すべきである。特に、自社データで微調整したモデルをグループ会社や委託先に展開する場合に、モデル自体が個人情報・個人データに該当するか、第三者提供や外国にある第三者への提供に該当するかを整理すべきである。

③モデルの評価、レッドチーミング、チューニング等に実データを用いる場合について、データ最小化、アクセス制御、保存期間、人によるレビュー範囲等、評価・チューニング目的の実データ利用条件を示すべきである。

④RAG、社内ナレッジ検索、要約等については、AIによる参照・生成・要約が利用目的の範囲内と整理できる場合の考え方、および相当の関連性による利用目的変更の可否・手続を明確化すべきである。特に、過去に限定的な目的で取得した顧客データ等を、応対品質向上や業務改善のためにAIで参照・要約する場合の取扱いを示すべきである。

⑤外部生成AI、クラウドAI、API型AIサービスに個人データを入力する場合については、入力データを学習に使用するか否か、国内サービスか国外サービスか、専用テナントを利用するか等のサービス類型に応じて、委託、第三者提供、外国にある第三者への提供の該当性を具体化すべきである。

⑥業務ログについては、社員ID、顧客識別子、自由記述等が混在するログ類の個人情報該当性の判断手法を示すとともに、個人単位分析を行う場合の利用目的および安全管理措置の考え方を明確化すべきである。

⑦グループ内AI基盤・共同モデル開発を念頭に、共同利用の利用目的の特定・変更の柔軟化、および仮名加工情報のグループ内利活用条件を明確化すべきである。多数のグループ会社のデータを統合した共同AI基盤や共同モデルの開発は、現行法上も不可能ではないものの、利用目的の事前特定、用途追加時の再公表、仮名加工情報の取扱い等について実務上の負担や不確実性が大きいため、予見可能性を高めるべきである。

なお、改正法の施行は公布の日から起算して2年を超えない範囲内とされており、上記特例の運用を定める委員会規則・ガイドライン等の策定が今後本格化することを踏まえると、本要望の趣旨、とりわけ統計作成等に該当するAI開発工程の範囲(委員会規則で定める事項)の明確化については、規則策定の時機に合わせて早期に検討いただきたい。

これにより、本人の権利利益の保護を確保しつつ、企業が保有する高品質な現場・業務データを安全にAI利用できる条件が明確化され、顧客対応品質、業務効率、研究開発、リスク管理の向上につながる。さらに、日本企業が保有する高品質な現場・業務データの価値を競争力へと転換し、日本企業全体の競争力強化にも資する。

<根拠法令等>
  • 個人情報の保護に関する法律第2条第1項、同条第13項、第17条、第18条、第23条、第26条、第27条第1項、同条第5項、第28条、第30条の2、第31条、第31条の2、第31条の3、第41条第6項(改正後)
  • 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
  • 個人情報の保護に関する法律についてのガイドラインに関するQ&A
  • 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等
  • AI事業者ガイドライン
No.16. 官公庁レガシーシステムのモダナイゼーションに向けた生成AI活用基準の明確化
<要望内容・要望理由>

現在、官公庁における社会基盤の基幹システムは、長年の制度改正や改修の積み重ねにより、設計書・ソースコード・業務ロジックが複雑化し、仕様把握や改修影響分析に多大な工数を要するものがある。

レガシーシステムのモダナイゼーションを進める上では、生成AIを用いた既存ソースコード解析、仕様可視化、モダナイズ言語への変換、テストコード生成等が有効な手段となり得る。

他方、政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群、各府省庁が定める情報セキュリティポリシー、政府情報システムにおけるクラウド利用方針等の下では、システム内部情報・ソースコード等の外部クラウド環境への入力について、機密性や外部送信リスクの観点から慎重な運用が行われている。

また、2026年6月に公表された「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(第2.0版)」では、政府における生成AIの調達・利活用に係る基本的なリスク管理、要機密情報・個人情報の入力可否、生成AI事業者による学習利用の確認等について一定の整理がなされている。しかし、官公庁レガシーシステムのソースコード解析、設計情報の可視化、モダナイズ言語への変換、テストケース生成等について、どのような情報・環境・契約条件であれば生成AIを活用できるのかは、同ガイドライン上、必ずしも明確に示されていない。

このため、個人情報や実データを含まない場合であっても、機密性・セキュリティ上の配慮を要するプログラムロジック、設計情報であっても、生成AIサービスの利用可否が明確でなく、開発現場において個別確認・承認に時間を要するおそれがある。

とりわけ、COBOL等の既存資産の解析・変換、仕様書自動生成、テストケース生成等は、個人情報や実データを含めずに実施できる場合があるにもかかわらず、利用環境や学習不使用条件、保存・削除、アクセス制御等の標準的な判断基準が明確でないため、開発現場で生成AIの活用が進みにくい。

そこで、デジタル庁等は、令和8年7月21日に閣議決定された「規制改革実施計画」に基づくデジタル社会推進標準ガイドライン群の見直し及び関連するガイドライン等の整備に際し、官公庁レガシーシステムのモダナイゼーションを、生成AIの活用を促進すべき具体的なユースケースとして明示すべきである。

その上で、個人情報や実データを含まない設計書、ソースコード、テスト仕様、プログラムロジック等を対象とした既存コードの解析、仕様の可視化、モダナイズ言語への変換およびテスト生成について、情報の機密性等に応じた入力可否、利用可能な環境、生成AI事業者による学習利用の有無、データの保存・削除、アクセス制御等に関する標準的な判断基準を示すべきである。

また、関連するガイドラインの別紙、チェックシート、ひな形またはユースケース集等において、COBOL等の既存システム資産を対象とする場合の確認項目、利用手順および契約条項例を示すべきである。

これにより、官公庁におけるレガシーシステム刷新の生産性を高め、仕様把握・影響分析・テスト生成等の工期短縮と品質向上が期待できる。技術者不足が深刻化する中、行政サービスの安定継続、セキュリティ更新、制度改正対応の迅速化にも資し、政府自身によるAI利活用の加速にもつながる。また、府省庁ごとの判断のばらつきを抑え、適切なリスク管理の下で生成AIを活用できる環境を整備することで、政府情報システムのモダナイゼーションを安全かつ効率的に進めることが可能となる。

<根拠法令等>
  • 政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群
  • 政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針
  • 行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(第2.0版)
  • 規制改革実施計画(令和8年7月21日閣議決定)
No.17. 生成AI活用に伴う個人情報取扱いおよびセキュリティ要件の政府横断的ルールの明確化
<要望内容・要望理由>

現行の政府や各省庁のセキュリティガイドライン、個人情報保護法のガイドライン、および「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」では、生成AIの利用に伴うリスクや留意事項について一定の整理がなされている。一方で、AIの利用形態(パブリック/プライベート、保存・学習の有無、RAG等)や、一時的なデータ参照の取扱いを前提として、個人情報や要配慮個人情報等をどのような条件の下で生成AIに入力・処理させることができるのかについては、なお実務上の判断基準が十分に明確とはいえない。

具体的には、各機関の個人情報保護規程等において、「システム内で個人情報をどのように処理・保管するか」の規定はあるものの、生成AI特有の処理(プロンプト入力やRAG等による一時的なデータ参照等)をプライベート環境で行う場合のルールが必ずしも明確ではない。そのため、外部ネットワークから完全に隔離されたセキュアなプライベートクラウド環境内に構築したAIであっても、「個人情報や要配慮個人情報をプロンプトとして入力・処理させてよいのか」、あるいは「匿名化やマスキングが必須なのか」等の解釈が定まっていないことで、安全なアーキテクチャを設計しても、コンプライアンス上の懸念から社会実装(システム開発・投資)に踏み切れない原因となっている。

そこで、個人情報保護法のガイドライン(行政機関等編を含む)、「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群」、および「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」等において、生成AIの利用形態(パブリック/プライベート、RAGの有無等)に応じた個人情報取扱いおよびセキュリティ要件を整理した政府横断的な判断基準を明確化すべきである。

特に、外部ネットワークから隔離されたプライベートクラウドまたはオンプレミス環境において、一定の安全管理措置(アクセス制御、監査ログ、学習防止措置等)を満たす場合には、個人情報を生成AIで処理できる場合と、匿名化・マスキング等が必要となる場合の判断基準を明確化すべきである。

これにより、行政機関において、個人情報を含む行政データを生成AIで取り扱う際の判断基準が明確となり、相談対応やオンライン照会等、幅広い行政事務における生成AIの安全な活用が進めやすくなる。

例えば、行政の窓口相談やオンライン照会対応業務において、行政専用の閉域網またはプライベートクラウド環境(クローズド環境)内に大規模言語モデル(LLM)等の生成AIをデプロイし、新たなサービス(例:申請者・相談者の個人情報を行政記録情報等と直接連携させた個別具体的な情報照会・手続案内を支援する対話型サービス等)の開発・導入が進めやすくなる。

現在、行政相談においては、申請者・相談者の個人情報を取り扱う必要があり、これを外部のパブリッククラウドへ送信することはセキュリティ上極めて慎重な検討を要する。そこで、十分な安全管理措置を講じ、完全に隔離されたプライベートクラウド環境内で生成AIを稼働させることにより、外部への情報漏洩リスクを遮断しつつ、複雑な制度について分かりやすい回答を支援することが可能になり、相談員不足の緩和と国民の利便性向上という付加価値の提供が可能となる。

<根拠法令等>
  • 個人情報の保護に関する法律第18条第1項、第23条、第27条第1項、第28条第1項、同条第2項、第61条第1項、同条第2項、第66条第1項、第69条第1項、同条第2項
  • 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(行政機関等編)5-3-1、5-5-1
(3) 航空・宇宙
No.18. 空飛ぶクルマを社会実装するための建築基準法上の取扱いの明確化
<要望内容・要望理由>

空飛ぶクルマは次世代の航空モビリティとして、道路渋滞に左右されない都市間・拠点間の移動や、災害時の迅速な人員・物資輸送、滑走路の整備が難しい離島・山間部等での移動手段として期待が高まっている。政府も、「日本成長戦略」において、短距離路線を中心に、2040年頃に世界で約1,500億円の市場の獲得を目指すとしている。こうした中、空飛ぶクルマの社会実装に向けては、機体や運航制度の整備に加え、離着陸拠点となるバーティポートの整備が不可欠である。

しかし、建物屋上に設置するバーティポートについては、その下部に室外機・消防設備・充電設備等を設置すると、当該空間が屋内的用途の利用とみなされ、バーティポートが建築物として扱われるおそれがある。その場合、床面積への算入等による容積率への影響や、階数算入に伴う建築規制上の影響等が生じる。一例として、床面積に算入されると、容積率の上限で建てられている建築物では、バーティポートの設置が実質的に困難となる。なお、太陽電池発電設備についても、同種の問題が生じたため、国土交通省から屋上設備の取り扱いを明確化する技術的助言が発出されている。

そこで、建物屋上に設置するバーティポートについても、建築物本体と外観上・用法上分離され、下部空間を屋内的用途で利用しない場合には、工作物として扱うことを技術的助言として明確化すべきである。あわせて、バーティポート下部に室外機・消防設備・充電設備等を設置しても、建築物又は床面積・階数算入の対象と判断しない旨を明確化すべきである。

これにより、施設所有者や運航事業者が都市部におけるインフラ整備を進めやすくなる。その結果、空飛ぶクルマの社会実装が促進され、機体・サービス・インフラ等新たな産業の需要創出、人・物の移動や地域経済の活性化に資することが期待される。

<根拠法令等>
  • 建築基準法第2条第1項第1号
  • 建築基準法施行令第138条
  • 建築物の屋上に太陽電池発電設備を設置する際の建築基準法の取扱いについて(技術的助言)(R5.3.13付国住指第473号)
No.19. 空飛ぶクルマの充電設備に係る特例需要場所の取扱いの明確化
<要望内容・要望理由>

空飛ぶクルマは、電動化や垂直離着陸等の技術を活用した次世代の航空モビリティであり、道路寸断や渋滞等により地上交通が制約される場面において、迅速な人員・物資輸送手段として期待されている。空飛ぶクルマの社会実装に向けては、機体や運航制度の整備だけでなく、離着陸場であるバーティポートにおいて、空飛ぶクルマへ安定的に充電できる環境を整える必要がある。

一方、既存建物の屋上等にバーティポートを設置し、空飛ぶクルマの充電設備を整備する場合、当該充電設備は高出力・大容量の電力を必要とするため、既存建物の電力設備(受電設備・内線設備)のみでは対応が困難となるケースが想定される。その場合、充電設備に必要な電力を供給する手段として、別途の引込みを行うことになる。現行制度では、一需要場所につき一引込みが原則とされていることから、同一建物内で別途の引込みを行うには、当該充電設備を電気事業法施行規則第3条第3項で規定された特例需要場所として取り扱う必要がある。なお、特例需要場所とは、災害による被害を防ぐための措置、温室効果ガス等の排出の抑制等のための措置、電気工作物の設置及び運用の合理化のための措置その他の電気の使用者の利益に資する措置に伴い必要な設備であって、一定の要件を満たすものを言う。しかし、資源エネルギー庁Q&Aでは、特例需要場所として太陽光発電設備、蓄電池、EV・PHV等の「電化モビリティー用充放電器」が対象例として示されているものの、空飛ぶクルマの充電設備は明示されていない。そのため、空飛ぶクルマの充電設備について、特例需要場所として別途の引込みが可能かどうか不明確であり、バーティポートにおける充電設備の設計が進んでいない。

そこで、資源エネルギー庁Q&A、通達、ガイドライン等において、空飛ぶクルマの充電設備についても、既存建物側設備との電気的分離、検針・保守のための立入り、工事費負担、保安上の措置等の要件を満たす場合には、「特例需要場所」の対象となることを明確化すべきである。

これにより、バーティポートにおける充電インフラ整備が進み、災害時にも活用可能な空の輸送インフラの整備が促進される。あわせて、平時における新たな移動手段の確保にもつながり、災害対応力の向上と次世代モビリティの社会実装に資することが期待される。

<根拠法令等>
  • 電気事業法施行規則第3条第2項、第3項
  • 資源エネルギー庁HP「特例需要場所及び複数需要場所を1需要場所とみなすことに関するQ&A」
(4) 海洋
No.20. 航海日誌のクラウド保存に向けた要件の見直し
<要望内容・要望理由>

法令上、一定の基準を満たす船舶については、船内に航海日誌を備え置くことが義務付けられている。航海日誌は、書面に代えて電磁的記録によって保存することも認められているが、その場合には、必要に応じて当該記録の内容を直ちに表示するとともに、書面として出力できる体制を整備しておくことが求められている。

近年、曳船会社を中心に、SaaSを活用した船内帳票の電子化が進展している。しかしながら、クラウド上で航海日誌を管理する場合、海上における通信環境の不安定さや一時的な通信切断により、法令上求められる記録内容の即時表示・出力に関する要件を満たせなくなるおそれがある。ローカル保存による運用も考えられるものの、その都度データのダウンロードや再格納が必要となり、現場の作業負担の増加やヒューマンエラーの発生につながりかねない。このため、多くの事業者は、やむを得ず航海日誌を書面で保存・管理しているのが実情である。その結果、船内帳票の中でも大きな比重を占める航海日誌の電子化が進まないことが、船内帳票全体のDXを推進する上で大きな障壁となっている。

一方、沿海区域を航行する船舶においては、通信の途絶は一般に一時的なものであり、通信可能な海域へ移動することで、速やかに通信を回復し、航海日誌の内容を確認することが可能である。また、当該要件の趣旨は、検査時等において記録内容を円滑に確認できる状態を確保することにある。この点、通信の一時的な切断が生じたとしても、それが一時的なものであり、合理的な時間内に記録へのアクセスが回復されるのであれば、当該要件の趣旨が損なわれるものではないと考えられる。

そこで、沿海区域を航行する船舶については、航海日誌の即時表示・出力に係る要件を合理化し、通信が一時的に途絶する場合であっても、通信回復後に航海日誌の内容を確実に表示・出力できる仕組みが確保されている場合には、電磁的記録による保存を認めるべきである。

これにより、航海日誌を含む船内帳票をクラウド上で一元的に管理することが可能となり、船員による帳票作成・管理業務の効率化や、船内と陸上の間の迅速な情報共有が促進される。また、記録の正確性向上や保管スペースの削減も期待される。さらに、記録の検索・提示が容易になることで、各種検査への対応や事故・トラブル発生時における記録確認の円滑化にも資することが期待される。

<根拠法令等>
  • 船員法第18条
  • 船員法施行規則第11条
  • 国土交通省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則第4条第2項
(5) 創薬・先端医療
No.21. 医薬部外品申請区分5の1における「一物多名称申請制度」の新設
<要望内容・要望理由>

既承認品と販売名のみが異なり、成分・分量・用法用量・効能効果等が同一の申請形態(一般に「一物多名称」)は、実質的な審査論点が限定的であるにもかかわらず、現行では制度上の区分がなく、通常の申請区分5の1(同一医薬部外品)として審査手続・審査期間が取り扱われる。これにより、申請者側は既に承認済みの内容を含む資料準備や照会対応が必要となり、審査側(PMDA等)も重複的な確認に工数が割かれている。結果として、より新規性・リスク評価を要する案件に振り向けるべき審査資源を圧迫し、企業側の製品供給の迅速化や新規性の高い医薬部外品の創出を阻害している。

そこで、医薬部外品申請区分5の1に、確認事項を既承認品と販売名に限定した「一物多名称申請制度」を新設し、審査の迅速化・効率化を推進する。

これにより、「一物多名称申請」を区分として明確化し、審査の対象事項を販売名や親品目・既承認品との同一性確認に限定することで、審査期間の短縮を通じて申請者側・審査側双方の負担(工数・コスト)を低減できる。審査側は重複確認を削減し、限られた審査体制を新規性の高い製品・改良品等に重点配分でき、審査滞留の緩和を含む全体最適に資する。企業側も申請準備・照会対応の負担が軽減され、上市までのリードタイム短縮により市場供給の安定化や迅速な需要対応が可能となる。さらに、手数料区分を審査実態に整合させることで、官民双方にとって予見可能で合理的な運用となり、市場活性化やイノベーティブな医薬部外品の創成(社会全体への貢献)も期待される。

<根拠法令等>
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第78条
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料令第32条
No.22. 新医薬品の製造販売承認申請におけるCTD資料の英語提出対象範囲の拡大
<要望内容・要望理由>

新医薬品の製造販売承認申請では、原則として承認申請書に添付すべき資料は邦文での提出が求められている。令和6年9月6日付事務連絡(新医薬品の承認申請に際し承認申請書に添付すべき資料の提出について)により、新医薬品を対象として、日本法人等を有しない外国事業者が日本で新医薬品を承認申請する場合において、承認申請書、添付文書を含むコモン・テクニカル・ドキュメント(CTD)の内容すべてに関して英語での提出が試行的に認められた。

同連絡には「この取扱いは、ニーズやコスト等に関する今回の試行の結果を踏まえ、今後、他の企業への拡大を検討するもの」とある。このように、将来的な対象拡大が想定されているものの、現時点では、対象申請者が日本法人または日本事務所を有しない外国事業者に限定されており、日本企業や日本法人を有する外国企業は対象外となっている。このため、日本企業等については、グローバル開発で作成された英語資料をそのまま活用することが難しく、引き続き企業側に翻訳負担・申請準備期間の長期化といった課題が残されている。

そこで、令和6年9月6日付事務連絡に基づく試行の結果を早期に検証したうえで、CTDの内容について英語提出を認める対象申請者を、日本法人または日本事務所を有しない外国事業者に限らず、日本企業および日本法人を有する外国企業にも拡大すべきである。

これにより、人的・物的コストの軽減、申請準備期間の短縮によるドラッグ・ラグ/ロスの改善・解消により、日本における創薬エコシステムが強化され、医薬品規制調和国際会議(ICH)の精神に沿った国際整合性の確保及び日本の競争力向上につながる。

<根拠法令等>
  • 新医薬品の承認申請に際し承認申請書に添付すべき資料の提出について(令和6年9月6日付事務連絡)
No.23. 医薬品等の安定供給確保に向けた供給不足対応窓口の相談機能の拡充
<要望内容・要望理由>

医薬品等の原薬、重要中間体、細胞・遺伝子治療用原料等の多くは、特定の国・地域や事業者に依存したサプライチェーン構造となっている。近年の地政学リスクの高まりや感染症流行等を踏まえると、供給不足が顕在化する前から、代替原料や代替製造所の確保に向けた準備を進めることが、健康医療安全保障の確保の観点から重要である。

現行制度のもとでは、承認後変更管理実施計画書(以下、PACMP)による製造所変更等が可能である。しかしながら、これは予定された変更について評価方法・判定基準等をあらかじめ確認し、予定された結果が得られた場合に迅速に変更するものであり、供給途絶に備えて代替原料・代替製造所を平時から確認し、有事まで変更を留保しておくことを主眼とするものではない。

また、令和5年10月16日付「医療用医薬品の供給不足に伴う審査及び調査の迅速処理について」では、安定供給に支障が生じている、または近々そのおそれがある医療用医薬品について、担当窓口を設置し、製造所等の変更に係る一部変更承認申請を迅速に審査・調査する運用が示されている。しかしながら、同通知の窓口は、供給不足が既に生じている、または近々そのおそれがある場合を対象としており、潜在的な供給不足リスクに備えた平時の相談は明確に位置付けられていない。

このように、潜在的な供給不足に備えた、代替原料・代替製造所の確保に向けた制度的枠組みが確保されていない状況にある。

そこで、厚生労働省は、「医療用医薬品の供給不足に伴う審査及び調査の迅速処理について」に基づく既存の担当窓口について、現に供給不足が生じている、または近々そのおそれがある品目への対応に加え、「潜在的に供給不足のおそれがある医薬品」についても相談できる機能を追加すべきである。

これにより、企業が有事における対応を平時から代替原料・代替製造所の確保に向けた検討・準備を進めやすくなり、供給途絶リスクに対する予見可能性が高まる。有事発生時には、事前相談・確認した内容を踏まえて、必要な一部変更承認申請や審査・調査の迅速処理へ円滑に移行できるため、原料・製造所の切替えに要する期間の短縮が期待される。

その結果、感染症流行、災害、地政学リスク等が生じた場合においても、患者・医療現場への医薬品の安定供給を確保し、わが国の健康医療安全保障の確保に資する。

<根拠法令等>
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の7の2、第69条の3
  • 「医薬品等の変更計画の確認申請等の取扱いについて」(令和3年6月16日付け薬生薬審発0616第14号)
  • 「医療用医薬品の供給不足に伴う審査及び調査の迅速処理について」(令和5年10月16日付け医薬薬審発1016第2号・医薬監麻発1016第2号)
No.24. 医薬品の添付文書改訂手続きの特許権存続期間延長の対象への追加
<要望内容・要望理由>

特許法においては、医薬品等の承認審査等の「処分」により特許発明を実施できなかった期間を回復するため、特許権の存続期間の延長登録出願制度が設けられている(特許法第67条第4項)。

企業は、医薬品の承認後も、新たな有効性・安全性に関する情報等に基づき、当局と添付文書改訂相談を行っている。当該添付文書改訂は、承認事項ではなく届出事項であるが、禁忌の削除・修正や用法及び用量に関連する注意の変更等、臨床的影響が大きく重大な安全対策である場合、臨床試験中及び当局との協議中は変更後の情報を前提とした販売活動ができない等、改訂が完了するまで、実務上、特許発明の実施や新たな情報提供を行い得ないことがある。

しかし、現行の制度では、これら安全性確保のための手続きが延長登録の理由の対象外となっている。企業が安全対策に積極的に取り組んだ結果、特許権の存続期間が実質的に短縮されてしまう。企業が安全対策を迅速に講じても、知財上不利益を被らない制度設計とすることが望ましい。

そこで、添付文書改訂相談の手続きのうち、臨床データ等に基づく重大な禁忌の削除・修正や用法及び用量に関連する注意の変更等、臨床的インパクトが大きく、特許発明の実施が事実上制約されたものについては、特許法上の存続期間延長登録の出願の対象に加えるべきである。

これにより、企業は、知財上不利益を被ることなく迅速に最新の安全性情報を反映した添付文書改訂を行うことができ、有害事象の未然防止と適正使用の促進につながることが期待される。重大な副作用や禁忌等に関する最新知見を迅速に反映する添付文書改訂は、医薬品の適正使用及び国民の安全確保の観点から極めて重要であり、国民の生命保護という公衆衛生上の大きな利益に資する。政府が掲げる「創薬力強化」の観点からも、予見可能性の高い知財保護環境の整備は、イノベーション投資の回収可能性を高める経済効果が期待され、革新的新薬への投資を呼び込む基盤となり、日本発イノベーションの国際競争力強化に寄与すると考えられる。

<根拠法令等>
  • 特許法第67条第4項
  • 特許法施行令第2条第2号
No.25. 国内GMP適合性調査と輸出用GMP適合性調査の統合・合理化
<要望内容・要望理由>

同一製造所・同一品質システムで製造される医薬品であっても、製造管理及び品質管理に関する基準(以下、GMP)における国内向けの適合性調査と、輸出証明に係る適合性調査はそれぞれ異なる申請・調査手続きとして、別個の適合性調査が求められる。これらの調査対象となる品質システムは共通であり、GMP調査要領においても同一の枠組みである。しかし、現行の政令に両調査を統合して実施することを許容する規定はなく、企業は実質的に同一内容の調査に対する重複対応が発生している。加えて、行政側においても、限られた査察リソースが分散し、高リスク製造所への重点的な監視が困難となっているものと思料する。

本問題は輸出用医薬品を製造する国内製造業者が広く直面する構造的課題であり、医薬品産業の国際競争力強化や輸出促進戦略の実現の阻害要因となっている。

また、査察前に提出を求められる資料の様式がPMDAと都道府県で異なるほか、通常のGMP適合性調査結果を調査権者間で十分に共有・活用する仕組みが整っておらず、企業・行政双方に追加的な負担が生じている。

そこで、薬機法施行令第74条に「調査の共通実施」条項を新設し、同一の製造所・工程に係るGMP適合性の確認は、国内向けGMP適合性調査と輸出証明に係るGMP適合性調査の結果を相互に活用し、一の調査をもって他方の調査に係る確認に充てることができる運用を明確化すべきである。

あわせて、PMDAと都道府県間で異なる査察事前提出の様式を統一するとともに、既存の薬事監視の質的な向上を図る枠組みに加えて、通常のGMP適合性調査結果を調査権者間で共有する基盤を活用すべきである。

これにより、企業側の重複調査への対応負担が軽減され、輸出手続きの迅速化と日本からの医薬品輸出促進・安定供給体制の強化が期待できる。行政側も査察リソースを高リスク製造所や重点分野へ配分しやすくなり、品質問題の未然防止に資する。

加えて、GMP調査結果情報の収集・共有基盤の整備といった行政側の効率化施策とも方向性が一致する。さらに、医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム(PIC/S)の査察結果の相互活用等の国際的潮流とも整合しており、日本のGMP調査制度における国際整合性の向上に資する。

<根拠法令等>
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令第74条
No.26. 薬機法上の予防目的プログラムに係る医療機器該当性および低リスクとして取り扱い得る条件の明確化
<要望内容・要望理由>

世界的に、AI等を活用した疾患リスク予測技術が急速に発展しており、健康診断データや画像・生体情報から将来の疾患リスクを推定する予防サービスの実用化や、生成AIを用いた個人の健康に関する様々な助言内容の生成等、デジタルヘルスサービスを取り巻く環境は目まぐるしく変化している。

こうした中、現行の「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」や判断事例において、プログラムの医療機器該当性について一定の整理がなされている。

具体的には、現行の「プログラムの医療機器該当性判断事例」では、健康診断データ等を用いた疾患リスク表示について、集団比較に基づく統計的なリスク提示であり、診断との誤認を与えないプログラムは医療機器非該当となり得る一方、特定の個人のデータに基づき疾病の候補や発症リスクを表示するプログラムについては、表示内容や使用目的に応じて医療機器、すなわちSaMDに該当し得る旨が示されている。

このため、同じ予防・健康管理を目的とするサービスであっても、疾患リスク予測の手法、表示内容、利用者への伝え方、個別化の程度等に応じて、SaMD該当性の判断が分かれており、事業者・利用者双方にとって、その線引きが分かりにくい状況にある。

特に、個人の疾病リスクを提示するプログラムや、予防を目的とするサービスについては、表示内容、使用目的、使用するデータ、アルゴリズムの性質等によってはSaMDに該当し得るため、予防・健康管理を目的とした低リスクなサービスであっても、事業者による該当性判断が容易でなく、個別事案ごとの判断に委ねられる面が大きい。

また、生成AI等を組み込んだ予防・健康管理サービスにおいては、利用者からの入力内容や健康医療情報等を踏まえ、生活習慣改善等に関する個別化されたフィードバックを提供することが技術的に可能となっている。その際、特定疾患の予防を目的とする助言や、個人の健康状態に応じた提案を行う場合には、表示内容、使用目的、出力内容等によっては医療機器規制の対象となり得るため、事業者がサービス設計上、どの程度まで個別化・具体化した提案を行えるのか判断しにくい状況にある。

その結果、SaMD該当リスクや対応コストを考慮し、本来提供可能な疾患リスク予測や個別化された予防提案の実装を控え、一般的な生活習慣改善サービスとして設計・提供せざるを得ないケースが生じている。これは事業者側の課題にとどまらず、利用者が自身の健康リスクをより正確に理解し、効果的な行動変容につなげる機会が限定されることにもつながっている。

そこで、疾病の診断・治療を目的とせず、予防・健康管理用途として提供される疾患リスク予測については、一定の条件、例えば治療方針を決定しないこと、確定診断を行わないこと、統計的リスクであることを明示すること、対象集団に応じた一定のエビデンスレベルを有すること、必要に応じて医療機関への相談を促すこと等を満たす場合には、個人向けリスク提示であってもNon-SaMD、すなわちプログラムの医療機器非該当、又は薬機法上の追加的な承認・認証等を要しない低リスクなプログラムとして取り扱う旨を明確化することを要望する。

また、生成AI等を組み込んだ予防・健康管理サービスにおいて、特定疾患の予防を目的としたフィードバックの出力や、個人の健康医療情報等も用いて個別化した内容を生成する場合については、一定の条件、例えば診断・治療方針の決定を行わないこと、出力内容が予防・健康管理上の一般的助言又は生活改善提案にとどまること、出力の根拠や限界を利用者に明示すること、必要に応じて医療機関への相談を促すこと、人による監督又は確認体制を設けること等を満たす場合には、Non-SaMD、すなわちプログラムの医療機器非該当、又は薬機法上の追加的な承認・認証等を要しない低リスクなプログラムとして取り扱う旨を明確化することを要望する。

あわせて、軽微な機能改善、性能に実質的な影響を及ぼさないアルゴリズム更新、表示内容の改善等について、疾病の診断・治療を目的とする機能の追加や、利用者の診断・治療方針に直接影響を与える変更を伴わない場合には、追加的な承認・認証等の手続を不要とし、既存の相談・確認手続を活用して迅速に改善を行えるようにすることを要望する。

これにより医療機器該当性の判断基準や制度運用の明確化が図られることで、事業者はSaMD該当性を過度に懸念することなく、疾患リスク予測と個別化された予防提案サービスを開発・提供しやすくなる。また、国内スタートアップや研究成果の実用化を後押しし、日本発の予防AI・デジタルヘルス産業の国際競争力向上にも資する。

診断・治療を目的とする高リスクSaMDは引き続き適切に規制しつつ、リスクに応じた合理的な制度運用を明確化することで、イノベーションと安全性の両立が可能となる。

その結果、生活習慣改善や疾患予防に資するデジタルヘルスサービスの社会実装が促進され、国民の健康意識の向上や早期介入、重症化予防を通じて、健康寿命の延伸に資することが期待される。

<根拠法令等>
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第4項
  • プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン
  • プログラムの医療機器該当性判断事例
No.27. GVP省令に基づく委託安全確保業務の自己点検とPV監査の重複解消
<要望内容・要望理由>

医薬品の製造販売後安全管理(GVP)において、委託安全確保業務を行う際は法令に基づく「自己点検」が義務付けられている。一方で、グローバルに展開する製薬企業では、これとは別に国際基準等に則った「PV(ファーマコビジランス)監査」も実施している。PV監査においては、自己点検で確認する事項と重複する項目について、同等またはそれ以上の確認を行っている場合が多いにもかかわらず、法令及び関連通知等において、PV監査と自己点検との関係が明確化されていないため、双方を別個に実施せざるを得ないケースが存在する。結果として、製薬企業と受託機関の双方に二重の対応負担が生じており、多大な労力と時間を要している。

そこで、GVP省令に基づく委託安全確保業務の自己点検について、PV監査を実施した場合は、当該監査結果を活用することにより、自己点検を省略できる旨を、通知またはガイドライン等で明示・発出していただきたい。特に、自己点検は法令にて定期的な実施が規定されているのに対し、PV監査はリスクに基づき数年に一度のみ実施されるような場合もあることから、PV監査が実施された年に限り、自己点検を要しないことを明示いただきたい。

なお、本要望は全ての委託安全確保業務の自己点検実施を不要とすることを求めるものではなく、PV監査を実施した対象についてPV監査が実施された年に限り自己点検の省略を求めるものである。したがって、安全管理水準を低下させるものではない。

これにより、重複する監査・点検業務が一本化されることで、わが国製薬産業全体における管理業務のコストや非効率が大幅に削減される。

具体的には、PV監査と自己点検の重複が1社で5件/年程度発生したと仮定した場合、委託元と委託先を合算して50~100時間/年の削減につながると想定できる。また、自己点検の費用を平均30万円/件と仮定した場合、150万円/年程度の費用削減効果が見込める。(単純に自己点検の委託費用のみであり、委託元社員の人件費等は含んでいない。)1社あたりの金額や工数は大きいとは言い難いが、製薬産業業界全体で見たときには、極めて大きな削減効果となる。

これにより生み出されたリソース(人材、工数、資金等)は、より高度な医薬品の安全性監視活動や、品質や信頼性担保のためのクオリティシステムの向上に振り向けることが可能となる。結果として、国民に対してより安全で有効な医薬品を迅速に提供することにつながり、政府が掲げる「危機管理投資」「成長投資」による力強い経済の実現や、国民の健康寿命の延伸といった社会課題の解決、健康医療安全保障の確保に大きく貢献する。

<根拠法令等>
  • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(GVP省令)第11条
No.28. 化審法における新規化学物質の用途変更を可能とするガイドラインの整備
<要望内容・要望理由>

医薬品の商用製造に使用する原材料・添加剤等の新規化学物質は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「化審法」)第3条第1項柱書に基づき製造・輸入業者が「商業用」として届け出た物質として製造又は輸入される。

製造販売承認取得を見込んで「商業用」として製造又は輸入した新規化学物質は、これを使用して製造する医薬品についての追加臨床試験の要求や、PMDAの承認審査の長期化により承認が遅延した場合、製造販売承認取得までの間は「商業用」として使用できなくなる。このような場合、現行制度下では、「商業用」として届け出た物質の用途を「試験研究用」へ変更する手続きを定めた通知・ガイドラインが存在しないため、「試験研究用」への転用もできない。

このため、現行制度下では、「商業用」として届出を行おうとしている当該新規化学物質が手元にあるにもかかわらず、当該新規化学物質を「試験研究用」として使用する場合、届け出た用途が異なるため、新たに製造又は輸入し直す必要が生じる。しかしながら、医薬品原料としての品質が確保された新規化学物質は、そもそも生産量が少なく、再購入の納期として数ヶ月から1年程度を要するケースがある。これにより医薬品の開発期間の延長が発生し、医薬品の早期上市を阻害する要因の一つとなっている。

そこで、化審法第3条に基づき製造・輸入業者が「商業用」として届け出た新規化学物質について、購入者が「試験研究用」に用途を切り替える必要が生じた場合に、購入者自ら、又は、当該化学物質の製造・輸入業者が、用途変更の旨の記録を保存することを条件に、用途を「試験研究用」へ変更することを認める旨の通知・ガイドライン(以下「本ガイドライン」)を発出していただきたい。

なお、化審法第3条第1項第2号では、商業用と異なり、試験研究のために新規化学物質を製造し、又は輸入しようとするときには届出義務が免除されている。このことからも、「商業用」から「試験研究用」への用途変更は、化審法上、問題のないものと思料する。

これにより、本ガイドラインの発出を通じて、製薬企業は追加臨床試験の要求や、PMDAの医薬品承認審査の長期化等が生じた際に、購入済みの「商業用」新規化学物質について用途変更を行い、「試験研究用」としての使用が可能となる。

さらに、本ガイドラインの最大の効果は、医薬品開発の遅延回避である。上述のとおり、医薬品原料としての品質が確保された新規化学物質は、再入手に数ヶ月から1年を要するケースがある。これにより、医薬品の開発期間の延長が発生し、患者や医療機関への医薬品の早期提供を妨げる要因の一つとなっている。試験研究用への用途変更が認められることで、医薬品の提供遅延要因が解消され、患者が待ち望む医薬品をより早く患者のもとに届けることが可能となる。これは健康医療安全保障の確保に資するものである。

実際に、一部の事業者においては、用途変更ができずに再購入を余儀なくされるケースが年間1~5件程度発生しており、その都度2~6ヶ月の遅延が生じている。加えて、「商業用」の新規化学物質の使用期限切れによる廃棄ロスの削減(廃棄・再購入コストは1事案あたり数千万円~数億円規模に達する可能性がある)、および廃棄物削減による環境負荷の低減といった効果も見込まれる。

さらに、本ガイドラインは製薬企業以外の化学物質購入者にも横断的に適用されることから、広く産業界全体の効率化に資するものであり、わが国の産業競争力強化につながるものと期待する。

<根拠法令等>
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第3条第1項
No.29. PMDA相談の公式記録化による開発の予見可能性および相談制度の利便性向上
<要望内容・要望理由>

PMDAの相談制度は、実施要綱に基づき、対面助言において一定の記録が作成されるものの、事前面談等では品目により有料で記録の作成を希望できる場合と、一律で記録を作成しない場合がある。そのため、相談内容や当局の見解、今後確認すべき論点等が当事者間で公式な記録として共有されず、社内での意思決定や過去の相談内容の継続的な確認・活用が困難となる場合がある。

当局との相談内容について企業側でメモを作成することは可能であるものの、それはあくまで企業側の理解を記録したものであり、当局との間で認識が一致した内容を示すものではない。そのため、後日の社内検討や継続的な相談において、当局が示した見解や前提条件を客観的に確認することが困難となる。

米国FDAでは、企業が議事録案を作成し、当局と確認・共有する運用が行われている。こうした仕組みは、相談内容の認識齟齬を防ぎ、継続的な開発や社内での情報共有を円滑にする上で有効である。

そこで、PMDA相談について、全相談類型での全品目を対象とした議事内容の公式記録化を実施いただきたい。その際、記録作成業務の追加による事務負担の増加を考慮し、米国FDAのように企業側が議事録案を作成し、それを当局との間で確認する運用もあり得る。

これにより、相談内容や当局見解の認識齟齬を防止するとともに、社内での意思決定や継続的な論点管理が容易となり、開発の予見可能性および相談制度の利便性向上に資する。

<根拠法令等>
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第15条第1項第5号
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行う対面助言、証明確認調査等の実施要綱等について(別添16)
No.30. 医薬部外品における防腐剤使用運用の科学的合理化
<要望内容・要望理由>

近年の製剤技術の進展により、防腐剤を使用せずとも長期間の品質維持が可能な製品は現実に存在する。

しかしながら、医薬部外品について、防腐剤の使用を必須とする明確な法令規定は存在しないにもかかわらず、医薬部外品の承認のための審査において、実務上は防腐剤添加が求められる運用が見られる。具体的には、防腐剤添加がなくとも3年以上にわたり腐敗等が認められなかった製品であっても、防腐剤を配合していないことを理由の一つとして、医薬部外品としての当局の承認が得られていないケースがある。

このような運用のもとでは、承認申請審査における予見可能性が低いため、申請者側の開発コストやリスクの増大、ひいては防腐剤無添加製品の開発を阻害しかねない。

そこで、防腐剤無添加製品に係る医薬部外品の承認のための審査において、保存安定性を証明するために必要とされる科学的エビデンスのあり方を示すガイドラインの発行を要望する。

これにより、科学的エビデンスに基づく評価を明確化することで、不必要な添加物の使用を回避し、消費者安全性の向上につながる。また、企業の研究開発の自由度が大きく向上する。さらに、規制運用の透明化は開発の迅速化をもたらし、国内バイオ・ヘルスケア産業の競争力強化に資する。

<根拠法令等>
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条
  • 医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)
No.31. 薬事申請におけるリアルワールドデータ活用に係る真正性確認要件の明確化
<要望内容・要望理由>

米国では、リアルワールドデータ(RWD)を薬事申請の外部対照群(プラセボ群または標準治療群に代えて、既存の診療情報・レジストリ・医療情報データベース等から構成される比較対照群)として活用する際、RWDの診療・研究等の過程で蓄積された二次利用データであることや、データベースごとに収集方法・管理水準が異なること等の特性を踏まえ、データの由来、収集・加工過程、品質管理、解析目的との適合性等を確認する考え方が整理されている。これにより、治験データと同一の確認方法を一律に求めるのではなく、RWDの特性に応じた適合性・信頼性確認を行う実務的な活用が進んでいる。

一方、日本においても、承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方等が示され、RWD活用に向けた取組みは進められている。しかし、RWDを外部対照群として利用する場合、申請資料および原資料として用いる電磁的記録について、データの真正性を一律に求めるER/ES指針(医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用のための指針)における真正性、見読性、保存性等との関係が問題となる。同指針は、電磁的記録による申請資料等の信頼性確保を目的とする重要な指針であるが、医療現場で診療目的に作成・蓄積された二次利用データベースについては、治験データと同様のシステム管理や監査証跡を事後的に整備することが困難な場合がある。

その結果、RWDの欠損や記録形式の差異が治験結果に与える影響が限定的と合理的に説明できる場合であっても、欠損部の完全な補完や、既存データベース側の大規模なシステム改修が求められる懸念があり、外部対照群としてのRWD活用の障壁となっている。このような制度運用上の不確実性は、希少疾患や小児疾患等における新薬開発・薬事承認の遅れを通じて、患者が必要な治療選択肢に国内で速やかにアクセスする機会を損なうおそれがある。

そこで、RWDを薬事申請の外部対照群として活用する場合について、ER/ES指針上の真正性要件を形式的に一律適用するのではなく、RWDの特性を踏まえた適合性・信頼性確認の考え方を明確化するべきである。具体的には、データの欠損や記録形式の差異が治験結果に与える影響が限定的であることを合理的に説明でき、データ由来、収集・加工過程、品質管理、解析目的との適合性等について必要な証跡を示せる場合には、欠損部の完全な補完や既存データベース側のシステム改修を一律に求めることなく、外部対照群として利用可能とする考え方を、既存ガイドラインの見直しまたは新たなガイドラインの策定により明確化すべきである。

これにより、RWDを薬事申請の外部対照群として活用しやすくなり、対照群を含む従来型の比較試験のみでは実施が難しい場合にも、治験設計の選択肢を広げることができる。臨床試験では、対照群にプラセボを投与(または標準治療を実施)して新薬の有効性を検証する場合があるが、疾患領域によっては、対照群に割り当てられた被験者が新薬による治療効果を期待できないこと等について、倫理的課題を指摘されることがある。RWDを外部対照群として利用することにより、こうした課題を軽減できる。

また、希少疾患においては、患者数が限定されていることから、対照群を含めた被験者確保が困難または時間を要する場合がある。RWDを外部対照群として利用することにより、治験期間の短縮や治験設計の柔軟化が期待され、患者への新たな治療選択肢の早期提供につながることが期待される。

<根拠法令等>
  • 医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用のための指針(ER/ES指針)3. 1(電磁的記録の管理方法)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第1項、同条第3項
  • 承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方
No.32. 医薬品・再生医療の製造分野における新規製造技術(ロボット・AI技術等)活用についての規制当局相談
<要望内容・要望理由>

今般、わが国では、イノベーションに係る各種の政府補助金・助成金の充実が図られている。国家戦略技術領域の1つである「バイオ・ヘルスケア」においては、ロボット・AI技術等の新技術を活用した、医薬品・再生医療等製品の「製造」における日本発の新規汎用技術の各種研究開発が進んでいる。かかる新規汎用技術について、将来的に様々な化合物の製造に適用していくにあたって、企業側が担保しておく必要がある規制要件について規制当局と予め相談できることは有用である。

米国・EUでは、医薬品・再生医療等製品の製造分野においてこのような新規汎用技術の「実用化」を政府が伴走支援して進める「規制相談枠組み」が構築#1されている。

わが国では、PMDAによる「対面助言」や「レギュラトリーサイエンス総合相談(RS相談)」は基本的に固有製品の開発を前提としているため、かかる新規汎用技術の相談は対象外である。「対面助言」には「医薬品革新的製造技術相談」という枠組みが設けられているが、製造拠点を今後構築する新規汎用技術は対象外である。このように新規汎用技術の実装に向けた相談が可能な枠組みは現状存在しない。

そのため、企業は、製造分野における新規汎用技術を日本国内で実用化するに当たり、どのような準備・対応が必要であるかの判断ができず、結果として、日本発の新規汎用技術を開発できたとしても、実用化が進まないというジレンマに陥っている。

日本が科学技術立国としての立場を確実なものにするには、新規汎用技術の「実用化」を進めるための相談枠組みの整備が必要である。

そこで、新規汎用技術の実用化に向けた相談が可能な枠組みを設置すべきである。

具体的には、①「レギュラトリーサイエンス総合相談に関する実施要綱」において、汎用可能な新規製造技術の実用化に係る相談を対象に加える、または②「対面助言のうち、医薬品革新的製造技術相談に関する実施要綱」において、相談対象を製造拠点・能力を有しない研究開発段階の新規製造技術まで拡大する等、実施要綱を改正すべきである。

これにより、企業は研究開発段階から規制要件の予見可能性を確保した上で、新規製造技術への投資・開発を進めることが可能となり、日本発の製造技術の実用化が促進される。

ライフサイエンス産業においては、これまで根治が難しかった疾患を治療しうる技術の1つとして細胞医療に対し世界的に大きな期待が寄せられている。このような患者へのメリットに加え、細胞・遺伝子治療分野は、2030年まで市場が年率30%以上で拡大するとの予測もあり、日本の産業においても重要性が高い分野である。

一方、細胞医療は製法の変更が最終製品の特性に大きく影響を与え、作り方が変わると違う製品になってしまう。細胞医療製品の製造工程の再現性/安定性の課題や、手作業依存によるばらつきとコストの高さという、細胞医療の実用化に向けた「死の谷」を克服するには、ロボット・AI技術を含めた新規汎用技術を医薬品・再生医療等製品の「製造」に活用することが必須である。

<根拠法令等>
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第15条第1項第5号ロ
  • レギュラトリーサイエンス総合相談に関する実施要綱
  • 対面助言のうち、医薬品革新的製造技術相談に関する実施要綱

1. 例えば、米国食品医薬品局(FDA)の生物製剤評価研究センター(Center for Biologics Evaluation and Research :CBER)には、先進製造技術(Advanced Manufacturing Technologies:AMT)指定制度がある。当該指定制度を取得すると、医薬品および再生医療等製品の開発段階におけるロボット製造技術と連携する AI 技術のような新規技術の取り扱いについて、FDAより早期から伴走支援を受けるとともに、相談を行うことができる(日本企業が開発したヒト型汎用ロボット「まほろ」も2025年12月にAMT指定を取得)。
欧州医薬品庁(EMA)においても、医薬品の開発・製造および品質管理に関する革新的手法の導入を促進・支援する枠組みとしてQuality Innovation Group(QIG)が運用されている。

No.33. 遺伝子組換え(GM)技術由来原料の医薬部外品原料規格(外原規)への適用
<要望内容・要望理由>

食品分野では、食品衛生法に基づく安全性審査を経てGM作物が流通しており、GM微生物/酵素の利用等で製造した化学品も、生物由来原料基準に基づく高度精製処理等により組換え由来核酸/タンパクが残存し得ない水準まで除去可能な技術が確立しているものがある。他方、「外原規通則3」により、遺伝子工学的手段を経て製造された原料は、たとえ化学的に同一で外原規各条の規格値を満たしていても、外原規適合として認められない。結果として医薬部外品・化粧品の原料調達の選択肢が狭まり、安定供給・コスト・実装スピードの面で国際競争力低下の懸念がある。

そこで、食品用途で安全性審査を通過したGM作物由来原料及びGM微生物/酵素を製造工程で使用した原料について、「外原規通則3」に例外を設ける等、外原規適合として扱うことを明確化すべきである。

これにより、食品で審査済みのGM作物由来原料や、生物由来原料基準に基づく高度精製処理等で安全性の合理的判断(分析・製造品のロット管理等)が可能なGM微生物/酵素技術を用いた原料を、医薬部外品・化粧品でも活用できれば、国内製造の原料調達の強靭化(供給途絶リスク低減)とコスト合理化が進み、安定生産と国際競争力の維持・強化に資する。加えて、生産性の高い原料の活用は、農業・原料生産の環境負荷低減や資源制約下での持続可能性(SDGs、循環型バイオエコノミー)とも整合する。なお、現下の資源制約リスクが急激に高まった国際情勢に鑑み、対象要件を事務連絡、通知やHP上でのQ&A掲示により明確化し早期実装することが有効と思われる。

<根拠法令等>
  • 医薬部外品原料規格 通則3
(6) 資源・エネルギー安全保障・GX
No.34. 高効率給湯器の設置スペースに係る容積率不算入範囲の拡大
<要望内容・要望理由>

高効率給湯器(ヒートポンプ給湯機、ハイブリッド給湯機、家庭用燃料電池等)は、従来型の給湯器と比べて高い省エネルギー性能を有する給湯設備である。例えば、ヒートポンプ給湯機は、従来型のガス給湯器と比較して一次エネルギー使用量を約33%削減できる。エネルギー安定供給の確保やGXの実現に向けては、需要側のエネルギー使用の合理化が重要である。中でも、家庭部門は日本の最終エネルギー使用量の約15%を占め、そのうち約30%が給湯分野であることから、高効率給湯器の導入は、家庭部門の脱炭素化に向けた有効な手段である。

こうした中、特にマンション等の共同住宅に高効率給湯器を設置する場合、設置スペースに係る容積率算定上の取扱いが導入普及拡大の制約となる場合がある。現行制度では、高効率給湯器の貯湯ユニットについては、容積率算定上の延べ面積に算入しない部分として取り扱われる一方、付帯設備(ヒートポンプユニット等)や点検・保守スペース等は容積率不算入の対象外とされている。このため、容積率に算入されてしまうと、共同住宅ではこれらの設備スペースが住戸面積や共用部面積を圧迫し、事業計画上の制約となることから、デッドスペースが増えるため、高効率給湯器の設置が進まず、住宅の省エネルギー化の妨げとなっている。なお、建築基準法第52条第6項第3号では、対象の給湯設備について特定行政庁の認定を受けた場合、容積率不算入とするとされているが、手続きの煩雑さ等が課題となっており認定の実績はほとんどない。

そこで、高効率給湯器の設置においては、既定の貯湯ユニット部分に限らず、付帯設備や点検・保守に必要なスペース等も容積率不算入の対象に含めるべきである。

これにより、共同住宅における高効率給湯器の採用が進み、家庭部門の脱炭素化に資することが期待される。

<根拠法令等>
  • 建築基準法施行令第2条第1項第4号ホ
  • 建築基準法第52条第6項第3号
No.35. 地熱発電における国有林貸付面積制限の緩和
<要望内容・要望理由>

地熱発電は、第7次エネルギー基本計画においても導入拡大が期待される安定的な再生可能エネルギーである。その導入を加速するためには、地熱資源量の調査を着実に進め、有望な開発候補地点を拡大していくことが不可欠である。

国有林野の管理経営に関する法律第7条第1項第5号は、国有林野を貸し付け、または使用させることができる場合として、面積が5ヘクタールを超えないことを定めている。一方、地熱資源調査では、山間部や奥地において、調査機材を搬入するための仮設道路等の敷設が必要となる場合があり、発電所本体の建設前の初期調査段階であっても、国有林野の貸付け・使用面積が5ヘクタールを超える可能性がある。なお、同項第1号に基づき、「公用、公共用又は公益事業の用」の要件を満たした事業については同規制の緩和措置があるものの、初期調査段階では、事業化や地点選定が確定していないことから、同規定は適用されない。

そこで、地熱資源調査を目的として国有林野を貸し付け、または使用させる場合に限り、国家戦略特区における取扱いと同様、貸付け・使用面積の上限を10ヘクタール程度まで認める特例を設けるべきである。

これにより、「地熱開発加速化パッケージ」に基づくフロンティアプロジェクトや、次世代型地熱の開発が促進されるとともに、未調査地域における地熱資源調査が進展し、有望地点の把握や案件形成、事業化可能性の評価が加速することが期待される。その結果、中長期的な地熱発電の導入拡大、ひいては発電量の増加につながる。

地熱発電は、資源が国内に賦存し、設備・工事についても概ね国内で調達可能な、安定的な純国産エネルギーである。その導入拡大は、2050年カーボンニュートラルの実現に資するのみならず、エネルギー自給率の向上や、わが国のエネルギー安全保障の強化にも大きく寄与する。

<根拠法令等>
  • 国有林野の管理経営に関する法律第7条第1項第5号
No.36. 地熱事業における保護林内開発規制の緩和
<要望内容・要望理由>

第7次エネルギー基本計画において、地熱発電は、安定的な発電が可能な再生可能エネルギーであるとともに、地域資源の有効活用を通じて地域活性化にも資する電源として位置付けられており、その導入拡大が大いに期待されている。

しかし、「風力発電・地熱発電に係る国有林野の貸付等手続マニュアル」では、国有林野の貸付け等に係る基準として「保護林が申請地に含まれていないこと」が定められている。このため、地熱資源の賦存が見込まれる地域であっても、当該地域が保護林に該当する場合には、地熱資源の有無の確認や資源量の推定を目的とした初期調査すら実施することができず、有望地点の把握やその後の事業化に向けた検討が進まないのが現状である。

そこで、保護林について一律に国有林野の貸付対象外とする現行の運用を見直し、地熱資源の有無の確認や資源量の把握を目的とした初期調査に限って、貸付け等を認める特例を設けるべきである。

これにより、未利用地域における地熱資源調査が進展し、有望地点の把握や案件形成、事業化可能性の評価が促進されることが期待される。併せて、「地熱開発加速化パッケージ」に基づくフロンティアプロジェクトや次世代型地熱の開発を後押しするとともに、国産再生可能エネルギーの供給拡大を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現およびエネルギー安全保障の強化にも寄与する。

<根拠法令等>
  • 「風力発電・地熱発電に係る国有林野の貸付等手続マニュアル」
  • 第4 ①
No.37. 水電解装置で製造された水素ガスの成分検査義務の適用除外
<要望内容・要望理由>

現状、ガス小売事業者は、ガス(天然ガス又はプロパン、ブタン、プロピレン若しくはブチレンを主成分とするガス及びこれらを原料として製造したガス並びにこれらに空気を混入したガスを除く。)の硫黄全量、硫化水素及びアンモニアについて、ガス事業法第23条及び同施行規則第22条に基づく毎週1回の成分検査が義務付けられている。水素ガスも本検査対象となっていることから、検査対応や結果確認等に伴い、供給開始・継続の遅延や一時停止を検討せざるを得ないケースが想定され、事業運営上のリスクとなっている。

そこで、水電解装置により製造される水素ガスは、原料および製造プロセスの特性上、有害成分が含まれないことが技術的に明白であることから、上記成分検査の対象外とすべきである。

施行規則第22条第1項「ガス中の硫黄全量、硫化水素及びアンモニアの成分が原料の種類に照らして一定数量以下であることが明らかである」に水電解装置により製造される水素ガスが含まれることを明示する若しくは同項第1号の除外対象に水電解装置により製造される水素ガスを追加すべきである。

これにより、水素供給事業の立ち上げや地域導入が進みやすくなり、脱炭素化、エネルギー供給手段の多様化、国内水素関連産業の発展に貢献する。

<根拠法令等>
  • ガス事業法第23条
  • ガス事業法施行規則第22条
No.38. 系統用蓄電池を活用した再エネ有効利用に向けた制度整備
<要望内容・要望理由>

現在、系統用蓄電池に充電された再生可能エネルギー(以下、再エネ)発電所由来の電気については、放電時に再エネとして扱うことが認められていない。一方、現在議論されているGHGプロトコルやSBTiの改定に代表されるように、カーボンニュートラル(以下、CN)の主張には、発電と需要との間での同時性が必要とされる流れが主流となっている。太陽光や風力等の再エネは気象条件によって出力が変動するため、発電と電力需要のピークにズレが生じる。この需給ギャップを埋め、同時性を維持してCNを現実のものとするには、余剰電力を蓄えて必要な時に供給できる蓄電池の活用が必要不可欠である。

そうしたなか、再エネに併設する併設蓄電池は、放電時に再エネとして扱うことが認められている一方、地理的な制約等により、導入拡大には限界がある。そのため、再エネから離れた場所に設置される系統用蓄電池から放電された電気を再エネとして扱うことを認めることが、CNの実現に大きく寄与する。

そこで、系統用蓄電池に充電された再エネ由来の電気について、FIT非化石証書を使用したものを除き、小売電気事業者を介したオフサイトPPAにおける、発電電力量と非化石価値(非FIT非化石証書)の対応関係や紐づけ方法等も参考にしながら、再エネ発電所と一体的に運用され、かつ適切な計量・管理により再エネ由来であることが確認できる系統用蓄電池から放電される電気については、再エネとして扱うことを認めていただきたい。具体的には、適切な計量・管理により再エネ由来であることが確認できる系統用蓄電池から放電される電気について、エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律の第2条第4項に定められる「エネルギー源の環境適合利用」の対象に加える、あるいは、非FIT非化石電源に係る認定手続きにおける電力量認定申請の対象に加えることを求める。

これにより、需要家が将来に亘って購入する電気のCN化を実現する手段が増え、CNの実現に寄与する。とりわけ、夜間にも電気を使用するデータセンターのCN化にも大きく貢献すると考えられる。また、系統用蓄電池が、従前の需給調整市場やアービトラージに加え、非化石価値のタイムシフト、出力制御の抑制にも活用できるようになる。

<根拠法令等>
  • エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律第2条第4項
  • 電力の小売営業に関する指針1(3)ア ii)、1(3)ウ ii)⑧
(7) 防災・国土強靭化
No.39. 避難行動要支援者名簿および個別避難計画におけるデジタル化の推進
<要望内容・要望理由>

災害対策基本法では、災害発生時に自ら避難することが困難な高齢者や障害者等を対象に、各自治体が避難行動要支援者名簿および個別避難計画を作成することが努力義務として定められている。当該名簿情報および計画情報は、避難行動要支援者の生命や身体の保護のために必要な時に限り、避難支援等の実施に必要な範囲内で避難行動支援者や関係者に提供することが可能である。円滑な情報提供を推進する観点から、「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針(令和3年5月改定)」においては、災害により市町村の機能が著しく低下する可能性を踏まえ、名簿情報および計画情報をクラウド上でデータ管理することによるバックアップ体制の構築が規定されている。

しかし、名簿情報および計画情報のクラウド上での管理については、「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和8年3月版)」上には明確な規定が無く、セキュリティポリシーに反するとの見解から名簿情報および計画情報を紙で管理する従来の運用を続ける自治体がある等、自治体毎に解釈が異なりデジタル化が進展しない現状がある。そのため、災害発生に伴う浸水時や停電時に情報共有や集計作業が進まず、避難時における要支援者の状況や避難所の情報等を迅速に収集・展開することが困難な事例が生じている。また、平時においても、紙で管理する運用により、避難行動要支援者名簿登録依頼書の印刷や発送作業をはじめ、名簿情報および計画情報の作成・更新・共有に係る作業が自治体職員の業務を圧迫している状況にある。

そこで、上記のガイドラインにおいても、上記取組指針と同様に、避難行動要支援者名簿および個別避難計画に関する情報をクラウド上で管理することが可能である旨を明確化し、自治体によってクラウドの活用に対する解釈が分かれることがないよう見解を統一すべきである。さらに、現行のガイドラインでは、参考として、機密性に基づく分類における利用可能なパブリッククラウドサービスの範囲が例示されているのみであるため、名簿情報および計画情報の管理が認められるクラウドの基準や条件についても併せて明確化すべきである。

これにより、災害発生時に避難行動要支援者名簿および個別避難計画情報を即時に共有・検索することが可能となり、高齢者や障害者をはじめとする避難行動要支援者の安否確認や避難支援活動を迅速かつ効率的に実施することができるため、社会全体の防災力が向上する。また、平時においても名簿情報や計画情報の作成・更新・共有作業に係る自治体職員の業務負担の軽減や、運用コストの削減にもつながる。加えて、クラウドの活用が進展することで自治体の防災DXが推進され、民間事業者の先進的技術の活用が促進されるだけでなく、地域コミュニティや企業との連携推進等、防災分野における「共助」の取組みが一層進展することが期待される。

<根拠法令等>
  • 災害対策基本法第49条の10、第49条の11、第49条の14、第49条の15
  • 避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針 第Ⅱ部 第2 2(3)、第Ⅲ部 第2 2(10)
  • 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン 図表22
(8) フードテック
No.40. フードテック(精密発酵)領域における新規食品の安全性評価基準の明確化
<要望内容・要望理由>

新規食品(とりわけ精密発酵食品)の申請を進めるにあたり、現在は既存の「遺伝子組換え食品(微生物)の安全性評価基準」をベースに各社が個別に各所管機関に事前相談を行いながら対応している状況である。

事業者としては、上市前の安全性評価に必要な手続きや負担の見通しが立たない中での工業化・事業化への移行が困難な点が課題と考える。

そこで、既存の「遺伝子組換え食品(微生物)の安全性評価基準」において、精密発酵食品に関する章を追加する等、新規食品(とりわけ精密発酵食品)の位置付けや評価の考え方を明確化すべきである。

これにより、一定の指針や安全性評価の考え方が明確になることで、上市前の安全性評価に必要な手続きや負担の見通しを想定することができ、工業化・事業化への検討促進を図ることができる。

世界の精密発酵食品市場規模は2025年に43.1億ドル、2034年に1138.6億ドルとのデータ、予測(出典:FORTUNE business insights)もあり、改革により高い経済的効果の可能性があると考える。

<根拠法令等>
  • 遺伝子組換え食品(微生物)の安全性評価基準
  • 食品衛生法第13条
(9) コンテンツ
No.41. 匿名組合等を活用した海外投資受入れの円滑化
<要望内容・要望理由>

コンテンツ産業は「新たなクールジャパン戦略」(2024年6月4日 知的財産戦略本部)において基幹産業と位置づけられ、政府は2033年までに日本発コンテンツの海外市場規模を20兆円へ拡大する目標を掲げている。その一方で、現行の法制度の下では、海外パートナーから資金を受け入れるための投資スキームの組成がとりわけ中小規模のコンテンツ事業者にとって大きな負担となっており、海外資金・ネットワークを活用した事業展開を阻害する要因となっている。

①任意組合(製作委員会)型:
金融商品取引法上の規制は比較的緩やかである一方、海外投資家には日本国内での恒久的施設(PE)課税が発生する。その結果、海外投資家は日本で確定申告等の煩雑な税務手続きへの対応が必要となるため、海外投資家から敬遠される一因となっている。

②匿名組合(TK)型:
海外投資家については、一般に源泉徴収による課税で足りるため、日本国内での税務申告負担を大幅に軽減することができる。一方、匿名組合出資持分は金融商品取引法上の集団投資スキーム持分に該当することから、日本側の営業者が当該持分の自己募集を行う場合には、原則として第二種金融商品取引業の登録(ライセンス)が必要となる。また、届出により利用可能な「適格機関投資家等特例業務」を活用する場合でも、日本の適格機関投資家(プロ投資家)を少なくとも1名組み入れる必要がある等、制度利用に係る要件や手続きのハードルが極めて高く、海外資金を円滑に呼び込む上で大きな制約となっている。

豊富な資本やノウハウを有する大企業であれば、海外にSPC(特別目的会社)を設立する等、複雑なクロスボーダー・ストラクチャーを構築することにより、法規制や税務上の課題に対応しつつ、海外からの資金調達を行うことが可能である。しかし、わが国の優れたコンテンツ制作の現場を支える中小・中堅コンテンツ事業者や独立系スタジオの多くは、こうした国際的なストラクチャーを維持・管理するための人的・財務的リソースが十分ではない。その結果、優れた企画力や制作技術を有していても、海外からの出資や事業提携の機会を十分に活用できず、断念せざるを得ないケースが少なくない。

そこで、人的・財務的リソースが限られる中小・中堅コンテンツ事業者であっても、海外展開に必要な資金を円滑かつ機動的に調達できるよう、以下の厳格な限定条件をすべて満たすことを前提として、海外投資家や海外コンテンツ事業会社等からの出資を受け入れる匿名組合(TK)ファンドの自己募集・自己運用について、第二種金融商品取引業の登録を不要とし、事前の届出のみで実施可能とする特例制度の創設を要望する。

<例>
【投資家(属性・規模)の限定条件】

  1. ①出資者を「海外の法人」または「海外のプロ投資家」および「日本のプロ投資家(適格機関投資家、一定規模以上の国内事業会社)」に限定すること

  2. ②出資者が一定規模(例:総資産1億円以上)の資産を有することを客観的な資料により確認できること

  3. ③1件あたりの最低出資金額を一定額以上(例:2,000万円以上)に制限すること

【営業者(日本側)の限定条件】

  1. ④日本の営業者(発行体)が、映画、アニメ、ドラマ、ゲーム、音楽等のコンテンツの制作・流通に係る事業を5年以上継続して営んでいる実績を有すること(制度の濫用防止および実体のないペーパーカンパニーの排除を目的とする)

【資金管理・投資対象の限定条件】

  1. ⑤調達した資金については、当該コンテンツ事業専用の口座において分別管理を行うこと

  2. ⑥投資対象を、日本国内の著作権法に規定する著作物の制作ならびに当該著作物の国内外への流通・販路開拓・販売促進に係る事業に限定すること

なお、本要望は、海外投資家および海外コンテンツ事業会社等からの資金・事業協力の受入れに係る制度上の課題に対応するため、現行制度に追加的な選択肢を設けることを求めるものである。したがって、現行制度の下で既に認められている国内コンテンツ事業会社向けの特例措置については、本制度の創設後においても引き続き維持されることを前提とする。

これにより、中小・中堅コンテンツ事業者や独立系スタジオであっても、海外の事業会社やプロ投資家から、資金と海外における事業協力を一体的に獲得しやすくなる。また、ライセンスアウトによる海外展開にとどまらず、日本側事業者自らが海外市場における流通や販路開拓、販売促進等に主体的に関与することが可能となり、海外展開機会の拡大と海外収益の国内還流の促進が期待される。こうした取り組みは、「新たなクールジャパン戦略」が掲げる日本発コンテンツの海外市場規模20兆円の実現を後押しするとともに、わが国コンテンツ産業の国際競争力の強化に資するものである。

<根拠法令等>
  • 金融商品取引法第2条第2項第5号、第29条、第63条
  • 金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第7条第1項第3号

2.地域経済活性化

No.42. 都市公園内における公募設置の認定有効期間の緩和措置
<要望内容・要望理由>

2017年の都市公園法改正により創設された公募設置管理制度(Park-PFI)は、民間資金や民間ノウハウを活用した都市公園の再整備を推進する上で重要な制度である。

しかしながら、制度創設以降、建設費や人件費の上昇、金利上昇、物価高騰等の要因により事業環境は大きく変化しており、都市公園内に建設可能な体験・エンターテインメント施設等の投資回収期間は長期化している。そのため、公園設備を整備するにあたって、現行制度の認定有効期間では事業性の確保が困難となるケースが増加している。

また、現行制度では認定有効期間の延長は可能とされているものの、個別の協議・手続に委ねられ、事業計画の策定や金融機関による融資判断を行う際の予見可能性が不十分である。このため、実務上は延長期間を前提とせず、法令上担保される20年間を事業期間として計画を策定するのが通例となっており、投資判断や資金調達の制約要因となっている。

加えて、現行制度における20年間の認定有効期間は、特に体験・エンターテインメント施設や宿泊施設等の大規模案件においては建築物の法定・経済耐用年数を下回る場合がある。さらに、この認定有効期間には新築工事期間及び認定期間満了時の解体・原状回復工事期間が含まれるため、実際の営業可能期間はより短くなり、事業採算性を著しく損なう要因となっている。

そこで、都市公園法第5条の2第5項に規定する公募設置等計画の認定有効期間について、現行の「20年以内」から、民間事業者による事業計画や投資判断・資金調達の実態を踏まえた制度へ見直すべきである。

具体的には、以下のとおり要望する。

  1. ①公募設置等計画の認定有効期間について、事業性、建築物の法定・経済耐用年数等の施設特性に応じて「30年以上」の期間を認め、幅広で柔軟な期間設定を可能とすること。

  2. ②認定有効期間は、新築工事期間及び認定期間満了時の解体・原状回復工事期間を除き、施設竣工後の施設営業可能期間を基準として設定できるよう制度を見直すこと。

これにより、現環境において民間事業者が長期的な視点で施設整備・運営を行うことが可能となり、民間事業者の投資回収可能性や資金調達環境が改善され、公募設置管理制度の活用が促進される。その結果、民間活力を活用した魅力ある都市公園整備が進展し、公園利用者の利便性向上、自治体の財政負担軽減、地域経済活性化及び持続可能な都市公園運営の実現に資することが期待される。

<根拠法令等>
  • 都市公園法第5条の2第5項
No.43. 都市公園法の緩和による公園施設対象・建蔽率上限の見直し
<要望内容・要望理由>

都市公園は、地域住民のレクリエーション空間としての機能に加え、防災機能の向上、交流促進、地域経済活性化等、多様な役割を担う都市の重要な社会基盤であり、近年はPark-PFIを含む民間資金や民間ノウハウを活用した官民連携により、公園利用者の利便性向上や都市公園の魅力向上が図られている。

しかし現行制度では、公園施設の対象や規模はかなり限定的に運用されている。都市公園法第2条第2項に規定する公園施設は、「都市公園の効用を全うする」公園利用者のための施設として厳格に解釈・運用されていることから、公共性と事業性の双方を備えた複合的機能施設の導入の制約要因となっている。また、建蔽率上限については、地方公共団体が条例で定めることが可能であるものの、「都市公園法運用指針 3-1 公園施設の建蔽率基準について」にて、「2%」の基準を十分参酌すべきこと、上限を超える場合には従来の都市公園の機能に関する考え方に留意することが望ましいと明示しており、多くの地方公共団体において参酌基準が実質的な上限として機能している。そのため、現行制度の下では大規模な公共施設や民間施設を導入する際に、事業区域の見直し等を前提とした対応が必要となる場合があり、事業性の観点から柔軟で魅力ある施設計画の立案が困難な状況となっている。柔軟な施設整備や民間活力の導入を進めるためには、制度面での見直しが必要である。

そこで、都市公園法第2条第2項に規定する公園施設について、その対象範囲を拡大し、民間資金や民間ノウハウを活用した多様な施設整備を可能とすべきである。

具体的には、ウェルネス施設(フィットネス、サウナ等)、物販施設(公園グッズや飲食に限らない幅広いテナント)、体験型エンターテインメント施設、ライブ・イベント施設、その他地域経済活性化や交流促進に資する施設について、公園施設として位置付けるため制度整備及び解釈の明確化を行うべきである。前述の施設の設置が認められるのであれば、これを都市公園法施行令第5条に明記する、もしくは都市公園法施行令第5条第2項第2号、同条第3項第2号、同条第4項第2号、同条第5項第3号の規定と同様に、同条第6項の「便益施設」についても、地方公共団体による条例に委任する、又は条例による補正を許容すべきである。

また、都市公園法第4条に基づく建蔽率上限については、都市公園の機能が損なわれないことを前提に、地域の実情や事業特性に応じて地方公共団体の裁量を増やし、柔軟に条例を設定できるよう、都市公園法第4条又は都市公園法施行令第6条に規定される参酌基準の幅を増やすべきである。

これにより、公園施設の対象範囲の拡大及び建蔽率上限の見直しが進み、民間資金や民間ノウハウを活用した官民連携事業の促進が期待される。地域住民の利便性向上や交流人口の拡大に加え、防災拠点機能の強化、自治体の財政負担軽減及び持続可能な公園運営の実現につながる。また、ウェルネス施設やエンターテインメント施設等、新たに地域の核を創出することにより、観光消費の拡大や雇用創出が進み、地域経済の活性化にも大きく寄与することが期待される。

<根拠法令等>
  • 都市公園法第2条第2項、第4条
  • 都市公園法施行令第5条、第6条
以上

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